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No.672 感染蔓延期に入った新型コロナウイルス感染症COVID-19

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■日ごとに拡大する「COVID-19」新型コロナウイルス感染症

 WHO(世界保健機関)で「COVID-19」と命名(「coronavirus」「disease」と、最初に感染が報告された「2019年」を組み合わせた命名)された新型コロナウイルス感染症。最初に武漢市で発生が確認された中国の患者数は7万7150人(死亡者数2592人)、香港74人(同2人)、マカオ10人、日本156人(同1人)、韓国763人(同7人)、台湾28人(同1人)、シンガポール89人、タイ35人、ベトナム16人、マレーシア22人、オーストラリア22人、米国35人、カナダ9人、フランス12人(同1人)、イタリア152人(同3人)、ドイツ16人など、合計7万9369人(死亡者数2619人)と世界中に拡大。中国、韓国、日本、イタリアが際立っている(図3 新型コロナウイルスに関連した感染症の発生状況等について 2月24日18時時点)。

 日本国内では日ごとに感染者が増加し、厚労省は2月13日国内初の死亡例として、神奈川県在住の80代女性が新型コロナウイルスによる肺炎で死亡したと発表した。加藤勝信厚生労働大臣は記者会見で、感染経路は不明とした上で「最近の渡航歴はなく、国内で感染した可能性を踏まえ調査する」と述べた。

 さらに、和歌山県は2月13日、県内に住む50代の男性外科医が新型コロナウイルスに感染し、肺炎を発症し入院していることを明らかにした。外科医は同県湯浅町の済生会有田病院(184床)に勤務しており、発熱前14日間の海外渡航歴はないが、中国から来た人と接触があるかどうかは不明。その後15日には勤務医の同僚とその妻、入院患者の計3人も感染が確認され、仁坂吉伸和歌山県知事は院内感染の可能性が高いことを認めた。

 

 また、2月3日に横浜港に到着したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」については、延べ3063名について、新型コロナウイルスに関する検査を実施したところ、陽性が確認されたのは634名(うち無症状病原体保有者延べ328名)。その後、2月20日に「ダイヤモンド・プリンセス号」に関連した患者2名が死亡した。2月19日に行われた新型コロナウイルスに関する検査において確認された無症状病原体保有者23名及び乗船していた家族・同行者16名について、国からの要請を受諾した藤田医科大学4月1日開院予定のセンター(愛知県岡崎市)へ搬送することになった。

 

政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が緊急対応策、総合的な基本方針を策定

 一方、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長:安倍首相)2月13日の第8回会合で、国立感染症研究所での検査体制強化や検査キット、抗ウイルス薬、ワクチンなどの研究開発促進などに153億円を投じる緊急対応策を決定した(図4 新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策)。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大への対応として、新たに検疫法34条上の感染症に指定し、隔離・停留を可能とする政令と、無症状病原体保有者を感染症法の入院措置・公費負担などの対象とする政令改正を2月13日の持ち回り閣議で決定した。また医師、看護師などの資格を持つ予備自衛官を最大約50人招集することを首相が承認し、河野太郎防衛大臣が命令を発出した。

 さらに、2月25日開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部の第13回会合で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する総合的な基本方針を策定した。基本方針では、現状を「国内の複数地域で感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しており、一部地域には小規模患者クラスターが把握されている状態になった」とし、「患者の増加のスピードを可能な限り抑制することは、今後の国内での流行を抑える上で重要な意味を持つ」と強調。「今後、国内で患者数が大幅に増えたときに備え、重症者対策を中心とした医療提供体制等の必要な体制を整える準備期間」「国内での健康被害を最小限に抑える上で、極めて重要な時期」と位置づけた。

 記者会見で加藤勝信厚生労働大臣は、「これまで全国一律での自粛要請を行うことはないと申し上げてきたが、今後は患者の集団が確認された地域などでは、関係する施設やイベントなどの自粛を検討していただくこともお願いしていく」とも言及し、クラスター対策に注力する考えを示した(図5 新型コロナウイルス感染症 クラスター対策による感染拡大防止)。

 

 医療体制やサーベイランスについては、患者が大きく増加した地域を想定して、現行の取り組みから、さらに踏み込んだ施策に切り替える方向を示した。

 具体的には、感染症指定医療機関などに設置されている「帰国者・接触者外来」だけではなく、一般の医療機関で診察時間や動線を区分するなどの対策を講じた上で、感染が疑われる患者を受け入れる。感染症指定医療機関では、重症者の受け入れに専念するため「帰国者・接触者外来」を段階的に縮小する。透析や産科など院内感染による重症患者発生のリスクが大きい医療機関は、受け入れを行わないよう各地域で指定する。

 症状が軽度の場合は、自宅での安静・療養を原則とし、状態が変化した場合には「帰国者・接触者相談センター」やかかりつけ医に相談した上で、センターなどに指定された医療機関を受診することとなる。相談の目安としては既に、37.5度以上の発熱が4日以上続く場合などと示されている。

 感染状況を把握するための検査体制に関しては、入院を要する肺炎患者の治療に必要な確定診断のためのPCR検査に移行しつつ、国内での流行状況等を把握するためのサーベイランスの仕組みを整備する。全数検査ではなく、定点的な調査などへ移行する可能性が示唆される。

 

 国内では新型コロナウイルスの感染者が相次いで判明しており、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗員・乗客を除いても、先週末には100人を超えた。感染経路が特定できない事例も全国各地で判明している。政府は2月24日に専門家会議(座長:脇田隆字国立感染症研究所所長)を開き、感染の拡大を見据えた基本方針について協議していた。

 

環境感染学会が新型コロナウイルス感染症対策で緊急セミナーを開催

 日本国内でも新型コロナウイルス感染症の感染者数が急激な勢いで増加している最中、日本環境感染学会の第35回総会・学術集会が2月14~15日、パシフィコ横浜で開催された。同学会第1日目の開会式直後に、緊急セミナー「新型コロナウイルス感染症の対策を考える」が行われ、WHOの健康危機管理プログラムシニアアドバイザーの進藤奈邦子氏と、新型コロナウイルス感染症患者(COVID-19)の治療に当たっている国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長が、COVID-19への対応を説明した。

 このうち進藤氏写真1)は、「WHOは、containment for  elimination。つまり根絶(elimination)を目指したオペレーションモードにある。非常に日本のことを心配している。中国の中では、既に症例数が減りつつある。それ以外の国からも症例の報告数のペースは遅くなってきている。世界中が終息と根絶に向けて、引き続き努力を続けている中で、昨日(2月13日)昼頃に日本に着いたが、それからたくさんのニュースを耳にし、とても今、心配している」と、日本国内で感染が広がっていることを指摘した。その上で、「ここでうまく食い止められないと、WHOはelimination(根絶)を諦めて、mitigation(被害軽減)のフェーズに入らなければいけない。日本が頑張ってくれるかどうかで、世界の方針が変わってくる。世界の国は比較的静かな状況になってきており、世界中の注目が、日本に集まってきている。これから『東京2020』に向けて、国際的に非常に注目度が高くなってくるところなので、ここで日本の力を集結して、終息の方向に向けられるように、諦めずに頑張っていただきたい」などと、日本の対応を注目しているとした。

 

 また、国内で新型コロナウイルス感染症の患者の治療に当たっている国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長写真2)は、武漢での1月22日までの検査確定425例について、①年齢中央値が59歳、56%が男性で15歳未満の症例はなく、ほぼ半数が60歳以上、②平均潜伏期間は5.2日、③6つのクラスター感染、④医療従事者の感染は検出されているが、その割合はSARS及びMERSの発生時ほど高くない、⑤発症から医療機関受診までの平均期間は5.8日で、「発症後27%が2日以内に医療機関を受診したが、89%は発症から5日目まで入院を要しなかったため、初期段階での隔離は困難だった」「武漢では12月中旬からヒト-ヒト感染が発生した」などとする検討結果を紹介した。

 また、新型コロナウイルス感染症の治療については、「特異的抗ウイルス薬はなく支持療法。中国では、抗HIV薬カレトラもしくはアルビア(ロピナビル/リトナビル配合剤)を用いた治療を開始しており、抗ウイルス薬レムデシビルを用いたRCT(ランダム化比較試験)が進行中である」と報告した。

 治療例などから大曲氏は、①臨床像は軽微な感冒様症状が1週間程度遷延し軽快するものから、1週間ほど遷延してから呼吸苦、咳などの症状を呈し、肺炎と診断される例があった、②いずれの例でも1週間程度急性上気道炎様の症状が続き、この時期は肺炎の典型的な所見を確認し難かった、③中国では重症例を多く報告され、日本でも出始めている。疾患の重症度が極めて軽症から重症まで幅広いと思われる、④感冒様症状が1週間程度遷延し、かつ患者の倦怠感が強いことは、通常の感冒やインフルエンザの経過とは明らかに異なるため、臨床的に疑う鍵となり、これは海外渡航歴のない新型コロナウイルス感染患者を診断していく上で重要な点を考えられる、⑤高齢者では重症となることがあり、救命のための治療方法の検討が必要、⑥院内感染を起こすリスクがあり、今後感染防止対策が極めて重要である、⑦発症後早期の診断が難しいので、一般市民への咳エチケット・手指衛生の啓発が極めて重要である、⑧若年者でも病悩期間は長いため、社会への負荷は大きい可能性があり、新型インフルエンザ対策のようなBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の検討も必要である-との考えを示した。

 

■感染症関係の2学会が見解「水際対策から感染蔓延期に、重症例に焦点充て対応を」

 COVID-19の患者発生が全国的な広がりを見せる中、2月21日、日本感染症学会と日本環境感染学会は連名で「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)―水際対策から感染蔓延期に向けて―」を、国立感染症研究所と国立国際医療研究センター(NCGM)国際感染症センターは連名で「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理」をそれぞれ公表した。

 このうち、感染症関係の2学会は、「2月15日以降、日本各地で感染経路が特定できない感染事例が報告され始めた」との認識の下、「感染対策のフェーズを水際対策期から感染蔓延期へ移行させていくことが必要」と指摘した。COVID-19の多くは軽症~中等症であり、対症療法と自宅安静となり、PCR検査は必ずしも必要ないとする一方、COVID-19の特徴として肺炎合併頻度の高さをあげ、「感染蔓延期においては、重症例に焦点を充てた医療の実施が重要な戦略」と解説している。

 

 また、国立感染症研究所は、COVID-19が疑われる場合の感染予防策について、医療関係者、保健所が参照することを想定して作成した。医療従事者は、COVID-19の疑いにかかわらず、標準予防策など基本的な対応策を行うことを前提に、COVID-19確定例、疑似症患者、濃厚接触者のうち何らかの症状を有する者を診察する場合は、「接触、飛沫予防策」を行うほか、エアロゾルが発生する手技を実施する際にはN95マスク(またはDS2など、それに準ずるマスク)、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、長袖ガウン、手袋を装着することなどを求めている。N95マスクやPPE(個人防護具)の着脱、手指衛生を実施しないまま、自身の眼や顔面を触れないようにすることについても注意喚起した。

 このほか、①濃厚接触者についての自宅等での感染予防策(マスクを触った後は、必ず手指衛生をするなど)、②環境整備(新型コロナウイルス:SARS-CoV-2は、環境中に長く残存する可能性があり、医療機関や高齢者施設、不特定多数が利用する施設内、濃厚接触者の自宅においては、アルコール清拭による高頻度接触面や物品等の消毒の励行が望ましい)との考えを示した。

 

 さらに、国立国際医療研究センターは、11の経験症例をまとめた「NCGM COVID-19入院患者の背景・症状・診断・治療の概要」も公開した。(http://dcc.ncgm.go.jp/core/pdf/20200221_2.pdf)。

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による肺炎で死亡した80代女性に象徴されるように、超高齢社会を迎えたわが国の医療・介護現場の感染症対策は不可欠なものになっている。

 

【事務局のひとりごと】

 

 2013年公開の映画「ワールド・ウォーZ」(主演:ブラッド・ピット 監督:マーク・フォースター)は、爆発的な感染力で人間がゾンビに変化して人間を襲い、襲われた人間は次々とゾンビ化し、さらに人を襲ってゾンビ化させる…そんな人類存亡の危機と立ち向かう元国連職員(ブラピ)が主人公の映画だ。

 予告編のCMでは、タイトルとブラッド・ピットが主演以外の情報はあまりなかった(と記憶している)ので、どんなあらすじかもわからずに映画に臨み、ゾンビ化した人間の大群を見ながら、“一体どうやってこんな映画を撮ったのだろうか”と半ば驚きながらハラハラしていたのを思い出す。

 

 「ゾンビ」というのが「未知のウイルス」に置き換わって、世界的なパンデミックが訪れる… この映画には現代世界に対して警鐘をならす、そんな裏側の背景があったと聞いたような気がする(あくまで筆者のうろ覚えの記憶:間違っていたらご容赦のほど)。

 

 元号が平成から令和へと変わる過程で、昭和から平成にかけての自粛ムードのように極力様々な経済活動が停滞せぬようにとの平成天皇(現上皇)の思いを吹き飛ばすかのような、相次ぐ「中止」「延期」「休校」が日本経済、いや世界経済に及ぼす影響はいかばかりだろうか。まだ霧は晴れそうにない。

 

 新型コロナウイルス対策の封じ込め作戦としては一定の評価がなされた中国であるが、対比される日本では、その対策の遅れや対処法の決まり方で、安倍政権は連日批判を浴びているのだが、肝心の発生源である中国の食文化について、コメントをいただいた。

 

○「独自の食文化では済まされない。SARSの二の舞が起きてしまった」

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染源の中国、さらに流行が拡大している韓国の市場で、食用の野生動物の肉を売っていることを見かける。COVID-19は、野生のコウモリが感染源である可能性が高い。日本や欧米では「不吉」「気味が悪い」と忌み嫌われるコウモリだが、中国では蝙蝠の「蝠」の発音が「福」に通じることから、縁起の良い動物とされる。茶器などの図柄に好んで使われ、験担ぎで食べる習慣もあるという。2003年のSARSが流行した際も、コウモリ→ハクビシン→ヒトという感染経路が浮上した。独自の食文化では済まないという理由から野生動物をむやみに食用として販売することを禁じる法律が出来たといわれるが、また、SARSの二の舞が起きてしまった。

 

○「希少な野生動物ほど高く売れる拝金主義の文化?」

 トラの骨やサイの角、センザンコウのウロコなど希少動物の希少部位は漢方薬の材料として珍重され、中国での需要が取引を促進している。2013年に習近平国家主席が、公務接待でフカヒレなど野生動物を材料に含む料理を出すことを禁じるまで、中国では希少動物を使った料理が宴席の定番だった。その背景には、希少な動物を手に入れるには、お金と労力をいとわないという中国6千年の“拝金主義の文化”があるかもしれない。

 「野生動物を狩る人は、未知の環境に触れることが多いので、それだけ未知の病原菌に晒される機会も多くなる」「自分のためにも、絶滅危惧種の密猟や密売をやめるべきだ。世界のあらゆる保健当局が同意するだろう」と指摘するWHOの専門家の言葉は重い。

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 日本においても熊、猪、鹿、鳩などのジビエ料理が注目を浴びることもそう珍しくなくなってきた。正月初詣でお目見えする雀、鶉(うずら)はジビエ料理なのだろうか(今は雀の焼き鳥を目にすることはあまりなくなってきたが)?焼く(加熱調理する)から問題ないのか?

 筆者も“食べる”ということについてはいろいろと追い求める気質であるが、昨今の報道で「センザンコウ」の画像を見て驚いた。中国人はこんな動物まで食べようとするのか(あるいは漢方という話もあるが)。

 正直驚いたのだが、「4本脚は、机以外何でも食べる」といわれる中国の食文化(気質?)は、国際的な批判もある中、少し考えなければならない時代がやってきたのだろうか。もしくは日本が鯨や海豚の捕食で世界からバッシングを受けているのと同じようなものなのだろうか。身びいきであるが、日本と中国の事情を同列に考えることは、少なくとも筆者は“似て非なるもの”ではないかと感じている。

 

 本文中にも感染防止対策についての表記があったが、ワタキューセイモア㈱ 業務本部 学術担当部長 伏見 了氏よりコメントを頂戴した。

 

 

○新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する感染防止対策

 

 標記の件について、ウイルスの特徴と注意事項を以下に記載いたします。

(1)ヒトコロナウイルスの特徴;

 現在6種類に分類され殆どが動物にも感染します。風邪の起因ウイルスでもあり、その割合は15%程度ですが感染しても重症例は稀です。定期的に変異することが知られ2002年のSARS、2012年にはMERSの大流行を引き起こしました。 

 脂質を主成分とする外膜(エンベロープ)を有し、これがアルコールで分解されることから消毒剤として有効です(ちなみに、ノロウイルスは膜が無く、次亜塩素酸ナトリウムを使用します)。

(2)日常生活における注意事項;

 本来は飛沫感染ですので、狭い空間に多人数が集まる場所は避けるべきです。さらに、ウイルスが付着した環境表面からの接触感染防止対策が重要で、流水と石鹸による手洗いにアルコール消毒を追加します。そして、発熱や倦怠感などの自覚症状がある場合には、飛沫拡散防止の目的でマスクを着用します。

(3)医療関連施設にて業務(洗濯、清掃、滅菌)を行う際の注意事項;

 マスク、手袋、エプロンなどの個人防護具を必ず着用します(ニュース報道で完全防護の医療スタッフが登場しますが、これは検査目的での咽頭拭い時などで多量の飛沫暴露を防止するためです)。なお、「汚染の危険性が高い手袋は最後に着けて、最初に外します」。

(文責 業務本部学術担当部長 伏見 了)

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 過度に恐れることなく、正しい対応を心掛けたいものだ。

 

 コメントを紹介したい。

〇厚労省:一般医療機関での患者受入の手順を各自治体に事務連絡

 厚労省は3月1日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がさらに拡大した場合に一般医療機関で患者を受け入れる体制に移行する際の手順などをまとめた事務連絡を各自治体へ発出した。一般医療機関での患者受け入れは、都道府県ごとに設ける協議会で医師会などの意見を聞いた上で、厚労省とも相談し、知事が判断する。各都道府県で一斉に移行する必要はなく、医療圏や市町村単位での移行を認める。ただ、「地域の実情に応じた最適な対策を柔軟に講ずることができるようにする」として、移行の基準となる感染者数などは明示しなかった。

 加藤厚生労働大臣は、3月1日の記者会見で「患者が既に発生している自治体においては、この事務連絡に沿って対策を進めていただくとともに、まだ患者が発生していない自治体にはこれを参考に、今後の状況の進展を見据えた準備に取りかかってほしい」と述べた。

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 新型コロナウイルス感染症については日々情報更新がなされており、今月号が更新されている頃には、部分的にいささか古い情報になっている可能性もあるが、その場合はこれまでの変遷の整理とお考えいただきたい。

 

 2月下旬には、検査体制について報道があり、保健所による検査がままならない、という状況を、「なぜやってくれない(あげない)の?」というような論調が多かったと記憶している。

 

 こんなコメントを紹介したい。

 

〇「そもそも、地域住民の健康や衛生を支える保健所の数が減っている」

 そもそも、地域住民の健康や衛生を支える保健所の数が減っていることが、今回の新型コロナウイルス感染症対策で保健所の対応が遅れていると批判される原因の1つとなっている。わが国では保健所の数が減っているにもかかわらず、保健所で働く医師が不足しており特に都会ではなく地方の県型保健所において欠員が目立っている。新型コロナウイルス感染症対策で、保健所の職員は今の時点でも相談を受け付け、ウイルス検査の検体を医療機関に受け取りに行くなどしてフル稼働で対応しているため、さらに検査が増えれば体制が成り立たないという声が多い。

 

〇国立感染症研究所が新型コロナウイルス感染症対策の報道に厳重抗議

 国立感染症研究所(脇田隆字所長)は3月1日、「新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査に関する報道の事実誤認について」と題する脇田所長名の声明を発表した。一部報道で感染研が「(多くの患者が発生し、感染研の実地疫学調査(FETP)チームが入っている)北海道でPCR検査の検査件数を抑え、感染者数を少なく見せかけようとしている」「実態を見えなくするために検査拡大を拒んでいる」など事実と異なる趣旨の報道が行われていると指摘。「緊急事態において、昼夜を問わず粉骨砕身で対応にあたっている本所職員や関係者を不当に取り扱うのみならず、本所の役割について国民に誤解を与えている」と強い抗議の意を表した。

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 それぞれの立場で真実は異なるのだろう。何が正しいのか、報道だけの論調が絶対に正しい、ということではなさそうである。

 

 

〇「PCR検査保険適用で心理的な閾値を下げると、偽陽性率を上げ検査の信頼性が損なわれる」

 病院薬剤師。「厚労省は新型コロナウイルス感染症の有無を調べるウイルス検査(PCR検査)を公的医療保険の適用対象にすることにしたが、市中での有病率はそこまで多くない疾患。保険適応にして検査への心理的な閾値を下げると、偽陰性率を上げてしまい、検査の信頼性が却って損なわれるのではないか」。

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 検査についても体制が整いつつあり、PCR検査の保険適用についても触れられている(た になっているかもしれない)が、こんなコメントも紹介しておく。

 

 我が家においては、小学生の子どもたちが3人とも、3月上旬から突然小学校が休校となり、お陰様といってよいのか分からないが、だいたいは冬に学校でいろいろな病気を子どもたちがもらってきて、それが家族中に蔓延する、という現象が起こりそうなものだが、それは起きていない。代わりに免疫的なものもついていないのだろう。とにかく、勉強もしないで風邪をひいているわけでもないので、昼間一日中元気な子どもたちに対する家内の苛立ちが、筆者に一手に振り向けられる期間が、これまでより一層増えたことだけは間違いない…。

 

 一斉休校についてコメントをいただいた。

 

〇「一斉休校。20歳代以下の症例は少なく、感染予防の観点からも疑問が」

 一斉休校について病院小児科医。「児童・生徒間で陽性例あるいは原因不明の発熱が多発しているなら休校もやむを得ないが、実際に20歳代以下の症例は少なく、感染予防の観点からも疑問符がつく。子供の教育を受ける権利を奪うもの。それを上回るメリット、医学的根拠はないと思う」。

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 とにかく、今月号が更新されているころには、人の移動が緩慢になったことで、蔓延に歯止めがかかっていることを祈りたい。

 半面、休校を要請されなかった学童保育施設からはこんな声が…。

 

〇「急な一斉休校のツケを学童保育に押しつけることに憤りを感じる」

 厚労省は、小学校の臨時休校に伴い、原則開所するよう要請した放課後児童クラブ(学童保育)などについて、子どもを預かる場合の新型コロナウイルスの感染防止策を3月2日付で都道府県や各教育委員会に通知した。子ども同士の不要な接触を避けるため、1メートル以上間隔を空けて活動することを推奨した。ただ、学童保育に携わるスタッフから「子どもが距離を保ったまま長時間過ごすことは現実的にあり得ない。現場の実情を知らないお役人の機械的な通知で憤慨している。消毒液やマスクの確保も十分出来ていない。急な一斉休校のツケを学童保育の関係者に押しつけること自体、憤りを感じる」などとする声が各地からあがっている。

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 何かを決めれば批判が出るのだろう。もし決めなくてもそれはそれで批判は出るのだろうが、学童保育に関しては、おそらくそもそも検討の範疇に入っていなかったのではないかとさえ思ってしまう。北海道の対応が、“小学校の一斉休校”という国の判断に何らかの影響を与えたのであろうことは予測できるが、学童保育に関しては、これまで何度か取り上げてきた保育所よりも、財源問題においてはもっと行き渡っていない現状だ。何とかならないものか。

 ただ、学童保育までサービス停止ともなれば、今度は働く世代にも影響が出る。世の中は密接につながっているとあらためて感じる。

 

 そしてここへ来て、急に“テレワーク”というキーワードが出て来た。今朝見た新聞の一面では「今までの定時出社は一体何だったのか?というくらい、業務に支障がない」という会社員のコメントが掲載されていた。さもありなん。テレワーク対象となれそうな業務に就いている方が、いくら忙しい、と本人が感じていたとしても、1日8時間の中で、8時間みっちり、休む間もなく仕事をしていることなど、そちらの方がおそらくあり得ないはずだ。

 

〇テレワーク導入で、損な役回りは、派遣労働者に押しつけられる」

 中堅のIT企業に勤める派遣社員。職場では早速、テレワークを導入したが、毎日、社内に残って作業をしなければならない仕事は、派遣社員がすることになった。正社員にとってはテレワークと聞こえがいいが、常に損な役回りは、派遣労働者に押しつけられる日本の雇用形態だと、半ば諦めている。

 

〇「中小企業にとってテレワークは絵空事」

 大手の企業ではもともとテレワークに関する設備、研修体制が整っているが、我々中小企業は設備投資や研修体制、さらにテレワークに伴う社内の人員確保などに伴うコストもかけられない。中小企業にとってテレワークなんて、絵空事の世界である。

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 テレワークに関して辛辣なコメントもあるのも事実である。

 

 この原稿を書いているのは3月初旬から10日にかけてなのだが、そうこうしている間にも介護施設(デイサービス)に営業停止の要請が出された。介護施設にもウイルス感染の脅威が襲い掛かってきている。

 

〇「家族の面会制限は入所者にストレスとなるが、高齢者の致死率が高いことを丁寧に説明し、理解を求めることが大切」

 過去、新型インフルエンザの流行時に面会を全面的に禁止し、家族からの衣類等の差し入れについても、施設玄関で職員が受け取る対応を行っていた介護施設もあった。家族の面会制限は、入所者にとっても家族にとってもストレスになる。しかし、高齢者の致死率が高い新型コロナウイルスについては、万一、施設内に持ち込まれたら、複数の重症者が出て、最悪の場合、命を落とす人が出る恐れがある。そうしたことを家族等に丁寧に伝え、理解を求めることが大切。

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 確かに高齢者におかれては基礎疾患を持たれている方が多い可能性が高い。小学校よりもこちらの方が大変なような気がするが。

 

 最後にこんな事例を紹介して締め括りとしたい。

 

〇「徹底した台湾のホテルの新型コロナウイルス感染症予防対策」

 仕事柄、国内外の同業のホテルに泊まることが多い。先日、台湾の5つ星クラスのホテルに宿泊した。ショッピングモールの上層部にあるホテルに宿泊したが、モール1階のホテル専用エレベーターホール前でマスクをしたホテルスタッフによる検温とアルコール消毒を受けた。さらに7階のフロントでエレベーターを降りると、また検温とアルコール消毒をしてようやくチェクインができた。ホテルのいたるところにアルコール消毒の器材があるなど、新型コロナウイルス感染症予防対策は徹底していた。

 新型コロナウイルス感染症対策に関して台湾の対応の早さは他国と比較しても際立っている。日本では1月16日にはじめて国内の感染者発生が公表されたが、新型コロナウイルスを「指定感染症」として閣議決定したのは1月28日。台湾は感染者が一人も出ていない1月15日の時点で「法定感染症」に定めた。中国へのマスク輸出禁止や厳しい渡航制限など、蔡英文・台湾政権が次々と打ち出す方針に当初は批判もあったが、2月28日現在で感染者数が34人に抑えるなど、現時点での封じ込め対策は一定の成果を出しているといえる。

 

〇スーパー銭湯の新型コロナウイルス感染症対策

 スーパー銭湯の新型コロナウイルス感染症対策は、一律に、「マスクの着用」「手洗い、うがいの徹底」「手指の消毒(店内にアルコール消毒液を設置)」が多い。また、来店のお客へのお願いも「37.5℃以上の発熱のある方」「咳、呼吸困難などの呼吸器症状のある方」「その他、具合の悪い方」の利用はお断りという対応がほとんどだ。

 店舗数日本一といわれるスーパー銭湯「極楽湯」の新型コロナウイルス感染症対策(Webサイト)https://www.gokurakuyu.ne.jp/topics/page_774.html

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 接客商売では死活問題の今回の新型コロナウイルス問題、確かこの問題が起こる前には国会で桜をテーマにしたような問題やスキャンダルなど、非常時でないが故の問題が議論されていたが、こういった非常事態においてはその存在すら忘れられかねない。報道の偏重も影響しているのだろうが、いろいろなことを忘れやすい、移ろいやすい日本人。果たして日本全国、ゴールデンウィークを、はたまたその先の東京オリンピック・パラリンピックを笑顔で迎えることが出来ているだろうか。

<ワタキューメディカルニュース事務局>