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No.588 医療機関のホームページ、新たな法規制導入へ  厚労省の医療情報の提供あり方検討会

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医療広告等に関する相談苦情件数等が増加

 厚生労働省の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」の第3回会合が8月3日開かれ、同検討会が規制対象として検討する医療機関のホームページについて、医療法上の広告として扱わないという現行の運用を維持する一方で、現行ガイドラインに実効性を持たせるため、法制化する方向で議論を進めることになった。

 特に、美容医療については、脱毛や脂肪吸引などを巡るトラブルが相次いでいることから(図2 地方公共団体における医療広告等に関する相談苦情件数等)、厚労省は美容医療に限らず、全ての医療機関のホームページでの虚偽、誇大な表現を規制する新たなガイドラインを作成することになったもの。ガイドラインは、虚偽の内容や誇大な表現、不適切な表示を掲載しないよう求める。具体的には、効果があるように加工・修正した術前・術後の写真や、「絶対安全な手術」などの表現を禁じることを検討している。

 

 

■新たな規制内容をガイドライン等で明確化

 現行医療法では、医療機関の広告に掲載できる項目を診療科名や手術の内容に限定しているが、ホームページは利用者自らが検索して閲覧するため広告には当たらないとして、別のホームページに閲覧者を誘導する「バナー広告」などを除き、規制の対象外となっている。しかし近年、美容クリニック等がホームページで施術効果や安価な料金を誇張するなど、契約トラブルや健康被害の相談が増加していることから、厚労省が不適切な表示を規制する方向で検討を始めることになった。

 ホームページへの規制を強化するために具体策として厚労省が提示したのは、①都道府県等における円滑な施行に資するため、新たな規制内容をガイドライン等において明確化 、②ネットパトロールによる監視体制の構築、③都道府県等において医療監視の体制強化に努め、医療法に基づく報告徴収権限を積極的に活用し、規制遵守を確認・徹底、④美容医療団体等の規制遵守の徹底に向けた取り組みに加え、プロバイダによる違反広告等の削除等によりインターネット上に規制順守を徹底する、⑤新たな規制が導入されるまで関係省庁、消費者団体などと連携して、不適切な医療広告、ウェブサイト等について指導を積極的に実施する-など。厚労省は法規制導入に合わせて、ホームページのガイドラインの内容についても明確化、変更する可能性があるとしている。

関係者のコメント

 

<神田裕二 厚労省医政局長:行政による執行体制が重要>

 神田医政局長は5月18日に開かれた同検討会第2回会合で、「都道府県が指導しても必ずしもすぐ直らない。学会は重要だが、アウトサイダー、確信犯をどうするかが問題。ガイドラインがあっても、違法でないとプロバイダも削除できない。行政がしっかり対応しなければならない」と行政による執行体制の重要性を指摘した。

 

<百束比古日本美容外科学会(JSAPS)理事長:「規制対象を美容に限定すべきでない」>

 検討会第2回会合でオブザーバーとして出席した日本美容外科学会(JSAPS)の百束比古理事長は「美容だけを目の敵にするのでなく、がんやアトピーなど保険が使える医療を自費診療でやる場合もある」と、規制対象を美容関連に限定すべきでないと指摘した。

 

<国民生活センターの調査:美容医療に関する相談は2078件、その半数以上が販売方法や広告に問題のある相談

 独立行政法人国民生活センターの調査によると、2015年に同センターに寄せられた美容医療サービスに関する相談は2078件。そのうち、販売方法や広告に問題のある相談は半数以上の1110件だった。美しくなりたいという願望をくすぐる「プチ整形」「レーザー脱毛」「豊胸」「脂肪吸引」等に関する広告が、雑誌やテレビ、チラシなどで目につき、販売方法や広告に問題のあるものや、医師が行う美容医療施術において皮膚障害や熱傷など危害を受けたという苦情相談が寄せられている。その中には、「1週間前、インターネットで見つけた美容皮膚科に出向いてスキンケア4回コースを割引価格で契約し、1度施術した。光をあてるだけの施術で、効果が感じられずやめたいが、精算金が定価で計算され不満だ。」とホームページの広告に起因した相談があった。

事務局のひとりごと

・包茎手術について説明を受けたが、十分に考える時間を与えられず承諾させられてしまい、手術を受けた。不要な施術があったので一部返金を望む。

 

・クレジット会社から督促通知が来て、20代の学生の娘が美容クリニックで130万円もの高額な顔のたるみ手術を受けたことが分かった。学生に契約させるなど、納得いかない。

 

・エステ店から紹介された美容外科で、全身脱毛の契約を50万円でした。一切解約しないと記載がある同意書にサインをしたが、高額で支払うことが難しく、施術前なので解約したい。

 

・全身脱毛の施術中に陰部をやけどした。施術が信用できないので中途解約をして全額返金してほしい。補償もしてほしい。

 

・美容クリニックで、「腫れない手術」と説明されて二重瞼の埋没手術を受けたが、目が腫れて仕事に行けない。納得できず返金を求めたい。

 

・今年3月に、美容クリニックで涙袋の溶解注射を打ったが、1カ月以上腫れが引かない。接客業をしているので、腫れが気になる。どうしたらよいか。

 

・1年前に、瞼に脂肪を注入する手術を受けたが失敗し傷が残った。やっと見つけた別の病院で修正手術をしたところ、顔面麻痺になった。手術にかかったお金を返金してほしい。

 

 独立行政法人 国民生活センターに寄せられた、美容医療サービスに関する利用者の相談内容の一部だ。(http://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/biyo.html

 さらに、本年6月時点で更新された情報によると、男性の美容医療に関して下記の相談事例があったそうだ。

【事例1】 広告では、7万円~10万円とのことだった。クリニックで10万円くらいの手術を受けたい旨を伝えたところ、安い手術だと汚い仕上がりになると言われ、高い手術方法を勧められ総額約80万円の契約で、即日手術となった。2週間経つが術後の傷口がぱっくり割れてしまい、また、引きつれ感があり、陰茎部分が何も感じなくなってしまった。

 

【事例2】 ネット広告を見て出向いた。医師とは思えない男性から説明を受け、手術台に上がらされ、医師から手術費用が65万円と言われた。また、「ヒアルロン酸を注射しないと包茎に戻る。15万円のものは一生残る」と言われ、約200万円の契約となった。痛みが引かず、泌尿器科を受診したら、一部が壊死していると言われた。

<独立行政法人 国民生活センターHPより内容を引用>

 

 読んだだけで身震いした。さらに痛みまで感じた(ような気がした)。そんな男性諸氏も少なくないのではないだろうか。

 公益社団法人日本美容医療協会という組織がある。厚生省(当時)、日本医師会の協力の下、日本美容外科学会を母体として、平成3年に厚生大臣(当時)の許可を受けた公益法人で、正しい美容医療の啓発活動及び美容医療に携わる医師の技術育成ならびに社会的モラルの向上を図ることを目的としている公益法人だそうだ。この法人が認定している「適正認定医(マル適)」の医師もおられ、全国のマル適医師の紹介もなされている。

 そのHPでは美容医療の広告について、発信側にも、利用する患者に対しても、広告において気を付けるべき点を紹介してくれている

以下、結構参考になるので引用してみた。詳細はHPでご確認いただきたい。(http://www.jaam.or.jp/ad/toPatient.html

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広告に表示することが禁止されている表現

 以下に参考として、日本美容外科学会報から美容医療広告に表示することが禁止されている表現を転載します。逆に考えれば、このような表現を用いているクリニックはコンプライアンス(法令遵守)精神に欠けており、最初から選択をしない方が安全であると言えるでしょう。

1.他の病院又は医療機関と比較して優良である旨の比較広告は表示不可

 例えば「日本一」「No.1」「一番」「最高」「絶対」等の表現は、客観的な事実であっても表示できない。

2.「永久保証」という表示も掲載不可。

3.誇大広告

 必ずしも虚偽ではないが、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、事実を不当に誇張して表現したり、人を誤認させる広告は禁止される。特に治療費に関しては注意を要する。

4.○○○学会会員などとして学会名を表示することは掲載不可。

 学会は勝手に作れるからという理由。

5.一般的でない肩書きも掲載不可。

6.キャンペーン価格等は掲載不可。

7.脱毛レーザーやシミ取りレーザーは掲載不可。

 理由はこれらを適応とした医療機器が薬事の承認を得ていないため。

- 以下略 -

 

美容医療広告の見分け方 (一部抜粋)

・あまり派手な広告を出している医療施設。→概して注意した方が安全です。

 

・患者さんを集めるため広告には治療費を安く書いてあるが、実際に受診するといろいろなオプションを勧められて高い料金設定をされる。→広告には実際に窓口で支払う目安の料金を明示しなければなりません。

 

・症例写真が掲載されているが、パソコンで改ざんされている。→これもデジタルデータは簡単に操作でき、改ざんを見破ることは難しいです。もしも改ざんされた写真が掲載されている場合は虚偽記載であり、極めて悪質と判断されます。またそもそも広告には術前・術後の比較写真は表示できません。

 

・安全性が確認されていない医療機器を用いた治療(レーザー治療など)、埋入物(豊胸術用の人工乳房など)、注入物(フィラーといわれるコラーゲンやヒアルロン酸など)などを用いて、あたかも最先端の医療技術であるが如く記載されている。→厚生労働省から薬事で承認された治療法しか表示できません。

 

・○○式といった術式があたかも自分にしかできないような術式として、または全くオリジナリティーのないどこでもやっている術式を、あたかも自分が考案した術式であるが如く記載している。→基本的には――式といった記載は、医学界で広く認められている術式以外は禁止されています。

 

・専門医、認定医等の表示がある。→現時点においては、美容外科も美容皮膚科も広告に表示できる専門医としては認められていません。美容医療に関係のある学会の専門医で、厚生労働大臣から広告に表示することが認められているものは、日本形成外科学会認定の「形成外科専門医」、日本皮膚科学会認定の「皮膚科専門医」、日本レーザー医学会認定の「レーザー専門医」くらいです。

 

・期間限定のキャンペーン→キャンペーン広告は禁止です。

 

・エステ感覚やプチ整形といった、安易に手術を受けさせるための表示が記載されている。→安易に誘導するような表示自体が禁止事項です。

 

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 美容医療の受診を検討されている男性女性諸子におかれては、是非ともご参考いただきたい。

 こと「美容」、言い換えれば「見栄え」に関して、どんな人でも大なり小なりコンプレックスはあるものだ。まして10代後半~20代前半の若人ともなればなおさらだろう(※2)。深夜のTVショッピングの番組を見て、思わず電話をかけて注文してしまいたくなるような商品も、その殆どが「体型の改善」に関する商品だ。古くは ぶら下がり健康器から、腹部に装着する電極の機械、腹筋を鍛えるためのサポート器具、元兵隊の作ったトレーニングDVD、持ちながら震わせるブレードのようなもの…。外見に関する人の悩みはとても大きな市場の可能性を秘めていると、今さらながらに感じる。この問題は決して美容医療のみに止まったテーマではないのだが、調べていくにつけ、美容医療に関する問題がことのほか影響度が高いと感じる結果となった。

 “広告ではない”とされる医療機関のホームページ。このテーマを機にいろいろ調べてみて、美容医療に見られるような、”少しでも美しく(かっこよく)”、などと最近とんと思わなくなってしまった自分を(※3)、幸せと感じるべきか、はたまた鈍感になってしまったと恥じるべきか。利用者の切実な悩みを目にして深く考えさせられる、残暑厳しい秋の夜長であった。

<ワタキューメディカルニュース事務局>

(※1)…… それ以外の世代の方ももちろんだろうが、文脈上ご容赦のほど。
(※2)…… あくまで容姿の問題。身なりとは別。

<WMN事務局>