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No.818 業務効率化に積極的な病院「業務効率化病院(仮称)」を国が認定 社保審・医療部会、2027年度に「業務効率化補助」を創設

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業務効率化に積極的な病院「業務効率化病院(仮称)」を国が認定 社保審・医療部会、2027年度に「業務効率化補助」を創設」から読みとれるもの

・財源に地域医療介護総合確保基金を活用、2027年度に「業務効率化補助」を新設

・制度創設の背景には、医療現場の深刻な人手不足

・令和8年度診療報酬改定でも「効率化・負担軽減」を進める医療機関を評価する点数

 

■業務効率化を「政策的に後押し」する新たな枠組み

 厚労省は医療機関の業務効率化を政策的に後押しする新たな仕組みとして、「業務効率化に積極的に取り組む病院」を国が認定する制度を創設する方針を示した。財源には地域医療介護総合確保基金を活用し、2027年度に「業務効率化補助」を新設する。こうした方向性は社会保障審議会・医療部会で了承され、今後、具体的な認定基準や補助内容の詳細設計が進められる。

 3月9日に開催された医療部会では、医療現場での人材確保が一層困難となる中、医療DXや業務効率化に積極的に取り組む病院を国が認定し、補助金を交付する新たな枠組みが報告された。医療法などの改正を経て、2027年1月からの施行を目指す

 厚労省が示した案では、医療現場の人手不足や働き方改革の進展を踏まえ、業務の標準化、DX、タスクシフト/シェアなどに積極的に取り組む医療機関を国が評価し、補助金で支援する仕組みを構築する。認定の主な方向性(案)は以下の通り。

業務プロセスの可視化・標準化 例:外来・病棟業務のBPR(業務改革)、業務棚卸し

医療DXの活用 例:電子カルテ情報の二次活用、AI問診、医療情報連携

タスクシフト/シェアの推進 例:医師事務作業補助者の活用、看護補助者の配置最適化

生産性向上の成果指標の設定 例:業務時間削減、患者待ち時間の短縮、職員満足度の改善

 これらの取り組みを総合的に評価し、一定の基準を満たした病院を「業務効率化病院(仮称)」として認定する方針だ。(図5 医療機関の業務効率化・勤務環境改善への支援

医療機関の業務効率化・勤務環境改善への支援

 

■背景には、医療現場の人手不足と業務負担の増大

 制度創設の背景には、医療現場の深刻な人手不足がある。特に地方の中小病院では、医師・看護師・医療事務の確保が難しく、業務の非効率が医療の質の低下や職員の離職につながる構造的課題が指摘されてきた。さらに、2024年から本格化した医師の働き方改革により業務の効率化は「選択」ではなく「必須」の取り組みとなっている。

 

 令和8年度診療報酬改定でも、次のような領域で「効率化・負担軽減」を進める医療機関を評価する点数が新設・見直しされた。

 ・ICT等の活用による看護業務効率化の推進
  (生成AI等を組織的に活用した際の医師事務作業補助体制加算の柔軟化)

 ・医療機関等における事務等の簡素化・効率化

 ・医師事務作業補助体制加算の見直し
  (生成AI等を組織的に活用した際の加算の柔軟化)

図6 令和8年度診療報酬改定 業務効率化・負担軽減等に向けた取組の全体像

令和8年度診療報酬改定 業務効率化・負担軽減等に向けた取組の全体像

 これらの点数設定は、医療機関における業務効率化を診療報酬上も後押しするものであり、制度面からも効率化の推進が求められていることを示している。

 

 


 

 「ハァ~ 頑張って頑張って仕~事 頑張って頑張ってあ~そび 頑張って頑張ってDX!DX!!」(※1)

 ニュージーランドのラグビーチームが試合前に自らを鼓舞し、相手を威嚇する意味合いをも持つ民族舞踊「ハカ:Haka」。筆者がその存在を知ったのは、熱血ラグビードラマ「スクール・ウォーズ2」(主演:山下真司)で、湯江健幸演じる塀の中の高校生が、その舞踊を見て「ハカだ」と声を発したシーンを観たことに起因する。ここから塀の中の高校生ラグビーチームは、試合前にハカで自らを鼓舞し、快進撃を続けていくことになる(※2)。

 

 先の「頑張って頑張…」というのは、そのハカの踊りに合わせた替え歌の歌詞で、こちらは栄養ドリンクのCMだった。

 

 「DX」を「デラックス」とは読まずに「ディーエックス」と読んだ、この栄養ドリンクのCMで、筆者が初めて「ディーエックス」という言葉を知ったのではないかと記憶している。意味合いは現在言われている「DX」、Digital Transformation(TransformationをXと表記)とは全く異なるものであったとも記憶している。でも、デラックス的な意味合いだったかと言われると、そうでないような気もする。ネーミング(DX)の由来は、果たして何だったのだろう。

 

 今回は業務効率化に積極的な病院を「業務効率化病院(仮称)」として国が認定し、補助金を出す仕組みが新設される というのがテーマだが、業務効率化には、それだけではないが、医療の「DX」化が不可欠である。医療の業務DX化の例として挙げられているのは、電子カルテの二次利用、AI問診、医療情報連携、スマートフォンによる情報共有の効率化、見守りカメラ・スマートグラスによる見守り業務の効率化、音声入力・生成AIによる文書作成支援 などだ。

 その他、ICT、IoT等利活用や診療報酬上求める基準の柔軟化等により、業務効率化・負担軽減のために、看護師の新規要請数がピークアウトするなど、さらなる生産年齢人口の減少に伴い医療従事者確保の制約が見込まれる中、医療従事者の業務効率化・負担軽減等を行い、必要な医療機能の確保を図るための取り組みだ。

 医療DXが叫ばれた当初は、診療報酬改定時のDX改定時期の6月への後ろ倒し・モジュール化されたレセコン用改定対応ツールなど、中央側の取り組みが挙げられ、見た目には派手で、マスコミも取り上げやすそうなセンセーショナルな内容であったが、今度はそれぞれの医療機関のDXとなると、費用面・おかれた環境等様々な理由から、「一つの方法で」バッと改善、とは行きづらい。いや、いかない。

 となると、実現できそうな具体的取り組み例を例示し、現場が想像でき着手し易そうな形にして補助金・あるいは診療報酬を設定、あるいは算定要件を緩和する、というような合わせ技で、現場の負担感を軽減していこうというものだ。非常に堅実で現実的な取り組みであるようにも感じる。もはや「なりふり構わない」という感じで、掛け声だけでなく、医療DXに向けてまっしぐらだ。ともとれる。

 で、【図‐5】の取り組み例や【図‐6】に示された全体像を称して「業務効率化病院(仮称)」とした病院をご想像された読者諸氏におかれては、如何感じられただろうか?

医療機関の業務効率化・勤務環境改善への支援

令和8年度診療報酬改定 業務効率化・負担軽減等に向けた取組の全体像

 これらの実現だけでも決して簡単なことではないし、現場におけるかなりの努力が必要だというのは十分に理解しているつもりだが、「DX化」と掛け声をかけている側(経営層や他業種経営層・一般国民 等)の視点と、使命感も手伝って実際の現場での取り組みの中からDX化を推進しようとする視点(実務者・現場のDX検討チームやコンサルタント 等)とのギャップ、それを「大いに感じた」というのが筆者の感想である。ありていに言うなら、前者は「こんなものか」と感じ、後者は「これでも相当すごいこと」だと感じる、そういうことなのかな、ということだ。

 

 コメントを紹介したい。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

〇厚労相:上野厚生労働大臣

 「医療現場では、限られた人材の中で質の高い医療を提供するため、日々さまざまな工夫が行われています。今回の業務効率化病院(仮称)認定制度と2027年度の業務効率化補助は、こうした現場の取り組みを国として後押しし、医師・看護師をはじめとする医療従事者が本来業務に専念できる環境を整えることを目的としています。制度の運用にあたっては、病院の規模や地域の実情を十分に踏まえ、現場の皆さまの声を丁寧に伺いながら進めてまいります。」


 続いて。

 

〇政治家:田村憲久衆院議員

 「業務効率化は病院単体の努力だけでは限界があります。救急や紹介・逆紹介の流れなど、地域全体での役割分担が進むことで、初めて現場の負担軽減につながります。今回の制度が、地域医療構想の実現にも寄与するよう、関係者の皆さんと連携しながら進めていくことが重要であります。」


 上野大臣も田村議員の耳にも現場の実態は届いていることだろう。それを前提としたご発言なのだろうと想像する。ので、非常に優等生的なご発言のように感じなくもない。

 

 日本医師会のコメントだ。

 

○日本医師会

 むしろ「財政が厳しく対応が難しい病院」(非認定になる病院)への支援が重要ではないか。競争に偏らず、医療の質向上、医療安全の確保、現場負担軽減になることが重要であり、「業務改善の効果」を重視すべき。また都市部の大病院に認定が偏れば、医療人材が都会に集中し、地方でさらに不足してしまう。患者の受療行動にも影響があると考えられ、制度設計にあたっては慎重な検討が求められる。(角田徹 日本医師会副会長)


 DX化の結果による、ある意味医師偏在。こちらにも重いテーマが被さってきた。

 

 病院団体のコメントだ。

 

○病院団体

【日本病院会】

 「認定病院と非認定病院との格差が大きくなり、非認定病院でこれまで以上に人材確保が難しくなってはいけない。認定には地域差(都会で認定病院が多く、地方で少ないなど)が生じる可能性もあり、その場合、地方では医療提供体制が確保できなくなるおそれもある点に留意し、慎重かつ丁寧な検討を進めてほしい。(岡俊明 日本病院会副会長)

 

【全日本病院協会】

 「業務効率化は医療提供体制の持続可能性を高めるうえで重要な取り組みです。国が認定制度を設け、先進的な病院を支援する方針は理解できます。一方で、病院の規模や地域によって取り組みやすさに差があるため、制度運用にあたっては現場の実情に十分配慮していただきたいと考えている。」(全日本病院協会)


 アクセルとブレーキ。どうバランスさせるべきか。

 

 医師のコメントだ。

○勤務医

 「働き方改革で時間外労働の上限が明確になったことで、病院としても業務の棚卸しやタスクシフトが進みつつあります。ただ、救急や急性期を担う現場では“業務を減らす”だけでは限界があり、医師の確保や地域全体での役割分担が不可欠です。制度の方向性は理解していますが、現場の実装にはまだギャップを感じています。」

 

 「業務効率化を進める病院を国が認定するという方向性は理解できますし、補助が付くのはありがたいです。ただ、救急や急性期を担う現場では“効率化できる業務”と“効率化できない業務”が明確に分かれています。制度が進むほど、現場の医師が“効率化の成果”を求められる場面が増えるのではないかという懸念もあります。」

 

 「若手医師の教育には時間がかかりますし、効率化とは相反する部分もあります。認定制度が“効率化の成果”を重視しすぎると、教育の質が下がるのではないかと心配しています。効率化と教育の両立をどう評価するのか、制度設計に丁寧さが求められると思います。」


 例えば、これまで漢字の書き取りや作文を手書きしてきた中で文字通り漢字を書く能力を身に付けてきた、少なくとも昭和世代。もはや手書きでは書けない漢字でも、すらすらとパソコンで変換できてしまう。必然的に手書きの能力は落ちている。「書く」能力の低下と引き換えに、しかしながらおそらく書類を作成するという行為に関する利便性は飛躍的に向上し、世の中としてはそのメリットを享受している…。

 スポーツ選手にしたって、ピアニストにしたって、日々の鍛錬を怠ればあっという間にライバルに追い抜かれてしまう。

 そういう立場でないビジネスマンは、ビジネスにおける日々の鍛錬は、形式上求められているものの、もはやAIや機械化で業務をこなす、いや、さらに昇華させることこそが求められている時代だ。

 決して医療と同列にしてよい話ではないと理解しているつもりだが、そんなことを思ってしまった。

 決して間違ったことを仰っていないと思えるだけに、「業務効率化」という観点から見た時、この医師らの声を、一体どう受け止めるべきなのだろうか。

 

 看護師のコメントだ。

○看護師

 「業務効率化の取り組み自体は必要だと思います。ただ、医師の業務を減らすために、看護師に新しいタスクが回ってくるケースもあります。制度の方向性は理解していますが、“効率化=看護師の負担軽減”とは限らない点は、現場として丁寧に見てほしいと感じています。」

 

 「電子カルテの改善やAIの導入は、確かに業務のスピードを上げてくれます。ただ、新しいシステムに慣れるまでの教育や運用の負担は小さくありません。補助があるのはありがたいですが、導入後のサポートや継続的な運用費まで含めて考えてもらえると、現場としては助かります。」

 

 「日勤帯の業務はICTで効率化できますが、夜勤や救急対応は人手に依存しています。特に夜間は少人数で多くの患者さんを見ているため、効率化の恩恵を受けにくいのが現実です。制度が“24時間体制の負担”にも目を向けてくれるとありがたいです。」


 …。

 

 コメディカルのコメントだ。

○技師等

 「業務効率化を進めるには、検査機器や画像システムの更新が不可欠です。しかし、現場では老朽化した機器を使い続けているケースも多く、効率化の前提条件が整っていません。補助が導入期だけでなく、継続的な更新にも使えるようになると、現場としては非常に助かる。」

 

 「AI読影支援や自動化機器の導入は業務のスピードを上げてくれるが、設定やトラブル対応は技師が担うことが多く、教育コストも大きい。効率化の裏側で“新しい負担”が生まれている点も制度側に理解してほしいと感じている。」

 

 「効率化病院として認定されると、どうしても“成果”を示す必要が出てくる。しかし、検査や画像診断は精度が最優先で、効率化を優先しすぎると見落としや再検査につながるリスクがあります。質と効率のバランスをどう評価するかが鍵だと思う。」


 …。

 

 医療事務従事者のコメントだ。

○医療事務従事者

 「業務効率化の取り組み自体は必要だと思いますが、新しいシステムの導入やデータ提出が増えると、事務側の負担がむしろ増えることがある。認定制度が進むほど、病院全体のデータ管理が厳格になるため、事務の業務量が増えるのではないかという懸念もある。」

 

 「電子カルテや会計システムの改善は効率化につながりますが、設定変更やトラブル対応は事務が担うことが多く、現場の負担は小さくない。補助が導入だけでなく、運用サポートにも使えるようになると、より実効性があると感じる。」


 …。

 一応断っておくが、こういった流れになることを想定してコメントを集めたわけではないということはご理解いただきたい。

 

 事務長のコメントだ。

○医療機関事務長等

 「業務効率化病院の認定制度は、医療DXやタスクシフトを後押しする点で評価できる。しかし、システム更新や機器導入には多額の初期投資が必要で、補助だけでは賄いきれない。制度の趣旨は理解しているが、病院経営としては“どこまで投資を踏み込むか”の判断が難しい状況である。」

 

 「働き方改革に伴い、説明文書の作成やデータ整理、タスクシフトの受け皿として、事務部門の業務は確実に増えている。効率化補助が医療職中心に使われると、事務部門の負担が置き去りになる懸念がある。病院全体の業務プロセスを見直す視点が不可欠。」

 

 「効率化補助は導入期の後押しになるが、システムや機器は継続的な運用コストがかかる。単年度の補助では、長期的な投資判断がしづらいのが現実。制度としての継続性が示されると、病院としても安心して取り組める。」


 …。

 

 システム系職員のコメントだ。

○医療機関内情報システム系職員

 「AIや自動化ツールの導入は効率化に直結しますが、運用・保守・セキュリティ対策には継続的なコストがかかる。補助が導入期だけでなく、運用フェーズにも使えるようになると、病院としても長期的な投資判断がしやすくなる。」

 

 「新しいシステムを導入しても、現場のICTリテラシーに差があると、十分に活用されないことがある。情シスが教育やサポートに割く時間が増えており、効率化の効果が出るまでに時間がかかるのが現実。補助が教育体制にも使えるとありがたい」


 …。

 もう一度断っておく。こういった流れになることを想定してコメントを集めたわけではないということをご理解いただきたい。

 

 医業系コンサルタントのコメントだ。

○医業系コンサルタント

 「業務効率化病院の認定制度は、医療DXやタスクシフトを後押しする点で評価できる。しかし、投資余力のある病院とそうでない病院の差が広がる可能性がある。制度が“取り組みたくても取り組めない病院”をどう支援するかが、地域医療の持続性を左右する。」


 病院団体寄りのコメントに近い。

 

 最後にこんなコメントを紹介したい。

○患者(または家族)

 「受付や会計がスムーズになるのは助かる。でも、高齢の家族は機械の操作が苦手なので、完全に自動化されると困る場面もある。効率化と同時に、サポート体制も整えてもらえると安心。」

 

 「家族の病気について相談する時間はとても大切。効率化によって、逆に医師や看護師の時間が確保されるなら、患者としても安心できる。制度が“時間の質”を守る方向に働いてほしい。」


 「効率化によって、逆に医師や看護師の時間が確保され」、患者と接する時間をもっと確保してくれると「患者としても安心できる」。

 ということなのだろう。

 

 後段になるにつれ、現場に近い方々のコメントを紹介することとなった訳だが、「DX化」、「業務効率化」とは、一体何のために行うのか?「DX化」や「業務効率化」ということだけが目的になってしはいないか?

 そんな問いかけにも似た医療従事者の声ではなかったか。

 

 そうはいっても今後医療従事者の現場での不足感は否めず、質の維持・担保にはどうしても業務効率化が欠かせない。

 

 仕事も頑張り、遊びも頑張り、家庭も大事に、地域を大事にし、そういった一個人として必要なことは何一つ変わっていないはずなのに、組織や制度上の閉塞感はますます強くなってしまったかもしれない現在、こういったジレンマを、国は、組織は、一体どう受け止め、進めていくべきなのだろうか…。

 

 たまには栄養ドリンクでも飲んで考えてリフレッシュしてみるか…。

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

 

(※1)… 1991年に放映されていた中外製薬の栄養ドリンク「グロンサンDX」のテレビCM。 田中実らがスーツ姿でハカを踊っていた。迫力あるCMだったが、よく見てみると、何人かいるうちの西洋人の一人は、確実に振り付けを間違えていたと思う。

<筆者>

 

 

(※2)… スクール・ウォーズ1は伏見工業高校の実話を元にしていたが、おそらくだが2は、1に比べてフィクション性が相当高かったように思う。1もイソップの話あたりは相当膨らませた感はあったが。

<筆者>