◇「厚労省、選定療養で長期収載品を選んだ場合の患者負担引き上げ案を提示 OTC類似薬の保険給付除外には賛否両論」から読みとれるもの
・後発医薬品との価格差の4分の1から引き上げる案を提示
・医療のアクセスが阻害されると反対意見
・OTC類似薬保険除外は、早期発見・治療の機会を失い受診遅延と懸念
■長期収載品希望の患者負担、厚労省が引き上げ案
厚労省は10月6日に開いた社会保障審議会医療保険部会で、2024年10月から導入された「長期収載品の選定療養」について、選定療養で長期収載品を選んだ場合の患者負担(患者の特別負担割合)を、後発医薬品との価格差の4分の1から引き上げる案を提示した。また、OTC類似薬の保険適用外について、厚労省は医療用医薬品とOTC医薬品の違いについてまとめた資料を出し、「OTC類似薬の範囲についてどのように考えるか」との論点を示した。(図1 長期収載品の保険給付の在り方の見直し)
長期収載品の選定療養については施行された2024年10月以降、後発医薬品の数量ベースでの使用割合は90%以上に上昇し、厚労省は「後発医薬品の使用促進に一定の効果があった」と評価。一方、後発医薬品を中心に医療用医薬品の供給不足の状況が数年にわたって続いている点、後発医薬品の需要増などに伴う供給停止により医療現場に負担がかかっている点をあげた。
これらを踏まえ同省は11月6日の社保審医療保険部会で、選定療養で長期収載品を選んだ場合の患者負担を「価格差の4分の1から2分の1、4分の3、または1分の1に引き上げることについて、どのように考えるか」とする長期収載品の選定療養のさらなる活用に係る論点を提示、患者の特別負担割合を引き上げるべきか、対象範囲を広げるべきかについて議論が展開された。
このうち、健保連会長代理の佐野雅宏氏は「より積極的に選定療養を活用し、患者負担の影響等を踏まえつつ負担額を拡大していくべき」と指摘。一方、日本商工会議所社会保障専門委員会委員の藤井隆太氏は「選定療養は一定の効果が上がっているが、前提となる後発医薬品の安定供給が達成されていない。患者負担の引き上げに当たっては、まず後発医薬品の安定供給に向けた取り組みに確実に対応した上で検討を進めていただきたい」と、安定供給の重要性を訴えた。
さらに、「薬局窓口での患者への説明負担を考慮して検討すべき、患者負担引き上げとなれば、薬局の負担はさらに大きくなる」(渡邊大記日本薬剤師会副会長)」「薬剤によっては患者負担が非常に重くなるケースもあろう。詳しく分析したうえで検討すべき」(城守国斗日本医師会常任理事)」、「自己負担増や、保険給付から外す形で国民の側に経済的な負担を強いるのは問題の解決にならない。医療へのアクセスが阻害される可能性がある」(全国老人クラブ連合会理事の兼子久氏)など、自己負担増への懸念を示す意見も出された。
■中医協で長期収載品の選定療養、厚労省は3つの負担増案を提示
中医協は11月14日、患者希望で長期収載品を使用した場合の患者負担を引き上げるか否かを議論した。厚労省は、①後発医薬品との価格差の4分の1相当から2分の1、②4分の3、③1分の1(全額負担)に引き上げる選択肢を提示。診療側は、「いまだ患者説明、制度の周知が不十分であるという課題への取り組みを優先していくべき」と慎重な検討を求めたのに対し、支払側の多くは、「価格差の全額を患者負担することで、後発医薬品を使用するインセンティブを生み出すことが妥当」などと「1分の1(全額負担)」を求めた。
2024年度診療報酬改定により、長期収載品の使用は2024年10月から、(1)銘柄名処方の場合であって、患者希望により長期収載品を処方・調剤した場合、(2)一般名処方の場合-に選定療養となった。後発医薬品上市後5年を経過した場合、あるいは後発医薬品置換率が50%の長期収載品が対象で、後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の1が患者負担となる。2024年10月を機に、後発医薬品割合(数量ベース)は一段階上昇し、2025年3月時点で90.6%。2024年11月に選定療養の対象となったレセプト約368万件(全体の4.9%)の分析では、特別の料金の分布は、1000円未満が90.0%、2000円未満が98.3%、3000円未満が99.8%だった。(図2 選定療養の対象となった件数、特別の料金の分布)
■OTC類似薬の保険給付除外に賛否両論
OTC類似薬の保険給付のあり方の見直しを巡る6月11日自民・公明・維新の三党合意では、「類似のOTC医薬品が存在する医療用医薬品(OTC類似薬)の保険給付のあり方の見直しについては、医療の質やアクセスの確保、患者の利便性に配慮しつつ、医療保険制度の持続可能性確保を目指すことを基本とし、令和7年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、令和8年度から実行する」とされ、その際、①医療機関における必要な受診を確保し、こどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮しつつ、②成分や用量がOTC医薬品と同等のOTC類似薬をはじめとするOTC類似薬一般について保険給付のあり方の見直しの早期実施を目指す、③その中で、個別品目に関する対応についても、これまでのビタミン剤やうがい薬、湿布薬に関する対応を踏まえ、適正使用の取組を検討する-と明記された。
医療保険部会で厚労省は患者が自ら選択する「OTC医薬品」と、医療用医薬品との違いについて説明。例えば、医療用医薬品としては単一の有効成分として流通している薬であっても、OTC医薬品には配合剤が含まれている場合や、1日当たりの最大容量が異なる場合があるとした。他にも同一成分であっても、経口剤、外用剤、注射剤といった異なる剤形区分が存在し、経口剤や外用剤は、さらに細かく剤形が分かれている。成分が一致していても、医療用医薬品とOTC医薬品双方で流通していない剤形もあることを説明した。(図3 医療用医薬品とのOTC医薬品の違い② – 成分・用量-)
同部会では、「OTC類似薬の保険適用外しを行った場合、疾患の早期発見や早期治療の機会を失い医療機関への受診遅延による健康被害が生じる」「医療については、早期発見・早期治療が基本であり、重症者に重点をおく形でいくと、患者による間違った判断等が生じ得、結果多額の医療費を要することにもなり得るため、慎重な検討が必要ではないか」「へき地等で医療機関にアクセスができたとしても、その地域に薬局がないという地域もあることから、OTC類似薬の保険適用外しは反対である」など、医療機関における必要な受診の確保の観点から、OTC類似薬を保険給付から除外することに反対する意見が出された。
その一方でOTC類似薬の保険適用除外を求める意見として、「高齢化や高額薬剤などの医療の高度化により医療費が増大していくことが見込まれる中では、費用対効果や経済性を考慮した医薬品の使用促進やOTC類似薬の保険適用除外、低価値・無価値医療の利用の抑制など、保険給付範囲の見直しについても当然手をつけるべき」「医療保険の在り方として、少額な治療では患者の自己負担の割合を多くし、高額な医療では必ずしも自己負担を大きくしないという経済学的な考え方を考慮する必要がある。保険の役割として、小さなリスクより大きなリスクへの保障が重要であり、その原則を国民の皆様にもご理解をいただく必要がある」「広い範囲を対象として追加の自己負担を求める方法や、保険給付の対象から除外する方法などについて、検討を進める必要がある」などが出された。
厚労省は、医療用医薬品とOTC医薬品の薬剤費比較について資料を提示。「現状、OTC医薬品が医療用医薬品よりも薬剤費負担が大きい傾向にあり、OTC医薬品を薬局等で購入する者の負担は医師の処方に基づいて医療用医薬品を入手した者よりも大きく、公平性に課題がある」と指摘。その一方で、「仮に特定の医療用医薬品を保険適用除外とした場合、医療用よりも高いOTCを自己負担で購入するか、薬剤費を全額自己負担することになり、これまで保険適用された価格で医療用医薬品を入手していた者にとっては負担増となる」との問題点を示した。(図4 医療用医薬品とOTC医薬品の薬剤費比較)
OTC類似薬の保険給付見直しについては、推進派(健保連・経団連)の意見「スモールリスクは自己対応すべき」「広範囲で保険除外を検討」の一方、慎重派(連合・老人クラブ・患者団体)の「受診控えによる健康被害」「医療格差拡大」「国民皆保険の根幹を揺るがす」との賛否両論となっている。今後、2025年12月には医療保険部会で方向性を提示される予定であり、2026年政府予算案編成と連動し、政権としての最終判断が求められる。

いよいよ本格的な寒さを迎えた日本列島。肌に突き刺さるような寒さをしっかり感じた時、ようやく年末に近づいたという実感が湧いてきた。年の瀬も近づいている。
筆者は今年も単身赴任中なので、今年は映画を結構観た(と思う)。ネットで2025年公開の映画興行収入ランキングと照らし合わせてみたところ、おそらく70本以上の映画を観たことが分かった。
「週末は大抵ゴルフ」というご仁が多いサラリーマン社会だが、筆者が仕事との兼ね合いでゴルフを一番多くプレーした年で年間30~40ラウンドが最高だった。聞いた話では年間50~60ラウンド回っている方もおられるという。つい先日耳にした、ある経営者のお話によれば、その方は年内予定込みで今年は何と、109ラウンドなのだそうだ。いやはや恐れ入る。
しかしながら筆者の映画70本以上も、なかなか大したものではないか。この数字ならば
「趣味は映画鑑賞です」
と自信をもって言えるだろう。さらに映画は価格的にゴルフよりもはるかにリーズナブルだ。
ゴルフは毎回スコアとの闘いだが、映画は制作側が「興行収入」でランク付けされるし批評もされる制作者同士の、いわば闘いだ。決してべた褒めばかりでなく、中にはとんでもなく辛口の批評もある。筆者が「良かったな」と思えた映画でも、ものすごい勢いで「くさす」ような批評家もいる。その方も映画が趣味なのだろうが、これはこれで筆者とは次元の異なる存在なのだろう。
批評はともかく、興行収入という指標は、その映画がどれだけ大衆から受け入れられたかを示す指標として分かり易いのは確かだ。
筆者が観た映画の中で、今年の興行収入トップ10に入った映画を以下、公開日順に列記してみる。
名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)
ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング(ミッションインポッシブル8)
マインクラフト ザ・ムービー
国宝
劇場版 鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来
劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッション
8番出口
劇場版 チェンソーマン レゼ篇
なるほどこのような感じか。順位が気になる方はこの ひとりごと の最後の部分をご覧いただきたい。
トップ10内で観ていなかったのは、スピルバーグ監督の恐竜がテーマの映画と映画ドラえもんであった。
今回のテーマは、昨年秋に導入されたばかりの、選定療養扱いとなった、患者が長期収載品の処方を希望・選択した際に支払うことになった差額の負担割合を、もっと引き上げるべきだ、という議論がテーマだ。
議論の根幹は財源論なので、正しいとか正しくないとかではなく、如何に合理性をもって医療保険給付の範囲からご退場願えるかという、何がどう決まっても、直接的には誰も喜ぶことがないような、非常に重たいテーマである。ほぼ毎年確実に「過去最高」となってしまう社会保障費の支出を如何に抑えるか。厚労行政の、非常に大変な役どころだ。
政治関連のコメントを紹介したい。
○自民党政調全体会議:OTC類似薬、具体的な制度設計を2025年度中に実現した上で、2026年度中に実施
自民党政調全体会議は11月18日、「新たな総合経済対策(仮称)(案)」について議論し、了承した。日本維新の会からの指摘事項に基づき社会保障制度改革については、連立合意書に明記した「OTC類似薬を含む薬剤自己負担」について、「現役世代の保険料負担の一定規模の抑制につながる具体的な制度設計を2025年度中に実現した上で、2026年度中に実施する」と明記した。
〇「健康格差をもたらす毒薬入りまんじゅうを国民に強要することはあってはならない」
辰巳孝太郎衆議院議員(日本共産党):3月3日の衆院予算委員会で、自民、公明、維新3党が合意文書で、市販薬と効能が同じOTC類似薬の「保険給付のあり方の見直し」を掲げたことについて、「OTC類似薬を保険から外せば、医療保険が負担していた薬剤費負担が減少し、その分患者の負担が増えることは間違いない。しかし患者負担はそれではとどまらない」と指摘。アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬・カロナール)は処方箋をもらえば300ミリグラムあたり自己負担1.8円だが、保険適用外の市販薬なら1錠88.9円と49倍になるなどの例を挙げ、「(抑制される医療費の)3450億円が患者負担となるにとどまらず、現在の薬剤費の自己負担分の20~60倍もの負担を迫られる」と強調。「健康格差をもたらす毒薬入りまんじゅうを国民に強要することはあってはならない」と反対し、3党合意の撤回を求めた。
それが分かっているので(*)、1患者としては医療機関で処方してもらうのだ。鶏と卵、どちらが先か、という話になってしまう。OTC類似薬を購入しようとする人はだれしもこれまでより負担増となってしまうが、それでは相対的に経済的弱者とされる方にとっては、お金がないので買うことが出来ない≒健康格差 が生じかねない。これもまた、想定されることなのだろう。
(*)…処方薬の方が薬局でOTC薬を買うより安上がりなこと
厚労相のコメントだ。
○上野厚生労働大臣:過度な負担や急激な変化が生じないよう丁寧に対応
上野厚生労働大臣は11月11日の大臣記者会見で、「OTC類似薬の保険給付の見直しについては、骨太の方針2025において、「医療機関における必要な受診を確保し、こどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮しつつ」検討するとされている。このことを踏まえて、我々としても今検討を進めている。現在、審議会における議論の中でも、受診遅延による健康被害や飲み合わせリスクといった課題の指摘や、過度な負担や急激な変化が生じないよう配慮を求めるようなご意見などについても頂いている。このようなご意見や、患者の方々が置かれた立場はそれぞれ様々だが、そうしたことも踏まえながら多様な声を政策に反映できるように、丁寧に検討を進めていきたい」などと述べた。
丁寧に、か。
「乱暴な」とまで言われていたかどうか、筆者の記憶が曖昧だが、振り返ってみれば高額療養費制度の見直し議論は、丁寧な議論がなされなかった、と批判を浴びた。しかしその問題もまた、「丁寧に」は行うのだろうが、「見直し」の旗印がある以上、批判は覚悟の上で、結局また見直し議論が行われるのだろう。単に先延ばしになっただけのことのような気がするのは筆者だけか。
次はこんなコメントだ。
○伊原厚生労働事務次官:財政効果だけでなく現場の影響を踏まえた調整が不可欠
伊原厚生労働事務次官は、社会保障審議会医療保険部会(2025年11月6日)で、OTC類似薬の保険給付除外について「制度設計にあたっては患者の受診行動や薬剤使用実態を十分に把握し、慎重に検討する必要がある」と、財政効果だけでなく現場の影響を踏まえた調整が不可欠との姿勢を示した。
…ですね。
財務省はどのようなご見解か。
○財務省主計局次長:財政効果だけでなく、世代間公平性やセルフメディケーション推進を重視する姿勢
財政審の論議で、吉沢浩二郎財務省主計局次長は、OTC類似薬の保険給付除外について「社会保障制度の持続可能性を確保するため、軽症患者の薬剤費は自己負担を基本とすべき」と、財政効果だけでなく、世代間公平性やセルフメディケーション推進を重視する姿勢を明確にした。
「軽症患者の薬剤費は自己負担」。
ちょっとした傷なら、「これくらい、ツバをつけときゃ治る」とか、
熱が出たとしても「薬を買うと高いので、温かくして寝ているだけで様子を見よう」
などと素人医者(自分自身で自らに言い聞かせる)が登場する(※1)。
今度はセーフティネットの問題も当然検討されてしかるべきだが、つまり健康格差が生まれる土壌の一つとなってしまうのだろう。
今度はこんなコメントだ。
○中医協委員
【支払側】
「価格差の全額を選定療養とすることで、より後発品を使用するインセンティブを出すことが妥当だ」(松本真人健保連理事)
「選定療養の対象範囲を拡大し、医療上の必要性の扱いを厳格に精査すべき」(佐野雅宏健保連会長代理)
【診療側】
「患者説明や制度周知が不十分。患者が長期収載品を希望する理由を踏まえた検討が必要」(江澤和彦日本医師会常任理事)
「院内処方では後発品割合が低く、置き換え促進の仕組みが必要」(飯塚敏晃東京大学教授)
後発品を使用するインセンティブか。先発品という発明があったからこその後発品だろうになぁ。
医療の専門家のコメントだ。
○医師
「現在OTCは健康保険での薬価の3倍~10倍に設定されているものも多く価格設定は製薬会社の自由に任せていいのかは疑問だ」
「美容目的と思われるクリームやビタミン剤、生活改善意思のない患者への睡眠薬の過剰処方も制限した方がよい」
「OTC類似薬を公的医療保険の対象から外し、医療機関で自費販売すれば患者の安全性が確保されかつ医療保険の低減に繋がる」
なるほど、どれも医療の専門家の視点だけに一定の納得感はある。
一番目のコメントについて、でも、価格設定は企業が決めるべきで、その価格が適正かどうかは市場原理でいずれ落ち着くところに落ち着く、というのが妥当としか言いようがない。
二番目のコメントは最も共感できる。
三番目のコメントもなるほどという感じだが、その時の医療機関の薬価差益はどうなるのだろう。納価と販売価格の差額の利益は病院が得ても差し支えない、ということまでのお考えなのかは判然としないところだ。
薬の専門家のコメントだ。
○薬剤師
「医療費削減ありきではなく、薬剤師による残薬管理や市販薬を含む一元的管理を強化すべきポリファーマシー改善や医療費適正化には、薬剤師主導の薬剤管理が不可欠」
「風邪薬やシップ薬は日常の汎用薬なので保険から外されると病院や薬局の経営基盤を大きく揺るがす事態となる」
「薬局現場では『なぜこの薬だけ自費なのか』という問い合わせが殺到する可能性が高い」
「保険外しで薬価が20倍以上に跳ね上がるケースもあり、患者が薬を買えず治療中断につながることが懸念される」
昨年、OTC類似薬の一部保険給付除外(差額自費負担)が議論された時、こと価格面においての質問・クレーム等に対して患者と向き合わなければならなかったのは、おそらく調剤薬局の薬剤師(或いはスタッフ)なのだろう。それから1年も経たないうちに、その遣り取りの範疇が増大する可能性があるわけだ。
「経営基盤を大きく揺るがす事態」というのもうなずけなくもない。
次はこんなコメントだ。
○製薬メーカー
【先発医薬品メーカー】
「長期収載品の選定療養化に続き、OTC類似薬の保険外しは企業の供給責任にも影響する」
「企業は新たなOTC製品の開発や薬局での情報提供体制を強化する必要がある」
【後発医薬品メーカー】
「供給不安が続く中で一律除外を進めれば、患者が薬を入手できず治療を中断するリスクがある」
当然と言えば当然だが、後発医薬品メーカーも含め、慎重論の方が勝っているような気がする。
薬局運営事業者はこのようなコメントだ。
○調剤薬局運営事業者
「負担増による患者離れが懸念される。ポイント付与など経済的付加価値が制限されるため、患者待ち時間の短さ、薬剤師の説明の丁寧さ、地域連携薬局としての信頼性など“薬局の質的サービス”が重視される」
「負担増により、軽症時の受診控え、薬のまとめ取り、ジェネリック医薬品への切り替えが進む可能性。特に高齢者層で影響が大きいと予想される」
厚労行政が薬局(薬剤師)に求めているのは、まさに薬局の質的サービスの向上なのだろうから、調剤薬局運営事業者は負担増による患者離れの懸念(特に高齢者か。これが最も大きいのかもしれないが)を除いては、兎にも角にも質的サービスの向上に努めるしかない。のか。
患者のコメントだ。
○患者(または家族)
「この薬(長期収載品)は長年使っていて体に合っている。ジェネリックに変えたら副作用が出たことがあるので、多少負担が増えても安心感を優先したい」
「制度の改悪。安心できる薬を選ぶ自由が奪われる。経済的に弱い人ほど選択肢が狭まる」
長年使っていて体に合っている、というのは、とても共感できるし、ご尤もな意見だ。薬効は一緒、というそれだけでジェネリックが推進されていくのは、確かに違和感がある。つまり、薬で「安心」を得るには、薬効だけでなく、もちろんメーカーの総合的な開発力もさることながら、ブランド力(患者側の気持ちの問題)、これも大きく作用するということだろう。
最後になったが、冒頭に触れた映画の興行収入ランキングは以下の通りだ。
1位 劇場版 鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来
2位 国宝
3位 名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)
4位 劇場版 チェンソーマン レゼ篇
5位 ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング(ミッションインポッシブル8)
6位 劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッション
7位 8番出口
8位 (ジュラシック・ワールド 復活の大地(ジュラシックワールド4))
9位 (映画ドラえもん のび太の絵世界物語)
10位 マインクラフト ザ・ムービー
読者諸氏の予想は当たっただろうか。
さて、来年の筆者は何本の映画を観ることになるのだろうか。
<ワタキューメディカルニュース事務局>
(※1)…
素人医者(自分自身が自らに言い聞かせること)が登場し、自分で薬局に行って薬を買うというのは、言ってみれば自分に対する処方権を(子どもの症状ならあるいは親が)持ったようなものだから、「素人医者」という表現もあながち間違いではないのではないか。
しかし素人医者の見立てが間違っていれば、今度こそ軽症が重症になり、いよいよ当初の症状時よりトータル的に確実に高くつくことになる医療保険に頼らなければならなくなるのは皮肉な話だ。
<筆者>



