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短信:日本の医学・医療の重要課題

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(その1)分子標的療法に制度的対応を 
 これから個別化医療、特に分子標的療法の時代が来るといわれている。
 特に肺がんの分野ではEGFレセプターの遺伝子異常がある症例では、イレッサ(ゲフィチニブ)が有効であるし、また、間野博行教授(東大大学院医学系研究科細胞情報学)が発見したEML4-ALK融合遺伝子がある症例では、ザーコリ〈クリゾチニブ〉が有効であることが証明されている。
 このような遺伝子の異常をあらかじめ調べることは、“コンパニオン診断”と言われているが、その診断が健康保険で認められているのは、難病など患者の少ない疾患が多く、36と聞いている。
 アメリカでは440も行われており、分子標的療法を行うとすれば、コンパニオン診断をもっと保険で認めるべきだろうと思う。

(その2)貴重な研究が海外に流出している
 日本の基礎研究は、その論文の数、質からいっても世界のトップクラスにある。
 しかし、臨床研究は世界的な雑誌への投稿論文数からみても16位であり、中国に後れをとっている。
 医師が臨床の仕事に追われて、研究する余裕がないということもあるが、折角、基礎の分野で開発された研究が、臨床に結び付かないことが多いのである。例えば、京都大学の本庄研究室で最近発表された、チェックポイント分子PD-1の阻害剤抗体である抗PD-1抗体の臨床研究は アメリカの病院で行われ、世界のマーケットの大部分は、アメリカの製薬会社によって占められているのである。
 また、京都府立医大の酒井敏行教授が開発したMEK阻害剤trametinibについても臨床研究の結果は、アメリカ、イギリス、オーストラリアの人たちによってまとめられ、販売もイギリスの会社に独占されているという事実がある。ちなみに我が国の医薬品の貿易収支額は2012年のデータでは、輸入額が2.8兆円、輸出額が1,400億円で、大幅な輸入超過であり、国内生産額は約7兆円となっている。

【日本医学会会長 高久文麿氏】

 

 

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