ワタキューメディカルニュース

ワタキューメディカルニュース詳細

短信:臍帯血使用による違法医療容疑で医師らを逮捕

→メディカルニュース今月の見出しページへもどる

 

 全国のクリニックで他人の臍帯血を使った再生医療が国に無届けで行われていたとして、愛媛、高知、京都、茨城の4府県警の合同捜査本部は8月27日臍帯血の販売元や医師ら計6人を再生医療安全性確保法違反の容疑で逮捕した。

 赤ちゃんのへその緒や胎盤に含まれる血液(臍帯血)が、倒産した民間の保管会社(バンク)から流出、無届けのまま他人に移植されていた。逮捕されたのは医師「表参道首藤クリニック」(東京・渋谷)院長、首藤紳介容疑者や臍帯血販売会社「ビービー」(茨城県つくば市)社長、篠崎庸雄容疑者ら6人。

 臍帯血には血液のもとになる幹細胞が含まれ、白血病の治療などに使われる。そのために法律に基づく公的バンクが全国に6か所あり、産婦から無償で臍帯血が提供されている。厚労省は、4都府県の12医療機関で無届け治療がおこなわれていたことを明らかにしているが、臍帯血の流通の全容は不明だ。

 首藤容疑者は科学的根拠のないがん治療などに活用、患者は自由診療で1回300万~400万円支払っていた。捜査本部などによると、投与された人の3割は外国人で、残る日本人は約30都道府県に広がっている。外国人は中国人が多く、医療ツーリズムで治療や美容目的で来日していたという。

 汚染された臍帯血が使われれば、感染症などの健康被害がでる恐れがある。今回逮捕された医師が院長を務める医院は、再生医療の提供機関として公表されていた。法的な計画の届けは出していたものの、具体的な内容に関しては未公表で、臍帯血を使った治療については無届けだったことを患者は知るすべがなかった。

 患者を食い物にする悪質な行為は、再生医療の健全な発展を妨げる。

 加藤勝信厚労相は、8月29日、「速やかに(調査中の)結論を得て、どういう問題点があるのか議論したい」と述べ、民間バンクの規制の在り方を検討する方針を示した。               (日経、朝日)

 

 日本医師会の横倉会長は、8月30日の定例記者会見で臍帯血の違法投与に対する声明を発表。概ね次のように述べた。

 「再生医療は難病治療への活用始め、大きな期待のかかる医療である。しかし、まだ未解明な部分も多く、実施に当たっては安全性、有効性の慎重な判断、患者に対する十分な説明と同意が医師に強く求められる。今回逮捕された医師は、再生医療等提供計画の届出違反のみでなく、再生医療等安全性確保法の適用除外となるよう、カルテの傷病名を改ざんしていたとの一部報道もある。事実とすれば極めて悪質だ。医師には医療倫理や生命倫理に対するより深い理解と責任ある行動が強く求められる。

 国は民間の臍帯血バンク等の業者による臍帯血などの人体組織の保管や流通に関して、法的規制を含め厳格な監督・監視体制を早急に整備する必要がある。

 また、国民に向けた再生医療に関する正しい知識の普及啓発にも一層努力するよう要望する」

 

以上