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No.604 健保組合の2017年度予算は全体で7割が赤字。健保組合全体で赤字額3060億円に膨張

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赤字額は前年度比1668億円増、健保組合7割が赤字

 健康保険組合連合会は4月14日、「平成29年度健保組合予算早期集計結果」の概要を公表した。2017年度の経常収支は、経常収入8兆479億円、経常支出8兆3,538億円、経常収支差引額は3,060億円の赤字予算となる見込み。2016年度予算に比べ赤字額は1688億円増加。赤字組合は1015組合で、7割超の組合が赤字となる(図2 経常収支差引額等の状況)。

 

 調査は、2017年度予算データの報告があった組合(1375 組合)の数値を基に、2017年4月1日現在の1398組合を対象に2017年度予算状況を推計したもの。収入面では前年度と比較して、被保険者数が2.29%と大きく伸び、平均保険料率が0.068ポイント上昇したため、保険料収入は2,311億円増(前年度比3.00%増)となった。一方、支出面では拠出金が2382億円増(同7.23%増)、法定給付費も1422億円増(3.58%増)となり、支出全体で4,008億円増(同5.04%増)となった。

 

 全組合の平均保険料率は、2017年度には9.168%(前年度から0.068ポイント増加)となり、前年度に続いて3年連続で9%を超えた。主に中小企業の従業員とその家族が加入する「協会けんぽ」の平均保険料率(10.0%)以上の保険料率を設定している組合は316組合となり、実に健保組合全体の23.0%に達した。協会けんぽより高い保険料率となれば、事業主にとって「組合に加入・設立するメリットがない」ことを意味し、「組合の解散→協会への加入の増加」につながる。協会けんぽには多額の国費が投入されており、この悪循環ともいえる流れは国家財政にとって決して好ましいこととは言えない。

 

■赤字の最大の要因は、後期高齢者支援金や前期高齢者納付金の増加

 赤字の最大の要因は、①75歳以上の高齢者が加入する「後期高齢者医療制度」を支えるための後期高齢者支援金、②75歳未満の高齢者の加入割合を調整するための前期高齢者納付金などが増加していることがある。健保組合の支出で大きいのは、給付費(加入者が医療機関にかかった場合の7割負担分)と後期高齢者支援金・前期退職者給付金などとなっている。

 

支援金などが保険料収入に占める割合を健保組合ごとに見てみると、40~50%の健保組合が全体の47.6%(前年度から2.1ポイント増)と最も多く、次いで40%未満が28.4%(同7.7ポイント減)、50~60%が18.4%(同3.9ポイント増)、60~70%が4.8%(同1.9ポイント増)2.9%、70%以上が0.9%(同0.1ポイント減)となっている。前年度に比べて、支援金などの負担割合が大きくなる(重くなる)方向にシフトしている。後期高齢者拠出金が増加した背景には、高齢化の進展に加えて、医療保険制度改革により「計算方法(負担方法)」が変更されたことがある。かつては「各医療保険者の加入者数」に応じた負担となっていたが、「各医療保険者の負担能力」をも加味した負担に徐々に移行し、2017年度からは「全面総報酬割」となった。

 

 介護保険を支えるための納付金(介護納付金は、2017年には1人当たり9万3182円となり、前年度から6683円・7.73%の大幅増となる見込み。これは、納付金の計算方法(負担方法)を、後期高齢者支援金と同じく、徐々に「負担能力に応じた負担」に移行していくため(現在は、加入者数に応じた負担)。このため、今国会で成立する見込みの介護保険法改正案では、①今年8月から2分の1総報酬割、②2019年度から4分の3総報酬割、③2020年度から全面総報酬割が、それぞれ段階的に導入。介護費用が増大する中、高齢者、現役ともに支払い能力のある人には負担してもらうことになった。

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関係者のコメント

 

<組合健保幹部の声:「社会連帯という医療保険制度の基盤が崩壊する可能性」>

 ある健康保険組合の役員は、「医療保険制度の理念は、医療が必要な人を皆で支えることにあり、負担能力のある若人が負担能力の低い高齢者医療費を支える考えは当然だ。しかし、このまま『収入の過半数を加入者以外の医療費に充てなければならない』という状態が長期間継続すれば、社会連帯という医療保険制度の基盤が崩れていく可能性もある」と、高齢者拠出金制度に疑問を抱く。

 

<経済学者の声:「健保組合の存続の可否は、単に加入者の利害にとどまらず、社会全体の問題」>

 長年健康保険財政の調査研究に携わってきた経済学者は、「体力の衰えた健保組合が一度解散すれば、健保組合の拠出は減り、国庫の負担増につながる。さらに、医療費の削減や適正化を図る担い手としての重要な役割も喪失することになる。健保組合の存続の可否は、単に加入者の利害にとどまらず、社会全体の問題として捉える必要がある」と、健保組合解散の動きに警告を発している。

 

事務局のひとりごと

 

 

自分一人くらいが○○をしても、影響はないだろう

 この「○○」に色々当てはめてみて頂きたい。ポイ捨て、電気の無駄遣い、水道の水流しっ放し、トイレットペーパー使いすぎ、食べすぎ、飲みすぎ、いざという時のために処方薬を多めにもらっておく(医療保険の無駄遣い)、などなど。反対に、お年寄りに席を譲る、ぜんぜん知らない人がポイ捨てしたごみを拾う(美観に努めるなどの言わば「陰徳」)、など、良いことに置き換えてみたとしても、そんなに世の中に与える影響はないだろう、と思ってしまうかもしれない

 

けんぽ関連の方々からコメントを頂いた。

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○協会けんぽ関係者:「われわれ協会けんぽの財政基盤も盤石ではない」

 今年から保険者の負担能力に応じた「全面総報酬割」方式に切り替えたとのことで、カネを取りやすい健保組合を徹底的に狙い撃ちされ、解散する健保組合が増加し、その受け皿がわれわれ「協会けんぽ」という図式になっているようだ。われわれ協会けんぽの財政基盤も盤石ではない。解散した健保組合は、組合員の平均年齢も高く、財政基盤も良くないそのような被保険者が協会けんぽに押し寄せる事態に危機感を覚える。

 

○健保組合員の声:「ここ数年一方的に、しかも高度経済成長期並みの保険料値上げは、実質賃下げだ」

 日本のように国民皆保険制度がないアメリカでは、医療費を払えずに破綻する人が増えているという。一方で3割負担とは言え、現在の医療保険制度には概ね満足している。しかし、加入している健保組合では、ここ数年一方的に、しかも高度経済成長期並みの保険料値上げが続いている可処分所得が減少しており、家内は家計のやりくりに大変だと嘆いている。

 

○定年を迎え、健保組合から国保に加入した高齢者:「高い国保保険料、コストパフォーマンスが悪い」

 今年3月定年退職して健康保険組合員から横浜市の国民健康保険に加入したが、定年前の年収が保険料に反映されることもあり、保険料の高さに驚いた。また、保養所をはじめ福利厚生施設は健康保険組合のように充実しておらず、高い保険料の割には、コストパフォーマンスが悪い

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 健保組合は、組合員の収入面、年齢面等、その成り立ちからいって、被扶養者の健康状態を除けば、どう考えても医療費自体があまりかからなくて良い方々で構成される組織体であると思う。それ故に健康保険料が協会けんぽや国保に比較して安く抑えられるのだろう。そのメリットが、「裕福なところは金を出せ」ということなのだろうか、支援金などの形でお上から召し上げられるとすれば、何のために組合を作ったのだろう?ということになり、「だったら協会けんぽに加入したほうが良い」という考え方に行き着くのも無理からぬことだ。

 

 現在、あらゆる業界が労働力不足に悩んでいる。文化庁も移転予定の文化都市である京都の芸舞妓も不足気味で、もちろんご存知の方が大半だとは思うが、今や舞妓になる女性の殆どは他府県の女性だ。三味線を弾いたりする芸妓さん、いわゆる「地方(じかた)」も不足していて、「都をどり」などの「おどり」を見せる期間中は、素人さんにも手伝ってもらわないと到底回すことができないのだという。

 花街の問題は、それはそれで大変だが、社会保障の財源問題も当然大変だ。

 

 冒頭の「自分一人くらいが○○をしても・・・」というのがこのまま続くと、本当に日本が破綻してしまう日が来るかもしれない。別のテーマでとり上げたが、いずれ2千万の人が日本からいなくなるのだという。1億2千万人に対して約17%の減だ。ということは人一人の行動がもたらす影響度合いは、良くない行いをしても良い行いをしても、理屈上、増大することになる(※1)。

 「一人ひとりの(なんらかの)負の行動」から、「一人ひとりの正の行動」、地道な我慢とでも言おうか、そんな「ちりも積もれば山となるが、案外この国を良くするための処方箋なのかもしれない無関心、無関係、傍観、そういった吾関せずからの脱却を明日から、いや、今からして行かねばならないと感じるテーマであった。

 

 手始めに今夜は“ビール”と“締めのラーメン”をやめようか・・・。なかなか難しそうだ。

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※1)・・・筆者の試算
1人/1.2億=0.00000083%
1人/1億=0.000001%
0.000001%/0.00000083%=120%
人口1億人を割る時代の日本人の他者に与える影響度合いは現在の120%増し。存在感が1.2倍になるわけだ。