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短信:総合南東北病院 難治がんの「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」を開始。サイクロトロンBNCTの臨床治療は民間医療機関で世界初

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 (一財)脳神経疾患研究所附属南東北BNCT研究センター(郡山市)は5月26日、中性子を利用したがん治療、「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」による治療を開始。渡邉一夫理事長らが記者会見で発表した。同センターによると、民間の医療機関で加速器BNCTの治療を行うのは世界で初めて。6月から保険適用となる見通しである。

 同治療法は、既存の放射線治療や外科手術では困難だった局所再発がんや局所進行がんなど難治がんにも有効とされ、「次世代の放射線がん治療法」として注目されている。これまで国内では一部の大学で臨床試験が行われてきたが、同センターが中心になって実施した頭頸部がんの治験の結果を踏まえ今年3月、BNCT装置および薬剤の薬事承認を受けた。

 

 BNCTはエネルギーの低い中性子と、がん細胞・組織に集積するホウ素化合物の反応を利用した、がん細胞のみをピンポイントで破壊する粒子線治療のひとつ。

がん細胞に取り込まれたホウ素は中性子との反応により、リチウム原子核とアルファ線(放射線)に核分裂し、発生したアルファ線ががん細胞を内部から破壊する。アルファ線は、細胞の一つ分のごく短い距離しか飛ばないため、周辺の正常細胞を傷つけにくいとされている。治療回数は基本的に連続1回照射で済み患者は治療台の上に寝た姿勢で40~50分程度で終了する。

 「当面は首から上の頭頸部がんが治療の中心となるが、将来的には治療可能の部位は更に広がると期待している。2~3年後には年間300~350人治療の可能性がある」(南東北BNCT研究センター長 高井良尋医師)としている。

 

 同日治療を受けた患者は50代の男性。左中咽頭がんでこれまでに外科手術、化学免疫療法、放射線治療などを実施、再再々発の症例である。国立がんセンター中央病院からの依頼を受け、保険適用前の評価療養として行った。

 ここに至るまでに同センターでは、2016~18年に頭頸部や脳腫瘍45例の治験を行った。福島県の医療関連産業集積プロジェクト補助事業の指定を受けている。事業費総額は約68億円。そのうち県からの補助金額は4年間で43億円。