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No.582  2018年度にスタートする第7次医療計画に向け                 厚労省検討会で医療計画作成指針の議論が開始

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■今年12月の「医療計画作成指針」作成に向け議論を開始

 2018年度からスタートする第7次医療計画の作成指針を巡る議論が厚生労働省の検討会でスタートした。厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長=遠藤久夫・学習院大教授)の第1回会合が5月20日開かれ、今年12月の「医療計画作成指針」の作成に向けて議論を開始。第7次医療計画は、団塊の全世代が75歳以上となる2025年の医療提供体制構築を見据えた注目される計画となる。

 

 初会合では、2018年度(平成30年度)から始まる第7次医療計画の作成指針などに関する議論を開始。二次医療圏の設定や基準病床数、地域医療構想などについて検討を進め、年末までに意見を取りまとめる予定。初会合では、地域医療構想と地域包括ケアについて、それぞれワーキンググループ(WG)を設置して検討を進めることを決めた。

 

 医療計画は各都道府県が策定するもので、現行の第6次医療計画では5年間を実施期間としているが、2018年度から開始する第7次以降は、介護計画などとの整合性を図るため6年間に変更する。検討会では、2016年中に医療計画の作成指針をまとめ、これを受けて都道府県は2017年度中に医療計画を策定する。2018年度は第7期介護保険事業計画の開始年でもあり、団塊の全世代が75歳以上になる2025年を見据えて、医療機能の分化・連携と地域包括ケアシステムの構築を一体的に推進するため、精神保健医療福祉、周産期医療体制、医療従事者の需給、がん診療提供体制の各種関連施策に関する検討会も並行して行われており、それらの議論も医療計画作成指針に盛り込む。特に、都道府県で策定が進む「地域医療構想」と一体的な計画になる点が、第7次医療計画の特徴図3)。

 

■地域医療構想、介護保険事業計画との連携が、医療計画作成指針の最重要テーマ

 医療法に基づき、医療計画には、5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)・5事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児救急を含む小児医療)ごとの医療体制、②基準病床数、③医療従事者の確保、④医療安全の確保、⑤施設整備目標―などを定めることになっている(図4)。

 

 第7次医療計画でも、これら項目が定められるが、これまでの医療計画に加えて、「地域医療構想」「介護保険事業(支援)計画との連携」の2点が、基本方針策定に向けた最重要テーマとしてあげられている。

 

 このうち地域医療構想は、「地域において2025年時点で、高度急性期・急性期・回復期・慢性期といった機能ごとにどれだけの病床数が必要となり、そうした体制を構築(実現)するためにどういった施策をとるか」を示すもので、2016年度中にすべての都道府県で策定される。従来から「地域医療構想は医療計画の一部」とされており、第7次医療計画には、各都道府県が描いた地域医療構想をどのように実現していくかの道筋を具体的に記載することになる。また、介護保険事業(支援)計画との連携については、厚労省から「地域包括ケアシステムの構築に向けた在宅医療などの推進」「都道府県と市町村との具体的な連携のあり方」が論点として示されている。

 これら2点の課題については、検討会の下に設置された「地域医療構想に関するWG」「医療計画における地域包括ケアシステムの構築に向けたWG」で議論が行われる。

関係者のコメント

 

<厚生労働省担当者:「疾病特性を考えた二次医療圏の設定が必要」>

 「がんなど、患者の流出入が多い疾病もあり、二次医療圏で医療を完結することが難しくなっている」という厚労省検討会の構成員の指摘。厚労省の担当者は、「救急など時間的な猶予のない医療については地域(二次医療圏)での完結が求められる。一方、がんなど比較的時間のある疾病については、より広域的な医療提供が行われている。疾病の特性を考えた二次医療圏の設定が必要ではないか」などと、答えている。

 

<骨太方針2016:「医療費の地域差半減を目指し地域医療構想に基づく病床機能の分化・連携」など要求>

 6月2日閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2016(「骨太の方針2016」)では、医療費の地域差半減目標を目指し、「地域医療構想に基づく病床機能の分化・連携の推進の成果を反映させる入院医療費の具体的な推計方法」「医療費適正化の取組とその効果に関する分析を踏まえた入院外医療費の具体的な推計方法」「医療費適正化に係る具体的な取組内容」を今年夏まで示すよう求めている。

 

<加納医療法人協会長:「単に医療圏の設定という問題ではなく、もう一度数字を見直す視点が抜けている」>

 医療計画の見直し等に関する検討会の初会合で、日本医療法人協会の加納繁照会長は、「大阪では地域医療計画では2万床の過剰。一方、地域医療構想では1万床不足という齟齬ができている。単に医療圏の設定という問題ではなく、もう一度数字を見直すという視点が抜けている」と指摘。

 

<今村奈良県立医大教授:「第7次医療計画では医療圏と介護圏の調整を」>

 同じく検討会では、奈良県立医大の今村知明教授が、「医療圏設定の難しさは、介護圏、保健所圏、医師会圏とのずれがあること。第7次医療計画では、介護圏との調整にターゲットを絞っていくことが重要だ」と指摘した。

 

<病院で働く看護師の声:「地域の医療・介護に対応した看護キャリア形成への取組が必要」>

 地域包括ケアシステム構築を目指す第7次医療計画。都内の急性期医療機関で働く看護師は、「今後、院内ばかりでなく、地域での在宅・介護にも目を配った看護が必要になってくる」と述べる。病院中心の看護のキャリア形成から、地域の医療・介護に対応した看護キャリア形成への取組みが必要と感じているようだ。

 

<地域住民の声:「医療・介護の『見える化』で施設情報が入手しやすくなると期待」>

 「新しい医療計画では、医療・介護の『見える化』が進むと聞いている。『見える化』によって、地域の医療・介護施設の客観的な情報が容易に入手できることを期待したい」。

 

事務局のひとりごと

 

 ある時、霞が関のお役人に聞いてみた。例えば国交省や経産省、厚労省などでマンション計画情報などを共有しながら教育や社会保障も含めた都市づくりなどを行うことはできないのだろうか、という質問だ。帰ってきた返答は残念ながらそういったことはできていない、というものだった。というよりは、例えばサ高住への補助金事業は国交省と厚労省の共管なので連携することもある、といった返答であり、逆にいえば省庁を超えての連携など基本的には考えていない、という風に聞こえなくもない回答であった。

 いくらお役人でも、マンションディベロッパーがどのような土地に、いつ建てるか、その計画に医療や福祉も見据えながら行政に関与していくなどという芸当はできないのだろう。詮無い質問をしてしまった。

 

 例えば病院の建物ひとつとってみても、何軒も建てた経験のある人なんてそうざらにはいない。どれだけ練りに練った建物であっても、「あの時こういう風に作っておけば」、「やっぱりエレベータが少なすぎた」、「あの廊下の幅をもう少し拡げておけば病棟転換できたのに」など、完璧な建物なんて簡単には生まれない。“失敗”といえば語弊があるかもしれないが、そういう経験や反省を踏まえて次回はより練られたものが作られていくというような、ノウハウ(いかに痛い目に遭ってきたか)が生きることはどんな業界にでもあることだろう。とはいえ、そう何回も建て替えをして直すわけにもいかない。効率的に、いかに失敗を少なくした図面を作成するかがカギになる。だからこそコンサルティング業などのいろいろな経験を持つ人の意見が重宝され、商売になっているのだろう

 まちづくりはそれよりももっと大きなスケールだ。どうやったら失敗せずに作られるのか見当もつかない。やはり道路、駅や役所、病院、学校などの計画を俯瞰し、それらを中心にしながら検討されるべきではないだろうか(※2)。

 

 今年12月の医療計画作成指針の作成指針における最重要テーマは地域医療構想、介護保険事業計画との連携であるという。更地に作るわけでなく、実際に経済活動や生活が営まれ、すでにその中に医療機関、介護施設が存在し、既得権益のバランスが保たれている中で、2025年を見据えて一体的に考えていくことが必要なのだという。先述のお役人お答えの中では遠まわしに「できない」といわれていた内容を忖度(そんたく)すると、都道府県毎に、遺漏なく計画を立案していく必要があるのだ。そんな都道府県内における神懸ったような「大岡裁き」が実現することは、果たして可能なのだろうか。

第7次医療計画に向けた準備は着々と進められていく…。

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

 

(※1)……そう思っていたのでお役人に質問をぶつけたわけなのだが…。

<WMN事務局>