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No.680 新型コロナの慰労金、医療従事者ら約310万人に5~20万円支給へ

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医療従事者ら約310万人、介護・障害福祉事業所の職員に対しても慰労金

 新型コロナウイルス対策を柱とする2020年度一般会計第2次補正予算は6月10日、衆院本会議で与野党の賛成多数で可決、参院に送付され6月12日の参院本会議で成立した。歳出総額は31兆9114億円に上り、過去最大となった。

 1次補正予算で国費1490億円を計上した新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」は、15倍の2兆2370億円に拡充し、1次補正を含めて全事業を全額国費負担とする。そのうち2921億円は、医療従事者ら計約310万人に慰労金として1人当たり5万~20万円を支給するために充てる。保険医療機関で従事し、患者と接する可能性のある職員は全員が慰労金支給の対象となる。

 慰労金は、実際にCOVID-19入院患者を受け入れた医療機関に勤める医師らには20万円を支給(79万人)。COVID-19に限らず患者と接する可能性がある場合は、職種を問わず、事務職員らも支給対象となるが、厚生労働省は「支給方法の詳細は今後検討する」としており、一定の勤務日数などが要件となる見通しである。軽症者向けの宿泊施設で働く職員にも20万円を支給する。実際にはCOVID-19入院患者を受け入れなかった場合でも、医師らには10万円を支給する(35万人を想定)。このほかの病院、診療所、訪問看護ステーション、助産所に勤める医療従事者や職員には5万円を支給する(196万人を想定)。ただ、これらの施設等でも、COVID-19入院患者を受け入れた場合には20万円の支給となる(図3 新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業)。

 

 

 医療従事者らとは別に、介護・障害福祉事業所の職員に対しても5万~20万円の慰労金を支給する(図4 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分))。

 慰労金は、都道府県に交付する緊急包括支援交付金の事業として支給されるため、都道府県が各医療機関に対して支給額を全額補助する方法を取る。申請も各医療機関が都道府県に対して行う可能性が高い。

 

■新型コロナウイルス感染症患者受入れで、休止病床にも空床確保料

 また、院内感染を防ぐための設備投資や病床確保への支援も大幅に強化する。

COVID-19疑い患者の診療を行う救急・周産期・小児医療機関に対しては、陰圧装置や簡易ベッド、簡易診察室、HEPAフィルター付き空気清浄機、HEPAフィルター付きパーテーション、個人防護具、消毒経費など院内感染対策費を全額補助する。上限は、①99床以下2000万円②100床以上 3000万円③100床ごとに1000万円を追加④新型コロナ患者の入院受入れ医療機関に対する上記の額への加算1000万円-となっている。

 上記に該当しない医療機関や薬局などでも、消毒や発熱者の動線確保などの対策が求められるため、対策費用の実費を全額補助する。上限は、①病院200万円+5万円×病床数②有床診療所(医科・歯科)200万円③無床診療所(医科・歯科)100万円④薬局、訪問看護ステーション、助産所70万円-となっている。

 

 新型コロナウイルス感染症患者受け入れで病床を休止したため、経営状況が悪化している病院が急増しているが、病棟ごとCOVID-19に対応する重点医療機関では、ゾーニングのために休止した病床にも空床確保料を補助する。例えば、ICUで空床を確保した場合、空床確保料は1日1床当たり9万7000円から30万1000円に増額する。超音波画像診断装置、血液浄化装置、気管支ファイバー、撮影装置、生体情報モニターなどの整備も支援する。

 

 緊急包括支援交付金以外には、マスクなど医療用物資の確保・医療機関への配布等(4379億円)、地域外来・検査センターの設置とPCR・抗原検査の実施(366億円)、ワクチン・治療薬の開発等(600億円)などを盛り込んだ。

 このほか、患者が大幅に減少した4月以降の診療報酬が支給される6月の資金繰り対策としての診療報酬の概算前払いなど優遇融資の原資として1兆2700億円を確保した。

【事務局のひとりごと】

 

 本来、オリンピックイヤーであった今年も、もう半年も経ってしまった。現在梅雨の季節の真っ只中ではあるが、その前半はあくまで個人的な感覚としてだが今年は比較的気持ちの良い気候も多かったような気がする。あまりジメジメしない日も結構あった。そんな中、地球温暖化の故なのか、突然の“豪雨の偏り”による被害は非常に痛ましい。天気予報で分かっていたとしても、避難する以外ほぼなす術がないのが辛いところだ。被災された方々には心よりお見舞い申し上げたい。

 そんな時期だからこそ、晴れ渡った気候の中で挙げる「ジューン・ブライド」とはなかなか粋なものである(ある意味カケであるが)。今年はコロナ禍で結婚式の延期も考える新婚夫婦も多かったことだろう。人生のもっとも重要な転機の一つである大事な日が、コロナ禍で影響を受けるというのは大変気の毒である。

 ある人からいただいたメルマガでこの時期にこんな格言のご紹介があった。

 

 「この人なら一緒に暮らせる」と思う人と結婚してはいけない。

 「この人と一緒じゃないと生きられない」と思う人と結婚しなさい。

 <クリスチャン指揮者:ジェイムス・ドブソン>

 

 そんな運命的な出会いをしたカップルばかりの世界は、果たしてあるのだろうか。この文を見てドキッとした。自分の胸に手を当ててみた。家内にも紹介したら、「そんなカップルばっかりの世界なんてあるんかいな!?」と、筆者と同じような考えのコメント。筆者がどちらかとは言わないが、もしかすると家内も筆者と同じことを考えたのかもしれない…。

 

 今月号では、医療機関の収入減に関してもう一つのテーマとして扱ったが、その中で看護師の賞与に関するコメントを再掲する。

 

〇看護師や臨床検査技師らの夏のボーナスは、感染拡大前の3分の1

 新型コロナ感染で病院経営の悪化に伴い、看護師らの給料や一時金が下がるケースが続出している。日本医療労働組合連合会(医労連)がまとめた調査では、愛知県の病院が医師を除く職員の夏の一時金を、前年実績の2カ月分から半減させることを検討。神奈川県の病院では夏の一時金カットに加え、定期昇給の見送りや来年3月までの役職手当の2割カットなどを検討しているという。埼玉県の済生会栗橋病院では看護師や臨床検査技師ら職員の夏のボーナスについて、感染拡大前に想定した額の3分の1にまで減らさざるを得ないという。

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 確かにコロナ禍で目の前の命と向き合ってこられた方々であるが、報酬という形では報われなさそうな現実も見えてきた。そこに、医療従事者ら310万人に慰労金が支払われるのだという。

 

 医師のコメントである。

〇給付対象が広がったことは有り難い

 新型コロナ慰労金の給付対象が、医療機関・施設で働く医師や看護師のほか、職種にかかわらず窓口職員なども含めて「患者さん・利用者さんに接する業務」に就いている人全員が対象となったことは、コロナ禍で収入減に悩む医院経営者にとって有り難い。スタッフ全員が対象になったことは、不公平感が生じず何よりだ。

 

〇慰労金は大幅減のボーナスの一部としていただきたい

 今年のボーナスは大幅なカットになりそうだ。コロナ患者受け入れで、4月以降の病院の業績がガタ落ちで、このままでは来年はどうなるかわからない。慰労金はボーナスの一部として有り難くいただきたい。

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 7月15日現在、今必要かどうかは別として、アベノマスクは読者諸氏のお手元に届いているだろうか。また、定額給付金の申請が受理され、指定の銀行口座にお金は振り込まれただろうか。定額給付金の場合は全国民が対象だろうから、約1.2億人を対象として支払う手続きが必要だ(実際に振り込まれる口座数は総世帯数と近似値になるのだろうが)。医療従事者は推定で310万人とのこと。対象人数はその2.6%に過ぎないので、もしかしたら、スムーズにいくのではないか、そう期待したくもなる。

 

 厚労省のコメントである。

 

〇厚労省通知:慰労金条件は「10日以上勤務」、非課税扱い

 厚労省は6月16日、医療従事者に1人最大20万円を非課税所得として支給する慰労金交付の実施要項を公表した。対象は、勤務先の都道府県内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者が判明するか、緊急事態宣言の対象区域となってから、6月末までに10日以上勤務した職員。実際にCOVID-19患者の診療等を行った医療機関の職員には20万円を支給する。医療機関ごとに対象者数を都道府県に届け出た上で、7月17日までに厚労省が申請を取りまとめる。厚労省は「内容を精査し、速やかに都道府県に交付したい」としている。

 

〇医療従事者らへの慰労金、要件満たせば外注業者も対象に

 四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)が6月24日開いた総合部会で、2020年度第2次補正予算に盛り込まれた医療機関への支援概要について厚労省の担当者は、一定の要件を満たした医療従事者らに1人当たり最大で20万円を支払う慰労金の対象には、要件を満たせば、給食や清掃など医療機関の外注業者も含まれるとの考えを示した。

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 給食は、調理場において患者と接する機会はないように思われるが、配膳・下膳の際の接触を想定しているのだろうか。となると、医療事務、ベッドメイク、病棟補助などの業務についておられる方々も対象となってもよさそうなものだ。感染の危険があるという点においての清掃なのだろうが、そうすると、滅菌消毒業務や寝具類洗濯業務も対象となってよいのかもしれない。

 

 こんなコメントを紹介したい。

 

○介護従事者:慰労金は直接個人に支給して欲しい

 新型コロナ慰労金は、介護・福祉の現場を支えている職員に対して全額国費で給付金を出すことになった。具体的な支給方法はまだ調整中だ。厚労省は今のところ、交付金を渡す都道府県から事業所ごとに配る形を想定している。個々の職員へ直接的に支払う形をとると、自治体にかかる負担がかなり重くなるという理由である。しかし、現場の介護従事者からは、「新型コロナウイルス感染症の拡大で介護事業所の経営が厳しいことから、経営者が職員に慰労金を渡してくれるか心配。慰労金は直接個人に支給して欲しい」との声が聞かれる。

 

○支給対象外の職種 全社協関係者:同じ福祉施設なのに、子ども分野が取り残され たのは心外

 今回の慰労金は児童養護施設や乳児院、保育所などの職員は対象外となった。厚労省子ども家庭局は「慰労金は重症化リスクの高い利用者との接触がある福祉施設が対象。子ども分野は重症化リスクが低く、クラスターの発生も少ないことから、今回対象外となる」との見解を示しているが、全社協関係者は、「福祉施設の職員は、クラスターの発生など世間からの誹謗中傷に耐えながら支援を続けてきた。同様に頑張ってきた子ども分野の職員が取り残されたのは心外。方針の撤回を求めたい」と述べている。

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 病院内でも議論は起きそうだが、線引きとは線を引くから起こることであり、言い出したらきりがない。「もらえる」ということになったからこそ起こってしまった議論だ。なお、厚労省の見解は後述を参照されたい(※2)。

 

 地域住民からはこんなコメントをいただいた。

 

○地域住民:20万円の慰労金でも少ないくらいだと思う

 今回はコロナウイルスの流行のために普段の業務の数倍の仕事をされ、常に感染のリスクにさらされるなど心身とも大変な仕事だと改めて感じた。20万円の慰労金でも少ないくらいだと思う。

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 そんな思いを持たれた地域住民もいらっしゃるのだ。安倍総理の仰る「美しい国 日本」の背景にあるのは“美しい”「心」なのかもしれない。

 

 と思ったら、こんなコメントも。

 

〇ある医療従事者:慰労金の支給は8月下旬では遅い

 2020年度第2次補正予算に盛り込まれた「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」による医療従事者ら向けの慰労金について、厚労省は8月下旬ごろからの交付を目指して調整していると聞く。国民全体の10万円給付もまだ受給できていない。8月下旬ではあまりにも遅い。迅速な支給を望む。

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 振り込まれるのは、予定で行けば、あと1か月半近くも後のことだ。ボーナスを当て込んだローン返済などは7月なのだろうか。そうすると8月支給が「遅い」というのもうなずけなくもない。

 

 だが、遅いか早いかは別として、お手元に現金が届くためには、きちんとした給付申請が事業者によって行われてからのことである。

 

〇医業系コンサルタント:慰労金の申請・支給のポイントとは?

 支給に関しては、医療従事者等が勤務先の医療機関等に代理受領の委任を行い、医療機関等が都道府県に給付申請を行うのが原則である。慰労金の支給条件は「6月末までに10日以上の勤務」とされ、支給の判定ポイントは、医療機関等に従事していたことを証明することである。したがって、職員の従事を証明する書類としては、「法定三帳簿」と呼ばれる「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の提出が求められる可能性がある。これらの労働の実態の根拠となる書類は、事業者が揃えておかなければならず、働き方改革のベースとなる雇用管理を徹底させたい側面もあると感じられる。

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 筆者は、厚労省ホームページから、介護事業の給付申請に関する様式を確認したが、

 

受給者本人は自らの申請書を作成(本人確認書類の写し貼付、通帳写し等貼付)

(様式5)→同一人物が異なる事業所から二重に受け取らない誓約書的な側面もある

事業者は都道府県知事に、受給者本人に代わって代理受領する委任状を提出(様式4)

事業者は事業実施計画書作成(様式2)、介護慰労金需給職員表作成(様式3)

 

 など、通常あるお役所への諸手続きに関する書類に比較して、簡便なようには見える。ただ、たとえご本人が受給対象者だと自分で思っていても、この申請書に記載されない方への支給はされないことになるから、そこは要注意だ。

 

 また、給付後に向けた動きとして、日本医師会の動きをご紹介したい。

 

○新型コロナ感染した場合、労災保険給付と本来受け取る給与との差額を民間保険で補償を

 政府の第2次補正予算の閣議決定を受けて、今後の課題として日医は医療従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合、労災保険の給付と本来受け取る給与との差額を民間保険で補償し、そこに補助を行うことを求めた。

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 医療従事者には安心して新型コロナウイルス患者への対応をお願いしたい、というバックアップの姿勢を感じる。

 

 仮に、賞与支給額が下がった、支給されない、などの憂き目にあわれた医療従事者に、金額の差こそあれ、非課税(全額手取り)で送られる「国民からの思い」である。“遅い”とのお叱りも賜ることになるかもしれないが、しっかりとお一人お一人のお手元に届くことを願って止まない

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※2)…厚生労働省医政局医療経理室 厚生労働省健康局結核感染症課

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業に関するQ&A(第3版)

 について、一部抜粋してみた

 

Q2 「患者と接する」はどこまで含まれるのでしょうか。

(答)

○ 慰労金の趣旨に照らし、患者と接する業務に従事する医療従事者や職員を慰労金の対象としています。

○ 例えば、病棟や外来などの診療部門で患者の診療に従事したり、受付、会計等窓口対応を行う職員は通常該当します。また、診療には直接携わらないものの、医療機関内の様々な部門で患者に何らかの応対を行う職員等は医療機関における勤務実態等に応じて該当するものと考えられます。一方、対象期間中はテレワークのみによる勤務であったり、医療を提供する施設とは区分された当該法人の本部等での勤務のみであったなどの場合は該当しないと考えられます。

○ なお、まず各医療機関等において勤務内容によって判断いただき、都道府県に申請いただくことになります。

 

Q3 「患者と接する医療従事者や職員」にある「患者」とは、新型コロナウイ

ルス感染症患者(疑い患者を含む)に限定されるのでしょうか。

(答)

○ 新型コロナウイルス感染症患者(疑い患者を含む)に限られません。他の疾病による患者も含まれます。

 

Q4 対象となる「医療従事者や職員」には、医師、看護師等医療専門職以外も含まれるのでしょうか。また、正社員、非常勤、嘱託、パート、アルバイト、派遣労働者等、雇用形態等により限定されるのでしょうか。委託業者の職員についても対象となりますか。

併せて、公立の医療機関等の公務員も対象となりますか。

(答)

○ 資格や職種による限定はありません。また、雇用形態等による限定はありません。委託業者の職員であっても医療機関等における勤務内容によって対象となります。公立の医療機関等の公務員も対象となります。

 

Q5 委託業者の職員はどのようなものが対象となるのでしょうか。給食、院内清掃、寝具類洗濯、院内保育施設、機器保守点検業務などは対象となるのでしょうか。

(答)

○ 委託業者の職員については、①患者との接触を伴い、かつ、②継続して提供が必要な業務である場合に対象となり、医療機関等における勤務内容によって判断いただきます。

○ なお、一般的には、例えば、医療機関等内での受付や会計などの医療事務、院内清掃、患者搬送、患者等給食といった業務は対象となる場合が多いと考えられます。一方、医療廃棄物処理、寝具類洗濯、設備や機器の保守点検などは一般的に対象となりにくいと考えられますが、各医療機関等における委託業務の内容によって患者と接する場合もあることから、各医療機関等の実態に応じて判断いただくことになります。

 

Q6 医療機関等内のコンビニエンスストアやレストラン、銀行、敷地内薬局などいわゆる賃貸借契約による場所貸しとして営業する事業者で働く場合は対象となるのでしょうか。

(答)

○ 対象外となります。