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短信:世界的に見過ごされてきた感染症

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世界的に見過ごされてきた感染症「レプトスピラ症」 長崎大学などの国際共同チームが最新の臨床レビューを発表

 

 厚生労働省によると、レプトスピラ症とは、病原性レプトスピラ(Leptospira interrogans など)による、多様な症状を示す急性の熱性疾患と定義されている。病原性レプトスピラを保有しているネズミ、イヌ、ウシ、ウマ、ブタなどの尿で汚染された下水や河川、泥などから経皮的に、時には汚染された飲食物の経口摂取によりヒトに感染する。臨床的特徴として、黄疸、出血、腎障害などの症状が見られる。重症型の黄疸出血性レプトスピラ病(ワイル病)と、軽症型の秋季レプトスピラ病やイヌ型レプトスピラ病などがあり、ワイル病は黄疸、出血、蛋白尿を主徴とし、最も重篤である。潜伏期間は3~14日で、突然の悪寒、戦慄、高熱、筋肉痛、眼球結膜の充血が生じ、4~5病日後、黄疸や出血傾向が増強する場合もある。レプトスピラ症の影響は、個々の患者の健康被害にとどまらない。発症や入院による収入喪失、流行時の医療体制への負荷、重症例に必要となる透析や人工呼吸管理などの高額な臓器支持療法、脆弱な地域社会への不均衡な影響など、地域の医療システムや経済にも大きな負担をもたらす。さらに、気候変動に伴う豪雨、洪水、極端気象の増加により、今後レプトスピラ症の流行リスクが高まることが懸念されているが、診断・治療にはなお大きな課題が残されており、国際的な保健政策や研究投資における優先度は十分とはいえない。

 国立大学法人長崎大学は、英国ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(London School of Hygiene & Tropical Medicine: LSHTM)、フィリピン・サンラザロ病院などとの国際共同研究チームにより、レプトスピラ症の臨床診療と治療戦略に関する最新の総説論文を発表し、感染症分野の国際的トップジャーナル 『The Lancet Infectious Diseases』に掲載された。論文では、レプトスピラ症の臨床管理について、疫学的分布に関する現在の理解や診断法の現状と限界、抗菌薬治療および予防投与の科学的根拠、腎障害、肺障害、循環障害、神経合併症、血液学的異常、膵炎などへの支持療法、そして、将来の臨床試験に必要な研究基盤などを体系的に整理した。その結論として、現在さまざまな治療が臨床現場で用いられている一方で、十分に確立された高品質エビデンスは依然として不足していること、そして診療を真に前進させるには国際的な多施設共同試験が必要であることを強調している。

 本研究は、長崎大学、LSHTM、フィリピンの臨床研究パートナー施設との協働により生まれた成果であり、今後のレプトスピラ症に関する国際共同臨床研究プログラムの出発点となるものである。現在、研究チームは、フィリピンを重要な臨床プラットフォームとして、レプトスピラ症に対する介入治療臨床試験の計画を議論している。将来的には、長崎大学がLSHTMおよびJIHSと連携し、海外多施設共同臨床試験の実施体制の構築に貢献することを目指している。

 

世界的に見過ごされてきた感染症「レプトスピラ症」 長崎大学などの国際共同チームが最新の臨床レビューを『Lancet Infectious Diseases』に発表 ― 今後、フィリピン拠点を中心に国際共同治療試験の展開へ ―|長崎大学

 

レプトスピラ症|厚生労働省