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No.686 医薬品医療機器総合機構(PMDA)が「心電計」「心拍」アプリを医療機器として認可。前例のないアプリの医療機器の承認

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心電図機能が承認されたアップルウオッチ、前例のないアプリの医療機器承認

 医薬品や医療機器の治験から承認までを一貫した体制で指導・審査する独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は9月4日、米国Apple(アップル)社が医療機器製造販売承認を申請していた心電と心拍が測定できる同社の腕時計型端末「アップルウオッチ」に搭載されたアプリ、「家庭用心電計プログラム」「家庭用心拍数モニタプログラム」を医療機器として認可した。今回の承認は、「時計(アップルウオッチ)ではなく、プログラム(アプリ)」であり、承認するにあたり、前例がなかったため新設された。

 

 これまでは国内で心電図機能を有するハードウェア、ソフトウェアは専用機器であり、個人が購入できるものだとしても医療機器販売の免許と管理者の設置が必要だった。アップルウオッチの心電図機能は、家庭用の医療機器として本来であればクラス Ⅱと呼ばれる分類に当てはまる。クラスⅡであれば、本来、販売店には営業所管理者と呼ばれる資格を持つスタッフを配置する必要がある。しかし、今年7月20日の厚労省の医薬・生活衛生局医療機器審査管理課による告示(厚生労働省告示267号)で、「家庭用心電計プログラム」「家庭用心拍数モニタプログラム」というジャンル(一般的名称)が新設され、この新ジャンルに該当する場合、営業所管理者は不要とされた。

 

■新型コロナに対応し、肺炎重症度の目安「血中酸素飽和度」計測機能持つ新型アップルウオッチが発売

 Apple社は9月15日、オンラインで新製品発表会を開催し、新しい腕時計型端末「Apple Watch Series 6」と廉価版の「Apple Watch SE」「Apple Watch Series 3」を発表、9月18日から発売を始めた。新型のApple Watch Series 6で注目されるのが、新型コロナウイルス感染症に対応し新たに血中酸素飽和度を推定する機能「血中酸素ウェルネスアプリ」を備えたことである。廉価版の「Apple Watch SE」と「Apple Watch Series 3」には、「血中酸素ウェルネスアプリ」は搭載されていないが、心電計や心拍数測定の機能を有している。(日本アップル社のホームページ)。

 

 肺炎の重症度を知る目安となる「血中酸素飽和度」は、血液中にどの程度の酸素が含まれているかを示すもので、身体に疾患があったり体調不良を起こしていたりするとこの数値が低下する。従来は指に挟むタイプの「パルスオキシメーター」が血中酸素飽和度を測定する機器の主流だったが、アップルウオッチのような腕時計型端末(ウエアラブル型)機器で血中酸素飽和度を推定するニーズが高まっていた。血中酸素飽和度を計測するに当たり、Apple Watch Series 6では本体裏ぶたにあるセンサーを新しくした写真 Apple Watch Series 6本体裏ぶたのセンサー)。センサーは、4つの発光素子(LED)クラスターと4つの受光素子(フォトダイオード:PD)で構成。緑色と赤色のLEDと赤外線LEDが手首の血管部分に光を照射し、その反射光をPDで受光し、その結果から血中酸素飽和度を推定する。ただし、血中酸素飽和度を推定する機能は、医療向けではなく健康管理やフィットネス向けとしている。

 

 政府は医療の質を担保しながら、医療費を削減する医療制度改革を進めている。既に欧米では、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用して、医療分野の様々な課題を解決する「ヘルステック(「ヘルス」と「テクノロジー」を組み合わせた造語)」という新しいコンセプトが生まれている。ヘルステックの要素の1つに、ウエアラブル・デバイス(端末)があり、米国ではヘルステックに関わる企業によるウエアラブル・デバイスの研究開発が進んでいる。コロナ禍を契機に、アップルウオッチのようなウエアラブル・デバイスによる健康管理と病気予防の関心が高まっていくとみられる。

【事務局のひとりごと】

 

 ミッション・インポッシブル、キングスマン、スパイものの映画にはITハイテク機器がつきものだ。映画を見ると「お~!」と感嘆してしまう機能が、あたかも現実にあるかのように主人公たちが使いこなし、悪を倒す(倒すときにはあまり役立っているのは見たことがない。最後は肉弾戦、戦闘能力の差で決まることが多いような気がする)。あくまで脇役の域を出ないのだろうが、とにかくカッコいい使われ方をするITハイテク機器は、見る者の胸を躍らせる。憧れる。もしかしたら映画を元に商品化することだってあるかもしれない。

 

 営業とAMラジオは、体内時計と行動パターンと次第にリンクしてくる。営業活動に欠かせないBGMである(当時、筆者の営業車にはFMチューナーは搭載されていなかったのでAMラジオである)。

 何時間かに一度、甲高い声の社長でお馴染みのTVショッピングが流れる。言葉だけで聴者に想像させ、注文にもっていく話術の何と巧みなことか。思わず何度か注文したものだ。「腕時計型携帯カメラ」(※3)もその一つだ。

 甲高い声の社長が話すラジオのセールスポイント、

「バスの時刻表を書き写す代わりにシャッターで撮影」

「なるほど!」

 惹かれて、すぐに営業車を停車し、最寄りの公衆電話から注文・購入した。

 

 そんな時代も今は昔。ウェアラブル端末のように、端末自体は比較的安価なものから、今やいろいろな情報が取れる時代である。生体情報は巨大ヘルスケア市場における有用なパーソナルデータであり、ビッグデータである。ウェアラブル端末からさらに発展し、ハイセンスのデザインの腕時計型の端末に、あらゆる機能が搭載されたスマートウオッチは、筆者が当時冷やかされた、リストウォッチのような、「キワモノ」ではない。高級腕時計も良いのだろうが、ハイソサエティの経営者も結構身に付けているのを目にする、今や時代にマッチした、生活になじんだハイテクツールなのだ。

 そこから1段(?なのかは分からないが)ステージが変わったら、今度は医療機器になってしまった。なんだか、もっと昔からそんな動きがあっても良かったのではないか?と思う。答えを見てしまってからだからこんなことが言えるのかもしれないが、そんなことならアップル社のようなシリコンバレーの企業でなくとも、日本企業だって承認をとれたのではないか?そんな気さえ起こるぐらい、「えっ?」という感じだ。発想力の差か

 

 厚労省のコメントである。

 

〇アップル社からの届出があれば、販売店ごとの届出は不要

 厚労省の医薬・生活衛生局医療機器審査管理課は、「心電計」「心拍」アプリを搭載したアップルウオッチの販売に当たり、アップル社からの届出があれば、アップルストアや量販店からの届け出は必要ない制度との見解を示している。

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 それほどの品質管理がなされていることは前提であるが、いちいち販売代理店から届出する必要があるかなど、もはや議論すべきでないだろう。コロナ禍により、会社で購入した、非接触型の体温計の誤差(31.7℃などの異常値がしょっちゅう出る)が出てしまう、というのでは問題だが。体温・脈拍に関しては、スマートウオッチは接触型であるので信頼性は高いだろう

 

 アップル社からもコメントをいただいた。

〇アップルが人類に果たす役割は、ヘルスケア

 2019年1月のCNBC番組「Mad Money」の中でアップル社のティム・クックCEOは、「アップルが人類にとってどのような役割を果たしたかを遠い未来から見たとき、ヘルスケアこそがその答えになる」とコメント。また、2020年9月の新型アップルウオッチの発表会でクックCEOは、「多くの医療機関や保険会社がアップルウオッチの利点に注目している」と強調した。同社は、アップルウオッチで収集したデータを予防医療などの研究に役立てる構想も明らかにしている。

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 へぇ~、そうだったんだ(と思ってしまった。すみません)。かの企業がコメントするともっともらしいコメントだ。「健康」がキーワードであることに、誰も反対しないだろう。しかし、身近にある端末が、しかもそれ専用の機能として別持ちというのでなく、高機能腕時計に搭載され、それが医療機器になるというのは、ありそうでなかったものだ。

 

 医療機器業界からコメントをいただいた。

 

〇ヘルスケア分野でスマートフォンを活用しようという流れが世界的に加速

 2007年にiPhoneが、そして2008年にApp storeが世の中に登場したことを皮切りに、ヘルスケア分野においてスマートフォンを活用しようという流れが世界的に加速した。その中で、「ソフトウェア単体でもその使用方法によっては医療機器に該当するものも出てくるのではないか?」ということから、医療機器規制の国際整合化を議論するフォーラムであるInternational Medical Device Regulators Forum(IMDRF)で規制に関する議論が始まり、「Software as a Medical Device」(SaMD)が定義され、医療機器として有効性及び安全性を評価していこうという流れになった。この流れと並行して、2014年、日本でも薬事法から薬機法に改正された際、医療機器の「定義」に当てはまるプログラムは医療機器として規制の対象となることが定められた。

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 不勉強で申し訳ない。そんな流れがあったとは。

 

 医業系コンサルタントからはこんなコメントだ。

 

〇医療データは患者さんのもの。患者さんがデータを持ち歩く時代に

 最近、医療情報分野で注目されるのが、患者が自らの医療・健康情報を収集し一元的に保存し、それを医療機関が活用する仕組みであるPHR(Personal Health Record)。そもそも、医療機関で受診した保健医療に関するデータは、患者さんのものである。スマートフォンや腕時計型端末にデータを収集・保存し、かかりつけ医や病院に受診、健康管理をしてもらう時代がやってきた。

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 PHRは耳にしたことがあるが、それにしても、アップルウオッチのようなものを想定していたのか。商品を見てから、想像できるようになってからなら簡単な話であるが…。

 

 こんなコメントもいただいた。

〇「アップルウオッチ外来」を開始した都内の循環器内科クリニック

 アップルの「家庭用心電計プログラム」「家庭用心拍数モニタプログラム」医療機器承認取得を受け、東京都内の循環器内科クリニックは9月7日、「アップルウオッチ外来」を開始した。具体的には、不整脈の発作時の記録をもとに、不整脈の疑いの評価、さらなる精密検査の必要性、治療の必要性等を相談するもの。「正確な診断のためには症状出現時の心電図記録が極めて重要である。今まで、来院時心電図、ホルター心電図、携帯型心電計、埋込型心電計、電気生理学的検査等、様々なアプローチがあったが、選択肢が増えるのは良いことである」とコメントしている。

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 そんな外来が出来たというのは驚きだ。さすが最先端の都内である。しかしながら、つまりは四六時中腕に付けていないといけないわけか。これまで24時間心電図といえば、ホルター心電図だった。

 

 患者からはこんなコメントをいただいた。

〇24時間の重い心電計を付けなく軽くて便利に

 不整脈があり、かかりつけ医の指導でホルター心電計をつけ24時間計測しているが、一日中身体に付けていると結構重たい。腕時計型端末で計測できるなら、軽くて便利だ。

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 ホルター心電図計は、ネットで見ると数万円で購入できるようだが、医療機関での使用にも耐えうるような仕様となるとかなり高額だ。記録器もセットで数十万円は下らないかもしれない。それが腕時計に席巻されるかどうかは分からないが、しかしこれはメーカーにとっては脅威となるだろう。小型化・軽量化・長持ち化商品の進化の過程で必須のキーワードだ。これから秋から冬のシーズンにかけ、筆者も軽量化に努めなければなるまい。

 

 最後に、アップルウオッチユーザーからコメントをいただいたので紹介して締め括りとしたい。

 

〇心臓病について知るよい機会に

 アップルウオッチでの心電図計測は当然ながら簡易的なものであり、様々な心臓病を検知できるわけではない。心房細動、不整脈を検出するのがメインだ。万能ではない。しかし、心臓病について知るよい機会でもあるのは確か。

 

〇シニアに使ってもらいたい。新型アップルウオッチの「見守り」機能

 新型アップルウオッチには、iPhoneを持っていない家族のアップルウオッチとペアリングできる「ファミリー共有」機能がある。独立した電話番号を持ち、オーナーのiPhoneで管理できる。子供たちのためにはスクールタイム機能で使用時間を制限し、シニアには転倒検出、緊急SOS、さらに「探す」アプリで、「見守り」をすることもできる。特に、シニアの心電図を測り、異常事態が起きたら、即座に医療機関に連絡することも可能となる。

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 小型化・軽量化・多機能化・リンク・ペアリング・通信機能・生体情報・画像機能…あらゆるものがつながることで人類が得るメリットは大きい。プラットフォーマーに富が集中する、などとひがむのではなく、人類共有の知的財産をどうやって活用して健康を支えていくか。プラットフォーマーもそれがゆえの公益性についても思いをいたしていただきつつ、多くの利害関係者が一つのことで一致団結できれば、地球全体の未来は明るい。はずだ。

 全人類的な視点でものごとは考えなければならないな、ふとそんなことを感じた秋の日であった。

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

 

 (※3)…カシオ製 リストカメラ 当時15,000円くらいしたような記憶がある。ネットで検索したら、メルカリで出品されていた。懐かしい。

 画面はモノクロ、20㎜×20㎜程度の画面、保存枚数100枚、ドットの目は粗く、拡大機能はなかったと記憶している。とてもではないが、時刻表がすべて入る距離からシャッターを押しても、大事な時刻の部分は読めなかった。腕時計を見た人には「それで隠し撮りでもするの?」と冷やかされ、おまけ程度についている腕時計の機能も結構狂う。発想は良かったが、実用的かといえばまだまだおもちゃに毛が生えた程度かな?と感じざるを得なかった。同時期に、J-PHONEで携帯初のカラーカメラ機能付き携帯が発売されており(こちらはシャープ製)、企業間の技術の落差に愕然としたものだ。それとても、現在のスマホ等搭載のカメラの圧倒的画素数の比ではない。そういえば当時筆者が買ったリストカメラはどこに消えてしまったのだろうか…。