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ホテル短信

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 先月出張で泊まりたいホテルランキング【トップ10】が発表されたが、投票者の意識の違いを「おっと、そう来たか。」と感じたランキングであった。

 尤も、アンケート調査内容が立地、朝食、料金、大浴場、ブランド力、スタッフサービスの質、客室の快適さや景観等がアンケート項目になっているが、回答者の大半はビジネスホテル宿泊者の筈である。

 

 出張族にとって宿泊料金と言うのは大事な要素であると思うが、そもそもこれら1位に輝いたアパ、2位のドーミーインは従来のビジネスホテルと違い宿泊単価にダイナミックプライシング方式と言う変動料金制を採用し成功しているホテルである。謂わば出張族にとっては繁忙期には会社の旅費規程を大幅に上回る料金設定で泊まれない高嶺の花なのである。

 設備・サービスが充実しているとは言え、出張族にとって先ず重視するのは宿泊料金ではないのかと思うのだが、昨今の出張族の感覚に大きな変化が生じているのを実感する。

 

 以前から航空機チケットではダイナミックプライシング方式が採用されていたが、昨今はUSJ、TDLの入場券然り、サッカーJリーグ、プロ野球チケット迄この方式を採用している企業が増えており一般大衆には当たり前の様に浸透しているからこの投票者もこの方式を採用しているホテルに違和感が軽減しているのかもしれない。最近では国土交通省も奨励してタクシー料金にも採用されていると聞くからビックリだ。

 

 そもそも変動料金制を採用するホテルオーナーは、企業価格とはブランド力にあり、原価と売価は関係なく値付けは市場が付けてくれるものという考えが根底にある。

 つまり、資本主義市場経済では欲しい人が多いと高い値段が付く。価格を人為的に決めるのではなく、市場が決めるのが市場価格なのだ。

 

 元々需要と供給のバランスを比較して年間に掛かる固定費(人件費や光熱費、設備の減価償却費等)を変動費、利益を考慮し、価格を変動させても経営が成り立つ様に算出されたのがこの方式である。最近ではこの値決め試算を変動させるタイミングにAIが導入され、顧客の足元を見て価格を提示するのではなく、蓄積されたデータをアルゴリズムに基づき最適な価格を算出しダイナミックプライシングを実行しているのである。

 

 翻ってリネンサプライ料金はどうなのだろう?

 ホテル業界にとっては常識と捉えられている方式を我々リネンサプライ業界が利用できないのは如何なものかと未だに理不尽さを感じる。

 ホテルにとっては経費かもしれないが、我々からすれば歴とした商品なのである。繁忙期になれば想定以上の変動費、固定費が掛かるかと思えば、閑散期は極端な需要減で固定費倒れとなり苦しんでいる経営者は多数いるのだ。

 

 過去にも燃料高騰時にサーチャージと称して一時的に客先に料金upを認めて貰った事はあるが、昨今は毎年の様に人手不足、動燃費高騰等、工場経営で苦しんでいると云う境遇はホテルもリネンサプライも同じだろう。ならば、リネンサプライ料金にもダイナミックプライシングがあって然るべきではないかと思う。毎年赤字を垂れ流すのではく、掛かる年間経費を割出し、時にはオプションも付けて顧客にも理解頂ける理想的な宿泊料金に沿う市場価格をそろそろ設定してはどうだろうか?