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No.723 総務省、経営力の強化、機能強化を目指した「公立病院経営強化ガイドライン」公表

2022年05月15日

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◇総務省、経営力の強化、機能強化を目指した「公立病院経営強化ガイドライン」公表から読みとれるもの

・公立病院において「経営力の強化」「機能強化」を目指す積極的な経営強化ガイドライン

・新ガイドラインを踏まえ、「経営強化プラン」(改革プラン)を策定

・2020年にかけて193公立病院が再編統合、病院数15.3%減、病床数15.0%減

 

赤字解消という消極的内容から経営力強化、機能強化を目指した「新ガイドライン」

 

 総務省は3月29日、「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」(新ガイドライン)を公表した。新ガイドラインは、従前の「赤字解消」を目指す、いわば消極的なガイドラインと異なり、公立病院において「経営力の強化」「機能強化」「連携強化」を目指す積極的なものとなっている。

 

 各公立病院では新ガイドラインを踏まえて2022年度・2023年度中に「経営強化プラン」(=改革プラン)を策定することが求められる。また、既に自主的に改革プランを策定している病院でも、新ガイドラインで要請されている部分に比べて「不足」があれば、その分を追加策定する必要がある(図1 持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン(案)(概要))。

 

 

 経営状況が厳しい、医療従事者の確保が困難など公立病院には運営上の大きな課題を抱えており、総務省の示す「公立病院改革ガイドライン」に沿って、各病院で改革プラン(公立病院改革プラン)を策定・実行することが求められている。ガイドラインや改革プランは定期的な見直しが必要だが新型コロナウイルス感染症の影響で新たなガイドラインの策定が遅れていたが、今回、新ガイドラインが示された。新ガイドラインの最大のポイントは、従来のガイドラインが「赤字解消」を主目的とするいわば消極的な内容であったのに対し、「経営力強化」「機能強化」「連携強化」を目指す積極的な内容である点である。

 

 新ガイドラインでは、公立病院が直面する諸課題のほとんどは「医師・看護師等の不足・偏在や人口減少・少子高齢化に伴う医療需要の変化に起因する」と指摘し、「医療従事者の確保」「限られた医療資源の効率的活用」が経営強化プランの中で非常に重要になると強調。あわせて経営強化プラン策定に当たっては、国や都道府県における地域医療構想の実現、地域包括ケアシステムの構築、医師をはじめとする医療従事者の働き方改革推進、医師の偏在解消-などの動向を十分に踏まえて進めなければならないとした。

 

 このため、各公立病院が作成する経営強化プランには、①役割・機能の最適化と連携の強化、②医師・看護師等の確保と働き方改革、③経営形態の見直し、④新興感染症の感染拡大時等に備えた平時からの取組、⑤施設・設備の最適化、⑥経営の効率化等-を盛り込むことが求められる。

 

総務省「公立病院改革ガイドライン」により193公立病院が再編統合、病院数15.3%減

 

 今回の「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」(新ガイドライン)は、総務省の「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化に関する検討会」が取りまとめたもので、地方公共団体に作成を要請する「公立病院経営強化プラン」の方向性を示した。総務省は公立病院に対し、新ガイドラインに沿った「公立病院経営強化プラン」の策定を求め、そのプランには、地域医療構想の実現や地域包括ケアシステムの構築に向けて果たすべき役割を踏まえ、経営力強化のための取り組みを記載することになる。

 

 全国の公立病院の多くは、経営状況の悪化や医師不足などにより、医療提供体制の維持が極めて厳しい状況にある。この問題に対して総務省は2007年に、①経営の効率化、②再編・ネットワーク化、③経営形態の見直しを軸とした「公立病院改革ガイドライン」2015年には上記3点に「地域医療構想を踏まえた役割の明確化」を加えた「新公立病院改革ガイドライン」を公表し、公立病院改革を促してきた。これを受け、公立病院改革ガイドライン公表後の2008年から2020年の間に全国94の病院が独立行政法人化し、また79の病院が指定管理に新たに移行するなど、経営形態の見直しが進められてきた(図2 これまでの公立病院改革の取組状況(経営形態の見直し①))。

 

 

 再編・ネットワーク化は、2008年から2020年にかけて193公立病院が実施。病院数・病床数はピークの2002年の1007病院・23万9921床から2020年には853病院・20万3882床まで減少した(病院数15.3%減、病床数15.0%減)。

 

 ところで、財務省は4月13日開いた財政制度等審議会財政制度分科会に新型コロナウイルス感染症に関する医療機関への支援として、医療提供体制強化のために「主なものだけで16兆円の国費」が投じられ、うち「医療機関と医療従事者への支援がワクチン接種費用も含めた単純計算で8兆円」などとする集計結果を分科会に提出。資料では、国立病院機構、地域医療機能推進機構(JCHO)は経常利益が大幅に拡大、公立病院では2019年度に大きなマイナスだったものがそれを上回る大幅なプラスに転じ、流動資産はいずれも増加しているとのグラフを、医療経済実態調査を元に財務省が作成して提示した。これらの国費投入の結果、「国公立病院の2020年度決算が従前と比べ様変わり」「民間の医療法人の経営実態もコロナ関連補助金を含めれば堅調」などと指摘した(図3 新型コロナと医療機関の支援①(医療機関の経営実態))。

 

 

 

【事務局のひとりごと】

 

 お隣の国、中国4千年の歴史読本の中で、魏・呉・蜀の三国時代を描いた「三国志」は、吉川英治の「三国志」、それを元にしたであろうコミック・トムのコミック本「三国志」などで広く知られる、とりわけ人気の高い作品である(※1)。

 

 地域医療構想

 

 さながら春秋戦国時代を思わせるような、それぞれの二次医療圏における医療機能の群雄割拠は、度重なる医療制度改革、診療報酬改定を受け今日に至ってきた。

 令和2年(2020) 10月1日現在、医療施設総数は17万8724施設、うち病院数8238施設、総病床数は159万3633床、うち病院病床数150万7526 である。

(厚生労働省 令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況 より https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/20/dl/02sisetu02.pdf

 

 本文中にあったが、そのうち公立病院は、「病院数・病床数はピークの2002年の1007病院・23万9921床から2020年には853病院・20万3882床まで減少した(病院数15.3%減、病床数15.0%減)」という。

 

 これは筆者の勝手な持論なのだが、公立病院がもし本気になって経営改善に取り組み、患者集めに躍起になり、ある意味で真剣に病院経営に取り組んだとすれば、それが仮に医療の世界が、群雄割拠の様相を呈していたとすると、同一の医療圏にある民間病院は、かなりの窮地に追い込まれることになると思う

 それはとりもなおさず、自治体から繰り入れられる交付金と、自治体病院ゆえの税負担の少なさ、この2点だけでも相当のアドバンテージがあるからだ。

 

 でも、現実にはそうはならないだろう、とも思う。開設主体にもよるが、議会・人事権・意思決定の過程の長さ、もろもろを考慮するに、せっかくのアドバンテージを生かすだけの、いわば「ダイナミックな意思決定」が出来づらい組織体であることや、「小回り」が利かないことが、それぞれの医療圏での完全勝者たり得ない理由なのだろうと考える(※2)。

 

 公立病院にはこれまで公立病院改革ガイドライン(平成19年度)」、「新公立病院改革ガイドライン(平成26年度)」と、2度のガイドラインが公表され、その改革プランの策定・実行が求められてきており、どうやらそれは「赤字解消」が主目的だったらしいが、3回目の公表である今回の「公立病院経営強化ガイドライン」は、「経営」・「機能」・「連携」の強化を目指す積極的な内容であるという。

 

コメントを紹介したい。

 

○総務省:中小規模の公立病院における医師確保が困難

 

 総務省は4月20日、公立病院の経営状況および公立病院経営強化ガイドライン等に関する資料を公表した。その中で、公立病院における「100床あたり常勤医師数」を病院規模別にみると、2020年度は、全体16.0名(2008年度と比べて46.8%増)で、500床以上21.8名(同59.1%増)、400床台18.8名(同52.8%増)、300床台15.5名(同50.5%増)、200床台12.7名(同32.3%増)、100床台8.8名(同17.3%増)、99床以下6.7名(同6.3%増)-と、中小規模病院では「医師数が少なく」「医師の増員にも苦戦している」状況が明らかになった。

 

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 なるほど、先ほど筆者が勝手に述べた持論が該当するのは、大規模の公立病院でなければ成立し得ない可能性が高い、ということか。中小規模病院では、医師確保ですら苦戦している状況であるという。

 

続いて厚労省のコメントを。

 

○厚労省:第8次医療計画策定を踏まえ、地域医療構想に係る各医療機関の対応方針の策定や検証・見直しを

 

 2021年12月10日開かれた全国知事会・全国市長会及び全国町村会、総務省、厚労省による「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」で、厚労省は、「第8次医療計画の策定作業が2023年度までかけて都道府県で進められる。2024年度から計画を稼働させるため、都道府県で2023年度中に計画を作成する必要があり、その際には新興感染症対応などの記載事項追加等に向けた検討や病床の機能分化・連携に関する議論等を行っていただく必要がある。その作業と併せて2022年度・2023年度において『地域医療構想に係る民間医療機関も含めた各医療機関の対応方針の策定や検証・見直し』をお願いしたい」と要請。同省としても財政的・技術的支援を行う「重点支援区域」や病床削減に対する財政的支援を行う「病床機能再編支援制度」などにより医療機関の機能分化等を支援していくことを明らかにした。

 

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 いろいろ難しい言葉が並べられているが、地域医療圏を巻き込んで議論を行い、方針が定まり、その上で病床削減を行うなら「お金を出す」ことで機能分化の支援を行う、ということだ。また、「協議の場」は地域医療構想において、非常に重要な「場」なのである。

 

続いては公立病院の院長からのコメントだ。

 

○公立病院院長:「限られた医師・看護師等の医療資源を地域全体で最大限効率的に活用する」視点が重要

 

 全国自治体病院協議会の記者会見で、総務省の「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化に関する検討会」委員である望月 泉副会長(八幡平市病院事業管理者兼八幡平市立病院統括院長)は、新たなガイドラインは「公立病院に持続可能性確保、経営強化を目指すものとなる」と強調した。特に、「限られた医師・看護師等の医療資源を地域全体で最大限効率的に活用する」視点が重要であると指摘。例えば「地域の基幹病院に医療資源を集約化し、そこから他の中小病院などに医師・看護師を派遣する」仕組みを地域ごとに構築していくことなどを提案した。

 

○公立病院院長:経営強化プラン策定に当たり医療現場のデータ分析に病院幹部が今まで以上に関与

 

 先行して新公立病院改革プラン改訂を行った北陸地方の公立病院。「公立病院経営強化プラン」の策定と同時に、医療現場の実際の対応にまで落とし込んだデータ分析を行い、入院単価の向上など目に見えて経営を改善した。第1次と第2次の改革プランは行政(市)だけで作成したが、第3次改革プランでは外部のコンサルタントのアドバイスを受け、医療現場のデータ分析に病院幹部が今まで以上に関与した。現在、第4次改革プランを策定し、戦略的な病床機能強化を進めている。

 

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 どちらの病院も公立病院改革に前向きなコメントであり、こういった考え方で進み、確実に実行も進めば、間違いなく公立病院経営強化は「なされる」のだろう。

 

続いてはこんなコメントを。

 

○公立病院事務局長:少子高齢化が進む地方の公立病院では、看護職員の確保に悩まされている

 

 経営強化プランの記載項目の中で最も対応が難しいのが、「医師・看護師等の確保と働き方改革(不採算地区病院等への医師派遣の強化や、医師働き方改革への対応など)」である。当院のような人口減少、少子高齢化が進む地方の公立病院では、新卒看護師をはじめ看護職員の確保に常に頭を悩まされている。

 

○公立病院事務局長:中小規模の公立病院では常勤医師の確保が困難

 

 2024年度から時間外労働規制が開始され医師の働き方改革への適切な対応が求められるが、われわれのような中小規模の公立病院では常勤医師の確保が困難。病院長のつてによる大学医局からの医師派遣は事実上、機能していない。このため、人材派遣会社を通じた医師募集を行っているが、そのコストが馬鹿にならない。

 

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 先ほどの病院長は、比較的大規模な公立病院の院長なのだろう。こちらの事務局長のコメントは切実である。そして「医師の働き方改革」の登場だ。我国の労働環境に関する動きは決して間違っているとは思わない。誰もが決められた時間内に、求められる成果を出すことができればそれに越したことはない。

 

 しかしである。「人材難」がこれほど叫ばれる時代に突入してきている中、決まったこととはいえ、これまでの方針どおりに、理想(まず形)だけ追い求め、そこに実像を合わせに行こうとする、なかば強引な方法で、果たして本当にやっていけるのだろうか。そんな疑問が湧いてくるのは筆者だけか?

 

 公立病院の経営形態について、本文中の「【図-2】これまでの公立病院改革の取組状況(経営形態の見直し①)」をご参照いただきたいが、「地方公営企業法の一部適用」、「地方公営企業法の全部適用」、「地方独立行政法人化」、「指定管理者制への移行」の、大きく分けて4つに大別される。(【図-2】これまでの公立病院改革の取組状況(経営形態の見直し①) 再掲

 

 

それを踏まえて、今度はこんなコメントだ。

 

○医業系コンサルタント:さらなる経営形態の見直しの必要性について検討するよう求めている

 

 今回のガイドラインでは、地方独立行政法人(非公務員型)、地方公営企業法の全部適用、指定管理者制度、事業形態の見直し(例:診療所への転換、民間譲渡等)を選択肢としつつ、最適な事業形態の見直し検討を求めている。このうち、地方独立行政法人を選択した病院においては、人事面・財務面での自律性が向上し、医師・看護師等の確保に効果を上げていることも示され、総務省として地方独立行政法人化を主要な選択肢として想定していることが見受けられる。現状の経営形態で比較的多いと思われる全部適用の選択肢については、「全部適用を選択した場合でも、所期の効果が達成されない場合には、地方独立行政法人化など、さらなる経営形態の見直しに向け直ちに取り組むことが適当」とされる。また、指定管理者制度の導入については、日本赤十字社や大学法人等の民間法人を指定管理者として指定することで、民間的経営手法の導入効果が見込まれる。

 ガイドラインでは、既に経営形態の見直しを行っている場合でもその成果を検証するとともにさらなる見直しの必要性について検討するよう求めている。

 

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 とにかく、一度見直してプランを立案しても、効果が出なければさらなる見直し」を求めているわけだ。独法化(地方独立行政法人化)してもなお、効果があらわれない場合、それはもう自助努力でなく、民間的経営手法を導入しなさい、ということか。結構厳しい内容である。

 

勤務医からのコメントを紹介したい。

 

○公立病院勤務医:統合再編により慢性期に病床機能が変わるので、専門医キャリアが生かせなくなる

 これまで急性期医療病院の循環器内科専門医として専門性をいかして勤務してきたが、近隣の病院との再編統合によって当院は急性期から慢性期・回復期病院に病床機能が転換されることになった。今まで築いてきた専門医としてのキャリアが生かせなくなるので、他府県の急性期病院に転職しようと思う。

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 ごもっともな意見である。職業選択の自由、働く場所を選ぶ権利、我が国では労働者に等しく保障されている権利だ。しかし、地域医療構想の中でご勤務の公立病院が慢性期・回復期化されたのなら、その医療圏内で専門性を生かせる病院に行かれた方が、地域医療のためになると思うのだが…。

 

看護師からはこんなコメントだ。

 

○公立病院勤務看護師:急性期専門病院として入職したのに‥‥

 

 急性期病院の看護師募集で応募して新卒として入職、7年経ちICU看護師としてキャリアを積んできた。ところが、当院の経営が悪化し、手厚い看護師の配置が必要な急性期医療を維持できなくなり、病床の一部を回復期の地域包括ケア病棟に転換することになった。「急性期の病院」「看護師のキャリアを積める急性期医療病院」として応募したのに、裏切られた気がする。

 

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 こちらもごもっともな意見であるが、世の中に、自分がやりたい(と希望している)仕事を、そのまま職業で実現できている方はどれだけいらっしゃることだろうか。「急性期でなければ医療では(看護では)ない」、という考え方は、この先2040年の人口がピークアウトしていく頃まで、どんどん狭き門になりそうな気がする。もちろん、ICUでのご経験は、仮に他病院にご転職されたとしても、重宝がられるとは思いますよ。

 看護師お一人お一人も、地域医療にとっては貴重な医療資源であることを、是非とも念頭においていただけると非常にありがたいと考えます。

 

民間病院経営者からのコメントを紹介したい。

 

〇新ガイドラインによる公的病院の病床転換は民間病院の経営を圧迫しかねない

 

 公立病院は国、地方自治体の財政援助によって病棟再編がしやすいが、われわれ中小民間病院の病棟再編は難しい。当院のある県の400床の公的病院は、看護職員の配置が難しくなり急性期病床の一部を地域包括ケア病棟に転換。慢性期・回復期の病院同士の競争が激化してきた。今回の新ガイドラインによる公的病院の病床転換促進策は、民間病院の経営を圧迫しかねない。

 

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 ・・・ですね(久々登場)。公立病院の本気の改革近隣の医療圏に必ずや影響を及ぼすことだろう。だからこそ「協議の場」の重要性が問われるのだろう。

 

医業経営コンサルタントより、新ガイドラインに対してコメントだ。

 

〇新ガイドラインに沿って「地域に必要とされる公立病院の姿」を

 

 新ガイドラインに沿って、従来通りの考えにとどまらず、より緻密な自院のデータ分析を行い、戦略をもった検討をベースとして「地域に必要とされる公立病院の姿」を個々の病院の実情に合わせて検討する必要がある。

 

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 つまり裏を返せば、これまでは提供側の論理で動いてきたものを、よく言われるところの「患者の視点」で検討しましょう、ということだ。何も改革を必要としているのは公立病院ばかりではないが、今回の「新ガイドライン」が地域医療に与える影響は如何に?

 

 これまでの大型連休とは全く様相が異なり、今年日本列島が迎えた大型連休は、TVに映る光景は皆マスクをしていたものの、新型コロナウイルスの存在(脅威?)が、どこか希薄化したように感じた方も多いのではないか。しかしながら、医療機関においては、新型コロナウイルス感染症が「2類」相当で隔離を必要としている以上、未だ緊張感は継続中であり、はや3年目に入ってしまったところだ。

 安倍元総理大臣の頃より、未知で脅威の新型コロナウイルス感染症に対し、入院基本料が引き上げられ、補助金も交付され、国としてはかなりの金策的バックアップで医療機関を支えてくれたと記憶しているが、本文中にもあるように、財務省によれば、『「国公立病院の2020年度決算が従前と比べ様変わり」「民間の医療法人の経営実態もコロナ関連補助金を含めれば堅調」などと指摘』されている。

 

 喉元過ぎれば何とやら、という感じがしないでもないので、医療機関にとってはあまり気分の良い言われ方ではないことだろう。

 

最後に財務省のコメントで締め括りとしたい。

 

〇財務省のコメント:医療提供体制は中小病院を大病院に集約。地方の強制力を含めたトップマネジメントが大切

 

 4月13日開催された財務省の財政制度等審議会財政制度分科会で、委員から「医療提供体制について、中小病院を大病院に集約することと、かかりつけ医制度が肝だ。医療は国や地方、特に地方の強制力を含めたトップマネジメントが大切である」との指摘が出された。

 

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 「強制力」、「トップマネジメント」。冷徹なまでの財務省の鋭い指摘である。

 

 冒頭に戻るが、三国志では主人公が蜀の劉備だったこともあり、その人情味溢れる人物像に、どうしても感情移入してしまいがちな筆者であったが、果たして三国時代にこの財務省の考え方のような官僚がいたとすれば、それはどの国に多く存在していただろう?(※3)。もしかして、かの諸葛孔明が現代に蘇ったら財務省のようなことを言ったであろうか…。いや、個人的にはないと信じたい。

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

 

(※1)…中国の歴史読本は、何も三国志だけがとりわけ群を抜いていて素晴らしい、というのでは決してない。

 ただ、日本では圧倒的にその名が知れている諸葛孔明や、映画ではレッド・クリフ、漫画ではキングダムに代表されるような日本のサブカルチャーに広く浸透してきたという点において、多くの人の知るところになっているのだろう。もちろん、筆者も大好きな中国の歴史読本である。

<筆者>

 

(※2)…そう言っておきながらなんだが、公立病院でも見事に経営改革に取り組まれた好事例が存在するのも確かだ。おそらくその場合は「地方独立行政法人化」されている上で、さらなる経営改革と地域医療連携を進められた結果なのだろう。

<WMN事務局>

 

(※3)…4月から放送開始、何とあの諸葛孔明が現在に存在し、さらにあろうことか、女性シンガーの軍師となって、その女性シンガーが売れっ子になっていくというサクセスストーリー(?)を見てしまった。あまりに破天荒な発想にド肝を抜かれたが、しかしながらしっかり三国志で登場した兵法がストーリーに生かされ、諸葛孔明の 人となりも想像通りの人物像で、意外にも面白い、と感じてしまった。何十年か振りに三国志に夢中になっていた頃を思い出した(パリピ孔明 原作:四葉夕卜 作画:小川亮)。 

<筆者>

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