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No.751 「創薬力強化」を巡り厚労省検討会報告書、「骨太の方針2023」で明記 革新的創薬に向けた研究開発に経営資源の集中化を

2023年07月18日

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◇「「創薬力強化」を巡り厚労省検討会報告書、「骨太の方針2023」でも明記
  革新的創薬に向けた研究開発に経営資源の集中化を」 から読みとれるもの

・日本起源品目医薬品の世界市場シェアが長期的に低迷傾向

・特許期間中の新薬の売上で研究開発費の回収を行うビジネスモデルへの転換を促進

・創薬力強化に、毎年薬価改定の是非も含め薬価制度の抜本的な見直しも検討

 

安定供給の確保、創薬力の強化などの取り組み求めた厚労省検討会報告書

 新型コロナ感染症のワクチン・治療薬の研究開発で欧米に遅れをとった日本。革新的医薬品の日本への早期上市や医薬品の安定的な供給を図る観点から、現状の課題を踏まえ、流通、薬価制度、産業構造など幅広い議論を重ねてきた厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」(座長:遠藤久夫学習院大学経済学部教授)は6月9日、安定供給の確保、創薬力の強化、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消、適切な医薬品流通に向けた取り組みを求めた報告書を取りまとめた。

 このうち創薬力の強化について、内資系企業の創薬力低下が課題となる中で、長期収載品依存から脱却し、研究開発型のビジネスモデルへの転換をさらに促す必要性を強調。長期収載品について、患者の嗜好などを踏まえた「選定療養の活用」を盛り込んだ。一方で、新薬開発の主流が米国のベンチャー企業などに移り、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスが懸念される中で、解消に向けて、革新的医薬品を国内に迅速導入した場合、薬価上の「新たなインセンティブ」を検討することも盛り込まれた。

 

 報告書では、日本の医薬品産業を巡り、日本起源品目の世界市場シェアが、品目数で2000年の8品目から2019年の23品目と20年間で15品目、売上高シェアも12.1%から9.8%と、長期的に低迷傾向にあるなど、日本の創薬力低下を指摘した(図1 日本起源医薬品の世界医療用医薬品市場シェア)。

 また、医薬品の貿易収支は、2020年の医薬品貿易収支が約2兆円3613億円の赤字となり、①海外発の新薬輸入が増加。②日本企業が海外企業を買収しても輸入自体は変わらない。③医薬品業界は高付加価値産業であるにもかかわらず、国レベルでみると国富の流出となっており、輸入超過による赤字が拡大傾向にあることが明らかになった(図2  医薬品の貿易収支の推移)。

 国内市場においても、外資系企業の売上シェアは内資系企業を上回っていること、内資系企業がバイオ医薬品などの新規モダリティへの移行に立ち遅れている状況にも触れ、内資系企業で長期収載品による収益に依存する傾向があることを指摘した。その上で、「研究開発型企業においては、革新的創薬に向けた研究開発への経営資源の集中化を図るべきであり、特許期間中の新薬の売上で研究開発費の回収を行うビジネスモデルへの転換を促進するため薬価制度の見直し等を行うことが必要である」と、革新的新薬に向けた研究開発への経営資源の集中化を進めることを提言した。

 

 有識者検討会の報告書を受け、今後、薬価については中医協、流通問題については医療用医薬品の流通改善に関する懇談会などで、具体的な議論が行われる予定。2024年度診療報酬改定における薬価制度改革にどのように反映されるか注目される。

 

「骨太の方針2023」「新しい資本主義のグランドデザイン・実行計画」でも創薬力強化を明記

 政府は6月16日、経済財政諮問会議が岸田首相に答申した「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~(骨太の方針2023)」と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」を閣議決定した。  

 「骨太の方針2023」では、“創薬力強化”に向け、革新的な医薬品、医療機器、再生医療等製品の開発強化、研究開発型のビジネスモデルへの転換促進等を行う」ことを明記その方策として、①保険収載時を始めとするイノベーションの適切な評価などのさらなる薬価上の措置、②全ゲノム解析等に係る計画の推進を通じた情報基盤の整備患者への還元等の解析結果の利活用に係る体制整備、③大学発を含むスタートアップへの伴走支援、④臨床開発・薬事規制調和に向けたアジア拠点の強化、⑤国際共同治験に参加するための日本人データの要否の整理、⑥小児用・希少疾病用等の未承認薬の解消に向けた薬事上の措置と承認審査体制の強化等を推進することをあげた。

 

 また、岸田政権が掲げる新しい資本主義に関する具体的政策、成長と分配の好循環を目指す政府の複数年度にわたる計画を示した新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」では、①認知症の発症・進行抑制・治療法の開発、②ゲノム創薬をはじめとする次世代創薬の推進、③再生医療など、創薬力強化に向けた具体的な取り組みを示した。
 このうち、②のゲノム創薬をはじめとする次世代創薬の推進では、「従来の低分子薬中心の開発から脱却し、高機能バイオ医薬品や低コストで疾病の原因に効果的に作用し経口摂取が可能な中分子など世界規模でニーズの高い分野での創薬を強化する。日本国内の枠組みに閉じて研究開発・供給基盤構築を行うことは、開発・供給のスピード感でわが国が後れを取るおそれがある」と指摘。日本の企業・研究機関と、米国などの有志国のスタートアップ・ファウンダリとの連携を促進し、国際的な新薬開発・供給体制の構築を図りがん・難病の全ゲノム解析について、引き続き、10万ゲノム規模に向けて解析を着実に進めるとともに、事業実施組織について、2025年度の発足に向け、2023年度内を目途に法人形態を決定することを求めた。

 ③の再生医療については、新しい技術の発展を踏まえ、再生医療を適切に普及・拡大させていく観点から、再生医療等安全性確保法等の改正を検討し、早期に国会に提出することを求めた。

 

 骨太の方針2023」では、創薬力強化に向けて「研究開発型のビジネスモデルへの転換促進」などを行うため、「保険収載時を始めとするイノベーションの適切な評価などのさらなる薬価上の措置」が明記された。日本の創薬力強化と医薬品安定供給の実効性確保の観点から、「“引下げありき”の薬価改定に対し、毎年薬価改定の是非も含め薬価制度の抜本的な見直し」「イノベーション促進の観点から革新的医薬品の特許期間中の薬価維持」などの意見が中医協などで出てくることが予想される。2024年度診療報酬改定における薬価制度改革を巡って、中医協でどのような議論が展開されるのか注目される。

 

 

 


 「ハンガー・ゲーム」、「太陽は動かない」、「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」、「GLAY サバイバル」、「ソウナンですか?」、「ダンガンロンパ」、「BTOOOM!(ブトゥーム)」…。

 「生き残り」をかけた「サバイバル」に因んだ作品を挙げてみた(※1)。

 

 いきなりだがコメントを紹介したい。

 

〇医薬産業振興審議官:製薬企業は、課題を乗り越え挑戦するマインドを

 「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の報告書を受け、都内で講演した厚労省大臣官房の城 克文医薬産業振興・医療情報審議官は、同検討会の位置づけについて、「産業全体の現状を捉え、業界構造を洗い出し、解決策に向けた方向性を出すことを目的に設置した」と述べた上で、「製薬業界は、中医協の場などで薬価の維持などを主張してきたが、保険者をはじめとしたステークホルダーには、『儲からないなら供給できない』と業界エゴを言っているように見える。制度改革を踏まえて効率化して品質を上げ、投資をしてさらに成長していく。経営者たるもの、この報告書を読んで、業界の中で半分の会社が倒れるだろうと感じたとしても、自社は生き残る半分に入り、さらに大規模化して頂上を目指すという課題を乗り越え挑戦するマインドであってほしいし、それを全社がやるべき」と、製薬業界にエールを送った。


 かつて、非常に叩かれた大相撲の八百長問題をはじめ、この世の中は健全な競争によってこそ業界が、社会が発展するのだ、という考え方が根底にあり、そうでない闘い方には「けしからん!」「No!!」が突き付けられるわけだ。

 「ちょっとぐらいの絶望も長い目で見りゃ極上のスパイスを味わえる oh yeah」GLAYではないが、この世はまさに「サバイバル」だ。

 それを如実に物語っている審議官の、製薬業界に向けたエール(?)だ。

確かに米国のIT業界などは日進月歩、というより、日々

 

 鎬を削っている

 

ようなイメージがある。あれが サバイバル であるとすれば、なかなか厳しいではないか。確かに、命懸け、だとか、お尻に火が付くと、それはそれは本気になるのだろうが…。「ハンガー・ゲーム」では、サバイバルゲームの主催者(配役上は悪役)の最期は壮絶であった。

 ところで、幼稚園の運動会や、特に小学校低学年の教育の現場において、そこまで競争意識を煽るような指導要領だったか?幼稚園の運動会など、一時、我が子を思う保護者の声(圧力?)からなのか、最後は「みんな並んでゴール!」が当然のように美徳として扱われていたような気もするのだが…。そこまで競争社会を意識させたいなら、「三つ子の魂百まで」の幼年期こそ、徹底的に「サバイバル」マインドを植え付けた方が良いのではないか、と言ったら言い過ぎか?

 

 今回のテーマは、いわゆる「骨太の方針2023」に明記された創薬力強化に関する動きについてである。

 

 コメントを紹介したい。

 

〇自民党創薬力強化プロジェクトチーム「内閣府健康・医療戦略事務局が司令塔を担い、医薬品産業を基幹産業に育成」

 創薬力強化に向け5月30日、政府の「骨太の方針2023」策定に対し提言を行った自民党社会保障制度調査会の「創薬力の強化育成に関するプロジェクトチーム」の橋本 岳座長(衆議院議員)は、「創薬力強化に向け、医薬品産業を基幹産業に育成するため、国家戦略として政府一丸で支援する司令塔機能が必要。その機能を内閣府健康・医療戦略事務局が担うべきだ」と述べた。


 続いて財務省のコメントも紹介したい。

 

〇医薬品の「産業構造」に言及した財政制度等審議会「春の建議」

 5月29日に取りまとめられた財務省の財政制度等審議会の「春の建議」で、医薬品の「産業構造」に言及。内資系企業の売上高はグローバル大手企業の売上高と比べて「多くの場合1ケタ以上の差がある状況となっている」として、内資系企業の規模の小ささを指摘。「グローバル市場における企業規模の問題を考え、日本企業の競争力強化も重視していく必要がある」と指摘。「グローバル市場への輸出によって稼げるよう、産業競争力を獲得することが求められる」と明記した。


 なるほど、本文中の図-1、図-2を見ると一目瞭然だが、輸出額より輸入額が大きいというのを貿易戦争に例えるなら、現時点では日本は劣勢に立たされている。市場シェアにしても同様に、なかなか高くない。

 

 続いては、医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会メンバーのコメントを。

 

〇日本の医療保険・薬価に関する制度を海外に積極的に発信していくことが重要

 北里大学薬学部の成川 衛教授。薬事制度のみならず、医療保険・薬価に関する制度(保険償還の対象となる医薬品の範囲や意思決定の迅速性などの良い面など)日本の制度を海外に積極的に発信していくことは、重要である。

 

〇創薬スタートアップ・エコシステムを日本に構築して根付かせる方策

 官民ファンド株式会社産業革新機構から新設分割する形で発足した株式会社INCJ執行役員の芦田耕一氏。創薬スタートアップ・エコシステムを日本に構築して根付かせるためには、革新的新薬の開発進展・上市および創薬スタートアップの企業価値向上といった成功事例を一つでも多く生み出すことが必要。これにより、アカデミア等のシーズ創出者、スタートアップの起業家・経営者・従業員、ベンチャーキャピタル等の支援者に成功者が生まれ、次の起業・投資に繋がりエコシステムの正の循環が回ると期待される。


 創薬スタートアップ企業は、日本にもそこそこありそうな気はするが。ただ、スタートアップ・エコシステムとまでいくと、なかなか上手くなっていないのも現実だろう。

 一体なぜ?

 

 医師からのコメントである。

 

〇創薬力強化には、まず、研究者の待遇改善を

 大学医学部の臨床薬理学研究者。創薬力強化には、まず、大学の研究者の待遇改善を。多くの大学の研究者は任期付きになっている。本来目指す研究ができず、研究は単なる論文を出すだけの作業に終わっている。研究者の待遇は、年々悲惨な状況で、生活のために大学の研究者の多くが企業のラボに行ってしまう。優秀な人ほど、渡米し、日本の科学技術はますます低迷化してしまう。


 だんだん、青色発光ダイオードの一件のような話が横たわってきた。大学の研究の補助金が削減されることで大学間競争が働く仕組みが確かあったはずだ。なので、思惑通りに事が運べばスパイラルアップして行きそうなものなのだが。

 にもかかわらず、サバイバルによる好循環が生まれる、というより、このような「待遇改善論」になってしまうのはどうしてなのか?

 アメリカには 一攫千金 的な意味合いなのだろうが「アメリカン・ドリーム」という言葉がある。しかし、日本で「ジャパニーズ・ドリーム」などという言葉は聞いたことがない。一攫千金ならせいぜい「ドリーム・ジャンボ」のような宝くじ系の夢の方がしっくりくる。

 米国的発想で競争力強化を謳いつつ、しかし出すお金はあまりない。結局どうにもバランスの悪い、というのが我が国の現状なのか?

 

 創薬メーカーのコメントだ。

 

〇日本で医薬品を開発するメリットと課題とは

 今年1月13日開かれた厚労省有識者検討会のベンチャー支援等に関する有識者、関係企業等からのヒアリングで、欧米含む世界約30ヵ国を中心に展開するバイオテクノロジー企業のアミカスセラピューティクス社は、薬価制度の観点から日本で医薬品を開発するメリットと課題について、「国民皆保険制度があり、保険収載までの期間が短く、基本的には確実に収載される。一度薬価収載されたら削除されることは(基本的に)無い」「その一方で、特許(再審査期間)中も薬価が引き下げられる」と述べ、「特許期間中/再審査期間中の新医薬品の薬価を維持することで、本邦における医薬品開発の優先度・価値を高めることが期待される」とコメントした。

 

〇特許制度や薬価制度におけるバイオベンチャーへの優遇措置を

 今年1月13日開かれた厚労省有識者検討会のベンチャー支援等に関する有識者、関係企業等からのヒアリングで、遺伝性希少疾患を対象としたRNA標的経口治療薬の研究開発を行うベンチャーのリボルナバイオサイエンス社は、行政への期待として、①日本発新薬開発(前例主義の脱却←評価システムの構築)など国内臨床試験実施の推進、②特許制度や薬価制度におけるバイオベンチャーへの優遇措置、③バイオベンチャーと提携した製薬企業へのインセンティブなど製薬企業との連携推進、④補助事業の充実など補助金・助成金の充実-を求めた。


 ベンチャー優遇、補助金充実、当然ありそうな要望だが、なんと言っても、国内臨床試験実施の推進、治験の将来数が圧倒的に少ないのも、我が国の特徴だ。新薬承認が遅くなってしまうドラッグ・ラグの問題に関しては治験に関する我が国特有の背景もありそうだ。

 

 海外の製薬メーカーは、日本市場をどう見ているのだろうか?

 

〇米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会「解決のための大枠の方向性が示された」

 報告書を受け、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)は、「ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスが足元で発生していることを指摘し、薬価制度の問題点として、イノベーションが適切に評価されていないこと、特許期間中の薬価が維持されていないこと、制度の予見性がないことなどを訴えてきた。検討会において、こうした課題が捉えられ、解決のための大枠の方向性が示されたことに感謝の意を表す」などとするコメントを発表した。

 

〇円安の今、バイオやがん研究開発に強い日本のベンチャー企業をM&Aする格好の機会

 医療費削減圧力から先細りが懸念される日本の医薬品業界にあって、抗がん剤やバイオ医薬品の新薬だけは拡大余地が大きく残っている。資金力のある外資メーカーにとって、円安の今、日本のバイオ医薬品に強いベンチャー企業をM&Aする格好の機会である。


 相対的に円の価値が下がってしまっているこのグローバル社会。かつて日本企業が海外企業を買収し批判を浴びたり、こぞってブランド品を買い漁り、「エコノミックアニマル」と揶揄されたあの時代。この状況の変化は隔世の感がある。仮に海外に日本の何かが買い漁られた時、我々日本人はその海外の存在をどう表現するのか?

 

 「ハゲタカ」

 

海外ファンドに対してのこんな表現はあったなぁ…。

 

 今度は医薬品卸事業者のコメントを。

 

〇円安と物価高騰を配慮した薬価改定を

 中医協薬価専門部会の2023年度中間年薬価改定を巡る意見陳述で日本医薬品卸売業連合会の鈴木 賢会長は、「コロナワクチンや検査キットの配送により医薬品卸の業務負担が大幅に増加していることに加え、ジェネリック医薬品の需給調整にも追われており、依然として医薬品流通の現場では逼迫した状況が続いている。中間年薬価改定や物価急騰など、変化する事業環境の下、医薬品卸の厳しい経営状況が続いている。2020年度は11社中7社が赤字、2021年度は11社中6社が赤字」と医薬品卸を取り巻く厳しい環境をあげ、「急激な物価上昇や円安は安定供給に支障を生じさせかねないため、物価上昇等の影響が大きな品目については、緊急的に薬価を引き上げるなどの措置を講じていただきたい」と、円安と物価高騰を配慮した薬価改定を求めた。


 …。

 あれなんですかね?真っ先に紹介した医薬品産業振興審議官のエールは、あくまで製薬業界に向けられたものであって、医薬品卸事業者に向けられたものではないのでしょうかね?それとも サバイバル で、ゼロサムになるまで闘え、ということなんでしょうかね?

 

 医業系コンサルタントのコメントも紹介したい。

 

〇製薬業界では薬価制度の見直しに期待が高まっているが、薬価が「都合のいい財布」とされることへの懸念は拭いきれない

 6月16日に閣議決定された「骨太の方針2023」に「イノベーションの適切な評価などさらなる薬価上の措置」を行うことが明記され、製薬業界では薬価制度の見直しに期待が高まっている。背景には、顕在化する「ドラッグ・ラグ」「ドラッグ・ロス」や日本の創薬力低下に対する危機感がある。医薬産業政策研究所の調査によると、2020年までの5年間に欧米で承認された医薬品の72%が国内で承認されておらず、2016年までの5年間と比較すると国内未承認薬の割合は16ポイント上昇。新型コロナウイルスワクチン・治療薬の実用化でも、日本企業は欧米勢に遅れをとった。一方で、中医協薬価専門部会で2024年度薬価制度改革に向けた議論がスタート。支払い側委員は早速、「イノベーションの推進は適正化とセットで議論すべき。評価の充実を前提とするのではなく、全体のバランスを含めて幅広い視点で議論する必要がある」とクギを差した。骨太の方針や有識者検討会の報告書では、長期収載品の自己負担の見直しなど薬剤費を削減する方向の提案もなされており、こうした点も含め、改定の骨子がまとまる年末にかけて議論が展開されることになる。岸田政権が掲げる少子化対策で数兆円規模の財源が必要となる中、薬価が「都合のいい財布」とされることへの懸念は拭いきれない。


 先月号で触れた少子化対策。薬価はやはりその財源として考えられているのだろうか?苦労して苦労して開発した先発品。今度はそれが財源を使ってしまうので全体的に薬価を下げる。そしてサバイバルを促し新陳代謝を図って費用の適正化と日本の成長を同時に実現する。

 理屈は分からなくもないのだが、市場が思惑通りに動かない現実もある。

 

 「サバイバル疲れ」

 

なのだろうか?

 

 調剤薬局業界のコメントも紹介したい。

 

〇日本保険薬局協会:2024年度診療報酬改定要望書で認定薬局への評価求める

 日本保険薬局協会(NPhA)は5月11日、2024年度診療報酬改定に関する要望書を公表。2021年度にスタートした認定薬局については、在宅医療における麻薬や無菌調剤の実績がある地域連携薬局を評価すること、専門医療機関連携薬局を評価することなどを要望した。


 少し骨太の方針とは毛色の異なったコメントだが、点分業、門前薬局の考え方から面分業の流れにおける「地域連携」の考え方、これは確かに要望したいところだろう。

 

 最後にこんなコメントを紹介して締め括りとしたい。

 

〇ドラッグ・ラグ解消として「患者参画に関する項目が記載された」と歓迎

 患者目線で革新的医療政策実現を目指すパートナーシップ(PPCIP)は6月8日、厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の報告書で、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの懸念」の項目の中で「患者団体からの意見が取り上げられた」と歓迎。「患者・市民の声が医療政策に反映されることの重要性について、有識者検討会の構成員の間で共通認識が得られたことに一定の前進があったものと捉えている」とコメントした。


 患者の視点。

 非常に大事である。特に難病や希少性の高い病気に対する新薬の要望は、患者やそのご関係の方々にとっては切実だろう。

 創薬メーカーのCMを見ていると、日夜患者のために研究してくださっているイメージは感じる。

 創薬の成功確率1/25,000なのだそうだ。開発には実に10年以上の時間と数百億~数千億規模の費用が必要と言われている。

 それだけの労力と、得られる効果に対し、支払われる対価は果たして高いのか?安いのか?財源論だけならもちろん「高い」に決まっているのだろうが…。

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※1)…

・「ハンガー・ゲーム」。1作目は2012年公開。アメリカ合衆国のアクション映画。全4作(だったか)。出演者、ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン。

・「太陽は動かない」。「ANエージェント・鷹野一彦シリーズ」の第1作。全三部作あるらしい。映画での主人公は藤原竜也×竹内涼真。

・「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」。2018年アメリカ合衆国で公開のホラー映画の2作目。2021年公開。出演者、ジョン・クラシンスキー、エミリー・ブラント など。

・「サバイバル」、言わずと知れたビジュアル系ロックバンド、GLAYのヒット曲。1999年。

・「ソウナンですか?」。原作 岡本健太郎、漫画 さがら梨々による、週刊ヤングマガジンで2017年より連載開始。2019年にテレビアニメが放送。

・「ダンガンロンパ」。ダンガンロンパシリーズは、スパイク・チュンソフト開発のゲームシリーズ。

・「BTOOM!」。井上淳哉による日本の漫画、週刊コミックバンチ連載。2012年アニメ放送。

 

 サバイバルものは手に汗握るものが多いが、フィクションはともかく、現実世界におけるサバイバルが、これら作品のようだと、いやちょっとご遠慮願いたいな。

<筆者>

 

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