- ワタキューホールディングス株式会社 - https://www.watakyu.jp -

短信:「今年こそは運動不足解消だ! その一念発起が膝を壊す・・」 膝関節ケアの権威がシニアに薦める『頑張らないトレーニング』とは?

→メディカルニュース今月の見出しページへもどる

 

全国から患者が訪れる膝関節ケアのスペシャリストが提言。まず歩く

  膝の病気に詳しい関町病院(東京・練馬区)の丸山公院長(整形外科医)は、「急にジョギングやジム通いを始めて膝を痛め、来院する人が増えているので注意が必要」と呼びかける。

 「変形膝関節症など、膝が気になる人は、特に冷え込むこの季節は、脚の筋力をつけるためにまず平らなところを歩くことから始めましょう」とアドバイスしている。まずは、動けるトレーニングが大切で、正しく歩けることが膝トラブル予防の基本だと解説する。

 

トレーニング慣れしていない人。急な深めのスクワットに要注意

 「急に運動しては駄目。徐々にやっていくことが大事です。よくあるのは「じゃあスクワットをしよう」と、立った姿勢から膝を深く曲げるディ―プスクワットをしてしまうケースです。

 スクワットで傷めるのは膝の上下の関節の間ではなくて、お皿の裏側と大腿骨の間、“膝蓋大腿関節”と呼ばれるところです。普通の病院で撮る2枚のエックス線写真では写らず、専門的な特殊な角度から撮らないと、痛めたお皿の裏側は映りません。それで痛み止めだけの治療になってしまいます」

 

通院を始めても、すぐに痛みがよくならない。根気よくケアを

 「こうなったのは長年のツケが回ったのだ、と思って少しずつ直していくことが大事です。だからスクワットのように膝に体重をかけることはしないで、まず寝転がって脚を持ち上げるだけでいいのです。30度の角度で1分間保ってみましょう。すごく大変なことが分かります。脚の筋肉だけでなく、同時に腹筋も鍛えられます。ラジオ体操をするのも体にいいことです。体に無理がかからず、体が硬くなっているのが分かります。

 

まずは「丸山流ウオーキング」からスタート。

横隔膜を引き上げてインラインで歩く。

 

靴の外側が減っていたりドタドタ階段を下りたら注意信号

 丸山院長は「何か運動を始めたい方はウオーキングだけでいいと思っています。無理に筋トレをする必要はありません」と〝丸山流ウオーキング〟を勧めています。

 「これにはちょっと工夫があって、歩きながら横隔膜を引き上げながら、インラインで歩きます。つまり、靴底の内側を使って、かかとからつま先に重心を移しながら歩くのです。こうすると、脚の内側の筋肉が鍛えられます。力を抜くと必ずかかとの外側から着地して歩くことになってしまいます。靴底の内側を使って意識して歩く。きれいな歩き方になります。そのとき同時に、おなかを締めるとお腹の中の筋肉が締まります。しかも、太腿の内側の内転筋が締められるので、O脚が防げます」

 

ダラダラではなく意識して歩けば1日30分で十分です

 「1日30分も歩けば、それで十分筋トレになります。私は歩く時はそうしています。だから筋トレはしていません。歩幅が大きくなって、傍から見ると格好よく見えます。横隔膜を上げるには、おへそをへこますのがコツ。最初はしゃべることができませんが、慣れてくると話をしながら歩けるようになります」と

 

膝トラブルは関節トラブルではなく軟骨トラブル。早めのケアが大切です

 「たとえば大相撲。かつては“膝のケガを克服した力士が奇跡のカムバックを果たし、場所を大いに盛り上げた”なんてこともありましたが、一方で膝トラブルで引退を余儀なくされる力士が数多くいるのも事実。これは力士特有の激しい稽古や立ち合いによる膝の使い過ぎが問題です。半月板や軟骨が壊れてしまうと、1カ月ぐらい休んでも、とても治るものではありません。骨はある程度戻りますが、軟骨は戻らないのです」

 

 今は再生医療が盛んになってきましたが、膝の軟骨を再生する治療は非常に難しく、下手をすると人工膝関節置換手術より、よほど難しいそうです。

 「軟骨の培養自体は簡単で、数十年前から可能です。しかし、培養した自分の軟骨を損傷した形状に合わせて貼り付けるのは難しい。それを生着させるのが、また難しいのです。損傷した軟骨を治すのに今は滑膜を取ってきて、膝をガバッと開けて、培養した軟骨を滑膜で縫い付けます。非常に手間がかかると同時に生着までに安静が必要で、生着はしても、実際に衝撃に耐えられるようになるには時間がかかります。皮膚なら縫い付ければいいだけですが。軟骨をパッと貼り付けられないから治療がとても難しいのです。狭い範囲の欠損なら、自分の骨軟骨を取ってきて植え付けることができます。しかし、直径1センチのものが3個ぐらいまでで、本当に狭い範囲に限られます」自分の血液を採取して関節内に注射する多血小板治療法も盛んにおこなわれていますが、痛みや炎症を改善することができても、軟骨は再生されません。膝関節の軟骨は厚さ2ミリぐらいしかなく、歳を取ると1ミリぐらいに薄くなってしまうそうです。

 

コラーゲン・トリプペチドも有効。軟骨を守る栄養も有効

 丸山院長は「日常生活で軟骨を守るには、階段を降りるときなど、なるべく、つま先から着いてゆっくりかかとを降ろすようにソフトランディングを心がけることが大事です。ドタドタ歩いたり、階段を降りたり、走って階段を降りたりしては駄目。肥満にも気を付けて。栄養面では、軟骨の構成成分の生産を促進するサプリメントのコラーゲン・トリプペチドの摂取が有効なことが研究(提供元:ゼライス株式会社)で分かってきています。既に膝痛がある人は、他の療法と併用することでも治療効果があります」と話しています。

関町病院院長 整形外科医 丸山 公院長

(提供元)ゼライス株式会社

 

ワタキューメディカルニュース(W・M・N)の印刷は、各ページの画面右下の「このページを印刷する」をご利用ください。両面印刷や集約印刷(Nアップ印刷)をご活用頂きますと印刷枚数を効率化できます。