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短信:がん検査結果の見落とし相次ぐ。原因は?再発防止策は?

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がん検査結果の見落とし相次ぐ 原因は?再発防止策は?

 

 CT画像診断報告の主治医の見落としなどにより、がんの治療が遅れる医療事故が相次いでいる。医療事故情報の収集・分析を行っている日本医療機能評価機構には、見落としによる治療の遅れが、2015年1月から17年9月に全国の病院から32件報告された。画像の高精度化、専門性の細分化など医療環境の一方で、画像診断医と主治医のコミュニケーション不足、マンパワー不足、診療現場のシステムの在り方などの問題が背景にあるようだ。

 厚労省では医療安全対策を最重要課題の一つに位置付け、医療安全推進室を中心に組織的取組みを推進。日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等の事業を通じて「画像診断書の確認不足」および「病理診断報告書の確認忘れ」、「パニック値の緊急連絡の遅れ」など注意喚起を図ってきた。しかし依然として同種の事案が続いたことから、「画像診断の確認不足に関する医療安全対策について」全国の衛生主管部に対し、18年6月14日、周知徹底を図るべく再度通知を発出した。

 

 最近のこの問題について、多くの報道がなされているが、患者にとって自衛策の参考になる一例を紹介する。

 

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 どうすれば安全安心:単純ミスによる誤診、自衛策は 患者が主体的に行動を

(毎日7/19 1部省略)

 

 6月に明らかになった千葉大学医学部附属病院(千葉市)のケース。2017年7月に他の病院で「肺がんの疑いがある」と告げられた男性が、千葉大を受診した。この男性は、実は1年前にも千葉大を受診し、画像診療(診断)報告書には「肺がんの疑いがある」との記載があったのに、担当医は自分が専門とする部位だけに注目したため、見落としていた。このミスが発覚して院内調査を行うと、13年以降、9人の患者に診断ミスがあった。うち5人は男性と同様、報告書の記載を見落としていたことが原因だった。

 17日にも、東京都杉並区の肺がん検診などで、同区内のクリニックで胸部エックス線の検査を受けた40代の女性ががんを見落とされ、死亡していたことが明らかになったばかり。

 

 「こうした事故は、医療機関に特有のものというより、『担当医が変更になったが、画像検査を行ったことが引き継がれなかった』といった単純なミスでも起きている」。そう話すのは医師の坂口美佐さん。公益財団法人・日本医療機能評価機構の医療事故防止事業部長を務めている。

 同機構によると15年1月~17年9月、CTやMRIなどで画像診断報告書の確認不足の報告書は32件に上った。このうち「画像を確認しなかった」ケースは5件、「撮影目的の部位のみを確認し、ほかの病変に気づかなかった」は27件だった。事故があった診療科は外科、泌尿器科、消化器科など特定の科に偏らず、ほぼ全ての科で起きていた。当事者となった医師は経験年数には関係がなかった。患者は画像診断は担当医が行っていると勘違いしている人もいるかもしれない。「実は放射線の医師との分業になっているのです」と坂口さん。

 CTなどの検査画像を見て、報告書に所見を書くのは放射線科の医師だ。「診療科が細分化されているため、担当医は自分の専門部位だけに目を奪われがち」とのこと。(疑問などを)担当医に尋ねるだけでも引継ぎのミスや見落としのリスクは減るはずと指摘する。

 

 「CTなどの検査は、主人数の医師が膨大な数の検査画像を診断しているのが実情」と医学博士で医療事故を数多く手掛けている弁護士の石黒麻利子さん。

 昨年、担当医が報告書の記載を見落とし、がんを放置された患者が死亡した東京慈恵会医科大病院の場合、年間15万件のCT検査をしているという。これだけ数が多いと、患者も自衛策を講じる必要が出てくる。患者自らが病気について調べることの重要性を説く。「医師に質問できる程度の知識は、患者も備えておくべきでしょう」。

 なお、「同病院では全ての報告書を患者に渡して情報伝達のミスを防ぐ取り組みを始めている」とのこと。

 

 医師でジャーナリストの冨家孝さんも「少しでも疑問を感じたり、分からないことがあったりすれば、医師に対して細かく質問をしてください。遠慮は無用です。」とアドバイスする。

 

 医師に過度の期待をするのは厳禁だ。患者側が主体的になり、常に良い医療を求める姿勢が、ミスの防止の鍵となる。