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短信:遠隔診療「5G」で支援 和歌山県立医大、全国初の実証実験

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 和歌山県日高川町の国保川上診療所と、県立医科大学間で2月20日、超高速の移動通信システム「5G」を導入した遠隔診療の実証実験が始まった。総務省からNTTドコモが請け負い、高精細なエコー動画(4K)などの送受信が行われ、へき地にいながら専門医が実際に診断するのと同じような環境で受診できる遠隔医療に、参加した診療所と医大側の専門医も手ごたえを感じた。県はこうした実証試験は全国初としている。3月上旬まで行われる。

 総務省が各地で行う5G活用試験の一環。発熱が続いていると想定した患者の喉の映像や胸部の超音波画像を、医大の専門医と診療所の医師が同時に見ながら診察したり話したりし、疾患名などを判断した。

 5Gは、肌の色合いや傷の深さを詳細に検討できる皮膚科分野などで特に期待できるという。川上診療所の平林直樹医師は、「専門医から制度の高い助言を得られ、1人で幅広い疾患を診るへき地の医師にとっては心強い」と話した。

 導入される移動通信システムの「5G」は、現行のLTE方式に比べて100倍の最高伝送速度などを実現する超高速、多数同時接続、超低遅延の性能があり、研究開発が進んでいる。県はへき地診療所と、医大を結ぶ遠隔医療支援システムの整備を進めており、日高川町の保健福祉センター内にある国保川上診療所と医大を結ぶ回線の一部に5Gを導入して実施した。1週間程度39度の発熱が続く28歳の男性が川上診療所を受診し、心内膜炎の疑いがあるとの想定。診療所側は、同所の平林医師と野上厚生病院内科医の川端医師、医大側は県地域医療センターの上野センター長、山野副センター長が参加。川端医師が患者の口腔内を診て心臓のエコー画像を医大側に送信。テレビ会議システムで、映像が同時に移し出され、循環器専門の山野医師が所見して診察した。へき地の医療現場では医師が不足し、専門分野以外の疾患を診察することが多くなるため、川上診療所側の医師らは「専門医に聞きたいことがリアルタイムで聞くことができてその場で治療でき、初期治療のスピードアップにつながる」と期待している。

 なお、医大や県、NTTドコモでは、2020年以降の実用化をめざしている。今後は通信回線の安全性の確保など、技術的課題や、これまでの遠隔診療システムでは難しかった認知症診断への応用などにも取り組む方針。

 

 

<紀州新聞ほか>