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No.724 日本で普及するか?2022年度診療報酬改定で導入されたリフィル処方箋

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◇「日本で普及するか?2022年度診療報酬改定で導入されたリフィル処方箋から読みとれるもの

・対象は「症状が安定」。処方箋の総使用回数の上限は3回

・導入に伴い処方箋料も見直し。29日以内の投薬では長期処方の減算規定が適用なし

・日医会長は医師の処方権を強調。財務省はリフィル処方箋で患者の利便性主張

 

リフィル処方箋の対象は「症状が安定」、総使用回数の上限は3回

 

 2022年度診療報酬改定で導入されたリフィル処方箋。医療費抑制や患者の通院負担軽減などを目的に、これまで何度も検討されてきたものの、患者の症状悪化の発見が遅れる可能性があるといった理由から見送られてきた経緯がある。導入により現場にはどんな影響が生じるのか、今後の普及の見通しはどうなるだろうか。

 

 リフィル処方箋は、一定期間内に繰り返し使用できる処方箋のことで、患者はその期間中、医師の再診を受けずに、薬局に処方箋を持参して薬剤を受け取れるようになる。対象となるのは「症状が安定」しており、薬剤師による服薬管理の下、一定期間内に処方箋の反復利用が可能な患者とされている。処方箋の総使用回数の上限は3回。新薬や麻薬、向精神薬、湿布薬はリフィル処方箋の対象外となる。1回当たりの投薬期間や、総投薬期間については「医師が、患者の病状などを踏まえ、個別に医学的に適切と判断した期間」とされている(図4 リフィル処方箋の仕組み)。

 

 

 リフィル処方箋の導入に伴い、処方箋料も見直された。点数自体は改定前と同じで、リフィル処方箋を出す場合とそうでない場合の点数の違いもないが、長期処方に対する減算規定が変更となった。病床数や紹介率、逆紹介率において所定の基準に該当する病院の場合、現行では1処方につき30日以上の投薬を行うと、処方箋料が減額される(100分の40を算定)。これに対し、改定後は、リフィル処方箋により当該処方箋の1回の使用による投与期間が29日以内の投薬を行ったケースでは、この減算規定が適用されなくなる。なお、処方箋料が減額される病院の要件も今回の改定で見直されており、2023年4月からは「紹介率、逆紹介率」ではなく、新たな計算方法による「紹介割合、逆紹介割合」による基準で判断されることになる。処方箋様式としては、「リフィル可」欄が追加された。医師がリフィルによる処方が可能と判断したらレ点を記入する形になっている(図5 処方箋等の見直し)。

 

 

 リフィル処方箋は、2021年末の後藤厚生労働大臣と鈴木財務大臣の大臣折衝で、「症状が安定している患者について、医師の処方により、医療機関に行かずとも、医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できる、分割調剤とは異なる実効的な方策」として導入が決まった。「再診の効率化」につなげることで、診療報酬上では0.10%の医療費抑制効果を盛り込んだ

 

■中川日本医師会長、処方権は医師のみにあると強調、財務省は「患者の通院負担が軽減され、利便性が向上」と主張

 

 中医協でリフィル処方箋導入に反対してきた日本医師会の中川俊男会長は、中医協による2022年度診療報酬改定答申があった2月9日の記者会見で、「日医としては、症状が安定した慢性疾患の患者でも、医師が定期的に診察し、医学的管理の質を保つことが、安心・安全で質の高い医療につながると考えている。しかし、リフィル処方箋という新たな仕組みにより、医師の処方や患者の受療行動が変化し、患者の健康に大きな影響を及ぼす可能性がある。今回の導入に当たっては、患者にとって適切な治療が行われるよう十分に配慮した上で、慎重にも慎重を期して現場で運用されることを期待している」と発言。現場の医師の慎重な対応を求めた

 

 さらに3月27日に開かれた日医臨時代議員会で、中川日医会長は「患者さんからリフィル処方を希望されることもあるかもしれないが、日本医師会は、定期的な医学管理の重要性をしっかりと国民にご理解いただくように努める」と述べた。リフィル処方箋をめぐる質問は代議員から複数出た。中川会長は、処方権は医師にのみあると強調。「処方から投薬に至るまでの責任は、医師にある。リフィル処方では、むしろ医師の説明責任が増えることになるため、先生方にはより慎重にご判断いただきたい」と訴えた。「医師と患者の信頼関係をしっかり守ることが、私の責務だ。綻びはさせない」とも強調した。

 

 財務省は4月13日開かれた財政制度等審議会財政制度分科会で、分科会長代理を務める増田寛也氏(東京大学公共政策大学院客員教授)は、「リフィル処方箋は医師のためにも薬剤師のためにも、患者に向き合うために効果ある制度で、それを理解してもらうのが必要である」と、リフィル処方箋を推進することの重要性を強調した。分科会に財務省が提出した資料では、「『長期 Do 処方』に代表される診療密度が薄く頻繁な外来受診こそが、待合室の混雑、待ち時間の長さ、その割に短い診療時間といった国民が日頃体験する我が国外来医療の 実態につながっており、頻回の受診による身体的・経済的負担と相俟って、患者の通院負担を重いものとし、利便性も損なわせてきた」と指摘。リフィル処方箋が導入されたことで患者が医療機関に行かずに処方箋を反復利用できるために「患者の通院負担が軽減され、利便性が向上する効果は明らか」「もとより国民の導入への期待は高いものがあった」「効率的で質の高い医療提供体制の整備にとっても画期的な前進である」などと主張した。

 

 

【事務局のひとりごと】

 

 筆者は原作のコミックを一度も読んだことはない。従って最終回をどのように迎えたのか、未だ知らない「進撃の巨人」。「final season」を銘打っていたので、先月(4月)の最終回で長年の謎が「ついに」解けると思って、子どもと一緒にテレビの前で最終回に臨んだら(録画)、何と、最終回シーズンは「来年に(2023年)持ち越し」とのこと。あまりの出来事に呆然となってしまった。 

 もう、コミックを買って読んでしまおうか・・・⤵ 

 

 それでも、これまで途切れ途切れに見ているうちに、

 

「な~んだ、そうだったのか」

 

と、初見の頃は未知のものに対する恐怖心しかなかった自分が、謎が明らかになってくるにつれ、恐怖心よりも意外に現代の戦争劇の一つの形なのかもしれない、などと思う余裕すら生まれてきた。

 

な~んだ、そうだったのか

 

WMN 2022年2月号の本文と事務局のひとりごと を振り返ってみた

 

【本文 一部抜粋】

 昨年末の後藤厚生労働大臣と鈴木俊一財務大臣との大臣折衝で、診療報酬改定で診療報酬本体プラス0.43%の改定財源を捻り出したことができたのは、薬価引き下げとともに、リフィル処方箋導入、薬剤給付の適正化など医薬品の適切な使用推進による薬剤費削減策と言われる。診療報酬本体部分0.43%の内訳は、看護職員の処遇改善のための特例的な対応がプラス0.20%、不妊治療の保険適用のための特例的な対応がプラス0.20%、リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化がマイナス0.10、小児の感染防止対策に係る加算措置(医科分)の期限到来がマイナス0.10%で、これら以外がプラス0.23%。この0.23%分は医科0.26%、歯科0.29%、調剤0.08%で従来通り1:1.1:0.3の配分となった。

 

【事務局のひとりごと と 注釈 一部抜粋】

 本文にもあったように、今改定の「本体プラス0.43%」捻出のために、リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化がマイナス0.10%の財源となっている。

 ちなみに、2019年度の国民医療費は44兆3895億円。この1%が減るとなると、医療費の増加幅が4438億円分抑えられる計算だ。0.1%だと約440憶円の財源だ。0.1%といえども、いざ金額に置き換えてみると結構な金額である。つまり、リフィル処方箋導入によって削減されるのは、患者にとってみれば、例えば再診料や管理加算、処方箋料は3回に一度の負担で良くなるわけだ。

 

 金額にしてみれば、だいたい個人負担(3割)だと1,300円/回といったところか?これがレセプトに置き換わる(7割)と、3,000円程度。合計で約4,300円。クリニックの収入4,300円は、3か月に一度しか入らなくなる。一体何人の対象患者がいるのか?点数が決まったらシミュレートしなければならないだろうが、「お薬だけ(処方箋だけ)患者」の医業収入は確実に減ることだろう。そのボリュームが日本全国で約440億円、ということになるだろうか(※1)。

 

 (※1)・・・2022年2月10日付日本経済新聞(16頁/44頁)によると、厚生労働省の試算では国費ベースで医療費を110憶円程度の抑制する効果を見込んでいるそうだ。ちなみに「国民医療費」とは、医療のためにかかった、患者負担も織り込んだ費用のことで、この「国費ベースの医療費」とはその大半以上を占める内訳の一つだ。

 

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 筆者が2月号を編集していた際、0.10%の医療費財源を計算したら約440憶円だったのに、新聞では厚労省試算で110憶円程度の抑制を見込む、とあり、「一体どうやったらそんな計算になるのだろう?」と、ずっと首をかしげていたのだが、リフィル処方箋に関するその後の報道を見るにつけ、

 

「な~んだ、そうだったのか」

 

とつぶやいてしまう筆者であった。

謎が解けた清々しさはあるが、つまり、「お薬だけ処方」だと患者が勝手に思ってリフィル処方箋をいただきたくても、どっこい、「そうは問屋が卸さない」ということではないか。

 

 110÷440→0.25

 

 つまり、4件に1件くらいの確率でしか、リフィル処方箋を発行してもらうことができないということだ。同一の病名で4件も医療機関を回りたくもないし、おそらく開業医では4件に1件くらいという確率論すら怪しい

 外来を抑制したい大型医療機関の勤務医くらいしか発行してくれないのではないか?そんな気がしてしまった。

 

コメントを紹介したい

 

〇岸田首相:経済財政諮問会議でリフィル処方の使用促進求める

 

 4月13日開催された経済財政諮問会議で岸田文雄首相は、「コロナ禍での経験や受診行動の変容を踏まえ、かかりつけ医機能が発揮される制度整備や新たに導入したリフィル処方の促進など、医療・介護サービス改革の継続・強化に取り組む」と述べ、今夏にも取りまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)に向けて、議論を加速することを求めた。

 

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続いて厚労省と財務省のコメントを。

 

〇医療課長:医師の処方権については何も変わらない

 

 2022年度診療報酬改定に関する説明で保険局の井内 努医療課長は、リフィル処方箋について、医師の判断で使い分けることが基本であり、医師の処方権については何も変わらないと説明した。

 

〇主計局:患者・国民目線からリフィル処方箋の積極的活用を

 

 財務省主計局は4月13日の財政制度等審議会財政制度分科会で、2022年度診療報酬改定で導入されたリフィル処方について、「患者・国民目線からその積極的活用が図られるべき」と説明。「患者の希望やニーズの充足を阻害する動きがないかといった運用面を含めたフォローアップを徹底するとともに、制度の普及促進に向けて周知・広報を図るべき」とした。

 

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 非常に手前勝手な筆者の想像だが、本体プラス改定の財源捻出のために、かねてより議論としてはあったリフィル処方箋財源を財務省に提示し(440憶円)、しかしその実医師の処方権に委ねることになるから、理屈としての財源は確保し、実際に財源が減るのは最小限に留めようとする(110億円程度に)、厚労省の「技あり」ではなかったか?

 であるので、現在の議論、財務省からは「積極的活用が図られるべき」となったのではないだろうか。

 

続いてはこんなコメントを。

 

〇諮問会議民間議員:投薬診療は、患者にとって過度な通院負担であった可能性

 4月13日開催された経済財政諮問会議で財界出身の民間議員は、コロナ後、投薬を中心に外来の診療回数が大きく減少したとのデータを提示。「投薬診療は、患者にとって過度な通院負担であった可能性がある」と指摘、患者の希望を確認、尊重する必要性を強調した。

 

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 「患者の視点」は確かに重要だ。経済財政諮問会議の民間議員なら、そのようなご発言になるのは至極当然だ。

 

開業医からコメントをいただいた。

 

〇そもそも、分割処方とリフィル処方の違いを患者に説明できない

 そもそも、2016年度から導入されている分割調剤(定められた処方期間を最大3回まで分割できる)とリフィル処方箋に基づく調剤の違いを患者に説明できない。

 

〇患者の通院負担軽減につながるが、患者の減少が診療所の収入低下に直結

 リフィル処方は確かに患者の通院負担軽減につながるが、リフィル処方箋導入による患者の減少が診療所の収入低下に直結する。

 

〇診療間隔の長期化による状態悪化の見逃し

 リフィル処方導入により診療間隔が長期化し、状態悪化の見逃し、副作用発見の遅れが心配だ。

 

〇日本医師会も、なぜ断固として反対を貫かなかったのか

 医療機関側への十分な意見聴取もなく、このまま導入されるとしたら、とんでもないと思う。日本医師会も、なぜ断固として反対を貫かなかったのか、理解に苦しむ。

 

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 逆の意味での「患者の視点」。状態悪化の見逃し、副作用発見の遅れ、確かに、気軽にリフィル処方箋で処方薬を入手し、自身の容態が仮に悪化していたとしたら…そうならないためにも継続的な医療管理が必要だ、という開業医のご意見ももっともである。ついでに言っておくと、そういった患者との橋渡しの役割も含め、今回のリフィル処方箋導入で薬剤師に求められる役割は非常に大きい、ということであり、まだ、医師(処方側)と薬剤師(調剤薬局)の相互信頼関係が構築されるに至るには、少し時間がかかるのかもしれない。

 

勤務医からもコメントをいただいた。

 

〇薬剤師および薬局の技能が心配で導入は時期尚早

 

 薬剤師および薬局に、患者の状態変化を正しく拾い上げられる技能やそれを支えるシステムがあるとは思えない現状での導入は時期尚早である。

 

〇患者の健康被害が生じた場合の責任の所在を明確にすべき

 

 リフィル期間中に患者の健康被害が生じた場合の責任の所在を明確にすべきである。

 

〇医療費の削減や、医師の外来業務負担軽減などにつながり、メリットが大きい

 

 米国での生活経験から、リフィル処方箋の導入は医療費の削減や、医師の外来業務負担軽減などにつながり、メリットが大きい。

 

〇内科では、漫然とDo処方が繰り返されるケースが多い。医療機関の混雑緩和に寄与

 

 特に内科では、漫然とDo処方が繰り返されるケースが多いので、リフィル処方箋導入は患者の通院負担軽減や医療機関の混雑緩和に寄与することが期待できる

 

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 「漫然とDo処方(※2)」、「医師の外来業務負担軽減」、こういった考え方を持った勤務医でないと、恐らくリフィル処方箋は発行されないだろう。というか、この勤務医が所属している医療機関が、リフィル処方箋を発行する医師に対し、何というだろうか?とまで考えてしまった。

 

今度は調剤薬局運営事業者からのコメントだ。

 

〇ジェネリック医薬品不足で混乱している薬局に、さらなる業務負担を課す

 

 ただでさえジェネリック医薬品不足で混乱している薬局に、さらなる業務負担を課すことになる。

 

〇リフィル処方の説明に時間がかかり、薬局が混雑する

 

 リフィル処方の説明に時間がかかり、薬局が混雑するようになり、患者の負担感は結局変わらないのではないか。

 

〇かかりつけ薬剤師として患者の健康管理を踏まえた薬の説明が必要に

 

 これまで患者さんに漫然と調剤の説明をしていたが、リフィル処方箋導入によってかかりつけ薬剤師として患者の健康管理を踏まえた薬の説明をしっかりしていかなければならない。

 

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 最後のコメントだけ、薬剤師としての使命感を感じたが、先の2つのコメントは、リフィル処方箋に対し「手放しに歓迎」というわけではなさそうだ。

 

医業系コンサルタントからはこんなコメントだ。

 

〇医師の診察が必要ない患者を薬剤師にフォローしてもらえれば、医師に時間的余裕が生まれる

 

 いわゆる“お薬受診”に近いケースは、リフィル処方に切り替えた方が、患者の利便性は向上する。また、医師の業務負担軽減について、状態が安定していて、必ずしも医師の診察が必要ない患者を薬剤師にフォローしてもらえれば、医師に時間的余裕が生まれ、1人当たりの診療時間を十分に確保することも可能となるため、医療の質が高まると期待される。

 

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 そうなんですよね。理想的なコメントなんですよ。なのに、現実はこの理想のコメントどおりにいかないような気がする。少なくとも今は)。何故なのだろうか?

 

最後に患者からのコメントを紹介して締め括りとしたい。

 

〇薬に関する医療費負担が減った

 

 4月から薬に関する医療費負担が減ったような気がする。

 

〇「リフィル」という言葉の意味が分かりにくい

 

 そもそも、「リフィル」という言葉の意味が分かりにくい。

 

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 医療費負担が減った、というのがリフィル処方箋の使用によるものであれば、結構、先進的な考え方の医療機関をかかりつけ医(?)にお持ちのご様子。参考までにどこにある医療機関なのかご教示いただきたいのだが…。

 

 マイナンバーカードによる保険確認ができる医療機関を探すのと、リフィル処方箋を発行していただける医療機関を探すのと、どっちが見つかりやすいか?

 

 今なら、いい勝負のような気がする…。

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※2)…カルテ上に残っている、以前と同様の処方を使用して処方箋を発行すること。オーダリングシステムや、紙カルテでなく、電子カルテ導入の医療機関であれば、前回の処方画面を呼び出し、それを用いれば、あっという間に処方箋の完成である。

<WMN事務局>