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No.577 厚労省の検討会が病床機能報告制度改善案を了承 第7次医療計画の2016年度末策定目指し新検討会を設置

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■ 地域包括ケアシステム構築に向けた第7次医療計画の議論がスタート

 厚生労働省の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」は3月10日に開いた会合で、地域医療構想策定ガイドライン及び病床機能策定マニュアル等を見直すことで合意した。当局は病床機能報告マニュアルを改正し、2016年度の病床機能報告に向けて医療機関への浸透を図ることになる。

 

 病床機能報告制度の改善案は、各医療機関が提供している医療の実態に見合った的確な医療機能を報告するのが狙い。(1)病床機能報告制度の病床数と必要病床数についての基本的な考え方の整理、(2)救命救急入院料や地域包括ケア病棟入院料などの特定入院料等を算定する病棟と、病床機能報告制度の4つの医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)の対応関係を整理―という二つの資料を、「病床機能報告マニュアル」に追加。病床機能報告制度は毎年10月に実施するため、今夏までにマニュアルの見直しを行う予定だ。

 

 同検討会は3月10日の会議で終了。今春からは、「医療計画の見直し等に関する検討会」を新設され、2018年度からスタートする第7次医療計画の基本指針について2016年度末までに策定する。(1)医療計画における地域医療構想の位置付け、(2)医療と介護の連携、(3)2次医療圏、基準病床数、対象疾病・対象事業、などが検討課題。新設される医療計画の見直し等に関する検討会では、地域医療構想を含め、2025年に向けた病床機能の分化・連携と医療・介護の連携を推進するために求められる地域医療計画の記載事項等について検討を行う。

 

 第7次となる医療計画(2018~2023年度)は、新たに医療介護総合確保方針を踏まえ、かつ、介護事業計画との整合性を確保するために計画期限が6年に延長された(図3 地域包括ケアシステムの構築:医療介護サービス体制の改革)。2015年度から各都道府県で策定が始まった地域医療構想は、2016年度半ばに39都道府県で最初の策定を終える見通しで、今後は、その実現を図る地域医療構想調整会議の機能とそこでの議論の前提となる病床機能報告の精度向上が課題となる。今後、医療計画見直し検討会がまとめる報告の内容は、地域医療構想推進の施策、さらには2025年の「地域包括ケアシステムの構築=医療介護サービス体制の改革」に影響が及ぶことから、2016年内の意見取りまとめが注目される。

 ■高度急性期13.6%、急性期47.6%、回復期10.4%、慢性期28.4%~回復期増加が目立つ病床機能報告

 3月10日の地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会では、「2015年度病床機能報告(速報値)が行われた。2月16日時点でデータクリーニングが完了した病院(98.2%)、有床診療所(92.5%)のデータが対象(医療機関全体では95.6%)で、ほぼ大枠が明らかになったことになる。構成比は、高度急性期が13.6%、急性期が47.6%、回復期が10.4%、慢性期が28.4%となり、2014年度の初年度報告に比べて、高度急性期が若干減少し、回復期がやや増加した(図4 2015(平成27)年7月1日時点の病床機能別の病床数(許可病床))。

 

 また、6年後の機能については、病床数ベースで高度急性期が14.2%、急性期が45.9%、回復期が12.7%、慢性期が27.3%。15年7月1日時点の機能と6年後で、各機能の病床数を比較すると、高度急性期は0.6ポイント増、急性期は1.7ポイント減、回復期は2.3ポイント増、慢性期は1.1ポイント減となる。回復期病床が増加する見込み。一方、初年度の報告結果(6年後の機能)と比べると、高度急性期は1.9ポイント減、急性期は1.2ポイント増、回復期は1.3ポイント増、慢性期は0.5ポイント減となっており、同じく回復期病床の増加がみられる。

 さらに、2025年度に予定する機能(任意報告、見通しが立っている病院のみ)については、病床ベースで高度急性期15.1%、急性期44.6%、回復期13.6%、慢性期26.7%となっている。初年度報告に比べ、高度急性期は2.9ポイント減、急性期は1.9ポイント増、回復期は1.6ポイント増、慢性期は0.6ポイント減で、同じく回復期の増加が目立っている(図5 2025(平成37)年7月1日時点における予定する病床機能別の病床数)。

関係者のコメント

 

<相沢日病副会長:「地域医療構想への関心が低い」>

 地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会の議論の中で、日本病院会の相沢孝夫副会長は、「地域医療構想の実現には、医療側・地域住民の相互にきちんとした認識を持つことが大事。しかし、医療機関の大半は関心がなく、地域住民も知らない。関係者が共通の認識を持つことが必要だ」と指摘した。

 

<武久日慢協会長:「地域急性期は地域包括ケア病棟に移行すべき」>

 2016年度診療報酬改定は、地域の医療機能に大きな影響を及ぼしているようだ。日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、3月10日に開かれた診療報酬改定に関する記者会見の中で、「地域包括ケア病棟の手術が出来高払いになったので、平均すると1日当たり3万円以上になるのは確実。手術によっては、7対1入院基本料や10対1入院基本料より収入が大きくなる」との見通しを示した。その上で、「地域急性期病院」は、「近くの地域からしか患者が来ず、手術や処置への特殊性が少ない。地域急性期は地域包括ケア病棟に移行すべき」と指摘した。

 

<7:1病棟で重症度看護必要度25%の維持が困難とみている東京近郊の病院長の声「準備期間も短い中で、次々と変わる医療政策が恨めしい」>

 2016年度診療報酬改定の目玉の1つが、入院基本料7対1の算定要件の見直し。大幅な変更に対応するための準備期間として、複数の病棟単位で7対1と10対1の入院基本料の届出も可能だが、この措置期間は現在のところ2年間と短い。特に、200床未満の急性期病院では、7対1の維持が困難な病院が増えることが予測される。

 東京近郊のある民間の急性期病院の病院長は、「7対1を維持するのか。高齢化でニーズが高まる地域包括ケア病棟や訪問看護などにシフトするか思案中。しかし、2年間という経過措置もあまりに短い。国は次々の医療政策を変えているが、医療現場で対応する期間もあまりにも短すぎる」と、次々と変わる医療制度改革に恨み節だ。

事務局のひとりごと

 

「地域医療構想」って何?』これだけ社会保障についての報道がなされていても、いざ用語を突きつけられると、こんな答え方になってしまう方々は結構おられるのではないだろうか

 先日、4月に入った朝のニュースバラエティ番組で、女子アナウンサーが調剤報酬改定関連の報道でこんな発言をしていた(実際には「4月から我々の生活がこう変わる」というコーナー)。「4月からお薬手帳を持参しないで普段の薬局に行くと40円自己負担が値上がりするだなんて知りませんでした(※2)。何でもっと早くから言ってくれないんですかね。国はもっと情報発信すべきだと思います。」

 中医協という公開の場で議論され、発言内容にいたる子細が議事録でホームページ上で公開され(かなり遅れ気味だが)、最終的には官報で告示されているこの制度(調剤報酬)。手に入れようとすればいくらでも情報が入るようになってはいるのだが…。このアナウンサーのコメントはいわゆる「一般国民の視点」を代弁しようとしているのだろうと慮るしかない…。

 

 事務に携わっておられる方々は別として、もしかすると医療現場で働いている看護師の方、若しくは医師の方々、その他たくさんの医療専門職の方々からも、そんな答えが返ってこないとも限らない。

「お役所用語」の表現が固すぎるからだろうか。新聞などではもっと平易な言葉を選んで表現されている。そのためか、一緒のことなのに、「正確な言葉」を使用して聞くと、今一つピンとこない。例えば、新聞紙面の「主に重症患者を診るためのベッド」とは恐らく「看護配置7:1病床」のことを指している。

 

地域医療構想」とは、WMN事務局の見解として平易に表現するならば、「それぞれの地域が自分たちの置かれた状況をよく調べ、必要な医療・介護必要量に応じた病床・介護ベッド数等をよく話し合った上で適正な数に減らし(ごく稀に増やす?)、若しくは必要な機能にバランスよく移行させて医療・介護・在宅・生活の切れ目をなくすこと」だと考える。つまり、地域医療構想で目指すものはバランスの良い(地域包括ケアにつながる)医療・介護提供体制の再構築だ

 大事なことなのだが、この大変な作業の存在を一般国民が知ることは難しいのではないか(※3)。

 

地域住民のコメントをいただいた。

 国は、「地域医療構想を策定し、質の高い医療と介護を地域で効率的に提供するための施策を実行する」と言っています。しかし、「介護保険制度改正と称して4月から軽度の要介護者の給付が制限されるなど、この国の社会保障制度はますます窮屈なものになっています。質の高い医療・介護が提供できるのかどうか。この先が心配です」。

 

「地域医療構想」と「質の高い医療・介護の実現」とは、結果としての相関関係は非常に高いのだろうが、直接的には関係がないだろう、と筆者は考える(※4)。

 

 本文中にあった日本病院会の相澤孝夫副会長のコメントを再掲したい。

地域医療構想の実現には、医療側・地域住民の相互にきちんとした認識を持つことが大事。しかし、医療機関の大半は関心がなく、地域住民も知らない。関係者が共通の認識を持つことが必要だ

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

 

(※2)

薬剤服用歴管理指導料

【従来】

処方せんの受付1回につき 41
(41×3:3割負担→123円、切り上げて130円が本人負担:1円=10円)

2016年4月より】

1. 原則過去6か月以内に処方せんを持参した患者に対して行った場合 38
(38×3→114円、切り上げて120円が本人負担)

2. 1の患者以外の患者に対して行った場合 50

※…2の算定要件はいろいろあるが、分かり易い事例として、お薬手帳を持参していない患者に対して指導等を行った場合は50

(50×3→150円、150円が本人負担→お薬手帳を持っていかなければ20円、今までより自己負担増)

(50点-38点=12点 12×3割負担→36円、切り上げて40円、

新点数下ではお薬手帳の持参とそうでないかで個人負担に40円の差が生まれる。アナウンサーの言っていた40円の差額とはこのことだと思われる)

<WMN事務局>

(※3)

地域医療構想についても、きちんと情報発信はなされている。情報は取りに行く側の問題だ、と提供側(お役人)は考えているのだろうから、このことを、例えば「こどもニュース」レベルの内容でしょっちゅう情報発信でもしなければ、一般国民に伝えるのがお仕事のアナウンサーの耳にも届かない。

<WMN事務局>

(※4)

地域医療構想が実現した後の社会を、保育などに例えるならば、保育園探しで困っているご両親が少なくなり、安心して仕事に専念できる社会が実現したなど、そういうことだと考える。ただこのことは、保育の質が良いかどうかとは直接的には関係ない。量と質とは別の問題だ。

<WMN事務局>