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No.721 第8次医療計画策定に向け明らかになった医療・福祉分野の人材確保問題

2022年04月15日

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◇「第8次医療計画策定に向け明らかになった医療・福祉分野の人材確保問題」から読みとれるもの

・2024年度スタートする第8次医療計画策定検討で明らかに

・2025年度以降 “ポスト地域医療構想”の医療提供体制改革が急務

・現役世代人口の減少が深刻化する中で2025年以降の医療・福祉人材確保が問題に

 

第8次医療計画策定で課題となる2025年以降の医療提供体制改革

 

 厚生労働省は3月4日に開いた「第8次医療計画等に関する検討会」で、2024年度からスタートする第8次医療計画の策定に向け、事務局が2025年から2040年にかけた医療関連のシミュレーション結果などをまとめた「医療提供体制を取り巻く状況~超高齢化・人口急減の到来~を提示。この中で、総就業者数が2018年の6665万人(うち医療・福祉就業者数826万人)から、地域医療構想の実現期限である2025年の6490万人、 “ポスト地域医療構想”となる2040年では6024万人と大きく減少する一方で、医療・福祉分野の人材は1070万人程度と現在より多く必要となるとの推計を示した。2025年以降、医療・福祉分野の人材確保が大きな課題となることが明らかになった。

 

 2024年度からスタートする「第8次医療計画」に向けて、①前年度(2023年度)中に各都道府県で計画を作成する、②その前年度(2022年度)中に都道府県が計画を作成するための「拠り所」となる指針(基本指針)を厚労省が策定し、公表することが必要となる(1 医療提供体制に係る今後のスケジュール)。

 

 

 3月2日に開催された「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」(「第8次医療計画等に関する検討会」の下部組織)では、今後の医療提供体制改革を考える上で、(1)コロナ感染症をはじめとする新興感染症に対応できる医療提供体制の確保、(2)人口の変化、とりわけ「現役世代人口の減少」が深刻化する中での医療提供体制の確保-が重要となることなどが明らかになった。

 このうち(2)について、地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループの座長で第8次医療計画等に関する検討会構成員である尾形裕也・九州大学名誉教授は、「2025年度以降のいわばポスト地域医療構想となる医療提供体制改革方針を急ぎ検討していくことが必要となる」と指摘した。医療提供体制の今後のスケジュールでは、地域医療構想の実現が2025年度までとなっている。2025年度は団塊の世代が全て75歳以上となる時期であり、高齢者医療費が急増し医療制度改革の目安となる時期となる。

 

「現役世代人口の減少」が深刻化する中で、2025年以降、人材確保が重要な課題に

 

 上記の(1)コロナ感染症をはじめとする新興感染症に対応できる医療提供体制の確保、(2)人口の変化、とりわけ「現役世代人口の減少」が深刻化する中での医療提供体制の確保-の共通のテーマとして注目されるのが「医療・福祉人材の確保」である。少子高齢化が進む中では、多くの医療ニーズを抱える高齢者が増加する一方で、支え手となる現役世代が減少していくため、「少なくなる一方の現役世代の中でどのように医療・福祉従事者を確保していくか」「効率的・効果的な医療提供をどう進めていくか」が極めて重要な課題となる。

 

 3月4日の「第8次医療計画等に関する検討会」で、厚労省は「医療提供体制を取り巻く状況~超高齢化・人口急減の到来~」を提示した。

 その中で、人口動態については、①わが国2040年頃の人口動態を見ると、65歳以上人口のピークが到来する。②2025年以降、「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に局面が変化する。③65歳以上人口は急増してきたが、今後は減少する都道府県が発生する。④高齢者の減少と現役世代の急減が同時に起こる2次医療圏が数多く発生する。医療需要の変化について、①入院患者数は、全体としては増加傾向にある。②全国での外来患者数は、既に減少局面にある医療圏が多い。③在宅患者数は、多くの地域で今後増加する。④超高齢化・人口急減で、急性期の医療ニーズが大きく変化する。⑤医療と介護の複合ニーズが一層高まる。⑥介護施設等・他の医療施設へ退院する患者数が増加する。⑦死亡数が一層増加する-との推計を示した。

 

 さらに医療・福祉分野のマンパワーについて、医療・福祉分野の就業者数は、2018年に826万人(総就業者数6665万人の12%)、2025年に940万人程度(総就業者数6490~6082万人の14~15%程度)、2040年には総就業者数が6024~5245万人と大きく減少する中で医療・福祉分野の人材は1070万人程度と現在より多く必要となるとの推計を示し(図2 マンパワー① 2025年以降、人材確保がますます課題となる

 

 

①2025年以降、人材確保がますます課題となる。②2024年度からは働き方改革への対応が求められる。③働き方改革への対応と地域医療の確保の両立が必要となる。④提供者側(医師)の高齢化も進展している-と、問題点を指摘した。

【事務局のひとりごと】

 

 増え続ける医療費の伸びの抑制…

 

 医療費や診療報酬が語られる時、よく聞くフレーズである。裏を返せば、医療業界は、伸び率の抑制はあるかもしれないが、「毎年伸びる」、つまり「成長する」ということも約束された業界だ、ということもできる。少なくとも2040年頃までは…。

 

 本文中の【図-2】マンパワー① 2025年以降、人材確保がますます課題となる、を見るとますますそれを確信する。(図‐2再掲)

 

 

 ただし、それがバラ色の近未来か?というと、単純にそんな構図にはならない。「労働集約型産業」と言われる医療・福祉業界の就労人口も比例して増えなければそれも叶わない、ということも明確になったからだ。どれだけ働き方改革が進んでも、医療・福祉の現場にマンパワーが必要となる、ということか。就労人口も確実に減少していくことが判明している中、果たしてこれは喜ぶべきことなのか否か?少子高齢化(が問題であることを前提とすると)への明確な処方箋がないまま今日に至った我が国。医療・福祉業界の成長が見通せるという安心感より、もはやこのままの戦線を果たして維持し続ける、あるいは拡大することができるだろうか、そちらの不安の方が勝ってしまう

 

 コメントを紹介したい。

 

〇保険局医療課:今回の診療報酬改定によって第8次医療計画策定の基本的な考え方は変わらない

 2022年度診療報酬改定に関する説明の中で井内努医療課長は、「第8次地域医療計画については今まさに検討されているところで、今回の改定を議論している時点では基本的な考え方は従来通り。その上で、コロナの経験を踏まえて、より良い医療提供体制をどのように構築するのかである。地域における入院・外来・在宅にわたる医療機能の分化・強化についても、基本的に必要と考えられた上で、現時点でどういった医療の機能強化・分化が必要なのか議論され、今回の改定内容が決まったと考えている」と、今回の診療報酬改定によって、第8次医療計画策定の基本的な考え方は変わらないと説明した。

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「基本的な考え方は従来通り」なのだそうだ。

 

〇厚生労働大臣:介護職員の処遇改善は、安定的・継続的な事業収入が今後とも見込まれる介護報酬において対応

  2月4日の閣議後の厚生労働大臣記者会見で後藤厚生労働大臣は、介護職員の処遇改善について問われ、「介護職員の給与が他の職種との比較においても低い状況にあって、その人材確保に向けて、処遇改善に取り組む必要があると考え、これまで累次の処遇改善に取り組んできた。補正予算により2月に前倒しして9月まで実施した上で、今年10月以降については、介護報酬改定によりきっちりと継続的な措置、すなわち恒久的に続くようにということで制度の措置を行う。介護職員の処遇改善は、事業者にとって安定的・継続的な事業収入が今後とも見込まれる介護報酬において対応する。介護保険制度は、保険料負担、公費負担、利用者負担の適切な組み合わせにより、国民みんなで支えあうことで持続可能なものとしている。こうした枠組みの下で対応していくことが適切であると考えている」などと答えた。

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 「介護職員の給与が他の職種との比較においても低い状況」

 仮にこの問題を解決しようとするならば、介護報酬そのものを大幅アップするか、処遇改善等の別な方法で補填するしかないだろう。厚労相は「介護報酬において対応する」と仰っているので、その意図することは単純に考えれば「介護報酬プラス改定」しかも「大幅な」、となるのだろうが、これまでの改定の流れを見る限り、アウトカムに対する評価はプラスとなっているが、漫然と基本報酬が上がる、などというのは近年で見かけたことがない。

 他の産業の給与を意図的に下げてもらい、結果として介護職員の給与が高くなる、ということでも起こらない限り、筆者の浅はかな頭ではそれしか思いつかない。

 

 以下、WMN 2021年8月号のひとりごとを再掲してみる。

 

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 介護職員のコメントを紹介したい。

 

〇介護福祉士の平均年収は292万円、なり手は「なかなか」望めない

 厚労省がこのほど公表した2020年度「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士就労状況調査結果」(速報版)によると、介護福祉士の国家資格を持っている人のうち、介護・福祉以外の分野で働いている人は4万589人(7.0%)、現在仕事をしていない人は8万154人(13.8%)にのぼり、20.8%が介護福祉士の資格を持っていながら介護・福祉の仕事をしていない「潜在介護福祉士」となる。介護人材の確保のため、「潜在介護福祉士」の活用が注目されるが、同調査によると、2019年度の介護福祉士の平均年収は292万円で、全業種平均を15万円ほど下回ることが明らかになっており、この待遇では介護福祉士のなり手は「なかなか」望めない。

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 よく言われる、現役世代並みの収入とされる年収は、住民税の課税所得が145万以上、というのも考え方の1つだが、前期高齢者(70歳~74歳)の医療費患者負担が、標準報酬月額が28万円以上だと、少なくとも単純に2割負担とはならない、そういった背景を踏まえると、28万円×12か月で年収は336万円となる。条件によっては2割負担のままの高齢者もいるが、3割負担、つまり現役世代並みと解釈される高齢者も当然いるわけだ。介護される可能性のある年代の方が、介護を提供する側よりも年収が高いというのは、確かに悲しい現実である。これからお世話になるかもしれない介護人材が、せめて収入上は安心して業務に就ける世の中にはならないものか。財源論が大きく横たわる

 

 介護施設を運営する経営層からはこんなコメントだ。

 

〇深刻な人手不足に悩む介護施設につけ込む悪質な民間職業紹介事業者

 深刻な人手不足に悩む介護業界では、人材確保が大きな課題になっており、多くの介護施設では、求人募集にハローワークなどの公的機関だけでなく、民間事業者を利用している。介護職は、完全な売り手市場であり、有効求人倍率は平均より3倍以上の高水準が続き、こうした市場を利用した悪質な業者による被害が頻発している。例えば、ある求職者がAという施設に就職したにもかかわらず、業者は2年以内にBという施設への再転職を勧めるなどのケース。民間の職業紹介事業者の仲介で就職した人の38.5%は半年以内に離職しており、せっかく採用したのに、人材が定着しないという問題に直面している。さらに、紹介手数料が年収の35%という業者もあり、多くの介護事業者は人手不足と採用コスト増で悩みを抱えている。

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 主に介護人材を紹介する事業者は、確かに現状は引く手あまただ。ところがせっかく人材を紹介いただいても、その人材が定着してくれるかどうかは別問題だが。今コメントのように民間職業紹介側の問題もあるのかもしれないが、紹介される当人の問題もあるのかもしれない。この問題も深刻だ。それだけの紹介料を支払うくらいなら最初から給料を上げた方がよほど良い。そんな理屈は誰でも分かりそうなものだが、しかし、給与テーブルや人事制度、従来働いておられる方々の待遇とのバランス、もろもろ考慮するとそういうわけにいかない。人材は集まらない。少ない人材で現場を回す、現場が疲弊しさらに人が辞めていく…こんな悪循環が、意外に多く介護現場で起ってはいないか?

 

 これからの我が国の医療現場では、厚労省の示す通り、高齢者人口がピークアウトするといわれる2040年頃までは、慢性期的な医療を必要とする患者が増えるはずなので、急性期的な医療については、医療資源集中はあるとしても、急性期病床=一般病床だとするならば、「在宅へ」と誘導している政策である以上は、一般病床は減少する流れだろう。介護人材は不足、反対に看護人材は余裕が出来てしまうのではあるまいか?

 そんな予測の下に、看護師に将来必要とされる介護の道に行こうと思うか?そんな質問をさせていただいた

 

 看護師のコメントである。

 

〇医療・介護は、資格が重視されるヒエラルキーの世界。介護の世界に飛び込もうという人はいないと思う

 医療・介護業界は、資格が重視されるヒエラルキーの世界。よほどの社会的使命がない限り、看護師から“資格の底辺”で給与も低い介護の世界に、敢えて飛び込もうという人はいないのではないか。

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資格の底辺」か。それを押してまで介護の道を目指してもらおうとするなら、医療から介護に財源移転し、資格は底辺かもしれないが、介護従事者の方が看護師よりも収入が高い状況を作らなければならない。もちろん、これは全くの仮定の話であり、厚労省が力を入れているのは「他産業からの介護職への参入促進」である。

 

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 看護師に介護の世界にお越しいただくには、この看護師のコメントが全ての看護師のお考えを代弁しているわけではないのだろうが、医療における報酬体系が大幅減とでもならない限り、難しいことだろう。

 そうなると、「他産業からの介護職への参入促進」の「他産業」とはどんな業界となるのだろう?

 

 少子高齢化についてこんなコメントだ。

 

〇野田特命担当大臣:マイナス点が目立つテーマだが、解決できれば確実に日本の価値、国際的な地位は向上

 地方創生、少子化対策、男女共同参画、女性活躍、子ども政策、孤独・孤立対策の6つの大臣ポストに就任した野田聖子内閣府特命担当大臣は就任後の記者会見で、「地方・少子化・女性は重要課題。大臣として担当するのは、疲弊する地域の問題、少子化、国際的にみて女性の地位が低いことなど、今はマイナス点が目立つテーマばかりだが、これが解決できれば確実に日本の価値、国際的な地位は向上する。リ・スタートアップとして、改革を進め成果を出していきたい」などと、抱負を述べた。

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 確かに。

 子を持ちたいと考えている夫婦は決して少なくない(率として)。ただ、人口ボーナス期と人口オーナス期で最も異なるのは、子を持つことができる年代の夫婦の絶対数である。

 野田大臣の仰るように、解決できれば、それは素晴らしいことだ。

 

 中医協委員からのコメントを紹介したい。

 

〇健保連理事:2024年度次回改定に向け、地域医療構想に基づく病床再編の進捗や外来医療を巡る様々な検討の状況を注視

 2月9日の2022年度診療報酬改定中医協答申を受け、松本真人健康保険組合連合会理事は、「2024年度の次回改定は団塊の世代が全て75歳以上となる2025年の直前に行われる。地域医療構想に基づく病床再編の進捗や外来医療を巡る様々な検討の状況を注視しつつ、答申書附帯意見を踏まえ、さらなる対応について十分に議論する必要がある」とコメントした。

 

〇日医常任理事:次回改定は第8次医療計画のスタートに合わせた大変かつ重要な改定

 同じく中医協委員である城守国斗日医常任理事は、「次回診療報酬改定は第8次医療計画のスタートに合わせた改定になるので、さらに大変かつ重要な改定になると思う」とコメントした。

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 中医協委員は、非常に多くのことに思いを致しておられる方々である。先の政治家のコメントは、処遇改善だとか、少子化問題を解決したい、だとか、実現できるかどうかは別として、「おっ」というコメントだが、その論調に比較して、この中医協委員のコメントのどこにそれを見出せばよいのか?「ふー」という感じだ。

 

 今回は人材確保問題である。その観点から病院経営者のコメントを紹介したい。

 

〇地域医療連携推進法人を設立。4病院が共同の研修プログラムを設け医師の確保に取り組む

 中国地方山間部で過疎化が進む広島県・市立三次中央病院。同院が中心となり2017年、備北二次医療圏(広島県三次市、庄原市)に全国初の地域医療連携推進法人「備北メディカルネットワーク」を設立。地域医療連携推進法人の最大のミッションは「地域医療提供体制を維持するための医師の確保・育成」。4病院が連携して共同の研修プログラムを設け医師の確保に取り組んでいる。

 

〇病院のイメージアップと人材確保につながる「健康経営」

 最近、企業が自社の従業員の健康サポートを積極的に取り組む経営スタイル「健康経営」に取り組む病院が増えているという。経済産業省が特に優良な“健康経営”を実践している企業・団体を認定する「健康経営優良法人制度」を取得。福岡市の民間病院は、健康経営を実践している企業・団体として「健康経営優良法人2022大規模法人部門(ホワイト500)」に6年連続で認定された。従業員の健康がサービスを提供していく上で不可欠な資本であることと認識し、従業員への健康情報の提供や健康投資を促すしくみを構築するなど「健康経営」は、病院のイメージアップと人材確保につながると注目されている。

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 こういった組織だった取り組みは、やはり人を惹きつけていくのだろう。ただ漫然と「人が来ない…」と嘆くだけではいけない、と鼓舞していただいた。

 

 一方で、開業医からのコメントを紹介したい。

 

〇過疎化が進み、開業しても患者さんがなく、経営が成り立たなくなっている

 新潟県の少子高齢化が進む地域の70代の開業医。公立・公的病院の廃止統合が進み、その結果、当該病院で勤務していた先生が地域で開業する例が少なくなるという悪循環に陥っている。そもそも過疎化が進み、開業しても患者さんがなく、経営が成り立たなくなっている。私も後継者がなく、そろそろ廃業しようと思っている。

 

〇医院の閉鎖が新規開業よりも多いペースで進む福島県医師会の「医業承継事業」

 福島県内の診療所数は2017年時点で1427施設、2009年と比べると89施設減少し、医院の閉鎖が新規開業よりも多いペースで進んでいる。特に、東日本大震災があった2011年以降減少し2019年は1326施設となり、最もピークだった2009年の1476施設からは130施設も減少した。さらに、県内の診療所開設者の約6割が60歳以上で全国平均の約5割を上回っている。医師の高齢化がさらに進み、後継者がいなくなれば診療所の減少に拍車がかかり、地域によっては医療体制に空白が生じている。このため福島県では、後継者のいない県内の民間診療所と、診療所を引き継ぐ形での開業を希望する県内外の医師を結びつける「医業承継事業」を企画し、実施主体として福島県医師会が委託された。事業内容は、①医業承継に係るニーズ把握(福島県内の診療所開設者を対象に3回にわたりアンケート調査を実施)、②医業承継バンク設置・運営(現在までに条件が一致している医師と医療機関のマッチングを9回行い、1件が基本合意に至り、3件が既に承継開業、3件が現在進行中で2件は不成立)、③医業承継セミナー、④承継支援事業の周知など。担当の福島県医師会の石塚尋朗常任理事は、「バンク事業を全国的な公的事業として展開していくことで、そのスケールメリットと幅広い周知が期待される」と全国規模の承継事業の展開を求めている。

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 医師資格は永久ライセンスだ。働き続けようという意思が医師にある限り、医業を継続することが可能だ。一億総活躍時代を見越して永久ライセンスにされたわけではないだろうが、医師の高齢化問題からくる事業承継問題は、喫緊の課題だ

 

 看護師からのコメントを紹介したい。

 

〇新人看護師の離職理由の多くは「キャリアアップに不安」

 看護現場では人員が不足することで1人あたりの業務量が増え、患者のケア、新人教育、その他雑務における担い手が不足し、「仕事がきつい」と退職者が増える悪循環に陥っている。退職者が多くなることで、経験が浅いにも関わらず責任あるポジションにつかざるを得なくなり、勉強が必要なのに休暇を取れなくなり、希望の病棟に異動できなくなり、ストレスがたまる。業務内容や責任はベテランと同じである一方で、自分自身は経験不足であり、待遇も新卒並みというケースが見受けられる。新人看護師の離職理由の多くは、将来のキャリアアップに自信が持てず不安を抱えていることがあるようだ。

 

〇夜勤手当や残業手当などの充実を

 国をあげて看護職員の処遇改善に掛け声をあげている。手っ取り早い人材確保策は給与や手当の充実である。夜勤手当や残業手当を増やすことによって収入が増えれば、日頃の業務が目に見えて評価されるため、看護師のモチベーション向上につながることは明らかである。他の病院と比べて給与が高いことで病院への帰属意識も高まる。

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 看護師からいただくコメントは、いつも現実的なコメントをいただけるのでありがたい。

「人員不足」とは、一体何なのか?単純な頭数の問題でない、ということは読者諸氏も当然お気づきだろうが、

 

技術

責任感

リーダーシップ

時間を問わず働くことができる

 

結局、こういうことを兼ね備えた方が「不足」している、そういうことでないのか?そしてそれは医療のみならず、福祉も、全産業で抱えている問題ではないか?

 

 そこで医業系コンサルタントからのコメントを紹介したい。

 

〇医療・介護ロボット、AIの活用

 医療・介護業界での人手不足の原因のひとつに、患者と関わるという仕事のコア以外の雑務が多いこともあげられる。そこで積極的に医療・介護ロボットやAIを活用すれば、看護師の負担をある程度は軽減することが期待できる。例えば患者の急な病変をAIが察知し、各種データを瞬時に分析し正確な病状をドクターに通報してもらえる環境になれば、そこで従来看護職員が負担していた作業を発生させずに済むことができる。

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 AIの登場である。IT技術の進歩は目覚ましい。米国の医療ではこれに近いことが実際に導入されているとも聞く。確かにそんな未来が想像できなくもない。

 その未来と現在をつなぐには、大きな隔たりがあるような気がしてならない。

 

 デジタルトランスフォーメーション(DX)やIoT、ICT化、AI導入 等の活用で「働き方改革」が実現すれば、労働集約型産業を脱し切れない(だろう)我が業界は、もしかすると就労人口の民族大移動が起きて、AIの台頭やDX等の効率化で職を奪われた働き手の受け皿になるのかもしれない。就労人口の5人に1人が医療・福祉業界の人間だ。そんな社会があと20年も経たないうちにやってくる

のか?

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

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