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ホテルリネン業界のつぶやき

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 当面のライバルはトルコ、メキシコ、タイ、ドイツ、イギリス、オーストリアだ‼

 

 これはオリンピック競技でもなくサッカーでもラグビーでもない。2019年時点で12位だった日本のインバウンドが6,000万人に達する為に抜かねばならないライバル国の事だ。

 

 不動産不況と米中貿易戦争で経済成長に伸び悩む中国、ロシアのウクライナ侵攻、パレスチナ紛争の再発等、この数年世界勢力も大きく変化し米英欧布陣とロシアを中心とする反西側勢力に2分され世界ランキングどころではなくなってしまったのか、コロナ禍に入ってから最新のランキングが未だ出ないが、2020年のTOP10にハンガリー、クロアチア、トルコ、デンマークが新たにランキング入りしていたのが日本にとっては脅威である。

 

 因みにこの年の日本はインバウンド412万人で25位と大きくランクを下げたが、2023年は2,507万人と2019年のピーク比78.6%に到達。2024年は3,310万人と試算され、日経平均36,000円台、長引く円安のお陰なのか貿易赤字も縮小し経常収支も黒字転換し表向き体力的には漸くスタート地点に立てそうな所まで回復して来た。

 

 コロナ前より人出不足問題を引き摺ったまま2024年がスタートしたが、予想通りホテル業界ではコロナの痕跡が大きな傷跡として残っている。2022年度の1施設当りの平均純資産額は3,100万円と19年度比8割以上も減少し、自己資本比率はコロナ禍の3年間で17.7%から2.1%迄減少、債務超過企業の割合も41.5%に上昇しており瀕死状態に変わりはない。

 

 2020年には4,000万人を迎え撃つと豪語していたホテル業界であったが、コロナで多数の人材流出及びゼロゼロ融資の返済も儘ならず、約40%がゾンビ化している有様。これ以上の受け皿を失うのは大きな痛手になる為、政府は融資対策や人材確保対策を真剣に検討すべきである。

 そういう最中に発生した能登地震で破損や倒壊したホテル・旅館等は目下お手上げ状態の筈なので地域観光を支える為にも政府援助は欠かせない。

 

 宿泊・飲食・医療といった若い労働力に依存している業種では、倒産しないまでも既に人手不足によって事業運営が制約されるという事態に陥っている。昨年後半から稼働が回復してきているが、アルバイトを確保できずコロナ前よりも人件費や材料の高騰で採算が厳しくなってきている。来る3,310万人という空前のインバウンドを迎え撃つ業界としては体力を試される年になるであろう。

 

 コロナ禍とデフレからの完全脱却が実現すれば、労働需要が増え、人出不足が深刻化する。長期的にも、少子化の影響で若い労働力が激減するので人手不足は序の口でありこれからが本番と考えるべきである。この状況下、堅調なIT業界ではAI関連の引合いが増えている様で、人材対策としては

 

①出来るだけ人を使わない為の対策

②人を確保する為の対策

 

に大きく分類され、とりわけAIの活用が今後重要なポイントになる様である。

 

 新陳代謝の激しいホテル業界ではここ数年AI導入により顧客嗜好dataの収集、変動価格制導入等を取り入れ、顧客満足化を図ると共に省人化で結果を出し生産性を向上させているホテルも出現してきている。AIホテルとアナログホテルに今後大きく2分されるが、AIも進化して行く為、設備投資を怠った企業の行く末は自明の理である。企業改革は益々スピードアップが重視され、この現象は今後も続く事から我々リネン業者にもAIの導入が必須となるのだろうか。

 

 社内の決定事項もAIが方向性を示してくれるので井戸端的な会議は不要に、人事評価もAIが方向性を示す様になる等、考えたら恐ろしい現実が迫りつつある。IT化していない企業が若い世代に見捨てられない様になるには昔ながらの思考回路を捨てねばならないことは重々承知の上であるが、恐ろしい武器が出現したものだ。企業はAIを取り入れなければ次のステージに上がれないのか?

 

 リネン業界も大きな岐路に立たされている様な気がする。