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No.752 人生最終段階医療のあり方文書化する「ACP」、医療・介護職の2割が知らず 社会保障審議会・医療部会の意識調査で明らかに

2023年07月18日

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◇「人生最終段階医療のあり方文書化する「ACP」、医療・介護職の2割が知らず
  社会保障審議会・医療部会の意識調査で明らかに」 から読みとれるもの

・一般国民の7割、医療・介護専門職の2割がACP「知らない」と回答

・2018年ガイドラインで「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP)を推奨

・2024年度診療・介護報酬改定では、「ACP(人生会議)の推進」が重要論点の1つ

 

■ACP、国民の7割、医療・介護専門職でも2割が「知らない」

 人生の最終段階においてどのような医療を受けたいか文書化する「ACP」(Advanced Care Planning)について医療・介護専門職の2割が「知らない」ことが明らかになった。厚労省の社会保障審議会・医療部会は6月2日、「オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針」、「2022年度人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」、「第8次医療計画の6事業目(新興感染症対応)」の3つのテーマについて厚生労働省から報告を受けて議論した。

 このうち、「人生の最終段階」の意識調査では、人生の最終段階において「どのような医療を受けたいか、逆に受けたくないか」を、家族や友人、さらに医療・介護専門職と「繰り返し」話し合い、できればそれを文書にしておく「ACP」(わが国では「人生会議」)の取り組みが、一般国民の72.1%が「知らない」と答えるなど周知が進んでいないことや、医療・介護専門職の中でも2割程度の人は「知らない」状況が明らかになった。意識調査は約5年ごとに行い、前回は2017年で、今回は2022年11月22日から2023年1月21日にかけて一般国民、医師、看護師、介護支援専門員(前回は「介護職員」)を対象に実施。回収率は一般国民50.0%(前回16.2%)、医師32.5%(同24.2%)、看護師42.7%(同27.0%)だった。

 「ACPについて知っていたか」では、いずれの層も前回調査より「よく知っている」が増加しているものの、一般国民では5.9%にとどまる。医師、看護師、介護支援専門員はいずれも半数弱まで増加した。「人生の最終段階における医療・ケアについて考えたことがあるか」では、「ある」が一般国民で51.9%、他の三者では80%前後だった。

図3「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」の調査内容及び結果の概要:6月2日第90回社会保障審議会医療部会資料)

 

■普及啓発のためACPが要件化された在支診・在支病の施設基準の扱いも注目

 人生の最終段階において「どのような医療を受けたいか、逆に受けたくないか」を、家族や友人、さらに医療・介護専門職と「繰り返し」話し合いできれば文書化する、「ACP」(「人生会議」)については、厚労省「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」が2018年3月、人生の最終段階における医療・ケアについて、本人が家族や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセスを重視する「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP)などを推奨した改訂版「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(GL)」をまとめた。GLでは、人生の最終段階における医療・ケアにおける意思決定支援や方針決定の流れは、医師等の医療従事者から本人・家族等へ適切な情報の提供と説明がなされた上で、介護従事者を含む多専門職種からなる医療・ケアチームと十分な話し合いを行い、本人の意思決定を基本として進めることと説明した(図4「人生の最終段階における医療ケアの決定プロセスに関するガイドライン」における意思決定支援や方針決定の流れ(イメージ図)(平成30年版):2018年3月厚労省「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」資料)。

 

 2018年の「人生の最終段階における医療ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(新GL)の前身には、2007年の「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」(2015年の名称変更時に微修正)がある。この2007年GL策定のきっかけは、前年2006年に2000~2005年の間に外科部長の判断で人工呼吸器を外し患者7人が死亡した「富山県射水市民病院の人工呼吸器取り外し事件」があった。報道が過熱し、警察が殺人罪容疑で捜査して医師2人を書類送検するなど、当時の社会問題に発展したものの、後に同医師2人ともが不起訴になった事実を大きく取り上げる報道機関はほとんどなかった。

 2018年GLで、人生の最終段階における医療・ケアについて本人が家族や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセスを重視する「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP)が明記され、この年に一般国民にACP愛称を公募し、2018年11月に「人生会議」という愛称が決定された。しかしその後も、作成したACPが救急や医療現場で反映されなかった。一般国民はもとより医療現場でのACP周知は進まず、2019年7月には総務省消防庁が救急現場での望まない蘇生についての統一ルール策定を見送った経緯がある。

 

 今回の「人生の最終段階」の、調査で一般国民の72.1%が「知らない」とともに、医療・介護専門職の間でも約2割が「知らない」と答えたことから、厚労省はACPの普及啓発と医療現場の実装をさらに進めていきたいとしている。また、2022年度診療報酬改定では、在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院の施設基準に「人生の最終段階における適切な意思決定支援」(ACP)が要件化され、すべての在支診・在支病について、厚労省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた適切な意思決定支援にかかる「指針」を作り、しっかりと患者さんや家族に寄り添っていくことが求められた。2024年度の次期診療報酬・介護報酬改定に向け中医協などで「ACP(人生会議)の推進」が重要論点の1つとなっており、今後、様々な視点からACPの普及啓発が進められるか注視したい。

 

 

 


 監督 是枝裕和、音楽 坂本龍一、カンヌ国際映画祭脚本賞受賞の映画「怪物」は、子どもがいじめに遭い、子を思うが故に、学校に詰め寄るモンスターペアレントの映画か?しかし、今どきそんなテーマで映画作ってもなぁ…。その先に何かどんでん返しがあるのか?予告編だけを見ると、そんなことを思わせてくれるのだが、一体何が「怪物」だったのか?鑑賞後にとても考えさせられる映画であった。主人公の一人(子役)の黒川想矢の演技は、中性的(?)と言おうか、男の子のはずなのに艶めかしい、非常に印象的な演技であった。

 2年位前公開だったか?吉永小百合主演の「いのちの停車場」は、訪問診療医とそれぞれの患者との出会いと別れが描かれる中で、鑑賞後に命の尊さ、人間の尊厳について非常に考えさせられる映画だ。ご覧になられた読者におかれては、どのようなエンディングをご想像されただろうか?

 今回のテーマ、「ACP」と非常に関連が深い内容だろう。

 

 コメントを紹介したい。

 

〇後藤茂之前厚生労働大臣:事前指示書やリビングウイルの法制化には、国民の理解のため人生会議のさらなる普及啓発が必要

 2022年4 月21 日の第208回国会参議院厚生労働委員会で、維新の会の梅村 聡参院議員が、リビングウイル(事前指示書)と人生会議との関係、事前指示書の法制化について質問したのに対し、当時の後藤茂之厚生労働大臣は、「ドイツやアメリカでは、事前指示書に従って治療方針を決定することが法制化されているということは承知している。御指摘の事前指示書やリビングウイルに関して、その書面に従って治療方針を決定することを法律に定めることは、国民の意識がまとまりつつあるとも言えない状況とも認識している。こうした問題は国民の生命観や倫理観に関連する問題であり、幅広く国民の間で議論されるべき問題だと思う。人生の最終段階において、本人が望む医療、ケアが提供される環境が整えられるように、まずは、本人が望む医療、ケアについて、家族や医療・ケア関係者と繰り返し話し合う人生会議の取組を進めることが重要である。引き続き、国民と医療・介護関係者の双方に人生会議の普及啓発を進めていきたい」と答えた。


 リビングウイル。

 そうだった。少し前はその言葉の方が目立っていた。目立っていたかもしれないが、後藤元厚労相のコメントのように、国民的議論には至っていなかった。そこからの「人生会議」という言葉の登場だ。しかしながら、普及啓発が出来ているかというと、どうだろうか。

 「いのちの停車場」を観るだけで、最後のシーンは非常に重かった。たとえフィクションでもだ。ましてや自分の家族でそういったことと向き合える家族は、果たしてどれだけいるだろう?「人生会議」とは、家族参加の会議だ。そしてその中で議論されるのは、おそらくその中で最も最年長の存在がどうありたいか?どうあるべきか?が議題だ。

 

 「お父さ~ん、今から『人生会議』始めよっか?」

 

 どんな場面で、一体誰が切り出すのか?

 

 続いては、こんなコメントである。

 

〇救急現場における心肺蘇生を望まない心肺停止患者の方への対応方針

 医政局地域医療計画課外来・在宅医療対策室長。救急現場における心肺蘇生を望まない心肺停止患者の方への対応方針については、第8次医療計画の作成指針において、救急医療の関係者や地域包括ケアの医療・介護関係者、また、消防関係者等、地域の関係者がそれぞれ実施する会議を合同で開催するなどの取り組みを行い、地域の実情に応じて様々な関係者が協力して検討することにした。まずは地域ごとに検討いただくことを促していきたい。


 心肺蘇生を望まない心肺停止患者。その状態では本人の意向など聞くべくもない。

 つまり、恐らくは付き添いの家族が「望まない」と言わなければならないのだろうし、それを明確にするためにも人生会議が必要だ、ということだ。

 いやあ、難しい。

 

 続いては、こんなコメントを。

 

〇社保審医療部会メンバー:

・「一口に一般国民と言っても『介護経験』の有無で意識や知識、行動に大きな違いがあるのではないか。次回以降の調査(5年後の2026年度調査)ではそのあたりを意識して調査設計を行ってはどうか」

・「年代別などに層化して、ACP(人生会議)の効果的な普及啓発方法をそれぞれに考えていくべき」。

・「ACP(人生会議)の普及啓発と並び、『ACP(人生会議)の内容が医療・ケアに実際に反映される』こと、とりわけ救急医療の場面で重要になる。厚生労働省、総務省消防庁、警察などの関係機関がこれまで以上に連携して、ACP(人生会議)を踏まえた救急医療提供の在り方を今一度議論し、『全国統一ルール』について考えるべきではないか」


 個々人の意思を尊重しすぎ?ある意味、全国統一ルールで決めた方が罪悪感なく物事を進められるのでは?

などと考えてしまわなくもないが、棄老伝説をテーマとした昔話、姥捨て山は、特定の年齢に達した老人を山奥に捨てるという話だ。この物語では、結局、姥捨てにならない、というエンディングが用意されていた。ルールを決めれば、それを破るものも当然いる。そういうことか。

 

 司法関係者のコメントである。

 

〇ACPの前段階で必要なALP(アドバイス・ライフ・プランニング)とは?

 ACPが、病気を発症した後で「どこでどのように医療・ケアを受けたいか」や「もしものときに受けたい医療と受けたくない医療は何か」を考えるものだとすると、このALP(アドバイス・ライフ・プランニング)はもっと手前の健康なときから人生観や死生観を元に「自分は何を大切にしているのか」「どのような人生を歩みたいか」について考えるものである。ACPを考えることは、時にALPに踏み込むことでもある。ACPとALPの両者を混同しないように、しかし意図的に両方の関係を理解しつつ話を聞くことが大切である。


 どうしてもこの疑問が湧いてくる。それ、いつやるんですか?

 いっそ学校の授業の一環でやってくれないだろうか?進路相談みたいに。

 

 日本医師会のコメントである。

 

〇福井県医師会が「福井県版エンディングノート」制作

 福井県医師会は県在宅医療サポートセンターの委託事業として、福井県版エンディングノート『つぐみ~私からあなたへつなぐ未来』を今年3月に制作した。第1編では本人の意思を伝える要素(エンディングノート)と、第2編では複数の方で話合い、もしものときのために個人の意思を何回も確認し、最大限反映する要素(人生会議(ACP))で構成されている。医療・介護関係者と十分に話し合い、本人の意思決定により自立的に医療・介護を受けられる本人の意思決定の支援ツールとして、県内の自治体等の窓口で無料配布されている。


 ご作成にあたっては、関係各位のご苦労が容易に想像できる。県民幸福度の一番高い福井県だからこそ、できたことなのだろうか?

 

 日本看護協会のコメントである。

 

〇看護職は療養生活支援の専門家

 看護職は療養生活支援の専門家であり、対象者の長期的な身体状況の変化を予測するとともに、患者や家族の希望を把握し、それが叶うような生活を実現・継続するために必要なケアを判断し、提供していく医療職である。対象者の最も身近な医療職として関わることにより、看護職は苦痛、不安、苦悩等の患者の抱える問題にいち早く気付き、尊厳を守りながら、患者又は利用者等がその人らしく最期まで人生を全うできるよう支援するための看護を提供することが求められる。(日本看護協会「人生の最終段階における医療と倫理」より)


 「いのちの停車場」で訪問看護師を演じていたのは 広瀬すず だった。彼女が職業として訪問看護師を選んだことにも、当然ながらドラマがある。

すべての看護師がこの職業倫理を身につけておられる、いや、そうあろうと、教育についてはなされている、ということか。

 

 こんなコメントも紹介したい。

 

〇小藪千豊(人生会議のCMキャラクター)

 厚労省の「人生会議」の普及・啓発ポスターの製作を吉本興業に依頼。お笑いタレントの小籔千豊が死を前にした患者を演じたポスター。「俺の人生ここで終わり?」などブラックジョークのような文章に対して患者団体などから「本人や家族への配慮が足りない」と抗議が相次ぎ、2019年11月26日に自治体への発送を中止。厚労省の局長が「吉本興業と4070万円の委託価格で契約した」と明かしたことも話題となった。情報番組に出演した小籔氏は、「ポスターだけで4070万円だと思っている方が多いと言いますか、あの新聞の書き方が、さもポスターだけと受け取るような内容だったのが非常に残念やなと思います」と言及。「ポスターだけならめちゃめちゃ高いわ。吉永小百合や高倉健やないんやから」「報道ではわからんことがようあるなということを身に染みて感じました」などとコメントした。


 偶然、ここにも吉永小百合が登場した。メッセージとは、非常に発信方法が難しい。

 普段から気軽に(タブー視せずに)死後のことを、残された家族のことを、家族と一緒に考えよう。そんなメッセージが織り込まれていたはずだ。でないと普及啓発CMではない。と思ったら抗議の連続。

 かといって、配慮に配慮を重ねたCMが流れると、結果的に非常に印象の薄いCMになってしまうのではないか?通常のCM15秒~30秒くらいだろうから、その中でメッセージを訴えるには人生会議」は非常に重い内容なのだろう。ドラマ仕立ての長編CMくらいにしないと誤った捉えられ方をされかねない(※2)。

 毒のあるお笑いで人気の小藪氏も、このCM案件では「アバラが折れそうなくらい(?)」いろいろな思いをされなのだろう。筆者は「大きい声出したらアバラ折れました。」のギャグが大好きである。

 

 医師のコメントだ。

 

〇全ての状況を慮って判断しろというのは、酷な感じがする

 慢性疾患やがんが進行した末期症状ではあれば、ACPの活用が適している。しかし、目の前で息が止まっている人がいて、それが餅を詰まらせたからなのか、末期症状なのかは、消防でも救急外来でもその時点では判断できない。その場合は、最善を尽くすのが医療の使命だ。全ての状況を慮って判断しろというのは、酷な感じがする。


 日本医師会では、かかりつけ医をこう定義しているそうだ。

 

 「健康に関することをなんでも相談できる上、最新の医療上を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師

 

 このコメントをいただいた医師は、救急医療に軸足がおかれているのかもしれない。仰るとおりでもあるし、かかりつけ医のように「総合的な能力」をもって、最適解を出されることが期待されている、という側面もある。

 

 看護師の考え方だ。

 

〇大阪府看護協会『看護職のためのACP支援マニュアル』から

 

  入院:急性期

 急性期病院では在院日数が減少し、連携パスで地域の回復期病院へ転院する場面もよくあるが、転院についての十分な説明がないと、患者は「追い出された感」を抱くため、途切れない橋渡しが重要。また、今まで死を意識したことがない年代では、病気によって初めて人生について、今後の自分について考えることになる。急性期の場面でも看護職は、患者が自分自身を振り返り、今の病状を受け止め、これからの生活を患者自ら理解し、どう生きたいかを選択できるようなアプローチを行うことが求められる。

 

  入院:慢性期「少しでも食べさせてあげたい」

 80歳代、男性、誤嚥性肺炎。妻(80歳代)と2 人暮らし。誤嚥性肺炎で入退院を繰り返しており、今回も入院となった。看護師は、妻の「夫に食べさせてあげたい」という思いを大切にしたいと感じ、夫への思いを知るためのコミュニケーションをとった。妻にとっては、夫への唯一残された妻の役割が「何かを食べさせること」という方法のみであった。看護師は代理意思決定者の妻に、夫が健康なときに、生活の中で何を大切にされていたかを確認し、妻が夫の思いに気付けるように介入した。アイスクリームを食べさせることも夫婦のコミュニケーションとして大切にしながら、妻を含めたチームで繰り返し検討することで、嚥下困難のある患者の身体に負担をかけず、妻の役割を見いだすことができた。

 

 外来:「これ以上のがん治療はしたくない」

 60歳代、男性、肺がん。妻に先立たれ、長女家族と同居、長男は他県在住。肺がんⅡ期で手術し、術後補助化学療法を受けたが、5 年後に再発し外来通院で免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けていた。治療開始後12か月の定期検査で肝転移が発見され、医師から転移があることと化学療法への治療変更について説明されたが、男性はこれ以上の治療を拒否した。患者の意向が明確であっても、意思決定能力の低下に備えて、そして、患者の意向が尊重されるためには家族も含めた合意形成が必要。家族も巻き込んで話し合いましょう。一度、意思決定しても患者の気持ちはゆらぐこともある。また、療養の場や終末期の苦痛緩和の手段の選択など、今後もさまざまな場面で意思決定が必要となる。そのため、一度きりではなく繰り返し話し合い、継続して支援することがACPの実践として大切である。

 

 地域・在宅:「他人を家に入れたくないから家族だけで大丈夫」

 80歳代、女性、アルツハイマー型認知症。夫(80歳代後半)と2人暮らし。長女・長男・次男はそれぞれ世帯を持ち別居している。要介護2、短期記憶の低下がみられる。食事や飲み物でむせることが増え、誤嚥性肺炎を何度も繰り返している。失禁し尿路感染を繰り返す。主な介護者は夫で、家事・介護を一人で行っている。寝具は布団。自宅で家族が患者を介護している場合、「抱え込み」していることがしばしばある。誰にも相談できず、資源の利用方法も分からず奮闘している家族のSOSをいち早くキャッチすることが大切。「家に他人を入れたくない」という思いにばかり気を取られると、ニードを見失うこともある。患者の言動や家族の言動に注意を払い、「気づき」につなげる。


 看護師は、考え方のベースが患者の状態により段階的に変化していることが読み取れる。非常にこまやかだ。流石である。

 

 ケアマネジャーも。

 

〇今後一層、ケアマネジャーは倫理的感受性を備えることが重要に

 ケアマネジャーはACPにおいて大きく期待されている。ケアマネジャーの研修カリキュラムには、全ての研修課程に「倫理」の科目が組み込まれた。今後一層、ケアマネジャーは、倫理的感受性を備えることが重要になってくる。


 ACPにおけるケアマネジャーの役割は、今後大きくなりそうだ

 

 こういったものもある。

 

〇遺書に抵抗感を感じる人には、「エンディングノート」という選択肢があると言うが?

 民法961条で遺言書は15歳から書くことができ、遺言書を書くことに年齢は関係ないということを最近知った。遺書を書くことは、財産相続ということが頭によぎり、生々しい話になる。遺書に抵抗感を感じる方には、自分が病気で倒れたときや亡くなった時等万が一のことがあった時に備えて、あらかじめ家族やまわりの人に対して自らの希望や伝えておきたいことを記載する「エンディングノート」があると、先日テレビで紹介された。遺産相続で「エンディングノート」の法的拘束力はどこまであるのか今のところよく分からないので、エンディングノートを書くのをためらっている。


 筆者も昨年、認知症予防財団監修のエンディングノートをいただいた。この記事を書きながらエンディングノートのことを思い出して引っ張り出してみたが、

 質問項目が100あった。確かに便利なノートだ。お葬式などで残された家族はとても重宝することだろうと思う。しかし、もらったその日に書き出して、20項目くらいで挫折したことも思い出した。これは相当時間をかけ、真剣に向き合わないと完成するものではない。さらに、今どき手書き形式というのも、書くのが億劫になる要素の一つだ…。

 ただ、このノートを、自分用としてでなく、年長者にヒアリングしていく形で、時間をかけながら、一日一項目くらいのペースで記入しながら完成を目指す、などの活用方法にすれば、食事の時間一家団欒が復活、もしかすると、つまりそれが「人生会議」と言えるのではないか?そんな気がした。

 

 最後にこんなコメントを紹介して締め括りとしたい。

 

〇ACPの概念は米国で誕生した。日本版ACPを目指す背景とは?

 ACPの概念は米国で誕生した。20世紀後半、米国で自己決定権の尊重という考え方、さらに医療費の高騰を背景として、意思表示が困難になる前に医療者に対して医療行為に対する意思表示をする「事前指示」(Advance Directive、以下AD)が制度化された 。当初、ADの制度化により、患者の希望に沿ったケアが提供され、医療費の削減が可能になると考えられていた。しかし実際にはADを書くだけでは期待された効果は得られなかった。このような背景を受けて、徐々にADの作成に重点を置くのではなく、これからの治療・ケアについての話し合いのプロセス、つまりACPが重要であるという認識が広まった。その後、日本でも徐々にACPの概念が芽生え始めたものの、文化や社会、死生観等の違いがあり、単純に海外の考えを輸入できるわけではない。自律性の尊重を重視する欧米と比較し、アジアは家族や医療者を含む周囲との関係性の中での意思決定を重視する。特に日本では家族の意見を重視する傾向がある。日本版ACPの確立を目指すようになったとみられる。


 アメリカでも財源論からスタートしたのか…。

 

 「死生観」

 

まさに、海外の仕組みを日本流にアレンジする。

ACPを日本語にしてみたら「人生会議」。

だけの翻訳ではないのだろうが、まだまだ工夫の余地があるのかもしれない

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※2)…因みに、日曜日の21:00からのドラマ枠で流れる、ある大手生命保険会社のドラマ仕立てCMは結構ロングバージョンで、時にグッとくる。肝心のドラマでなくCMを見て涙が出そうになる。

<筆者>

 

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