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No.617 創設される介護医療院の基準・報酬案 介護報酬改定に向け厚労省が介護給付費分科会で提示

2017年12月15日

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基準・報酬について「I型」と「Ⅱ型」の2区分に分け提案

 2018年3月末で廃止が決まっている介護療養病床から転換先として2018年4月に創設される介護医療院(介護医療院への転換期間は6年間で、事実上2024年3月末まで存続は可能)。厚生労働省は11月22日、2018年度介護報酬改定に向けた議論を進める社会保障審議会・介護給付費分科会で、人員基準、施設基準、基本報酬に関する案を提示した。介護療養型医療施設(介護療養病床)からの転換を促すため、3年間に限った加算措置や、転換した場合の施設基準の経過措置などを示し、概ね了承を得た。介護医療院は、「日常的な医学管理が必要な重介護者の受入れ」や「看取り・ターミナル」等の機能と「生活施設」としての機能を兼ね備えた新しい介護保険施設。

 

 このうち介護医療院の基準・報酬については、「I型」と「Ⅱ型」の2区分に分けて提案。「I型」は、介護療養病床の「療養機能強化型」のように、医療ニーズに対応可能な人員や設備を備え、医療処置が必要な人や重篤な身体疾患を持つ人を積極的に受け入れるサービス。「Ⅱ型」の人員体制は「I型」ほど充実しておらず、状態が比較的安定した患者の入所が想定される。

 具体的には、「I型」の人員基準では「48対1以上(施設で3人以上)」と介護療養病床並みの医師を配置し、看護職員(指定基準は「6対1以上」)のうち2割以上を看護師が占める。介護職員も原則「4対1以上」と、介護療養病床と同じ。医師の宿直が必要だが、厚労省は、「併設する医療機関の宿直医師が兼任できる」としている。一方「Ⅱ型」の人員基準は老健並みで、医師数は「100対1以上(施設で1人以上)」。看護職員は「6対1以上」、介護職員は通常「6対1以上」で、両者を合わせると老健の基準と同じとなる(看護職員または介護職員が3対1以上)。医師の宿直は不要(図1 介護医療院の人員基準(イメージ案))。

 

 

 

施設基準は、介護療養病床や老健よりも充実

 施設基準について厚労省は、「I型」「Ⅱ型」とも、介護療養病床や老健よりも充実させる具体案を示した(図2 介護医療院の施設基準(イメージ案))。例えば、「1人当たり8.0平米以上の居室」(介護療養病床の基準は「1人当たり6.4平米以上」)や、「十分な広さのレクリエーションルームの設置」(介護療養病床には不要)などだ。療養室を個室にする必要はないが、利用者のプライバシーに配慮し、例えばパーテーションによる間仕切りなどが考えられる。利用者1人当たりの床面積は、4人部屋を2人部屋にしたり、改修したりしないと拡張できないが、厚労省は、大規模改修までの間、床面積などの基準を緩和させる方針を示している(医療療養病床からの転換も緩和対象)。また、医療・介護・生活の3機能を併せ持つ施設であることから、老健に不要とされている「処置室」や「臨床検査施設」「エックス線装置」などの設置を求めている。

 

 なお、介護医療院の指定は「療養棟単位」が原則だが、療養病棟が2病棟しかない医療機関などには、介護療養病床と同様に「療養室単位」での運営が認められそうだ。

■基本報酬、「I型」は介護療養病床「療養機能強化型」、「Ⅱ型」は転換老健を参考

 介護医療院の基本報酬について厚労省は、「I型」は介護療養病床の「療養機能強化型」、「Ⅱ型」は転換老健を参考にしてはどうかと提案。その上で、①「I型」「Ⅱ型」に求められる機能を踏まえ、それぞれに設定される基準に応じた評価を行う、②一定の医療処置や重度者要件等を設け、メリハリが利いた評価とする、③介護療養病床と比べて療養室の環境が充実していることも評価する方針を示した。療養環境の充実を評価した背景には、介護療養病床と比べて1人当たり床面積を広げたり、レクリエーションルームを設けたりさせ、施設サイドに相応のコストがかかることを配慮したこととみられる。

 また、「I型」の参考となる介護療養病床の「療養機能強化型」には、医療処置や重度者の要件が設けられ、重度者等の割合に応じて「療養機能強化型A」「療養機能強化型B」の2段階で評価されているが、「I型」の基本報酬も、「I型A」「I型B」のように数段階で要件と単位数が設定されそうだ。

 

 一方、「Ⅱ型」の基本報酬は、転換老健を参考に設定される。この日の分科会で厚労省は、転換老健の基本報酬などの見直しも提案。「療養型」と「療養強化型」に分けて設定されている転換老健の基本報酬を「療養型」の一本に整理して、報酬体系を簡素化する。さらに、2018年3月末までで廃止する予定だった「療養体制維持特別加算」(1日につき27単位、「介護職員の配置4対1以上」などが要件)を無期限に延長し、「医療処置を行った患者割合」か「重度者の割合」が高い施設に対しては、この加算の単位数を通常より高くするとしている。このため、介護医療院の「Ⅱ型」の基本報酬は、転換老健の基本報酬の見直しを踏まえたものになるとみられる。

 

 さらに、介護医療院の加算について厚労省は、介護療養病床と同様に設けてはどうかと提案(一部は名称を変更)。利用者の緊急時には、医療施設として対応することを別途評価する方針だ。具体的には、緊急的な治療・管理として入所者に投薬などを行うと511単位を算定できる老健の「緊急時施設療養費」と同様にするとしている。また、介護医療院に転換した日から1年間だけ算定できる加算を、2021年3月末までの期限付きで設ける方針も示した。

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関係者のコメント

 

<武藤国際医療福祉大学大学院教授:「介護医療院整備で2025年の必要病床削減分が“チャラ”に」>

 武藤正樹国際医療福祉大学大学院教授は11月11日開かれた第16回日本医療経営学会の基調講演の中で、武久洋三日本慢性期医療協会長が記者会見で「介護医療院は7~8万床になると想定している」と明らかにしたことをとりあげ、「介護医療院が7~8万床整備されると、地域医療構想で2025年必要病床数(目指すべき姿)によって減少することになる6万床(15万床から9万床の非稼働病床を差し引いた病床数)が、この介護医療院7~8万床に整備よって完全にチャラになる(置き換わる)のではないかと思う」と見通しを示した。

事務局のひとりごと

 

肝が冷える

 

 とは、こんなことを言うのだろうか。

 ある平日の夕方、家内からの電話。

「娘が16:25に学校を出て、もうそろそろ帰ってくる時間なのにまだ帰ってこない。どうしよう・・・」いつになく不安な語り口だ。

 

 最近の小学校(私学なのだが)では、子どものカバンにGPSが取り付けられ、正門をくぐると親にメールが届く仕組みで、子どもの登下校を「見える化」している。

「その時間やったら16:45発のバスに乗っているはずやから、もうとっくに帰っている時間なのに・・・。」

「携帯のGPSは?」

 子ども用の携帯電話も持たせており、それにもGPS機能が搭載されており、そちらは“今どこナビ”なので、子どもがいる場所が地図上にプロットされるのだ。

 

「今日に限って学校に忘れて帰ったみたい。ずっと学校から位置が動いてない。」

 

 これでは何のためのGPSか分からない。しかしそうすると娘は今何処にいるのか?16:45発のバスは、家の近くの停留所には止まるものの、ただ、いつもの場所には止まらないので、子どもにはあまり乗らないように言っていたのだが、乗り過ごしてしまったのか?

 そうなると、そのバスの目的地(終点)はかなり遠くだ。県を跨いでしまうのだ。

 

「とにかく娘が(バスを降りたとして迷子になっているとして))行きそうな場所は全部歩いて回ったんやけど見当たらん。」

 すでに娘がバスに乗って(であろう)から1時間以上経っている。もしバスから降りているのならば迷子になっているのか、はたまた事件にでも巻き込まれたのか?心臓の鼓動が早まっていく。

 

 家内との話をしているうちに、ひとつ、調べる方法があった。それはバスの運営会社に連絡してみることだった。連絡してみると、バスは18:02に終点に到着なのだという。現在17:55。バス運営事業者によれば、そのバスは渋滞に巻き込まれ、終点着は10分くらい遅れているのだそうだ。もし娘が何らかの理由で乗り過ごしたのだとすると、その間、終点までの停留所は2箇所だ。今娘がそのバスに乗っているかどうかが確認できれば良いのだが。それを説明し、娘の特徴を伝えたところ、運転手に無線で確認してもらえるとのこと。こうなってしまうと、乗ってくれていることを祈るしかない。どれだけ不安にしていることだろう。泣いていないだろうか。気ばかりあせる。

 

 そんな中、筆者も18:30には会合に参加する予定があり、バス運営事業者に自分の連絡先を伝え、会社を後にした。仕事よりも娘のところに飛んで行きたい気持ちであったが、ぐっと我慢して連絡を待った。待っていたが連絡が来ないまま、会合が始まった。その会合は開会の挨拶から乾杯まで、50分もかかり、市長もお見えになっていたので、しかも、家内との遣り取りで現場到着もギリギリだったため、席は一番前だ。めぐり合わせの悪さで、電話に抜け出すことすらままならない。何度か携帯が震えたのだがどうしようもない。胃がキリキリ痛む。早く乾杯してくれ、と心の中で叫ぶ。と、家内からのメールが来た。

 

 バス運営事業者から電話があって(念のため、家内の連絡先も伝えておいた)、娘はバスに乗っていたのだという。その上で終点まで着いたらとんぼ返りで逆ルートを走るのだということで、時刻表通りなら19:25にバス停着(渋滞のため遅れる可能性が高いが)とのこと。

 そのメールを見て力が抜けた。ホッとした。深ーいため息が出た。

 

 ようやく乾杯も終わり、バス運営事業者に電話をかけると、ことの顛末を教えてくれた。原因は寝過ごしだった。本来は降りるべきバス停を通過した後、目が覚めると、見慣れない景色だったので、近くに座っているお姉さんに今何処なのか聞いていたのだそうだ。そんな中、運転手がマイクで「○○(娘の名前)さんはいますか?」とのアナウンス。怖くて返事も出来ず、黙っていたのだそうだ。信号にとまった際に、運転手が「今から探しに行きまーす」といって、娘らしき特徴の子を発見、という訳だ。あとは終点に到着後も、バスから降りずにそのまま乗って、お母さんのところへと帰ることが出来たのだが、娘曰く「長い旅だった」との家に帰ってからの感想。

 肝が冷えた。という訳だ。

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 介護療養病床におかれては、いや、もしかすると一般病床におかれても、肝を冷やす とまではいかないまでも、固唾を呑んで待ち望んでいた、介護医療院の基準と報酬案がようやくお目見えした。

 メニューを見た初見としては、“転換し易やすそうでしょう?是非検討くださいね。”という、厚労省のメッセージ性を感じた(のは筆者だけだろうか?)。さらに、本文中の【図-1】【図-2】に使用されている文字(フォント)はおそらく、創英角ポップ体なのだろうが、何故にこんな可愛らしい字体なのだろうか。作成されたお役人の感性によるものなのか、はたまた少しでも現場に好意的に受け止められ、転換を意識してもらわんがための呼び水か?

 

医療系・介護系コンサルタントの見解は、こんな感じだ。

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○「介護医療院への転換は、自院の立ち位置を踏まえ、病院としてどの分野に力点を置いた上で、検討すべき」

 療養病床を中心とした慢性期病床は「病床」というより、一部は「施設」として変わらない運営をされている。そのため、医療療養病床を運営する経営者は、現在行っている医療・介護の実績から、介護医療院に魅力を感じるかもしれない。しかし、介護医療院は介護施設のベッド数となり、転換によって病院のベッド数が縮小することとなり、かえって収入が減少する可能性もある。地域での自院の「立ち位置」を踏まえ、病院全体としてどの分野に力点を置くかも考えた上で、介護医療院への転換を検討すべきだ。

 

介護療養病床の経営陣のコメントを紹介したい。

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○「療養環境向上に設備投資が必要な介護医療院への転換はハードルが高い」

 介護医療院と介護療養病床との大きな違いは、「1人当たり8平米以上」という療養環境の向上といえる。しかし、「住まい」の機能を満たす介護医療院への転換は、多額の設備投資が必要であり、経営体質の脆弱な中小病院にとってはハードルが高い。

 

○「看取りを求める介護医療院には、人材確保が大変」

 介護医療院(医療内包型1-1)の要件に、「24時間の看取り・ターミナルケア」「当直体制(夜間・休日の対応)またはオンコール体制」がある。しかし、ただでさえ看護職員、介護職員を確保するのに苦労している。24時間の看取りに必要な看護師等を確保することは大変だ。

 

療養型老健(転換型老健) (※1)の経営陣からのこんなコメントを紹介したい。

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○「真新しい介護医療院という新しい“ハコモノ”ができ、競争が激化する」

 介護医療院の創設は、ブームとなるかもしれない。新規の融資先として金融機関にとって介護医療院は魅力的に映っているようだ。また、地域住民にとっても、老朽化した老健施設や特養よりも、真新しい介護医療院という新しい“ハコモノ”に魅力を感じるかもしれない。介護医療院の創設によって、地域住民への囲い込みなど競争が激化し、われわれ療養型老健の経営者にとって脅威となる。

 

 それだけに、他病床の出方を見ずに、早期に転換を決めた方がいいですよ、とは日慢協の武久洋三会長である。

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○武久日慢協会長「介護医療院の転換は、早期に」

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、12月3日都内で開かれた介護医療院セミナーで「地域の医療・介護を勝ち取るには~病床フル稼働で活性化を目指す!~」をテーマに講演。その中で、「介護医療院の報酬は、初めは高めに設定されるが、徐々に下げられる」との予測を示し、「転換されるならば早期、来年(20184月から転換した方がいい」と、早期の転換を促した。

 

 介護型療養病床の経営者ならずとも、介護医療院の基準は気になるものであったに違いない。もしかすると新設で介護医療院の設立を検討する法人があっても不思議ではない。しかし、厚労省官僚はそのような(想定される)動きには否定的だ。

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○「介護医療院は、あくまで既存の介護・医療療養病床からの転換を優先させるべきだ」:県に出向中の厚労省官僚

 私の県では、2020年度までは介護医療院の新設は認めず、既存の介護・医療療養病床からの転換を優先させる方針は、県高齢者保健福祉委員会で提示した。介護医療院には多くの補助金、助成金など経済的インセンティブが講じられることになる。地域医療構想で明らかになった過剰病床削減のため、「介護医療院は、あくまで既存病床の転換を優先すべきだ」と考えている。

 

 介護医療院の財源は、おそらく介護保険料なのだろう。本文中にあった国際医療福祉大学の武藤教授によれば7~8万床の病床が医療財源から介護財源に置き換わるということになる。厚労省の医療費の(伸び)削減に向けた狙いは、見かけ上だけでも成功することになるのだろうか。

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※1)・・・すでに、介護療養病床廃止が決まってすぐに生まれた転換型の老人保健施設。厚労省からしてみれば、最も素早く役所の指示に従ってくれた、いってみれば「愛い奴(ういやつ)」な施設であるはずなのに、様子を見て待っていた方に色々なインセンティブが働いてしまい、脅威になりかねない、というのはなんとも皮肉なものである。

<WMN事務局>

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