ワタキューメディカルニュース

ワタキューメディカルニュース詳細

短信:日赤本部フォーミュラリーを推進、医薬品共同購入体制を整備へ

→メディカルニュース今月の見出しページへもどる

 

 日本赤十字社は、医薬品の適正使用を進めるにあたり、2020年度の診療報酬改定においてフォーミュラリーの評価は見送られたものの、日赤としてはフォーミュラリーを推進することとしている。特に、院内フォーミュラリーは将来的には地域と連携し、グループ病院各地域で地域フォーミュラリーとして整合性を図っていくということも視野にあるようだ。

 同社では、2020年1月に全国91のグループ各病院に対して、「日本赤十字社使用ガイド付きの医薬品集(フォーミュラリー)導入手順書」を配布。各グループ病院がフォーミュラリーの導入作業をしやすいよう図っている。

 

 ちなみに同手順書において、医師にとってフォーミュラリーの有用性について以下のように述べている。

 『医師は標準治療・診療ガイドラインに基づいて普段の診療を行っている。そのため、フォーミュラリーには臨床的に最も適切な選択肢が含まれる必要がある。医師にとってのメリットは、適切な医薬品を選択できる効率の良さであり、使用経験を積むことによる効果や副作用に関する情報が豊富になることもリスクマネジメント上有用である。また処方の際には医薬品の選択が容易になり、より診療に時間を割くことができ質の高い医療が提供できると考える。(略)

 医療施設においてフォーミュラリーを作成し、どの医師でもある疾患に対する医薬品を「第1推奨薬」「第2推奨薬」に標準化することは、医師においても医薬品情報が充実することになる。その結果、ほかの同種同効薬との比較が容易になり、フォーミュラリーから外れた患者に対しても最適な医薬品選択を容易にすることができる』。

 また、経営におけるフォーミュラリーの有用性は、『医薬品購入費の削減という経済効果があり、多品目を購入する必要がなくなることにより、単一薬剤の購入数は増え値引き率を高める可能性がある。また、経済性を考慮することから後発医薬品やバイオ後続医薬品の積極的な採用につながる。また、医薬品の選択の簡素化により、医師や薬剤師など医療従事者の業務効率化につながる。』としている。日赤では、7月中旬現在グループ病院26病院が導入しているという。

 

●フォーミュラリーとは

 日本ではフォーミュラリーの厳密な定義はないが、一般的には「医療機関等において医学的妥当性や経済性等を踏まえて作成された医薬品の使用方針」を意味するものとして用いられている。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 (参考)

 6月26日の中医協総会において、フォーミュラリー導入に関し診療側委員の「大手調剤等による偏ったフォーミュラリーにならないか」との懸念に対して、

 森光子厚労省保険局医療課長は「(万一の場合でも)その薬剤以外は全く使えなくなる状況にはならないと思う」と述べている。さらには、単なる経済性という話しだけではなく質と安全性の問題も含めて今後の議論に待つ状況だ。

 

 フォーミュラリーは各地の大病院大学病院等で導入が始められており、その機運は高まってきているようではある。しかし、医師会等を含めて慎重意見もかなりあり、無視できない状況だ。