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短信:2017年度「老人福祉・介護事業」の倒産状況

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東京商工リサーチ発表 18/4/9

 

 * 年度ベースで過去最多を記録

 2017年度の「老人福祉・介護事業」の倒産件数は、115件(前年度比7.4%増)で、前年度(107件)を上回り、年度ベースで過去最多になった。倒産した事業者は、従業員5人未満が全体の60.8%、設立5年以内が39.1%を占めており、小規模で設立間もない事業者が倒産を押し上げる構図が鮮明になった。超高齢社会の到来で、成長市場と期待されている「老人福祉・介護事業」だが、介護職員の人手不足が慢性化する中で、業界内の淘汰が加速している。

 

 * 深刻さを増す人手不足

 

 倒産の増加要因としては、①同業他社との競争激化から経営力、資金力が劣る業者の淘汰が加速、②15年度の介護報酬の実質マイナス改定による収益への影響、③介護職員不足の中で離職を防ぐための人件費上昇、などが挙げられる。特に、介護業界の人手不足は「国内景気が悪い時の採用は順調だが、好況になると人材が他業種へ流出する」など、景気と逆行する傾向がある。とりわけ小規模事業者は業績低迷に、資金的な制約も抱えており、一層深刻さが増している。

 

 * 業種別、最多は「訪問介護事業」

 

 業種別では、「訪問介護事業」の47件(前年度45件)を筆頭にして、デイサービスなどの「通所・短期入所介護事業」が44件(同39件)、有料老人ホームが9件(同11件)、サービス付き高齢者住宅などを含む「その他の老人福祉・介護事業」が8件(同8件)などだった。

 

 * 原因別、「事業上の失敗」が約4割増>

 

 原因別では、最多の「業績不振」が52件(前年度比22.3%減、前年度67件)と、前年度を下回ったのに対し、「事業上の失敗」が26件、(同36.8%増、同19件)と増加が目立った。これは、安易な起業や本業不振のため異業種からの参入など、事前準備や事業計画が甘い小・零細規模の業者が思惑どうりに業績を上げられず、経営に行き詰まったケースが多いとみられる。

 *地区別件数、全国9地区すべてで倒産発生

 地区別では、全国9地区すべてで倒産が発生した。最多は関東の39件(前年度40件)で、次いで近畿の22件(同25件)であった。

 

 厚労省の社会保障審議会・介護給付費分科会の諮問に沿って2018年度の介護報酬改定は、0.54%引き上げられた。ただ、プラス改定になったとはいえ、サービス種別によって明暗が分かれ、通所介護では事業規模やサービス提供時間に応じた基本報酬の細分化など「給付適正化」も進められる。さらに、医療と介護の連携が強化されたことにより今後は新規参入の障壁が高まることも予想される。「老人福祉・介護業界」の顧客は、身体介護や生活援助が必要な高齢者を中心にするため、採算重視だけでなく顧客が心身共に満足できる良質なサービス提供が求められる。だが最近は、「収益優先」に追いやられて介護報酬の不正請求や法令違反などで指定取り消し処分を受ける施設や事業所が過去最多を記録している。こうした実態を背景に、経営体制の未整備や経営基盤の脆弱な事業者が「ふるい」にかけられる状況は避けられない部分でもある。「老人福祉・介護業界」は、サービスの質向上が課題だけに、引き続き今後の動向から目が離せない。

 

以上