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短信:体に備わったアンチエイジングの守護神DEL-1が骨の若返りを担う

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体に備わったアンチエイジングの守護神DEL-1が⾻の若返りを担う

 

 細胞は、ストレスや加齢により増殖を停止し「老化細胞」となる。これらの老化細胞は炎症物質を放出して周囲の組織を傷つける。⽼化細胞は⾻の健康においても影響を及ぼし、⾻髄にある間葉系幹細胞が⽼化すると、⾻を作る⼒が衰え、⾻粗鬆症が悪化してしまう。厚生労働省が3年ごとに実施している令和5年患者調査によると、骨粗鬆症で治療を受けている総患者数は、138万7,000人となり、前回の令和2年調査よりも2万8,000人増加し、国民の健康上の課題となっている。また、⻭周病における⻭を⽀える⾻にも⽼化細胞が増加することで⻭を失う原因となる。しかしながら、⽼化細胞がどのように増加し悪影響を与えているのか、またどのように除去すればいいのかは不明なままであった。さらに、世界中で⽼化細胞を除去する薬(セノリティック薬)の研究が進んでいるが、主に⼈⼯的な化学物質に焦点を当てており、⽣体内に本来備わっている⽼化細胞除去システムについては、これまで⼗分に解明されていなかった。

 新潟⼤学⼤学院医⻭学総合研究科⾼度⼝腔機能教育研究センター/研究統括機構の前川知樹研究教授、Meircurius D.C. Surboyo⼤学院⽣、チュラロンコン⼤学Kridtapat Sirisereephap助教(当時、新潟⼤学⼤学院⽣)は、⽶国ペンシルベニア⼤学、ドイツドレスデン⼯科⼤学との国際共同研究を実施し、⾎管や⾻髄を含め体全体に存在するタンパク質「DEL-1」が、⽼化細胞を特異的に死滅させ、マクロファージによる除去を促す「⽣体内セノリティック(⽼化細胞除去)タンパク質」であることを世界で初めて突き⽌めた。本研究では、DEL-1が⾻髄の間葉系幹細胞の⽼化を防ぎ、加齢や化学療法に伴う⾻消失を抑制するメカニズムを解明し、その鍵を握るタンパク質「DEL-1」の⽼化抑制効果を実証した。

 DEL-1は、単に老化細胞を死滅させるだけでなく、「死滅」から「片付ける」までの一連のプロセスを完遂させる能力に長けている。さらに、ピンポイントで老化細胞にアポトーシス(プログラム細胞死)を誘導するため、非常に安全性が高いことも特徴である。マウスを用いた実験では、DEL-1を欠損させた個体で老化細胞が蓄積し骨粗鬆症が重症化した一方、DEL-1を過剰発現させた個体では老化細胞が効率よく除去され、骨密度が維持されることが確認された。これにより、DEL-1が骨髄環境を劇的に改善し、若い幹細胞を活性化させて新しい骨を作る骨の若返りを担う「内因性の掃除屋」であることが実証された。

 今後の展望として、DEL-1の機能を模倣した薬剤や、DEL-1を活性化させる⼿法により、⾻粗鬆症や難治性の⻭周病に対する新しい治療法の確⽴が期待され、加齢性疾患への広範な応⽤として、⾻だけでなく、⽼化細胞の蓄積が関与する他の臓器(⾎管、肺、腎臓など)の疾患に対しても、DEL-1 が有効であるか調査を進める予定である。

 本研究成果は、2026年1⽉20⽇、国際学術誌「Advanced Science」誌に掲載された。

 

体に備わったアンチエイジングの守護神DEL-1が骨の若返りを担う-骨粗鬆症や歯周病の根本治療に光- | 研究成果 | ニュース – 新潟大学

令和5年(2023)患者調査の概況|厚生労働省