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短信:アカデミック・ハラスメント加害者の心理傾向を測定する新尺度の開発

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アカデミック・ハラスメント加害者の心理傾向を測定する新尺度の開発

 

 近年、教育現場ではアカデミック・ハラスメント(アカハラ)が問題視されている。文部科学省によるとアカデミック・ハラスメントとはパワーハラスメントの一部であり、教育現場において相手の意に反する不適切な言動等を行うことによって相手に不快感や不利益を与える行為、相手に対して差別的若しくは不利益な取り扱いをすることによって相手の利益を侵害する行為と定義されている。具体的な事例としては、必要以上に長時間にわたって注意や叱責をすること、教育や研究指導を放置、正当な理由なく提出されたレポートや論文を受け取らないことなどが挙げられる。アカハラは学生に大きな影響を与え、自信の低下、モチベーションの喪失、心理的および身体的健康の悪化につながる危険性も孕んでいる。特に博士課程の学生は、指導教員が博士号を承認または拒否する大きな権限を持っているため、このハラスメントに対して非常に脆弱である。指導教員が変わると、研究の進歩が何年にもわたって失われ、学生の評判が損なわれることがよくあり、多くの学生が深刻な虐待に耐えることを余儀なくされている。日本では医学、歯学、薬理学、理工学、農学、データサイエンスなどの理系分野におけるアカハラが深刻な問題となっている。

 東京医科大学の研究グループは、理系学部におけるアカデミック・ハラスメント加害者の心理傾向を測定する「アカデミック・ハラスメント傾向尺度:理系アカデミア版」を新たに開発した。研究現場で発生するアカデミック・ハラスメントには、加害者側の心理的特徴が関与していることが指摘され、所属する学部や専門分野によっても、その心理傾向が異なる可能性が示唆されてきた。今回、研究グループは理系研究者に焦点を当て、アカハラ加害者の心理傾向を可視化する初の尺度を構築した。はじめに理系研究者55名を対象に予備調査を行い、141項目の尺度原案を作成した。続いて、理系学部の大学院生や教員500名を対象に本調査を実施し、最終的に57項目の質問で構成される尺度にまとめた。完成した尺度は、「自己中心的特権意識」、「エイジズム(年齢に対する偏見)」、「情緒制御困難性」の3因子から成る。信頼性については内部一貫性と再検査信頼性の双方で高い水準を示し、安定した測定が可能であることを確認した。また、既存のハラスメント関連尺度との有意な関連も認められ、妥当性も実証された。

 今回の成果により、アカハラ加害者の心理傾向を体系的に測定・可視化できるようになったことで、組織におけるハラスメントの兆しを早期に発見し、予防につながることが期待される。研究グループは今後、理系学部以外の分野でも調査を進めるとともに、アカハラ行為が顕在化する条件の解明を目指し、アカハラ予防に資する職場づくりや教育プログラムの開発に取り組むとしている。

 

【プレスリリース】アカデミック・ハラスメントの加害者傾向を測定する新尺度を開発 ~健全な研究環境づくりのために~ | 東京医科大学

大学におけるハラスメント防止に向けて:文部科学省