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短信:抗加齢医学会 WEBメデイアセミナー(ダイジェスト) 「資産管理と認知症」

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抗加齢医学会 WEBメデイアセミナー (ダイジェスト)

「資産管理と認知症」

 

京都府立医科大学大学院医学研究科 精神機能病態学 教授

成本 迅 先生

 

 2023年6月に成立した認知症基本法では,基本的施策の4番に「認知症の人の意思決定の支援及び権利利益の保護」が掲げられており、法案の17条において、適切な支援、指針の策定、情報提供の促進、消費生活における被害防止のための啓発等の施策を実施することが謳われています。

 認知症の方の意思がきちんと反映されながら生活を送ることができるようにするために、元気なときから啓発をし、今後起きる可能性のある様々なトラブルを予防するための備えについて教育することが重要だと考えています。

 

 認知症の原因疾患の多くの割合を占めるアルツハイマー型認知症の場合、ゆっくりと進行するため、36%の人が医療機関を受診するまでに1年以上かかっており、20%の人が初診から確定診断に至るまで1年以上かかっています。認知症と気づかないまま暮らしている方が非常に多く存在し、経済活動にまつわる様々なトラブルが発生しています。

 

 このような問題を解決するために意思決定支援の面から研究開発を進めており、研究成果を社会実装するための機構として意思決定サポートセンターを設立、金融機関高齢顧客対応ワーキング・グループを立ち上げて認知症対応の向上を目指して活動しています。

 

 金融取引のうち、日常生活の維持に直結する支払い機能については、判断能力が低下しても取引ができる仕組みづくりの提案をしており、資産運用や遺言関連の残すといった複雑な取引の理解が必要になる機能については、取引の可否を判断できる仕組みづくりが必要と考えています。医療分野では、アドバンス・ケア・プランニングといって認知症になる前に自分の意思を伝えておくことが推奨されていることから、金融商品づくりにも活かしてもらいたいと考え、認知症の発症前後でどのようなことが起きるのかといった情報を金融機関の方に提供し、商品開発に役立ててもらっています。

2023/12/7