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No.720 2022年度から紹介受診重点病院を明確化する外来機能報告制度がスタート

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◇「2022年度から紹介受診重点病院を明確化する外来機能報告制度がスタートから読みとれるもの

・医療機関の外来機能の明確化・連携に向けた議論を促す外来機能報告制度

・紹介患者を中心に診療する「紹介受診重点病院」を明確化

・2022年度診療報酬改定では、外来医療の機能分化、かかりつけ医機能強化する改定

 

■「外来診療データ」「紹介受診重点病院・診療所になる意向の有無」などを年1回報告

 

 すべての病院・有床診療所および一部の無床診療所で「外来診療データ」「紹介受診重点病院・診療所になる意向の有無」などを都道府県に年1回報告することが義務付ける「外来機能報告制度」が2022年4月からスタートする。

 地域の医療機関の外来機能の明確化・連携に向けてデータに基づく議論を地域で進めるため、①医療機関が都道府県に外来医療の実施状況を報告、②外来機能報告を踏まえ、「地域の協議の場(各地域の地域医療構想調整会議等)」において外来機能の明確化・連携に向けて必要な協議を行い、③そのデータをもとに地域ごとに「紹介受診重点病院等」を明確にし、「まず地域のかかりつけ医療機関を受診し、そこから紹介受診重点病院を紹介してもらう」という患者の流れを強化することを目指す(図3 外来医療の機能の明確化・連携)。

 

 2021年12月21日に開催された厚生労働省の外来機能報告等に関するワーキンググループ第8次医療計画等に関する検討会の下部組織)は、「外来機能報告制度に関する報告書」をまとめ公表した。外来機能報告制度では、「医療資源を重点的に活用する外来」をどの程度実施しているかの基準を設けて、紹介患者を中心に診療する「紹介受診重点医療機関」(医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関)を設定していく。報告書では、その基準が記された。地域で定める「紹介受診重点医療機関」のうち一般病床200床以上の病院を、特定機能病院と一般病床200床以上の地域医療支援病院に加えて定額負担を徴収する責務のある医療機関に追加する。「医療資源を重点的に活用する外来」とは、①医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来、②高額等の医療機器・設備を必要とする外来、③特定の領域に特化した機能を有する外来-の3つ(図4 「医療資源を重点的に活用する外来」に該当する外来の項目(案))。

 

 厚労省は今後、社会保障審議会・医療部会等に報告した後、政省令改正、関連通知の発出などの準備を進める。

 

2022年度診療報酬改定で外来医療の機能分化、かかりつけ医機能強化を主眼とする見直し

 

 地域の医療機関の外来機能の明確化・連携に向けてデータに基づく議論を地域で進めるため、外来機能報告制度が始まることを踏まえ、2022年度診療報酬改定では外来機能の明確化及び医療機関間の連携を推進する観点から、紹介状なしで受診した患者等から定額負担を徴収する責務がある医療機関の対象範囲を見直すとともに、当該医療機関における定額負担の対象患者について、その診療に係る保険給付範囲及び定額負担の額等を見直すことにした(図5 紹介状なしで受診する場合等の定額負担の見直し①)。

 

 なお、上記の見直しは10月1日から施行・適用するほか、新たに紹介受診重点医療機関となってから6カ月間の経過措置を設ける。

 

 また診療報酬改定では、2022年度から施行される外来機能報告制度に沿って、地域における外来機能の分化と連携を促進。紹介状なしで受診した患者から定額負担を徴収する責務のある医療機関の対象範囲を広げ、該当医療機関の入院機能を評価するため、「紹介受診重点医療機関入院診療加算(800点/入院初日)」を新設した。勤務医の外来負担の軽減を推進し、紹介受診重点医療機関の入院機能を強化することが目的である(図6 紹介受診重点医療機関における入院診療の評価の新設)。

 

 一方、紹介患者・逆紹介患者の受診割合が低い場合に初診料と外来診療料を減算する対象についても、特定機能病院と一般病床200床以上の地域医療支援病院に加えて、一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関を追加する。その上で、紹介受診重点医療機関とかかりつけ医機能を有する医療機関等の連携を推進する見直しも行う。施設基準を満たしているにもかかわらず、紹介元からの求めがないこと等を理由に該当医療機関の約8割が算定していなかった現行の診療情報提供料(Ⅲ)の名称を「連携強化診療情報提供料」と変更する(図7 初診料及び外来診療料における紹介・逆紹介割合に基づく減算規定の見直し)。

 

 診療所等から患者紹介を受けて診療を行う医療機関が、紹介元の医療機関の依頼で診療情報を提供した場合の算定上限回数を変更し、医療機関同士の連携を推進するのが狙いである。

 

【事務局のひとりごと】

 

 これまでの医療制度改革においても、いろいろな改革が行われてきた。記憶に新しいところから振り返ってみる。

・療養病床再編(介護療養型病床群の廃止)

・精神病床再編(精神患者7万人を、入院生活でなく生活圏で暮らしてもらう)

・一般病床再編(超急性期の登場、地域医療構想の導入、病床機能報告制度導入、地域包括ケア病棟の登場、重症度・医療看護必要度による、一般病床(特に7:1)のふるい落とし)

 

 前段の病床再編も、令和4年診療報酬改定において、国が求めようとしている医療機能を提供できない病床をふるい落とすためのハードルは、下がることなくむしろ上がり続けている。再編は現在進行形で進んでいる。果たして次に待つ改革は何なのか?

 

 その答えの一つ。

 今度は外来医療再編」である。

 

 厚労省のコメントだ。

 

〇「紹介受診重点医療機関入院診療加算」を新設する理由

 今回の改定で「紹介受診重点医療機関入院診療加算」を新設する理由について、厚労省保険局医療課は、「紹介受診重点医療機関において、入院機能の強化や勤務医の外来負担の軽減等が推進され、入院医療の質が向上することを踏まえ、当該入院医療について新たな評価を行う」と説明した。

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 本文にもあるように、外来医療の機能分化、かかりつけ医機能の強化を図り、勤務医の外来負担の軽減を推進し、紹介受診重点医療機関の入院機能の強化が目的である。

 医師(病院勤務医)の働き方改革もこの改革の延長線上にあるのだ。ワタキューメディカルニュースでこれまで採り上げてきた内容は、全てどこかでつながっているのだということを実感する。

 

 今度は中医協でのコメントだ。

 

〇支払側:患者はかかりつけ医に、ゲートキーパー的な役割を求めている

 かかりつけ医機能の評価を巡る論議で、健康保険組合連合会理事の幸野庄司委員は、「かかりつけ医機能をどうするのかが最大の論点になる。患者はかかりつけ医に、ゲートキーパー的な役割を求めている」と述べ、かかりつけ医機能が発揮される形での評価を求めた。その上で、現行の機能強化加算などでは患者の視点が欠けているとし、「2022年度改定でかかりつけ医機能の評価を抜本的に再構築すべき」と訴えた。

 

〇診療側:フリーアクセスは担保すべき

 これに対して、日本医師会の城守国斗常任理事は、「フリーアクセスは担保すべき。かかりつけ医を制度化して、かかりつけ医にかからなければ、他の医療機関にかかれない仕組みにすることには反対する」と述べた。

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 「フリーアクセス」。

 これまで何度も出てきているが、日本の医療制度の特徴をあげるならば必ず出てくるのがこの言葉である。

 「親は子を選べない」

 「子は親を選べない」

などという話は出てくるが、

患者はかかりたい医療機関を選ぶことができる」のである。

 一方で医師は「医師の応召義務」があるので、診て欲しいという患者の要望を断ることは、

通常できない。

 確かに、患者の立場になってみると、結局はいつも行く医療機関は診療科別に決めている人でも、「あなたの担当医は〇〇医院の〇〇先生だから、その先生にまずかかってください(いわゆるゲートキーパー医)。そこで必要だということにならないと、高度な医療機関にかかることもできません。」となってしまうと、いささか窮屈だ。やはり「フリーアクセス」には良さもある。日医も「フリーアクセス」は担保したいところだ。

 

それでも近年は、

 

入院は病院へ、外来は診療所へ

 

という掛け声のもと、大病院志向となりがちな外来医療について、大病院に初診でかかると、別途料金を請求して良い(請求しなさい)というルールができている

 これを「保険外併用療養費」という。金額にして数千円(プラス消費税)の負担増だ。

 この負担が大きいことを避けたい患者心理を利用し、診療所にかかる際はそういった費用はかからないので、自身の地域のかかりつけとなる医療機関にまずかかり、その上で高度な医療が必要な時にこそ、地域の大きな医療機関で必要に応じて高度な医療(検査含む)や、入院医療を受けることができるようにしようという動きだ。

 さらには比較的大きな医療機関の方が外来は忙しくなる傾向にあり、その勤務医が、本来は入院医療にそのリソースを振り向けるべきが、外来医療に時間とリソースを費やすことで疲弊しかねず、そんな大病院の外来に患者が集中することを抑止しようとする動きでもある。

 それが結果的に勤務医の多忙な働き方を軽減する効果もあるので、この流れはこれからも変わることはないだろう。

 

 今度は地域医療構想調整会議のメンバーからの、こんなコメントだ。

 

〇地方では地域医療支援病院や紹介中心型病院とならなかった病院に患者が行きたがらない

 地方では地域医療支援病院や紹介中心型病院とならなかった病院には、患者が行きたがらない。紹介中心型病院を多くすればするほど、そうした病院を患者が受診しなくなり、地域医療提供体制が崩壊しかねない。そうした地域の事情も加味すべきである。

 

〇外来提供を巡る協議結果は、地域住民の受療行動に大きな影響を及ぼす

 「地域の外来医療提供体制はどうあるべきか」を議論する地域医療構想調整会議の協議結果は、地域住民の受療行動に大きな影響を及ぼす。協議結果は様々な形でわかりやすく広報することが極めて重要。住民目線からの協議が必要である。

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 続いては病院経営者からのコメントだ。

 

〇紹介状なし患者からの特別負担、初診で7000円負担の影響は大きい>

 今回の改定で、紹介状なし患者からの特別負担徴収義務として、200床以上病院の紹介状なし患者の特別負担が初診で医科7000円、再診で医科3000円に引き上げられることになった。7000円の自己負担は患者にとっても大きいが、病院にとっても影響は大きい。患者に7000円もの負担を強いることをどう説明していいのか。受診抑制につながり、病院経営に悪影響を及ぼすことが心配だ。

 

〇地域のかかりつけ医から選ばれる病院に

 紹介率・逆紹介率が低い病院における初診料・外来診療料の減算規定が厳しくなった。今回の改定を契機に、地域のかかりつけ医との連携体制を一層強化しなければならない。かかりつけ医から選ばれる病院が、病院経営にとって必須条件となってくると思う。

 

〇今まで病院の地域連携室は、開店休業状態だったが‥‥

 今まで病院の地域連携室は、開店休業状態だったが、今回の改定をきっかけに、本腰を入れて地域の開業医、老健施設など介護施設との連携を図っていかなければならない。

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 先の「保険外併用療養費」に関するコメントもあった。「連携」とは、これまで何度も出てきた考え方だが、真の連携体制を構築できている医療圏は一体どれだけあるのだろう。まだまだ「地域医療連携」という言葉が現場に浸透していくには時間がかかりそうである。

 

 今度は勤務医のコメントだ。

 

〇患者への説明で時間と労力がかかる

 本当に外来機能報告制度が病院勤務医の負担軽減につながるのか疑問を持っている。病院から地域の医療機関に逆紹介する際に、「なぜ、病院から地域の診療所に移っていただくか」など、患者さんに納得してもらうため説明に時間と労力がかかり、かえって負担が増してしまう。

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 これは「フリーアクセス」の、「影」の部分とでもいおうか、患者は受けたい医療機関を自分の意思で選択できるという権利を逆手(?)に取ったような考え方にも聞こえる。もちろん、患者自身に悪気はないだろう。フリーアクセスの「光」と「影」である。

 

 開業医からはこんなコメントだ。

 

〇病院とクリニックが“お互いに顔が見える関係”を構築

 外来機能報告制度を歓迎するが、病院からの逆紹介が進まないケースが往々にしてある。その要因として、①患者説明に時間と労力がかかる、②紹介先のクリニックの顔が見えない、③患者側の理解不足-があげられる。このうち、②については、自院で対応できる診療内容や患者層などを、病院側の医師や地域連携室に情報発信しておくことや、定期的に情報交換をする場を設けるなど、病院とクリニックが“お互いに顔が見える関係”を構築することが大切。

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 先の勤務医のコメントは①、②、③全てを包含した背景を感じざるにはいられない内容だったが、開業医は、特に②、「安心して当院に紹介してくれたら責任をもって患者を引き継ぎますよ」という意思表示と情報開示をしていこうとする、前向きな考え方だ。

 

 看護師からもコメントをいただいた。

 

〇入退院支援看護師の役割が重要に

 病院の地域連携室の看護師として、患者の入退院支援を担っている。外来機能報告制度の導入によって、入院時から退院後の生活を見据えた看護や支援が行っていけるよう、院内の多職種スタッフや、地域の高齢者総合相談センター、ケアマネジャー等とも連携を図りながら、退院後も患者・家族が安心して住みなれた自宅や地域で生活できるようお手伝いする入退院支援看護師の役割が重要になってくる。

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 先ほどは「地域医療連携」が現場に浸透していくにはまだ時間がかかりそう、と書いたばかりであったが、どっこい、重要な役割である入退院支援看護師を買って出る看護師に登場いただいた。訪問看護、入退院支援、日本の地域医療連携に一筋の光が垣間見えるようなコメントだ。

 

 医業系コンサルタントからはこんなコメントだ。

 

〇外来機能報告制度は、クリニック経営にとって、ひとつのチャンス

 外来機能報告制度は、クリニック経営にとって、ひとつの機会(チャンス)と捉えることができる。この制度で「紹介外来患者中心の医療機関」に選定された病院は、今診療している比較的軽度の患者さんや治療後の患者さんなどの逆紹介(病院からクリニックへ紹介)を推進するはず。病院経営としては、そういった外来患者の受け皿となってくれるクリニックとの連携を積極的に行いたいはずである。そういった病院との連携を強化することで、外来患者の獲得につながる可能性は大いにある。

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 そうですよねぇ。フリーアクセスで、大病院志向だった患者が制度で大病院に行かなくなるとすれば、その行くべき先は診療所である。ゲートキーパー医制なら、患者も割当があるのだろうが、フリーアクセスは、患者からも、紹介医療機関からも「選ばれる」必要がある。いわば地域医療連携とはマーケティング、「市場創造」なのだ。そういうことを医業系コンサルタントは述べてくれているのだと思う。

 ただ、これはここ数年言い出したことでなく、これまで何度も何度も言われてきていることだ。同じことがこれだけ繰り返し言われるのは、厚労省が思うような地域医療連携が、実はあまり実現できていない、ということの裏返しでもある。それをいち早く構築する「チャンス」なのである、決して「ひとつの」などという控えめなものでなく、地域で勝ち残るために当然追いかけるべき「チャンス」なのだ。

 

 最後にこんなコメントを紹介して締め括りとしたい。

 

〇「医療機関がどのような機能・役割を果たしているのか」が分かりにくい

 「医療資源を重点的に投入する外来」では、あまりにも呼びにくく、また患者にとって「この医療機関がどのような機能・役割を果たしているのか」が分かりにくい。行政は、もっとわかりやすい言葉で発信してほしい。

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 …その通りですね。専門性を持った方を相手にすると、誤解を招かぬよう、どうしてもできるだけ正しい表現を使ってしまいがちになる。行政はここに最も気を遣うことだろう。

 しかし、

 

「医療資源を重点的に投入する外来」

 

これに分かりやすいネーミングをするならば一体どうなるか?

 

厚生労働省の外来機能報告等に関するワーキンググループによれば、

 

紹介患者を基本とする外来

紹介による受診を基本とする外来

紹介基本外来

紹介外来

医療資源活用外来

 

こんなネーミングが例示されたという。

 

読者の皆さんは、どのネーミングにピン、ときただろうか。

ちなみに筆者は、…ごめんなさい。

「うーん」、どれもこれも、唸るしかありません。

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>