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情報提供:メンタル不調につながる危険性も 慢性痛は早期ケアが重要

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痛み物質は脳内の不安物質に影響を及ぼします

心因性の痛みは早期ケアが重要です

 

 

痛みがあると周りの家族がメンタル不調になることも

 「ストレスですね」「加齢による痛みです」「普段の姿勢の悪さからくるものです」と言われて飲み薬や貼り薬等処方されてもあまり効果を感じられずに途方に暮れた経験が誰にでもあると思います。痛みを理解してもらえない、改善しないもどかしさから医師との信頼関係が結べずに、ネットの評判や口コミで病院やクリニックだけでなく、整体やマッサージなどをコロコロと変えるのがドクターショッピングです。

 ある調査では頭痛、腰痛、膝の痛みなど、長く続く慢性の痛みのある方は成人の15~40%。70歳以上では約半数の50%が日常的な痛みに悩まされていると言われています。慢性の痛みは本人しか分からない感覚で、ほかの人にはなかなか理解してもらえません。なおかつ、痛みには必ず「つらさ」が伴います。不安になり、怒りがちになって、他人への気配りを忘れたりします。放っておけば、自分がつらいだけでなく、周囲の人まで憂鬱にさせてしまうこともあります。このように痛みが解決しないことでメンタル不調につながるケースがあると医師は証言しています。また、寒いときや温度差があると痛みを訴える人が増えます。気になる場合は専門外来を受診してほしいと医師はアドバイスしています。

大阪なんばクリニック
森本昌宏院長

 

進化する痛み治療。慢性痛は専門外来で相談を。

3軒以上の整形外科をドクターショッピングしたらペインに相談

 痛み治療の第一人者で大阪なんばクリニック院長の森本昌宏院長は「ペインクリニックは、従来の医療では十分に対応しきれない痛みだけでなく、体のさまざまな不調を専門に扱う医療部門です。主に麻酔科医が担当しています」。

麻酔科は手術中や術後の痛みを軽減するために生まれた科ですが、外来でも痛みの治療を手掛けるようになり、医学の専門分野として発展してきました。

 

病気やケガは治癒しても痛みだけが残る場合も

 森本院長によると「従来、『痛みは病気の一症状』『病気を治せば、痛みも取れる』と考えられてきました。確かに原因となる病気が治ると、痛みはなくなってしまうのが普通です。しかし、痛みに対して早期に適切な治療をせずに放っておくと、大変なことになることもあります」。

 痛み情報は、大脳辺縁系(脳の中で感情や欲求などにも関わる領域)に悪影響を与え、その結果、感情に変化が起こり、不安を生じます。脳や脊髄の細胞に痛みが記憶され、さらに痛みをこじらせてしまうこともあるのです。

 

痛み治療は丁寧な問診で本人の感覚と辛さを理解するところから

 痛みのメカニズムの研究はさまざまな領域で進められてきました。末梢神経にある痛みの情報の受け皿(受容体)や、その情報(インパルス)を脳まで伝える神経回路、神経間での情報の受け渡しを担う神経伝達物質、痛みを認識する脳の部位などが明らかにされつつあります。

 しかし、すべてが解明されているわけではありません。主観、情動としての痛みの深層を解明していくには、多くの壁があります。その人が痛みを感じ、つらいと思っている個人的な情緒的状態に加えて、周囲の状況、社会的な影響の大小も考慮しなければ、痛みの本質は見えてこないのです」と解説しています。

 

痛みは「急性痛」と「慢性痛」がある。慢性痛は過去の神経障害がきっかけに

 痛みは「急性痛」と「慢性痛」の二つに分けられます。指を切ったり、やけどをしたりしたときに起こる急性痛は、身の回りの危険から私たちを守ってくれる警告信号であり生理的な痛みです。

 それに対して、ペインクリニックを受診される患者さんの多くを悩ませている慢性痛は、人間にとって必要のない『病理的な痛み』です。急性痛は「原因がなくなれば、消える痛み」であり、慢性痛は「原因がなくなっても消えない痛み」と言えます。

 慢性痛は過去に末梢神経や中枢神経系が何らかの障害を受けて、さらには自律神経系が異常を起こしている状況下で作り出されます。つまり、痛みに対する感受性が高まっている状態です。さらに慢性痛は意欲の低下や食欲不振、不安、うつを引き起こし、その結果、自分の殻の中に閉じこもってしまうこともあります。

 

痛みの情報をブロックする

 幼いころ、頭を角にぶつけ、『痛いの痛いの飛んでけ~』と母親におまじないをしてもらって、頭をさすられていると、不思議に痛みが楽になった経験をお持ちではないでしょうか。実はこうした痛い部位をさする、圧迫するといった無意識の動作は理にかなっていて、痛みの情報が脳へ伝わることを抑えてくれるのです。

 「どのような学説かを簡単に紹介すると、頭や向こうずねをぶつけたことによる刺激は痛みの受け皿(侵害受容器)を興奮させます。その興奮は末梢神経によって脊髄の入り口へと運ばれ、脊髄を通って脳の痛みの中枢である視床や大脳皮質へと伝わりますが、その際、すべての情報が脳へ伝えられるわけではありません。脊髄の入り口には門番が待ち構えていて、ゲートの開け閉めをしているのです」。この門番は痛み情報の脊髄への伝達を調節しています。門番によってストップをかけられた痛み情報は、脳の中枢に伝わらなくなるのです。

 

ペインクリニックは神経の痛み伝達経路を理解して治療をする

 「慢性痛に悩まされていても、何かに集中していると痛みが軽くなるという経験をお持ちの方もおられるかと思います。このことは、脊髄の入り口以外にも、中枢神経のいろいろな部位に門番が存在することを示唆しています。つまり、精神活動や記憶などによって、多くの門番が痛みを変化させているのです」と解説しています。その他にもさまざまな痛みを和らげるシステムが体には存在しています。「下行性抑制系」と呼ばれる脊髄の伝達経路や痛みを軽減するエンドルフィンなどの化学物質の分泌などです。

 現在のペインクリニックは、こうした痛みを和らげる体内のシステムにもアプローチをして治療を行っています。

 

痛み治療の第一人者として著書も多数

 

Cアームという透視装置を使った精度の高い痛み治療だけなく漢方や鍼灸も

 「ペインクリニック根幹となるのは局所注射法です。この治療法は特殊な細い注射針を用いて刺激の弱い薬液を注入するので、それほど痛くありません」。

 大阪なんばクリニックでは、「Cアーム」という透視装置による精度の高い安全な局所注射が可能になっています。エックス線下の画像モニターに映し、正確に部位を特定して針を刺し、そこに直接薬を注入したり、高周波熱凝固法としてパルス波を流したりします。

 「ほかにもさまざまな最新治療を行っています。例えば、痛みを和らげる体内の『下行性抑制系』の働きを活発にする脊髄刺激療法や椎間板内治療が有効です」。

 薬物療法では、通常用いる鎮痛薬のロキソニンではなく、鎮痛補助薬とされる抗てんかん薬、抗うつ薬を用いています。東洋医学療法による鍼灸、漢方薬の処方も行っています。

 

理学療法と組み合わせた新しい治療法を確立。注射だけでは解決しない

 心身医学的療法や理学療法(リハビリテーション)も含めた治療法の導入によって、ペインクリニックの治療対象も広がっています。痛みだけでなく、自律神経のアンバランスや心因性の要素が大きく関わる症状なども対象になります。「ペインクリニックは、人のこころと体の関わりを考えるところから始まった医療であり、痛みをはじめとする体のさまざまな不調の原因を診断、治療し、〝付き合っていく〟診療科目です。注射で痛みだけを取れば解決するというものではありません」と森本院長は解説。

 痛みには情動が関係します。痛いと思うのが感覚であり、それをつらいと思うのが情動です。つらさを和らげるためには痛みだけでなく、人間全体を見ないと治療は成り立ちません。

 

臨床心理士が心もケア。コロナ禍でストレスも増加傾向

 「痛みが激しくなれば体を動かすこともままならず、人間性を失ってしまうこともあります。長年痛みを抱えていると、心理的に問題が出てくることもありますから、私たちは診療に当たっては臨床心理士によるカウンセリングも併用しています」。肩の痛み一つとっても、原因はさまざまであり、その部位だけを考えていては解決策は生まれません。総合的な視点で人間を見ること、つまり、全人的な医療が不可欠です。しかし、臓器別に専門が分かれた現代の医療においては、その点がないがしろにされているのかもしれません。

 森本院長は「いろいろな医療機関を訪ねても満足のいく結果を得られなかった方は是非おいでください」と話しています。

 

痛みのある方には通院しやすさが大切

南海なんば駅改札奥専用エレベータですぐ

 

MRI

ペイン治療を行う透視化下処置室

専用エレベータで受付へ

 

大阪市中央区難波5-1-60 なんばスカイオ9階
06-6648-8930

 

大阪なんばクリニック広報代行 /株式会社J&Tプランニング

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