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No.687 全世代型社会保障検討会議で菅首相、不妊治療への保険適用、年末までに工程作成を指示

2020年11月15日

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■菅首相の重要政策課題の1つ「不妊治療への保険適用」

 菅 義偉首相は、10月15日開かれた政府の全世代型社会保障検討会議で、「当事者の気持ちに寄り添いつつ、出産を希望する世帯を広く支援し、ハードルを少しでも下げていくために、不妊治療への保険適用を早急に検討し、本年末に工程を明らかにする。また保険適用までの間は、現行の助成措置を大幅に拡充する」との方針を表明した。

 この日の全世代型社会保障検討会議のテーマは少子化対策で、「少子化対策は我が国の国難と言うべき課題」であるとの基本的な考えの下、若い人たちが将来も安心できる全世代型社会保障制度をさらに前に進めるべきとし、不妊治療のほか、待機児童の解消、男性の育児休業の取得促進について議論した。

 

 不妊治療への保険適用は、菅首相が就任時に掲げた重要政策課題の1つ。9月16日閣議決定された菅内閣の基本方針の1つとしてあげた「少子化に対処し安心の社会保障を構築」の中で、「喫緊の課題である少子化に対処し、誰もが安心できる社会保障制度を構築するため改革に取り組む。そのため、不妊治療への保険適用を実現し、保育サービスの拡充により、待機児童問題を終わらせて、安心して子どもを生み育てられる環境をつくる。さらに、制度の不公平・非効率を是正し、次世代に制度を引き継いでいく」と、不妊治療への保険適用の実現をあげた。

 

 15日の全世代型社会保障検討会議では政府から、「出産を希望する世帯を広く支援し、ハードルを少しでも下げていくため、効果的な不妊治療に対する医療保険適用に向けた工程を明らかにすべきではないか」と提案が出された。

 また会議後の記者への説明では、有識者から、「保険適用のメリットは患者負担が減る、有効性、安全性が高まる、治療の標準化が図れること。他方、通常とプロセスが違うのでは。既に自由診療として普及している。ステークホルダーとの調整が必要。エビデンスを尊重しながら、使い勝手がよくなるように、仕事との両立ができるようにすることが必要である」「特に不妊治療は、迅速にやってほしい。保険収載で職場での理解が深まるのではないかと期待したい」「2022年度の診療報酬改定を待つのではなく、できるだけ早く実現して欲しい」「不妊治療は、子供を持ちたい人を後押しする重要な政策だ。助成措置の拡充が言われているが、過渡的な措置であり、医療保険適用を急ぐべきだ」といった意見が出されたことが報告された。

 

■社保審医療保険部会では保険適用に異論なく、どういった治療法を保険対象とするか中医協でも論議へ

 不妊治療への保険適用に関しては、既に10月14日の厚生労働省・社会保障審議会医療保険部会で議論が始まっており、現在、不妊治療の保険適用拡大について実態調査を実施中で、その結果を踏まえて、具体的な適用範囲などの検討を進める方針である。

 実態調査では、①全国の不妊治療実施医療機関における不妊治療(人工授精、体外受精、顕微授精、男性不妊治療等)の実施件数治療周期あたりの妊娠出産率など(10月第3週から調査開始)、②全国の不妊治療実施医療機関における不妊治療にかかる費用(10月第3週から調査開始)などを調査する。さらに11月頃から、一般国民を対象とした妊娠に対する意識や不妊治療の経験、不妊治療にかかった費用などの調査も行う

 社保審医療保険部会の論議では、保険適用そのものへの異論は出ておらず、今後、「どういった治療法を保険の対象とするのか」など具体的な検討を中医協でも並行して進めることになった。

 

 現在、不妊治療については、男性の精管閉塞女性の卵管癒着やホルモン異常などについては、個別の治療法が保険適用となっている。一方で、機能性不全、保険治療が奏功しないケースについては、保険適用がなされていないものの、体外受精、顕微授精、顕微鏡下精巣内精子回収法(MD-TESE)といった夫婦間の不妊治療については、公費での助成がなされている。また、第三者からの精子・卵子提供や代理懐胎(いわゆる代理母)に関しては倫理面や親子関係など様々な問題があり、その扱いをどう位置づけるか一定の結論が出ていない(図1 不妊治療の流れ(概略図))(図2 不妊治療の概要)。

 

【事務局のひとりごと】

 

 『銀も金も玉も何せむに勝れる宝子に及かめやも』

 (しろがねも くがねも たまも なにせむに まされるたから こにしかめやも)

 

 山上 憶良(やまのうえ おくら:万葉集)の歌である。

 

 あくまで日本の現代社会に限ってだが、誤解を恐れずに言えば、

 「その通り。だけどねぇ~。」

 と、子は宝であるけれど、確かに生まれてくれたときは手放しに喜んだものだが、その先に待ち構える諸問題にぶち当たるにつけ、頭を悩ます問題が増える要素の一つ、というより子どもの問題が人生の大半となってしまい、様々な感情が巻き起こる。どの親御さんにもそんな思いがあるのではないか。

 本日(11/10)連載が終了した経済系の全国紙に連載の小説のヒロインは、戦下のスペインに生まれ、レジスタンスとして戦い、多くの悲劇を見てきたにもかかわらず、それでももう一度生まれ変わったとしてもスペインに生まれたい、といい残して息を引き取った。悲しい結末であった。

 スペインとはかくも美しい国なのか。そう思わなくもないが、それでも、今度生まれ変わるとしても、やはり日本人でありたい、と思う。戦下でもなく、独裁政治でもなく、四季にも富んで非常に平和で良い国であるのだと感謝しているが、それゆえに「生死」という問題と直面するような悩みではなく、一段上の「生活の諸課題」に関する悩みの方が多くなるので、

 「子どもが生きているだけでありがたい」

 とは単純に思えず、その上でさらなる幸福を指向してしまうことが、多くの人々が悩みを抱え、国民が感じている幸福度も決して高くはないのも我が国のジレンマでもある。

 

 2019年の我が国の合計特殊出生率は1.36。4年連続で低下しており、出生数は過去最少の90万人を割った。因みに死亡人数は130万人になろうとしている(多死社会)。少子高齢化社会といわれる所以だ

 

 背景には何があるのか。

 少し古い資料であるが(平成29年2月)、少子化問題についての記載があった。

 

厚生労働省雇用均等・児童家庭局 総務課少子化総合対策室によれば、

 ・出生率の低下の要因は「晩婚化の進行」と「夫婦出生児数の減少」。

 ・未婚率は男女ともに依然上昇傾向にあり、晩婚化の進行は継続。

 ・結婚した夫婦からの出生児数が1990年代以降減少傾向。1960年代生まれの世代では、これまでのように最終的な夫婦出生児数が2人に達しない可能性も。

 ・将来推計人口(平成24年中位推計)において想定されている日本の将来像と、実際の国民の希望とは大きく乖離。

 ・この乖離を生み出している要因としては、雇用の安定性や継続性、仕事と生活の調和の度合い、育児不安などが指摘されており、出産・子育てと働き方をめぐる問題に起因するところが大きい。

 ・独身男女の約9割は結婚意思を持っており、希望子ども数も男女とも2人以上。

 ・若年者の非正規雇用割合は依然として高く、非正規雇用の給与は正規雇用と比較して低い。

 ・非正規雇用の有配偶率は低く、雇用の不安定が結婚に当たっての「壁」となっている。

 ・約5割の女性が出産・育児により離職している。

 ・日本の女性の就業率は、先進国に比べるとM字カーブの傾向が顕著である。

 ・女性の社会進出が進んでいる国ほど、合計特殊出生率も高い傾向にある。

 ・我が国の男性の家事・育児に費やす時間は世界的に見ても最低の水準。

 ・子育て期にある30歳台男性の約6人に1人は週60時間以上就業。父親の育児参加を妨げている「働き方改革」が急務となっている。

 ・地域のつながりが希薄化するとともに、長時間労働等により父親の育児参加が十分に得られない中、子育てが孤立化し、負担感が大きくなっている。

 ・保育サービス等の就労を支えるサービスだけでなく、就労の有無にかかわらず、全ての子育て家庭を支える取り組みが必要。

 

 一体我が国の何が素直に山上憶良の歌に同感できないというのか。その背景はこのような事情が複雑に絡み合っているからなのだろう。しかしながら、それでも

 

独身男女の約9割は結婚意思を持っており、希望子ども数も男女とも2人以上

 

 なのであり、子どもを持ちたいという希望を持つ夫婦には朗報なのだろう。今回のテーマは菅政権の目玉政策の一つとされている、「不妊治療に保険適用をについてである。

 

 コメントを紹介したい。

〇医療技術評価推進室長:できるだけ早期の保険適用を目指す

 不妊治療の具体的な保険適用については中医協において2022年度診療報酬改定に向けた議論の中で行われるが、10月14日に開催された社会保障審議会・医療保険部会で厚労省保険局医療課医療技術評価推進室の岡田就将室長は「安全性・有効性の確認された不妊治療技術について、できるだけ早期の保険適用を目指す」考えを示した。

 

〇野田聖子議員:若い人たちに送るエールとして保険適用を実現したい

 自民党の不妊治療の支援拡充を目指す議員連盟が6月16日に設立され、野田聖子元総務大臣が自身の不妊治療体験を語り、「体外受精は1回50万円かかり、20代の夫婦にはとても賄えない。若い人たちに送るエールとして保険適用を実現したい」と語った。

 

〇「公明党が議論をリードしていく」

 公明党の不妊治療等支援推進プロジェクトチーム(座長=伊佐進一衆院議員)は10月8日初会合を開き、体外受精など高額の不妊治療への保険適用拡大をはじめとする支援の拡充に向けて、議論を開始した。冒頭挨拶に立った竹内譲政務調査会長は、不妊治療については公明党が1998年に「保険適用の実現」を訴え、署名活動などに取り組んだ結果、2004年度に当時の坂口力厚生労働大臣(公明党)の下で治療費への助成事業が始まった経緯を説明した。伊佐座長は「公明党が議論をリードしていく」と決意を表明。助成の拡充も含めた経済的支援だけでなく、治療の質の向上や治療と仕事の両立、相談体制などの幅広い支援策について議論していくと述べた。

 

〇立憲民主党有志議員が不妊治療の実態調査で申し入れ

 不妊治療の保険適用を巡り厚労省が2020年度行う実態調査について、阿部知子衆議院議員(医師)ら立憲民主党の有志議員が9月30日、三原厚生労働副大臣に対し、不妊の原因が男性側にあるケースや、保険の対象外となっている診療の実績などを含め、幅広く実施するよう申し入れをした。不妊治療の保険適用について厚労省は、日本産婦人科学会に登録する600余りの医療機関を対象に年度内にまとまる実態調査の結果を踏まえて保険適用の拡大などを検討することにしている。申し入れでは、調査に当たり不妊の原因が男性側にあるケースや、人工授精など、保険の対象外となっている診療の実績、医療施設ごとの待遇差が指摘される人工授精を担う胚培養士の勤務実態などを含め、幅広く実施するよう求めた。

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 本分中の【図-2】不妊治療の概要を見ると、不妊治療は金銭的な問題もさることながら、夫婦ともに精神的な負担も大きいだろうことが予想される。子を授かるという神秘的な事象に、治療行為なので第三者(医療)が介在しなければならない。二人だけの秘め事が、そこそこ明るみに出ないと治療にすらならない。結構「恥ずかしい」と感じてしまうことにも夫婦で向き合っていかなければならないのだ。そう感じた。

 

 今流行りの表現で「妊活」中の夫婦からのコメントを紹介したい。

 

〇不妊治療・不妊症が特別なことではないという認識が広まることを期待

 保険適用されることで、不妊治療・不妊症が特別なことではないという認識が広まることを期待したい。

 

〇所得制限にひっかかり、助成が受けられなかった

 所得制限にひっかかり、助成が受けられなかったので、保険適用に期待したい。

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 おとなしめの表現だが、保険適用に期待していると思われるコメントだ。

 

 不妊治療中の夫婦からのコメントを紹介したい。

〇クリニックごとの妊娠成功率の開示なく、医療機関を選ぶ判断材料も乏しい

 ようやく信頼できる不妊治療のクリニックにたどり着けた。クリニックごとの妊娠成功率の開示なども進んでいないため、医療機関を選ぶ判断材料も乏しい。

 

〇自治体によって差がある不妊治療の経済的支援

 自治体によって差がある不妊治療の経済的支援。東京都では、2019年度から所得制限を905万円未満まで引き下げたほか、事実婚も対象としている。また、東京都港区では所得制限を設けず、区として助成を行っている。なぜ、住むところによってこれほど差があるのか、不公平だ。

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 まだ見ぬ我が子との出会いを求め、やっとの思いでクリニックにたどり着いた夫婦の心中はいかばかりか。苦しいこともあるかもしれないが、子宝に恵まれていただくよう、二人三脚でゴールを目指して欲しい。そんな夫婦を応援しようという思いが、今回の「不妊治療に保険適用を」につながっているのだろう。

 コロナ禍で人の移動が制限されてしまっているが、今は世界中で、一人でも多くの住民を獲得するため(税収増)、都市間の競争が行われている。自治体間の格差については、色々な思いがおありだろう。これもまた、「不妊治療に保険適用を」につながっているのだろう(※1)。

 

 経済的理由から不妊治療を断念した夫婦からのコメントもいただいた。

 

〇コロナ禍で収入が減少し、不妊治療を諦めた

 29歳で結婚し、32歳で自然妊娠したが、8週目で流産。その後、妊娠の機会に恵まれず、35歳で不妊治療を始め、夫側の原因である男性不妊が判明した。国の助成金では所得制限があるため対象外に。共稼ぎで治療費を捻出してきたが、コロナ禍で夫婦とも収入が減少し、不妊治療を諦めた。

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 さぞや残念な思いをなさったに違いない。現在、ハイリスク分娩(初産で40歳以上)は保険適用となっているが、もしコロナ禍がなければ、この夫婦は不妊治療を継続されていただろうか。男性側の精神的な負担も非常に心配であるが、この状態でも子どもを授かりたい、という思いに対し、何か手立てはあるのだろうか。

 自由診療(自費負担100%、子どもが生まれれば出産育児一時金として42万円が給付)は経済的負担も伴うが、子どもが欲しいという思いに対して全て医療保険適用、というのを、少子高齢化で合計特殊出生率が上がることは良いことなのだろうし、願いを叶えてあげもしたいが、社会的な公金である財源から子を望む限り給付され続けるということになると少し考えさせられるところである。

 

 続いては医師からのコメントだ。

 

〇様々な不妊治療の選択肢を残し、多くの人が適切な治療を受けられるようにして欲しい

 不妊治療は患者さんによってケースが大きく異なる。さまざまな選択肢を残しつつ、多くの人が適切な治療を受けられるようになればと思う。

 

〇保険適用されることで逆に技術力の低下を招くおそれも

 全国的に有名な不妊治療を専門とするクリニック理事長。不妊治療ではこれまで、自費だからこそ最先端の治療法を含む様々な選択肢の中から患者が治療法を選択することができた。それが保険適用となれば制度的に複数の選択肢から患者が適切な治療法を選択する混合治療が受けられなくなり、高額な治療費を払ってでも子どもが欲しい世帯が、高度な治療を受けられなくなる可能性がある。現場の医師にとっては高度な治療を施す機会が減り、また高額な医療機器を導入することもなくなり、ひいては不妊治療の技術力低下にもつながることが懸念される。

 

〇不妊の領域でエビデンスの高い治療は限られる

 不妊の領域でエビデンスの高い治療は限られる。良い状態の受精卵を子宮に戻しても妊娠・出産に至らないケースもあり、いろんな手だてが必要となる。患者の卵巣機能や体質によって行う治療が全然違う。幅広い治療法を持っておかねばならない。

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 なるほど、何にプライオリティを置くかで変わってくるが、歯医者で詰め物をする際に数年後もまた再発する可能性を思いながら保険適用の範囲で治療するか、自費だがセラミックで治療し、後の時間的、経済的負担の可能性を摘んでおくか、そんなことと対比したらお叱りを受けそうだが、保険診療と自費診療の比較では、その技術の差(かける手間とお金)がパフォーマンスに非常に影響を及ぼすとなると、非常に考えさせられるではないか。

 

 医師からのこんなコメントも紹介したい。

 

〇不妊治療の保険適用は、逼迫する医療保険財政に少なからず影響

 内科医。診療報酬改定の度に、診療科間のプラス・マイナスが問題となる。不妊治療の保険適用は、産婦人科医にとって経済的メリットが大きいが、逼迫する医療保険財政に少なからず影響を及ぼすことは確かである。子どもができない家庭のために医療保険を使うことに、正直言って抵抗がある。

 

〇不妊治療は、混合診療の拡大で対応するのが現実的

 必要最低限の不妊治療は保険診療で行い、オプションの治療は自費で払う。つまり、保険診療と自由診療を組み合わせた混合診療で対応するのが現実的ではないか。

 

〇不妊治療の保険適用は、必要かどうか分からない不妊クリニックをあぶり出す利点

 不妊治療の保険適用は、本当に必要か分からない高額治療を行っている不妊クリニックをあぶり出す利点があると思う。産婦人科で一番儲かっているのは不妊クリニックで、法外な入院費をとって高級サロンのような施設がみられる。

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 うーん。唸ってしまう。小中学校の義務教育無償化と、進学塾でお金をかけられる家庭の方が有利になりかねない、という教育格差と経済格差の関係のような構図が、不妊治療においても起こりそうな雰囲気である。念願叶って我が子と対面できたあと、数年も経てば、教育の問題(受験)が両親に立ちはだかる(但し、これは中国や韓国の方が日本よりはるかに厳しいと言われているが)。その先にも就職、結婚、また出産、である。悩みは尽きない。

 いや、悩みというからよくないのだろう。これこそが人間として生を受けた以上、立ち向かうべき試練であり、成長するための糧なのだ。そう思うべきである。多くの国民がそう思うようになれば、国民が感じる我が国の幸福度は、必ずや向上するに違いない。世界一になることだって夢ではないはずだ。日本は結構いい国なのだ。

 

 看護師からのコメントを紹介したい。

 

〇夫婦の気持ちに寄り添う看護を

 生殖医療の看護に就いて約10年の看護師。多くのご夫婦と携わってきて思うことは、不妊治療をしていると、本当にたくさんの悩みやストレスを抱えておられることに気づく。そして、身近である看護師への相談も多く寄せられる。子どもを持つことに対しては夫婦間での意見が異なることもある。だからこそ、ストレスや不安が爆発してしまう前に、夫婦の会話を多く持ち、自分の言葉で想いを伝えて欲しいと思う。

 

〇医学的な説明のため生殖医学の勉強を

 総合病院の外科から不妊治療専門クリニックに転職した看護師。この仕事の難しいところは、不妊治療の患者様に心理的に寄り添ってあげること、医学的な説明のため生殖医学の勉強をきちんとすることである。

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 看護師の視点はつねに患者寄りである。先の医師のコメントはどちらかというと提供側の視点だったように感じる。男女の脳の違いか?(医師が男性、看護師が女性と決めつけているように聞こえたのであれば申し訳ない)

 

 医業系コンサルタントからはこんなコメントだ。

〇使い勝手がよくなるように、仕事との両立ができるようにすることが必要

 不妊治療の保険適用のメリットは患者負担が減る、有効性、安全性が高まる、治療の標準化が図れることである。他方、通常とプロセスが違うのでは。既に自由診療として普及している。ステークホルダーとの調整が必要ではないか。エビデンスを尊重しながら、使い勝手がよくなるように、仕事との両立ができるようにすることが必要。

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 難しい問題を非常に整理してコメントいただいた。

 

 こんなコメントも紹介したい。

〇保険適用前に結婚した家族が金銭的不安を感じることのない世界を作ることを

 不妊治療保険適用する前に、結婚した家族が金銭的不安を感じることのない世界を作るべきだ。

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 つまり雇用の安定化についてのご意見だと思われる。金銭的な不安が子どもを持つことにためらいを持たせかねない。これも少子高齢化社会の背景にある問題だろう。厚労省の調査によると、日本の子どもの貧困率は13.9%(2015年)で、さらにひとり親家庭の貧困率は50.8%と、先進国の中でも最悪な水準だと言われている。結構いい国だ、といっておいて急転直下だが、100人子どもがいれば13~14人は貧困なのだ。これって結構高い率だと思う。実に深刻な問題だ

 そんな中でもAIが人間の仕事を代わりにやってくれる(とされる)時代に向け、ベーシックインカムも議論されるべきテーマとなる日もそう遠くはないだろう(※2)。

 

 子を授かりたいという夫婦の純粋な願い、それを阻むような社会的要因、意識していなかった身体的要因、新婚夫婦に寄せられる(子はまだか?)見えない重圧…。今回のテーマは、編集を振り返ると、非常に重いテーマであったなぁ、とあらためて感じた。

 だからといって万葉集の時代に日本が逆行すればよい、などということもないだろう。団塊ジュニア世代の子女特に女性がすでに出産適齢期を超えつつある現在、どんな施策をうったところで簡単に人口は増えない。産める母数そのものが減っているからだ。それは実はみんな分かっているのだ。

 ただし、それが暗い未来につながるのか、明るい未来へとつながるのか、それを決めるのは、やはり今を生きている我々世代が何をなすべきかによっていかようにでも変わってくる。そう信じて、新政権の目玉政策の一つの行く末を見守りたい。

 

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

 

 (※1)…そのような思いで奇跡的に得られた一粒種は、やはり五体満足で、普通であって欲しい、と願うのは親心だろう。今度は着床前診断、ということになるのだろうか。現在学会で議論されているが、この問題は機会があればテーマとして取り上げたい。

 

 (※2)…Basic Income(BI)。最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して一定の現金を定期的に支給するという政策。基本所得制(きほんしょとくせい)、基礎所得保障、基本所得保障、最低生活保障、国民配当とも、また頭文字をとってBI、UBIともいう。世界中で限定的なパイロットプログラムも始まっている。

 

<ウィキペディアより>

 

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