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短信:「新たな可能性につながる基礎研究。アルツハイマー治療に光明か?‐もっと知りたいiPS細胞研究‐」

かつて「神経の病気の治療法は、100年ぐらいよい治療法が見つかっていない」と山中伸弥教授は述べていた。

 今、「研究は予想をはるかに超えるスピードで伸展している」という。

 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)と富士フィルムは、患者由来のiPS細胞を用いてアルツハイマー型認知症治療薬「T-S17MA」に関する共同研究を昨年3月から開始した。

 この研究は、iPS細胞を用いて「T-S17MA」の有効性を予測するバイオマーカーの特定を目指すなど、全く新しい新薬開発へのアプローチであり、アルツハイマー型認知症治療薬の開発を加速させるものである。

 富士フィルムはグループ会社の富山化学工業㈱でアルツハイマー型認知症の治療薬を進め、強力な神経細胞と神経突起伸展促進効果をもち、動物モデルでも高い治療効果を示す「T-S17MA」をみつけた。現在米国(アルツハイマー型認知症研究機関と共同)で第Ⅱ相試験を実施中で、バイオマーカーの解明に取り組んでいる。

 なお、富士フィルムホールディングスは、米国のiPS細胞の開発・製造のリーデイングカンパニーの買収に合意したと伝えられており、そうなると再生医療分野のさらなる事業拡大につながる。

 CiRAの研究チームは、患者由来のiPS細胞から分化させた神経細胞で、アルツハイマー型認知症患者の原因遺伝子によって、神経細胞にいろいろな細胞ストレスを引きおこすケースがあることを解明している。

 今後、これらの成果をもとに、従来の均一的な疾患概念に対する画一的な治療を超えて、先制的な病態診断にもとづき、適切な治療を行う「先制医療(※)」の可能性が見えてきたようだ。