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No.550 厚労省が地域医療構想策定ガイドライン案と2025年の高度急性期、急性期、回復期、慢性期の医療需要を提示

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  厚生労働省は2月12日、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(座長=遠藤久夫・学習院大学経済学部長)にこれまでの議論をまとめたガイドライン案を提示。高齢化がピークを迎える2025年の医療需要と4つの医療機能の必要量の推計方法、病床機能報告制度の報告情報に関する公表の在り方を提示、おおむね了承が得られた。また、これまでの議論を踏まえた「地域医療構想策定ガイドライン(案)」も提示、大筋で合意した。同省では、パブリックコメントを経て、2014年度中にガイドラインに基づき、関係する省令等を制定する予定。

 2025年の医療需要は、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つの医療機能別に見込む。その境界点は、患者1人1日当たりの診療報酬から算出した医療資源投入量を目安とする(入院基本料を除いた点数)。厚労省案は、「高度急性期」と「急性期」の区分は3000点程度、「急性期」と「回復期」の区分は600点強、「回復期」と「慢性期と在宅医療等」の区分は225点(図3 病床の機能別分類の境界点(C1~C3)の考え方案)。これらの点数を基に、4区分の推計入院患者数を算出。その上で、病床稼働率で割り戻して、2025年の構想区域(2次医療圏が原則)ごとに、病床の必要量を推計する。病床稼働率について厚労省は、「高度急性期」75%、「急性期」78%、「回復期」90%、「慢性期」92%という案を提示。「慢性期」の医療需要は、2025年までに在宅医療等への移行が進むことを見込み、一体的に推計する考えだ。一連の推計は、DPCデータやNDB(ナショナルデータベース)であるレセプトデータなどを基に、全国一律の方法で行う。

 厚労省では、病床の必要量の推計方法は、省令で定める事項であり、あくまで全国一律であると説明。「地域の実情」は、推計結果を基に、地域医療構想において医療提供体制を描く段階において、各都道府県で判断し、反映させていくことになる。病床の必要量の推計が、地域の病床数の上限設定、ひいては病床削減につながるとの懸念もあり、関係省令の制定が注目される。

  また、療養病床と在宅医療等のみに着目して「慢性期」の医療需要をとらえることを問題視する意見もあり、検討会では「療養病床を大幅に削減した時に、患者の行き場所がなくなる」との懸念が出された。

 

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急性期病床から他の病床区分への移行は、 一般的には1床あたりの収入が減ると考えられがちであり、事実、診療報酬の設定も一般病床(急性期病床)が最も高くなっている。「医療の質の担保」を約束に、下から上への点数誘導は誰もが喜ぶところだが、上から下となると簡単にはいかない。
 「協議の場」として注目される地域医療構想会議は、はたしてどこまで踏み込んでいくことができるだろうか。ガイドラインの策定から目が離せない。

<ワタキューメディカルニュース事務局>