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No.623 2018年度診療報酬改定の新点数に「オンライン診療料」。オンライン診療のルールづくりに厚労省がガイドライン策定へ

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対面診療とオンライン診療の組合せが原則、対象患者は限定

 2018年度改定では、「かかりつけ医機能」を強化・推進するため、新点数の1つとして、「オンライン診療料」(月70点)が設定された。対象は「特定疾患療養指導管理料」や「地域包括診療加算・診療料」などを算定する初診から6月以上経過した患者で、3月に1回の対面診療が必要となる。併せて、ICT技術を活用した非対面での生活習慣病などの医学管理を評価する「オンライン医学管理料」(月100点)、在宅療養中の患者に対するICT技術を活用した医学管理を評価する「在宅時医学総合管理料 オンライン在宅管理料」(月100点)、精神疾患で在宅療養中の患者に対する「精神科在宅患者支援管理料 精神科オンライン在宅管理料」(月100点)が創設された。

 

 診療の原則は「医師と患者が相対するもの」(対面診療)という考え方を維持した上で、テレビ電話会議システムなどのICT技術を活用し、「生活習慣病などの慢性疾患で定期的に医療機関の外来を受診する患者が、通院負担から治療中断し、重症化してしまうことを防止する」こと、あるいは「在宅療養中の患者に対し、訪問診療を行う医療機関の負担を軽減する」ことなどが期待される。

 また、すべての医療機関が取得できるのでなく、施設基準については、「厚労省の定める体制の整備」「緊急時に概ね30分以内に自院で診察可能な体制の整備(小児科療養指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料の対象患者は除く)」「1カ月あたりの再診料・オンライン診療料の算定回数に占めるオンライン診療料の割合が1割以下」となっている。

 さらに対象患者は、特定疾患療養管理料、小児科療養指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料、糖尿病透析予防指導管理料、地域包括診療料、認知症地域包括診療料、生活習慣病管理料、在宅時医学総合管理料、精神科在宅患者支援管理料(精神科重症患者早期集中支援管理料から名称変更)-を算定している「初診以外の患者」で、かつ「当該管理に係る初診から6か月以上を経過した」「初診から6か月の間だが、毎月同一の医師が対面診療を行っている」患者に限定される。

 

 オンライン診療料、医学管理料の算定パターンは、以下のように想定される(図1 オンライン診察を組み合わせた医学管理(在宅)のユースケース(2)参照)。

◇1月目:医学管理料+再診料(初診から6月以上経過した月)

◇2月目:オンライン医学管理料100点+オンライン診療料70点

◇3月目:オンライン医学管理料100点+オンライン診療料70点

◇4月目:医学管理料+再診料

 

 

厚労省検討会がオンライン診療のガイドライン策定へ

 診療報酬改定でオンライン診療料が新設されることになったことを受け、厚生労働省は2月8日、「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会」の初会合を開催。テレビ電話会議システムなどのICT技術を活用した診療を「オンライン診療」と位置付け、対象患者や使用機器などのガイドラインを示すなどの検討を始め、年度内(2018年3月末まで)にガイドラインを策定することになった。ガイドラインには法的拘束力はないが、順守しなければ行政指導の対象となる可能性がある。

 初会合では、これまでICT技術を活用した非対面の診療は、離島など遠隔地の患者に行われることを想定し「遠隔診療」と呼ばれてきたが、名称を「オンライン診療」にすることで合意し、ガイドラインの対象範囲は、「医師対患者で行われる外来・在宅診療とし、保険診療、自由診療は問わない」ことにした。

 

 検討会では、①適用の基準(患者との関係性/患者合意、適用対象、診療計画、本人確認、薬剤処方・管理、診察方法、他の医師との連携)、②提供体制(提供場所/急変時対応が可能な体制、患者の受診場所、通信環境、プラットフォーム(端末))、③その他(医師教育、患者教育、質評価/フィードバック、エビデンスの蓄積)などの論点に沿って、議論する。

 このうち、①の適用の基準については、対象から除外される患者の基準は、現行法制では「初診患者や急性期疾患の患者は原則として対面で診療する」とされているが、ガイドラインではより詳しく規定される見通しだ。

 また検討会では、②の提供体制の「診察場所」と「患者の受診場所」について、「医療法では、病院などの医療提供施設、あるいは患者宅などでしか医療提供することが認められていない(法第1条の2第2項)」「人がたくさんいる場所で患者が受診すると、近くにいる人に診療内容を見られてしまう恐れがある」「医師もしくは患者が海外出張中に診療するケースが想定される」ことなどを考慮して検討すべきとの指摘が出された。

 

関係者のコメント

 

<迫井医療課長:「オンライン診療料の算定、初診から6カ月経過が妥当」>

 オンライン診療料を巡る中医協での議論の中で、厚労省保険局の迫井医療課長は、「初診からの期間が長いとオンライン診療は進まないという指摘がある。その一方で、対面診療を原則とする中で一定の診療実績や医師・患者関係の構築が求められることから、一定の期間が必要であり、初診から約6カ月以上経過した期間が、妥当ではないか」と述べている。

事務局のひとりごと

 

 携帯電話が世に出だした頃、高額な本体料金、さらに高額な通話料で「高嶺の花」と思われていたが、いつの頃からかもはや「当たり前」のものとして(通信にかかる費用の底床が増加すること)社会に受け容れられた。

 学生時代に“生涯の資産になる”と言われていた「電話加入権(当時7万円程度?)」は、証書が何処に行ったかすら分からないし、仮に見つかって、今売ったとして、当時の価格が保障されるとは、残念ながら到底思えない。数年前なら何かの申込書(履歴書など)に記載するべき電話番号とは、当然固定電話の番号であった。今や2通り記載することはあっても、携帯電話の番号が1つだけ書いていてもまかり通る時代である。「何をいまさら・・・」と言われそうだが、あらためて考えれば、時代は変わったものだ。

 とはいえ、新しい技術なら何でも浸透したかといえば、そうでもない。備え付けのTV電話もそうであったが、携帯電話の機能の一つであるTV電話(FOMA?)などがその一例であるだろう(※1)。

 

 今回のテーマである「オンライン診療」。高速データ通信が可能となり、画質も向上したこともあいまって、そろそろビデオチャットのような通話技術が本格化しそうな予兆である。

 昨年、ある世界的なIT企業のオフィスを見学させてもらったのだが、そこでオフィスを、筆者を含む一行をアテンドしてくださった営業担当者(30代)曰く自分の上司(マネージャー)はオーストラリア在住の外国人で、直接会ったことは一度もないのだそうだ。それでも週に1度は必ずその上司とチャットで45分間のミーティングを行うことでマネージメントできているのだという。グローバルすぎて唖然とするしかないが、曰く、「顔を見て話すと意思疎通が図れる」のだそうだ(※2)。

 

 世界的なIT企業の上司・部下の関係もチャットで可能であるので、医療現場でも患者と医師、医師と医師が意思疎通を図ることはある程度可能なのだろう。とは言っても、新点数であるオンライン診療は、会ったこともない患者を診療して算定できるようなものではない

 1997年、当時の健康政策局長通知(※3)で、患者の心身の状況を適切に把握できることというのが、遠隔診療を行うにあたっての要件としてすでに明確化されている。この条件は今日でも変わっていない。また、初診は基本的には「対面が原則」であることも変わっていない。従ってどんな場合でもビデオチャットで行えば遠隔診療が認められるということではないのだ。

 

 医業経営コンサルタントからコメントを頂戴した。

 

○医業経営コンサルタント:「対象が200床以上に広がり、専門医のいる大病院では、オンライン診療のメリットは大きい」

 「従来は遠隔診療の診療報酬は低く、対象範囲も限られ、病院は1回72点の電話再診料と呼ばれる分しかもらえず、特に専門医が勤務するような200床以上の大病院は制度の対象外だった。2018年度改定では、病院側は計170点を受け取れるようになる。難病や希少疾患などの専門医がいない地域では、オンライン診療のメリットは大きいのではないか」。

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 これまで「電話などによる再診」は対面ではない診療料として存在してきたのであるが、その枠組みを活用して、高い点数体系にしても良かったのかもしれないのだが、そこは電話再診料が設定された時代背景が元々異なっていることや、厚労省によって推進されている「EBPM(Evidence Based Policy Making)」、つまり診療報酬項目の算定回数に基づく診療行為等の分析を通じて医療政策を検討する手法が採られていることを背景とし、電話再診とオンライン診療は別項目にして、それぞれの件数の把握や分析に役立つという効果もあるようだ。

 

 厚労省医事課のコメントを紹介したい。

 

○厚労省医事課のコメント:「受診場所として 『オンライン診療ネットカフェ』といったものは避けるべき」

 「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会」の初会合で、オンライン診療ルール化の焦点の1つとなっている受診場所について、委員から「基準を緩く設定すれば、医療機関が少ないへき地などで、住民が誰でも利用できる公民館等にテレビ電話会議システムを設置して共用することができる。しかし一方で、都会にオンライン診療ネットカフェ』のような医療機関と紛らわしいものができて病気の人が病院に行かなくなってしまう懸念もある」との指摘に対して、厚労省医政局医事課の担当者は「そのような場所は避けるべき」という規定の仕方になるのではとの考えを示した。

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 この新点数、もともとは「遠隔診療」という位置付けで議論されていたのだが、医療過疎になりかねないへき地などで一助になる、と喜ぶべきものなのだろうが、これまた、「公共の宝」である制度を自分に都合よく解釈する存在が出てくることを予見しての考え方である。オンライン診療とは、何も医者と患者の関係(DtoP)だけでなく、遠隔地にいる医師がどんな領域にも精通しているわけでもないので、専門医の知見なども参考にする際(DtoD)なども有益であるのだろう。こういった支援方法がなければ、へき地にわざわざ、若い医師が、例えば2年限定、などという条件でもなかなか「行き手」が見つからないのではないか?おこがましくも、仮に筆者が医者であれば、経験も少なく当然不安であり、自分にへき地に行かなければならない義務もないので、「誰か?」と問われても尻込みしそうなところだ。

 

 

 話題変わって遠隔診療で先行している医療機関のコメントも頂戴した。

 

ICT活用した退院後在宅見守りを展開する民間病院:「新時代の在宅見守りシステムとして大いに期待」

 ICTを活用した医療・介護の地域包括ケアシステム構築に取り組んでいるのが、佐賀県の祐愛会織田病院(織田正道理事長)。同院では「退院後のIoT・AIを活用した多職種による在宅見守りシステム」として、退院後のケアも継続的に図る「メディカル・ベース・キャンプ(MBC: Medical Base Camp)」を開設。病院を基地(ベース)とし、ICT技術を活用して、入院中のケアを自宅退院後も引き続き在宅で継続するために、退院直後(亜急性期)において訪問サービスを行う部門(キャンプ)をMBCとし切れ目のないケアに取り組み、訪問看護師、理学療法士、介護福祉士、メディカルソーシャルワーカー、ケアマネージャーなど多職種による連携体制で在宅医療を支援している。織田院長は、「超高齢社会が現実のものとなり、高齢になっても、安心して自宅での生活を続けて行くには、転倒等の突然起こるアクシデントを早期に発見できる見守りシステムの構築が必須だ。新時代の在宅見守りシステムとして大いに期待できる」とコメントしている。

 

○遠隔医療行っている離島の開業医:「オンライン診療の普及で、診察料の未払い、不正な薬剤入手などが心配だ」

 「今までは経費的には持ち出しで、ようやく診療報酬上、遠隔医療が認められたと感慨深い。一方で、オンライン診療の普及により不安なことが増えてくる。通院診察より診療報酬が少ない場合、オンライン診療への移行患者が増え、検査が必要な場合でもできないといった状態になるのではないか。また、睡眠剤や安定剤などを不正にもらう行為が起こる可能性もある。さらに、診察料の未払いなど、不安な点も増えてくると思う」。

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 新点数についての期待と不安が垣間見えるコメントである。
また、新点数の誕生により、派生する懸念事項を指摘するコメントも紹介したい。

 

○日医常任理事:「オンライン診療での長期処方は望ましくない」

 オンライン診療料を巡る1月26日の中医協総会の議論の中で、日本医師会の今村 聡副会長は算定要件や施設基準について、「おおむね妥当な算定要件ではないか」とコメント。一方で、松本吉郎日医常任理事は、「オンライン診療における長期処方は望ましくない」と指摘した。これに対し、厚労省の迫井医療課長は、「長期処方については、今の保険診療のルールを適用するのが基本」とし、必要なルールはガイドラインで定めていくことになると答えた。

 

○勤務医のコメント:「オンラインは、目に見えることだけに視線がいき、その他の情報を見逃す危険性がある」

 「基本的には診療は対診により患者の状況を周囲の状況等も含めて詳細に観察することが基本であると考える。オンラインでは「目に見えること」だけに視線がいってしまいがちになり、その他の情報を見逃す危険性があるように思う」。

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 こんなコメントを紹介したい。

 

○山間地の高齢者患者:「オンライン診療だけで薬はもらえると便利なのだが…」

 四国の山間地の高齢者患者。「糖尿病と高血圧症の治療で、まる1日をかけて病院に行き、診察を受け、薬をもらっている。オンライン診療だけで薬ももらえるようにしてもらうと便利なのだが。実現できるのか?」。

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 病院まで何時間もかけて通院し、待たされた挙句に診療時間は数分、その上薬局でも待たされて、ようやく薬をもらって何時間もかけて家に帰る・・・。これは世間ずれしないためや体力維持のためのリハビリなのか、苦役なのか、移動手段が限られるご高齢の方にはオンライン診療は朗報のようにも思えるが、これまで述べてきたように、飛躍的に便利になる、というようなそんな状況には、一足飛びにはいかないのも事実だろう。

 もめにもめたが、看板は下ろさなかった「働き方改革」に対しても、治療と仕事の両立を図ろうとする会社員であり患者が、休憩時間などを活用してオンライン診療の活用などで今点数が役立つことがあるかもしれない。

 

 「今晩は飲み会の二次会で遅くなるわ。先に寝ておいて。」

 

 家内に午前様予告のカエルコールをする。こんな時にオンライン診療ならぬオンライン電話が世に出てくると(すでにTV電話はあるが)、何もやましいことなどないのだが、その時にいる場所の光景が背景として入ってしまうと、何かと家内に非難を浴びそうである(あくまで仮定の話である。念のため。)。

 オンライン診療は患者の容態に関する多くの情報が見えるようになったので素晴しいのだが、こんな場合「何でも良く見えるようになる」というのは考えものである・・・。それならばいっそ、「どこでもドア」が発明されたほうがあらゆる不便が解決されるのではないだろうか。ドラえもんが誕生する2112年まで、あと94年。果たして科学の進歩は人間の創造を超えて行くのだろうか。明るい未来を信じたいものである。

 

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※1)・・・ DAT(高音質のカセットテープ)なども流行らなかった。レコードから音楽をダビングするのに、静電気で「パリッ」と音が入ってしまうと厭なので、レコードに静電気を抑制するスプレーをかけてみたり、水洗いしてみたり。

 ダビング時にはスピーカーの前で聞き耳を立てて「パリッ」と音がしないかチェックしながら神経質になってみたり・・・。さらにはお気に入りの音楽にはクロームテープやメタルテープのような高価なテープを購入したりと、高音質確保のためにいろいろやったものだ。レコード針なども買い替えにいったことを思い出す。その後CDコンポの登場で、ダビングは非常に楽になったのだが、それもDATが出れば飛躍的にダビング時の音質がもっと向上する、などと期待したものだ。それが記録媒体としてはMD(ミニディスク)が全盛になってしまい、殆ど世に出回らなくなり・・・と思ったのも束の間、今やUSBメモリーやiPod等のダウンロードが主流である。機器の進化はめまぐるしい。「医療・福祉環境が目まぐるしく変化する」などという枕詞が多用されるが、果たして医療・福祉はそこまで目まぐるしい、と言えるのだろうか?

 

<筆者>

 

(※2)・・・確かにそれはうなずける。コールセンターに電話して、顔もみたことがないオペレーターと、特にQ&Aなどで会話をしていると、あまりに話がスムーズに進まないといらいらしてくるのである。本人確認のために何回にも分けて住所、生年月日などを要求されるのだ。携帯電話で話していて全く一人っきりの状況でなければ、個人情報全盛の時代に個人情報を周りの人に聞こえてしまう状況を作りかねないのだ。すでに用件を話す前に不快になってしまっているのである。相手の顔が見えると、そういったことが少しは緩和されるのだろうか。

<WMN事務局>

 

(※3)・・・厚生省健康政策局長「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」について」(1997(平成9)年12月24日健政発第1075号)

<WMN事務局>