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ホテルリネン業界のつぶやき

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 - 魅覚 -

 

 乾杯!と気勢を上げて一気に飲み干す。これは日本の乾杯ではなく干杯(gānbēi)の事だ。

 若い頃は何もわからず、一人の中国人と干杯をすると次々に私に干杯を迫ってくる。丸テーブルを漸く1周したかと思うと、次は逆回りだと言い出す。挙句の果てに頭がグルグル回転して飲み潰れた事数多(あまた)だ。

 然し、中国人との付き合いは不思議なもので翌日は皆が妙にフレンドリーになり商売が円滑に進む。この人間関係が堪らない。歳を取るにつれて酒も弱くなり干杯が苦になりつつあった時に随意(suíyì)と言う言葉を教えて貰い(こちらは日本語の意味とあらかた同じ)、便利な言葉なので最近は随意で逃げている。然し、干杯程の人間関係には辿り付けない様な気がして少し寂しい。

 

 先月から日本でも「随意」と言う言葉が流行ってきたが、心配なのは高値を掴まされて売れずに困っているコメの流通業者だ。政府は返品引取再出荷も検討されている様だが、コメの価格が安定する迄流通在庫を引取って末端に流す様な事を続けていたら中間の流通業者が干上がってしまうし、古古古米を楽しみにしている家畜に餌が行渡らないとなると鶏卵や豚肉の品質も落ちるのではないのかと気にしてしまう。食糧安保の為、欧州やアメリカでは政府が補助金を出して農家の保護に当たってきたが、日本はGHQの食糧政策で小麦を押し付けられコメ農家は減反政策を強いられてきた。その影響で農家は疲弊し現在の平均年齢は71歳、時給10円となっている。この実態を抜本的に改善せねば、孫の代には日本産の米を食卓で味わう事が出来なくなっているかもしれない。

 また、コメが無ければ輸入すれば良いと短絡的に考えているのか、トランプ大統領のご機嫌取りにアメリカ産米の輸入を開始しているが、カルローズ米って遺伝子組替食品ではないのかな?(※) 確か遺伝子組み換え食品の90%はあのモンサント社(現:バイエル社)の食品で、日本は世界一位の遺伝子組み換え食品消費国の筈だ。甲状腺癌の発生率と遺伝子組み換え食品の増加についての因果関係を誰も発表しないが、安全とは思えない遺伝子組み換え食品の輸入を政府は易々と許可している。FDA(アメリカ食品医薬品局)ですらモンサント食品に発癌性物質が含まれていると云う懸念を認識しているにも係わらずだ。

 嘗て農家では雑草が生えてくると手で抜かなければならなかった。そこで手間がかかるので人件費を掛けぬ様に開発されたのがモンサント社の強力な除草剤だ。アメリカは広大な農地に飛行機で除草剤を散布するので作物も一緒に枯れない様に生物の遺伝子を組み替える事が行われてきたのだ。

 この除草剤は、ベトナム戦争では枯葉剤としてベトナム全土に散布され、その後のベトナムで癌患者や奇形児が多数発生した記憶は消し去られてはならない。また、2015年5月に一斉に世界48か国、400都市以上で、反モンサント・反遺伝子組み換え食品の世界同時大規模デモが行われていたが、不思議な事にハッピーな国日本のマスコミは全く取り上げなかった。その一方で、モンサントの社員食堂では遺伝子組み換え食品は出していないそうだ。日本の癌患者の増加と外資系保険会社の日本市場への門戸開放も怪しい関係である。ところが、厚生労働省は日本国内に於いてモンサントの遺伝子組み換え作物の栽培を許可している。何とも不思議な日米関係だ。

 

 南北に長く、四季が明確な日本には多様で豊かな自然があり、そこで生まれた食文化としてユネスコ世界遺産に登録されている和食は、「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」を「和食」として日本人の伝統的な食文化となっている。苦労してようやく獲得した世界遺産の称号を、こういう環境下で和食に遺伝子組み換え食品が使用されるのは、和食の品質レベルを下げる事に繋がり兼ねず非常に拙い。特に、欧州では遺伝子組み換え食品についての不信感が強く反発が多い為、風説の流布に繋がり易く、下手をするとまたもお隣の国の餌食にもなりかねない。農水大臣の売国政策に賛否両論があるが、ある意味では慢性化していたコメ流通ルートの改革に一石を投じたのかもしれない。米もブランド化して本当に美味しい米なら2万円/㎏のスーピマ(高級ピーマコットン)よろしくスーパージャポニカ米の様な最高級米が出現する事には大歓迎だ。モンサントにも劣らず品種改良の技術を持っている種苗企業が日本にもあり研究をしている筈だ。競争の原理が働く方が和食のレベルアップに繋がるというもの。無理して減反する必要もないのだ。

 

 ポストコロナ時代に突入してからラグジュアリーホテルの出店ラッシュが続いている。ラグジュアリーホテルとは、最高水準のサービスや設備を提供するホテルの中でも、贅を尽くした施設だ。一般のホテルと比べて客室内装の豪華さ、サービスの質が異なる。また、レストランやスパ、フィットネス施設等、全てがトップクラスで有る事が求められる「唯一無二の体験」を提供する滞在そのものを楽しむ事が出来るホテルだ。日本では高級ホテルとラグジュアリーホテルの境界線が曖昧になっているが、世界では「ラグジュアリーホテル」は明確に定義されており、アメリカのフォーブス・トラベルガイドやフランス政府観光局で5つ星を取得しているホテルを世界基準でラグジュアリーホテルと呼んでいる。2025年の日本に於ける5つ星ホテルは全部で13軒、東京9、京都2、大阪1,沖縄1となっている。その中でもリッツカールトンは東京、京都、大阪と3軒も認定されている。流石にトップブランドだけのことはある。

 因みに4つ星ホテルは24軒、都市では東京12,京都6,大阪3,奈良1,日光1,沖縄1と、アマン、コンラッド東京・大阪、フォーシーズンズ東京・京都、帝国東京等が名を連ねている。更にその下にRecommendホテル13軒、こちらは北海道から沖縄迄リゾート系も含まれる。残念ながら嘗て新御三家の一角を占めていたパークハイアット東京や北海道の水墨ひらふは圏外となる等、他方ではホテル間の熾烈な競争激化も感じるご時世になってきた。「うちのホテルは7つ星だ」なんて馬鹿な事を言っている人がたまに居るが、ホテルの星は5つで料理のミシュランは3つしかないのだ。最近はそのミシュランがホテル分野にも出しゃばってきてミシュランキーホテルなるものが出現している。参考までに日本の3ミシュランキーホテルは6軒、ブルガリ東京、フォーシーズンズ東京丸の内、パレスホテル東京 等がある。

 ラグジュアリーホテルの先駆けとなったスイスのホテル王セザール・リッツがパリに開業した「ホテル・リッツ」が1898年、フォーシーズンズに至っては1号店がカナダのトロントに「フォーシーズンズ・モーターホテル」として開業したのが1961年と、100年余りの歴史に対して豪華さ高級感では、日本系ホテルは外資系ホテルには叶わない。然し乍ら、日本には世界に誇れる伝統というものがある。西洋と比べると高級ではないが、世界最古のホテル山梨県西山温泉の「慶運館」が今も存在する。創業は何と西暦705年の飛鳥時代だ。他にも兵庫県城崎温泉の「千年の湯 古まん」は西暦717年、石川県粟津温泉の「法師」西暦718年等、創業1300年超えの宿が未だ現存している。万葉集編纂よりも前だぞ。どうだ!

 

 古さでいうと四天王寺や法隆寺等の木造建築にしても世界最古の部類だし、これ等を建立したと言われる金剛組だって創業西暦578年の世界最古の企業だ。以前電車の中でスペイン人の建築家から聞いた話だが、石造建築の多い西洋に住んでいる人々にとっては日本の木造建築はamazing且つastonishingで、奈良・京都の寺社仏閣等の木造建造物を見るにつけ感動しまくっているとの事だった。普段からテレビや観光で見慣れている寺社仏閣も、確かに冷静に考えれば地震の多い島国に1300年以上も壊れずに残っている事自体驚くべき事だ。長寿企業ランキングにしても、世界の200年企業2129社に日本企業は1388社もランクしている。勿論、世界で一番古い王朝は日本の皇室で、起源は紀元前660年に遡ると言われており、6世紀以降は王朝が交代した史実がない為、少なくとも1500年以上の歴史がある。2位のモナコで728年、3位のブルネイで620年だからこちらも気が遠くなる古さだ。

 どうも西洋人は格付けが好きで物事を差別化する習性がある様に見受けられるのだが、この様に日本には豪華さではなく和食や発酵食品、建築、自然、伝統、詫びさび 等、他国にはない感覚に訴えるものが多数ある。免税品を沢山買いまくって空港で山分けしたり不動産を買い漁るビジネス感覚のインバウンドもいるが、日本文化に触れて虜になってくれる外国人もいるのが有難い。そういうインバウンドの為にも美的感覚だけではなく、第六感をくすぐるようなものが未だ潜在している様な気がする。実際に観光立国基本法が施行されてから未だ17年足らずしかたっていないが、日本の良さを発見してくれたのは何を隠そうインバウンドの皆さんだ。日本に来て異国文化に感動し、それをSNSで拡散してくれたお陰でインバウンドの増加に繋がっている。日本に来て日本人の目に見えないモノの発掘を更にお願いしたい。

 

 更にいうと、ひらがな、カタカナ、漢字 の3つの文字体系を持ち、敬語や複雑な文法で世界的にも難しい言語といわれている日本語の特徴として、人称数が非常に多い事が挙げられている。例えば一人称単数で英語は「I」、中国語は「我」だけに対して、「私、俺、僕…」等多数あるのは日本語だけらしい。また、動詞、形容詞も多数ある。その理由は我々の祖先がユーラシア大陸の北方、朝鮮半島、中国大陸、南洋諸島等方々からこの島に辿りつき平和に共存してきた為に死語にならず現在迄残っているからに他ならない。室町時代以前は漢語、江戸時代はオランダ語、そして開国してから日本は更に西洋の言葉を受け容れ、和製英語なる妙な言葉が今も日本語として増え続けている。兎に角、周辺の物を壊さず吸収して独特の文化を作り上げ、伝統を守りたがる習性がこの国の特徴だ。

 

 大東亜共栄圏と聞くと帝国主義を連想し誤解を招く言葉として忌み嫌う日本人も多数いる中で、イギリスの歴史家アーノルド・トインビーは1956年英紙「オブザーバー」で、“第二次世界大戦に於いて、自国ではなく、大東亜共栄圏の他の国々に思いがけない恵みをもたらした。…アジア・アフリカを支配してきた西洋人は、無敵であたかも神の様な存在と信じられてきたが、日本人は実際にはそうでないことを人類の面前で証明してしまった。これは正に歴史的偉業であった。…日本人は、白人のアジア侵略を止めるどころか、帝国主義、植民地主義、人類差別に終止符を打つ事を成し遂げた。”と肯定的に分析している。先日石破首相が行った日経フォーラム「TPP枠組み拡大」講演の最後に、「戦後80年、平和国家の歩み変わらず」と、大筋から外れた骨子を力説されていた事が脳裏に焼き付いて離れない。構想自体は戦前の大東亜共栄圏を更に拡大したイギリス、オーストラリアも含まれるワールドワイドな共栄圏だ。構想の根底に604年聖徳太子が制定した17条の憲法第1条「和を以て貴しとなす」の精神を引き継いでいる様に思われるのは気のせいだろうか?

 

(※)…

つぶやき の話の流れを損なわないために原文の表現のまま掲載しています。
・カリフォルニア州で開発・栽培された中粒種のカルローズ米は、一般的に遺伝子組み換えが行われていない。
・日本では、遺伝子組み換え作物を使用した食品には、表示義務があるため、仮に遺伝子組み換えカルローズ米が販売されている場合、その旨が明記されている。
・日本に入ってくる食品は厳しい検査体制をクリアしており、カルローズ米も安全性が確保されている。

といわれている。

<WMN事務局>