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No.798 2026年度目途に「標準的な出産費用の自己負担」を無償化 厚労省・出産関連検討会

2025年06月16日

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◇「2026年度目途に「標準的な出産費用の自己負担」を無償化 厚労省・出産関連検討会」から読みとれるもの

・出産育児一時金の引き上げの一方、正常分娩の出産費用は10年間で9万円近く上がった

・診療報酬の設定を適切に行い、産科医療機関が経営を維持できる制度設計

・都市部などでは採算割れ、産科医側は保険適用に慎重論

 

■出産育児一時金の引き上げの一方、正常分娩費用の上昇が続いている

 妊産婦の支援策に関する厚生労働省の「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」(座長=田邊國昭東京大学大学院法学政治学研究科教授)は5月14日、2026年度を目途に標準的な出産費用の自己負担を無償化する方針を固めた。今後、社会保障審議会・医療保険部会や中央社会保険医療協議会などで具体的な制度設計を行う。

 

 全国の正常分娩の平均出産費用は2024年度上半期に51万8000円程度と、10年間で9万円近く上がった。現在は帝王切開など一部のみが公的医療保険の対象となる。正常分娩は対象外で、代わりに出産育児一時金を支給する制度がある。出産育児一時金は2023年4月に42万円から50万円に引き上げたものの、その後も正常分娩費用の上昇が続いている。費用を一時金で賄えないケースが全体の45%に上っている。(図6 出産費用の現状と検討課題

 

出産費用の現状と検討課題

 

 この決定は、少子化対策の一環として、妊婦の経済的負担を軽減し、安心して出産できる環境を整えることが目的。日本では少子化が進行しており、2023年の合計特殊出生率は全国で1.20、東京都では0.99と過去最低を記録した。この状況を受け、政府は2023年12月に「子ども未来戦略」を策定し、出産費用の保険適用導入を含めた支援策の強化を検討してきた。この方針に沿って出産関連検討会で、周産期医療提供体制の確保、出産に係る妊婦の経済的負担の軽減、希望に応じた出産を行うための環境整備-などの検討を重ね、5月14日の会合で「議論の整理」を行うに至った。

 

診療報酬の設定を適切に行い、無償化に向けた具体的な制度設計

 検討会では、以下のような制度設計の方向性が示された。①標準的な出産費用の自己負担をゼロにする:産科医療機関の経営実態を考慮しながら、無償化に向けた具体的な制度設計を進める。②出産費用の「コア部分」と「オプション部分」の明確化:医師の判断で必要とされる診療・ケア(コア部分)と、妊婦が希望するサービス(オプション部分)を区別し、それぞれに適切な支援を行う。③医療機関の経営維持:診療報酬の設定を適切に行い、産科医療機関が経営を維持できる水準を確保する。

 

 この制度の導入にあたり、以下の課題が指摘されている。①財源の確保:医療保険財政への影響を考慮し、現役世代の負担を抑えながら制度を設計する必要がある。②医療機関の対応:出産費用の保険適用により、産科医療機関の経営が困難になる可能性があるため、適切な報酬水準の設定が求められる。③地域医療体制の維持:分娩を取り扱う医療機関の減少を防ぎ、地域の周産期医療提供体制を維持するための支援策が必要となる。

 

■都市部などでは採算割れ、産科医側は保険適用に慎重論

 「出産費用の保険適用により、産科医療機関の経営が困難になる可能性がある」との指摘の背景には、「出産育児一時金の増額後も出産費用は、出産育児一時金の増額後も出産費用は年々上昇し、地域・施設間格差が大きい」ことがある。

 正常分娩の平均出産費用を都道府県別にみると、東京都は2023年度に62万5372円で、最も低い熊本県(38万8796円)と比べ1.6倍の開きがある。保険適用するとしても全国一律ではない柔軟な仕組みが必要になるかもしれない。また、保険適用によって3割負担が生じれば現在よりも自己負担額が増える恐れもある。

 このため、産科医側は保険適用に慎重論が根強い自由な料金設定ができなくなり、一定の金額に抑えられれば都市部などでは採算割れするとの見方があるからだ。日本産婦人科医会が2024年に実施した調査で、正常分娩の費用が保険適用になれば「分娩取り扱いをやめる」との回答が785施設中60施設(全体の7.6%)だった。「制度内容により中止を考える」も426施設(同54.3%)に上った。検討会の議論の整理には具体策の検討にあたって「産科医療機関などの経営実態にも十分配慮」するよう明記した。「自己負担無償化と安全で質の高い周産期医療提供体制の確保・存続の両立を図る」とも言及した。

 

 今後、社会保障審議会・医療保険部会で「制度設計」論議を行い、保険適用(現物給付化)の方向が固められた場合には中央社会保険医療協議会で「報酬設定」論議が行われることになる。

 

 

 

 


 

 

 1人目の出産には立ち会った。

 予定日を過ぎても何の兆候も現れない家内が、予定日から2日程度を経て破水、そこから比較的時間を置きながらの、ゆったりとした入院当日であった。

 昼間には何事もなく家内と病室で過ごし、さらに本当に何もないまま就寝時間を迎えることとなった。

 しかして、草木も眠る丑三つ時、それ(陣痛)は起こった。

 「痛い痛~い!!」もはや尋常とは思えぬほどの家内の叫び声。

 そこからナースコールで看護師を呼び出し、長い長い、実に長い初産のトンネルが始まった。

 まだ見ぬ我が子の心電図モニターが家内のお腹に装着され、とにかく、「大丈夫か?」と声をかけたり、痛がる家内の腰や背中をさするしかできない夫(筆者)。

 永遠とも思われた家内の苦痛にうめく声が、我が子の「オギャー」の声と同時にようやく聞こえなくなるまで、実に12時間以上の時間を要した。初産ではそう珍しくない事であるらしい。現に深夜に陣痛が始まっても、どれだけ家内が「痛い痛~い!!」と叫んでも、看護師が一人横にいてくれれば良い方で、助産師や医師がいよいよ分娩室に駆け付けたのは、我が子が生まれる、ほんの20~30分程度前のことだ。それまでは延々と、心電図から増幅された我が子の心音を聞きながら10時間以上もの間、夫が家内の体をさするしかない状況。よく見れば自分の格好も深夜に起こされそのままだったので着替える暇など当然なく、寝巻に近い、なんとも冴えないスウェット姿。

 家内とともに初産を経験したことで、我が子がそれこそ五体満足で生まれてくれたことに、言い知れぬ感動と、感謝の気持ちで涙が溢れた。今となっては良い思い出だ。

 当時いろいろ調べた結果、協会けんぽに直接払制度を申し込んでいたので、当時38万円だった出産育児一時金は筆者の手元にくることはなく、直接医療機関に振り込まれたはずである。当初聞いていた出産費用は38万円では当然金額不足だったので、退院時に一時金である38万円との差額を支払った。当時はまだクレジットカードが利用できる医療機関はあまりなく、その病院は、クレジットカードは使用できなかったが、デビットカードは使うことができたので、一応キャッシュレスな支払いを済ませたのだが、なかなかの出費であったと記憶している。

 その出産育児一時金は今や50万円になっているのだ。そして絶対額としてはまだ「不足」だというのだ。

 

 今回は、「標準的な出産費用の自己負担」を無償化検討が始まった、というのがテーマだ。

 因みに今から約15年以上前に筆者が支払った出産費用は、仮に50万円頂いていたとしても、若干足が出てしまう設定だったと記憶している(※2)。家内と我が子については入院から退院まで計5日間。あれだけの体制を維持するには、それなりなコストはかかろうものだ。そう感じざるを得ない。これが公的医療保険ならば、個室なので室料差額は自費だとしても、数万円の支払いだけで済んでいたとも考えづらい。

 厚労省「令和4年 出産育児一時金について」によれば、

 

 入院料      115,776円★

 分娩料      276,927円★

 新生児管理保育料  50,058円★

 検査・薬剤料    14,419円★

 処置・手当料    16,135円★

 室料差額      17,255円

 産科医療保障制度  15,203円

 その他       32,491円

 合  計   538,263円

 

 だそうだ。

 ★が仮に公的保険適用だとすれば、★小計473,315円で、その30%は約142,000円だ。

 そこに、残り自費分(*)64,949円を加える。保険適用されていれば206,949円だ。

 (*)…もしかするとその他のうちに入院時食事療養費相当分の金額はあるかもしれないので、実際には4,000円~5,000円はその分(食事療養費の給付分)安くなるのかもしれない。他におむつ代とか、新生児ベビーセット代とかの消耗品が入っているのだろう。

 通常分娩の全額自費負担と、仮に医療保険適用だとすると、約30万円程度の自己負担減となる。のか。

 さらに、今回の議論は「出産時の自己負担をなくす」ことにあるので、この例からすれば、自己負担は5万円台後半に収まる可能性が高い。

 そうなれば、新制度の原資として出産育児一時金が使用される可能性がないとも言えないので、もしかしたら出産育児一時金の支給がなくなるのかもしれないが、仮に現行通りに支給されるとするならば、以降の子育てにも当然お金はかかり続けるし、絶対額としてはこちらの方が大きいのだが、我が子が生まれたという、人生でも最大級に近い喜びのイベントである初回のひとときだけでも、少しは「浮き」になってウキウキできるのかもしれない。それが少子化対策として、ほんの少しの契機となるならば、この国の未来のためにも喜ぶべきことである。

 

 コメントを紹介したい。

〇「お財布のいらない出産」の実現を求める提言書

 自民党の「出産費用等の負担軽減を進める議員連盟」(会長・小渕優子組織運動本部長)は3月27日、首相官邸を訪れ、出産時の自己負担をなくす「お財布のいらない出産」の実現を求める提言書を石破茂首相に手渡した。「提言(骨子案)」は、出産数の低下が進むなか、今後さらに子育て世代が安心して子どもを産み育てることができるよう、①出産無償化の推進と産科医療体制の確保との両立②妊婦健診の負担軽減③無痛分娩(硬膜外麻酔)への対応④妊婦への伴走支援─について要望。標準的な出産費用の自己負担の無償化(お財布のいらない出産)を着実に進める。検討にあたっては、妊産婦の費用負担軽減とともに地域の産科医療体制の確保が両立するよう、産科医療機関の経営実態等にも十分配慮し、必要な支援を行うと明記。①は、標準的な出産費用の自己負担の無償化(お財布のいらない出産)を着実に進める。検討にあたっては、妊産婦の費用負担軽減とともに地域の医療体制の確保が両立するよう、産科医療機関の経営実態等にも十分配慮し、必要な支援を行うと明記した。

 

〇妊婦のお財布にも、医療現場にも優しいwin-winの政策実現を図りたい

 「出産費用等の負担軽減を進める議員連盟」事務局長の国光あやの衆院議員(元厚労技官:医師)は、「政府の子ども未来戦略でも既に打ち出されているが、改めて厚労省の検討会で、来年の法改正に向けての方向性が確認された。産科医療機関の経営の厳しさは同じ医師としてもよく分かるが、既存の仕組みのままでは、妊婦の自己負担は年々増えるばかりで、痛切な声をいただいている。産科医療機関の経営は、類型別の必要額を明確にした上で(他診療科と同様に(例えば外科系では学会が出す外保連試案等がベースに費用設定))、妊婦の自己負担に影響しない補助金等で手当するなど、政策上の工夫を模索する余地もある。 妊婦のお財布にも、医療現場にも優しいwin-winの政策実現を図っていきたい」と述べた。


 分かり易い表現として国民に訴えたいお気持ちはよく分かるが、

 「お財布のいらない」

 「妊婦のお財布にも、医療現場にも優しい」

 この表現、読者諸氏におかれてはどうお感じになっただろうか。

 筆者としての ひとりごと を。

 ・いくら無償化だったとしても自費負担分は存在するので、お財布なしで入院するなんてことは、怖くてしょうがない

 ・「妊婦のお財布」とあるが、もしかしたら、シングルマザーの出産がないとは言い切れないが、普通、支払うのは夫が行うのではないだろうか?つまり、せめて「夫の財布に優しい」、とか、「夫婦の財布に優しい」、もしかしたら「親御さんの財布に優しい」、とかの表現にすべきでは?

 ・さらに言えば、今や国を挙げて「キャッシュレス」を推進している時代。スマホが財布代わりの人だって多いはずで、もはや「財布」という表現自体、しっくり感じない

 ・せっかくだからQR決済などで医療機関(助産所)で支払うことが可能にするとか、ポイント払いも可能とするとか、お祝いとしてポイントを何十万ポイント付与するとか、これから子を産もうとする方がすべて若い世代だとは限らないが、もはや母親は(父親も)デジタルネイティブ世代であることを前提とした議論にすべきでは?

 

 厚労相のコメントだ。

〇出産費用が年々上昇している。何らかの制度的な対応が必要

 5月16日の厚生労働大臣記者会見で福岡厚生労働大臣は、有識者検討会において、「今後、令和8年度を目途に、産科医療機関等の経営実態等にも十分配慮しながら、標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた具体的な制度設計を進めるべきと整理された。これを受け、具体的な制度設計の検討を進めていくことになるが、出産費用の地域差が大きいこと、また、一昨年に出産育児一時金を50万円に増額した後も、出産費用が年々上昇しているといった状況に鑑みれば、何らかの制度的な対応が必要ではないかと考えている。引き続き、妊婦の経済的負担の軽減を図るという観点から、どのような枠組みがふさわしいか、関係者の方々の意見を丁寧に伺いながら、具体的な検討を進めていくことになる」と発言した。


 ですから、経済的負担は妊婦、ではないとは言わないが、「夫も含めた世帯としての経済負担」の方が妥当では?

 

 有識者検討会メンバーのコメントだ。

【診療側】

▼「標準部分」と「オプション部分」との切り分けで現場が混乱しないように留意する必要がある。また既に保険適用(現物給付化)されている異常分娩(帝王切開など)についても無償化するのかなどの議論も進める必要がある。また地域の医療機関経営を維持するために「別財源による支援」の検討も行ってほしい(濵口欣也構成員:日本医師会常任理事)。

 

▼わが国の優れた周産期医療提供体制は1次・2次・3次医療機関の機能分担・連携によって成り立っている。この構造が崩れないような仕組み・報酬水準とすべき。保険財源以外の財源による医療機関経営支援も考えるべき(石渡勇参考人:日本産婦人科医会会長)。

 

▼産科クリニックが分娩をやめれば、高次病院の負担が過重になる。そうした事態が生じないような仕組み・報酬水準とすべき(亀井良政構成員:日本産科婦人科学会常務理事)。

 

【支払側】

▼医療保険制度の担い手である現役世代の負担にも配慮した議論が必要である。出産費用・内容の見える化、標準的なサービスの明確化が極めて重要となる(佐野雅宏構成員:健康保険組合連合会会長代理)。

 

▼出産にかかる診療の質向上、標準化のためにも「保険適用」(現物給付化)が必要で、標準的なサービスの明確化を進めることが重要である(松野奈津子構成員:日本労働組合総連合会生活福祉局次長)。


 診療側としては、別財源の活用も視野に、お金のかかる出産にもっとお金が必要だ、というご主張。

 支払側としては、別財源のことはまずは考慮として入ってなく、何が「無償化すべき標準」なのかを明確にすべし、それが診療の質向上につながる、というご主張だ。

 

 産科を持つ、あるいは産科医療機関のコメントだ。

〇本来、出産は自由診療。本人の希望を重視して選択できるように

 本来、出産は自由診療で、デラックスなパターンからごくリーズナブルなパターンまで、本人の希望を重視して選択できるようにするべきだと思う。

 

〇出産一時金制度を全廃、厳密に自費であるべき室料や食事料、アメニティの部分は適用範囲外

 無償化は絶対に反対。適用範囲を厳密に定めて保険診療化し、出産一時金制度を全廃して厳密に自費であるべき室料や食事料、アメニティの部分は適用範囲外とすればよいのではないか。


 臨床に近ければ近いほど、大枠としては自由診療部分を大事にしたい、というご意見だ。いったい、国会議員はこの議論の発端となる意見を、どの層から耳にし、議員連盟を立ち上げたのだろうか。

 

 医師のコメントだ。

〇出産費用は高齢者や外国人も支払うことができる消費税で賄うべき

 出産は多額の固定費がかかる。これを保険料だけで賄おうとしても結局現役世代の負担となる。人口減少を抑えるため、出産費用は高齢者や外国人も支払うことができる消費税で賄うべきだ。

 

〇保険で分娩費を賄うと、経営破綻して分娩を取り扱う医師が減る

 保険で分娩費を賄うと、経営破綻して分娩を取り扱う医師が減る。多忙からのトラブル、医療ミス、事故が頻発し、数年で産科医療は崩壊するだろう。いったん壊れた医療システムは容易には元に戻らない。産科医の献身的なご尽力によって今の周産期死亡率が守られていることに注目してほしい。


 公的医療保険を財源とするということは、つまり現役世代の負担の方が高くなるということに帰結せざるを得ないし、公的医療保険化や無償化から起こる、結果としての産科医療機関ないし助産所の経営悪化は、ただでさえ不足している産科医療にかかわる医師が減り、そうなると、残った産科医療機関に妊婦がどんどん押し寄せてくる構図となりかねない、か。

 ふー。溜め息が出てしまった。

 

 一方でこんなコメントを。

【助産師】

 出産費用の無償化は、安心して妊娠・出産を迎えられる環境を整えるために重要。特に若年層や低所得層の妊婦にとって大きな支援になる。

 

【看護師】

 出産費用の無償化は、妊婦の健康管理をより充実させる機会になる。特に産後ケアの充実が期待される。


 …医師も助産師も看護師も、臨床に近い方々のコメントであるはずなのだが、どうしてこう、無償化に対する見解がほぼ正反対に異なってしまうのだろうか。

 ここで出てきた「産後ケア」は、今注目されており、ここに特化したNPO法人や企業なども現れている。多くは出産・育児を経験した女性が産後ケアに携わろう、という気概をもって参入する、という、妊婦目線に立ったサービスだ。

 

 これから子を持ちたい世代のコメントだ。

【都会の若い世代】

 出産費用が高額であることが子どもを持つかどうかの決断に影響を与えている。特に東京では出産費用が平均62万円と高く、出産育児一時金の50万円では足りない。

 

【地方の若い世代】

 都会ほど出産費用が高くないものの、育児環境や教育費の負担を考えると慎重にならざるを得ない。例えば、熊本県では出産費用が約38万円と比較的低いが、子育て支援の充実度が都市部と異なるため、総合的な負担を考慮する必要がある。


 …確かに。

 一つ申し上げたいのは、出産育児一時金が 足る とか 足らない ではなく、妊娠から出産までもすでに金銭的にも身体的にもいろいろなご苦労がおありだったことだろう。仰いたいお気持ちは理解できるが、しかしむしろ、そこから先の、約20年近い子育てそのものが 足る のか 足らない か、是非そんな視点も持っていただければありがたい、と思った。ただ、そうなると答えは当然 足りない になってしまうのだが

 

 医業系コンサルタントのコメントのコメントだ。

〇フランスやスウェーデンでは、公的医療保障制度のもとで出産費用がほぼ全額カバー

 3月19日に開催された出産費用検討会では、日本医師会総合政策研究機構の羽藤倫子主任研究員が日医総研リサーチレポート「諸外国における妊娠出産に関する公的医療保障制度の適用について」を紹介。例えば、フランスやスウェーデンでは、公的医療保障制度のもとで出産費用がほぼ全額カバーされ、妊婦の自己負担はほとんどない。一方、ドイツやカナダでは、社会保険制度を通じて出産費用の大部分が補助される仕組みになっている。


 あとは、日本がどの国の制度をお手本とするか、だ。フランス・スウェーデン・ドイツ・カナダ、つまり欧州系なのか、あるいは…。

 

 最後にこんなコメントを紹介して締め括りとしたい。

〇「ダブルインカム・noキッズ」の老後を子育て世帯が面倒をみることに違和感

 「ダブルインカム・noキッズ」と、子育てに関係なく、海外旅行やグルメをエンジョイしている夫婦を横目に、経済的・生活にも苦労して3人の子供を育てた。今さら遅いが、「ダブルインカム・noキッズ」の夫婦に重税を課す一方、3人の子育て世帯に税制上の優遇策を講じるべきだった。シンガポールの少子化対策では、子育て世帯向け税控除、ベビーボーナスなど出産・育児支援金、教育費支援など、財政支援と税制優遇を組み合わせた施策を展開し、子育て世帯の経済的負担を軽減することで出生率の向上を目指している。「生む自由」と言われるが、「ダブルインカム・noキッズ」夫婦の老後の医療・介護について、私どもの3人の子どもたちが支えることに釈然としない。


 …それもまた一つの事実だ。

 同世代間で思想的な抗争を助長するつもりは毛頭ないのだが、あえて言えばこの視点はなるほど、と思う。

 

 「ダブルインカム・noキッズ」夫婦の老後の医療・介護について、私どもの3人の子どもたちが支えることに釈然としない。

 

 「子育て世代(コメント内の「私」)が支える」

 のではなく

 「私どもの3人の子どもたち」

 が、子を持とうとしなかったご夫婦の老後の面倒を(保険財源として)、負担するのはどうか?

 という視点だ。

 自分たちの老後の社会の担い手への投資をしなかった方々にも、少なくなった担い手は保障し続けることを是とするのか?

 

 考えてみれば他のことでも似たような事象は沢山あるのかもしれないが、出産・子育ては、子一人でも二十年近くかかる。さらにきょうだいがいればもっと長く、金銭的にも時間的にも負担は増える。それだけに、このコメントは、なかなかずっしりと重たく響いた…。

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

 

(※2)…

筆者には先の第1子を含め3人の子がいるのだが、次の出産は何と双子で、現代のお産では、双子以上の多胎妊娠は通常分娩でなく、帝王切開での出産となるのだそうで、図らずも公的医療保険扱いであった。初産の時の長時間を、さらに双子なので相応の長時間を覚悟していたのだが、予定出産だが手術 (帝王切開)だったため、夫の立ち合いは不可能で、家内が手術室に入り、30分もせぬうちに手術室の扉が開き、それこそあっという間に(言い方は悪いが何の感慨もなく)、筆者は双子を授かったのであった。
さすがに双子ということもあり、家内には手術(出産)予定日よりかなり前から「切迫流産」という大層な病名がつき、入院と相成り、筆者が土日に1才と少しになった長男とで、家内からリクエストのあった食事や甘いものを調達し、差し入れ方々お見舞いに行き、面会時間終了まで病室内で家族で過ごしたものだ。室料差額のかかる病室に入院していたため、出産育児一時金は2倍の76万円であったはずだが、確かその時も直接払制度を申し込んでいたような気がするので、入院費用の3割負担と室料差額で、果たしておつりが来たかどうか、今となっては定かでない。しかし、公的医療保険が使えるというのは「ありがた山」であった(「べらぼう」風に)。

<筆者>

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