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No.681 「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化など打ち出した「骨太の方針2020」

2020年08月15日

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■新型コロナと相次ぐ豪雨災害を「危機」と捉え、短期及び中長期的な対応方針

 政府は7月17日、経済財政諮問会議と未来投資会議を開催し、「経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太の方針2020)~危機の克服、そして新しい未来へ」と「成長戦略実行計画」を策定。その後、持ち回り閣議で了承・決定した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大と相次ぐ豪雨災害を「危機」と捉え、感染症拡大により浮き彫りとなったデジタル化・オンライン化の遅れ(特に行政分野)などに対して、短期及び中長期的な対応方針を示した(図1 経済財政運営と改革の基本方針2020 概要)。主要施策項目について年内に実行計画を策定する。

 

 新型コロナウイルス感染症下での新しい社会、経済を目指し、行政等のデジタル化を推進し「新たな日常」の早期実現を強く打ち出した。このうち医療関連では、「骨太の方針2020原案」に記載されたオンライン診療について「電子処方箋、オンライン服薬指導、薬剤配送によって、診察から薬剤の受取までオンラインで完結する仕組みを構築する」に加え、「国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの体制強化を図るとともに、一体的な取組を進めるための体制を構築する」と明記された。

 

 医療界だけでなく、与党自民党からも批判があった、薬価の毎年調査・改定については、原案と同様に「骨太の方針2019のうち、本基本方針に記載がない項目についても、引き続き着実に実施する」との記載が残り、今年秋に薬価調査を実施し、2021年度薬価改定を新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して「十分に検討し、決定する」とした。

 

■「新たな日常」の早期実現に向け、「デジタルニューディール」など5本柱の施策項目

 骨太の方針2020に関して、西村康稔経済再生担当大臣は、「感染拡大防止と経済社会活動の両立を実現していくためには、新たな日常を実現しなければいけない」と説明。「新たな日常」の早期実現に向け、「デジタルニューディール」「地方創生」「人・イノベーションへの投資の強化」「包摂的な社会の実現」「新たな世界秩序の下での活力ある日本経済の実現」という5つの柱の主な施策項目について、年内に実行計画を策定し、実行に移す。主な施策項目や実行計画の策定手順は今後の検討課題で、実行計画を待たずに直ちに着手できるものは、着手していく方針だ。持続化給付金をはじめ新型コロナウイルス感染症関連の行政手続きで遅れや混乱が指摘されたことを受け、西村大臣は特に「デジタルニューディール」が重要な柱であると強調している。

 「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化への集中投資・実装とその環境整備「デジタルニューディール」については、「デジタル化の推進は、日本が抱えてきた多くの課題解決、そして今後の経済成長にも資する」との認識の下、デジタル化の遅れや課題を徹底して検証・分析し、この1年を集中改革期間として、改革を強化・加速するとともに、関係府省庁の政策の実施状況、社会への実装状況を進捗管理する。

 

 政府は7月後半から、新型コロナウイルス感染症の時代、さらにはその先の未来の新たな社会像、国家像を構想する、新たな議論を開始するため、未来投資会議を発展させた会議を設置する考えだ。

【事務局のひとりごと】

 

 “アベノミクス”、“一億総活躍社会”、“プレミアムフライデー”、“働き方改革”、“アベノマスク(? ※1)”、現政権下において生まれた(と思われる)キャッチコピーは、実際の浸透度合いはともかくとして、言葉上は日本中に浸透した感がある。このキャッチコピーを生み出した背景にあるのは経済産業省の存在なのだろう。

 

 今度は「デジタルニューディール」である。間違っていたら申し訳ないが経済産業省的なネーミングセンスを感じる。高校の授業で習ったかどうか定かでないが、当然のように使用される「ニューディール」という言葉は、社会常識なのかもしれないが、筆者はニューディール政策と言われても、それを一言で説明せよ、と言われると正直困る。というわけで、ネットで調べてみた。

 

 「ニューディール政策

・アメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領が1933年から始めた経済政策。

・「ニューディール(New Deal)」は日本語にすると「新規まきなおし」の意。

・1929年発生の「世界恐慌」で落ち込んだアメリカ経済を立て直すことが目的だった。

・この政策の理論的裏付けとなっているのが、経済学者ケインズ(英)が唱えた理論。

・ケインズは、国家が市場を統制して人々を保護し、また公共事業を積極的に推進して雇用を創出すれば、消費が促進されて恐慌を回避できると考えた。

・ニューディール政策の具体的な内容は、ケインズの理論を実行したものだといえる。

・しかしケインズの著書である『雇用、利子および貨幣の一般理論』が実際に発表されたのは1936年。実際のニューディール政策の開始よりも後のこと。そのため直接的に影響を与えたとは考えづらい。

・ルーズベルトは政府の権限を用いて、市場を統制するためにさまざまな規制や保護政策を実施した。

・1933年、ドルと金を交換する「金本位制」を停止。政府が通貨を発行する「管理通貨制度」を導入して政府の統制力を強化した。

・同年、銀行預金者を保護するための「連邦預金保険公社」の設立、銀行を安定して経営するために証券と分離させる「グラス・スティーガル法」を制定。

・政府の介入は農業にも及んだ。同じく同年1933年に「農業調整法(AAA)」を制定。農業生産量を政府が管理、農作物の価格の上昇を狙った。

・これらの政策と並行して公共事業を拡大し、雇用の創出を図った。1933年に「テネシー川流域開発公社(TVA)」を設立。テネシー川の流域で世界初の地域開発を実施し、多数のダムを建設したほか、植林などの複合的な事業を展開。これらは雇用の創出だけでなく、地域の活性化や電力供給の安定化などを実現し、成功を収めた。

・ルーズベルトはその後、労働者の権利を認めることで待遇の向上を促し、労働者の購買力をあげることを目指した。1935年に「ワグナー法」を制定し、労働者の「団結権」「団体交渉権」「ストライキ権」などが認められるようになった。

 

 ざっとこんな感じだ。もう少し続ける。

・世界恐慌の影響を克服するために、ニューディール政策によってさまざまな施策がうたれたが、しかしこれらは市場原理を重視する大企業などの反発を招いた。

・1934年に反ルーズベルト勢力によって「アメリカ自由連盟」が結成された。

・「アメリカ自由連盟」は、反ニューディール政策を展開。また裁判所も、ニューディール政策は「大統領の権限を逸脱している」としてたびたび違憲判決を下し、けん制する立場をとった。

・さらに後世の研究者たちからも、不況脱出の決め手とはならなかったという指摘がされている。

・ニューディール政策は、労働者の権利保障や一定の雇用創出には成功したが、アメリカの経済は1937年以降再び後退しており、不況からの完全な脱出とはならなかった。

・実際のアメリカ経済が立て直す決定打となったのはアメリカの第二次世界大戦への参戦だった。

・日本による真珠湾攻撃をきっかけに戦時体制に転じ、大量の軍需品を生産するために多くの労働者を軍需工場に動員。軍需が経済を牽引するようになり、アメリカの経済は立て直されたのだった。

・ニューディール政策は、各方面から批判も受けたものの、完全な失敗だったとも言い切れない。経済的には限定的な成果しかあげられなかったが、ケインズ経済学の有用性を立証したという意味では評価されてよいだろう。

 

 おみそれした。ここまでを思っての西村経産相のご発言だったのか。この情報を頭に入れて今一度「デジタルニューディールについて考えると、デジタル化について、一から巻き直しをはかるために、政府の権限を用いて市場を統制するためにさまざまな規制や保護政策を実施して政府の統制力を強化し日本のデジタル改革の強化・加速しようとするものなのだ(ろうか)。しかも5つの柱で“重要な柱”、一丁目一番地が「デジタルニューディール」なのだ。

 

 コメントを紹介したい。

 

〇昨年の令和元年度補正予算作業で西村経済再生担当大臣が説明していた「デジタルニューディール」

 「骨太の方針2020」で注目される「デジタルニューディール」というキーワード。20世紀に起こった世界恐慌に対するアメリカのニューディール政策を連想させるネーミングであるが、既に昨年末の令和元年度補正予算案作成作業の中であがっていた。2019年12月9日、政府は令和元年度補正予算案のなかで「未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上」として1兆円以上を計上した。これには、次世代IT関連技術への投資も含まれ、ポスト5Gの開発や学校のICT化、AIの開発などもあげられている。記者会見で西村康稔経済再生担当大臣(経産省官僚出身の衆議院議員)は、これらを「デジタルニューディール」という言葉で説明し、未来への投資に力を入れていくことを強調した。デジタルニューディール政策は、中小企業への生産性向上の支援から教育支援に至るまで幅広く、未来のデジタル社会を見据えた政府の強い決意の表れともいえる。

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 学校の休校で強権を発動したコロナ禍の当初を思うと、強権という意味でははるかに“腰砕け感”の否めない現況下、本気で政府が統制力を強化しようとするなら、筆者以外の賢明なる国民が“ニューディール”という言葉だけで全て理解し、骨太方針2020が大成功を収める、という未来には、少し無理があるような気がするのだが、果たして?

 

 とはいえ時代はDX。この言葉を新聞紙面で見ない日はない。“デラックス”ではなく“デジタルトランスフォーメーション”だ。神仏習合にみられるように、日本文化は海外の良い部分は都合よく採り入れる。宗教観に関係なく、クリスマスやバレンタインデーが神聖なものとしてでなく、単なるイベントとしてほとんどの国民に受け容れられる国民性だ。横文字もどんどん採り入れる。オーバーシュートとかロックダウンとか、耳目を集めようとするときは、横文字を使った方がインパクトがあるような気はする

 

〇経団連、デジタル化に伴う横断的な課題を議論するデジタルトランスフォーメーション(DX)会議を開催

 経団連(中西宏明会長)は今年1月27日、東京・大手町の経団連会館で、デジタル化に伴う横断的な課題を議論することを目的として設立したデジタルトランスフォーメーション(DX)会議の第2回会合を開催。日本CTO協会(松岡剛志代表理事)から、同協会が昨年12月に公表した「DX Criteria(DX基準)」について聞くとともに意見交換を行った。

 冒頭、中西会長は、「デジタル化を課題解決につなげることによって、明るい未来を創るというのがSociety 5.0のコンセプトであるが、現実には、企業も政府もDXが進んでいない状況。経団連として、DXによって業界の垣根がなくなり、新たな産業が出てくることを前向きにとらえ、横断的な取り組みを進めていきたい」と語った。続いて、来賓の西村康稔経済再生担当大臣から「デジタル化のスピードは想像を超えるもの。そうしたなかで、日本CTO協会の若い感性や意欲的な取り組みは刺激的なもの。本日の意見交換が双方にとって意義深いものになることを期待したい」と述べた上で、政府として「デジタルニューディール」を国家戦略として展開し、Society 5.0実装に向けた予算措置や法整備に取り組む考えを示した。

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 「うちなんかまだまだですわ」などと言っていると、本気で時代の進化から取り残されそうになる。経済界を牽引している企業群のメッセージを聞くと、それを強く感じる。だが一方ではペーパーレスすら実現できない企業もたくさんある。このギャップが埋まるのに、コロナ禍は少し発破をかけたのかもしれない。

 

 ペーパーレスハンコレス少し異なるのかもしれないが、ある意味、国から「不要」の烙印を押された業態、例えば印章に関する生業の声を聞いてみた。

 

〇印章業界は、ハンコ議連を通じ反対運動

 内閣府、法務省、経済産業省は連名で今年6月19日、押印の扱いに対して「押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない」との正式見解を発表した。政府により、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛要請がなされ、リモートワークが推奨される中、日本経済団体連合会など各経済団体からは政府に対し、「コロナ感染症対応としての規制・制度の見直し要望」が出され、中でも「各種行政手続きの押印原則・書面申請の撤廃」が求められていた。政府は、文書の成立の真正を証明する手段として、「電子署名」や「電子認証サービス」の活用をあげている。

 「ハンコ不要論」の動きは古くからあり、印鑑に関連した業界団体の反発は強い。1997年、自民党行政改革推進本部が各種申請・届出の電子化やペーパーレス化を推進しようとした際には、印鑑の製造業者や販売店などで組織する業界団体「全日本印章業協会」(全印協)などを中心に印章業界が猛反発した。全国で反対の署名運動を展開し、3万5000人の署名を集めて自民党に提出。その結果、この計画は頓挫した。その後、2018年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」に沿って、法人登記の際の印鑑の義務化をなくすための「商業登記法」改正を2019年中に行い、2020年までに任意化する目標が明記されていた。ところが、最終的には「電子データ化した印影を会社設立登記に使えるようにする」という折衷案が落とし所となった。印章業界が力業で押し返した。しかし、今回の新型コロナ感染拡大防止のためのテレワークの普及が、国民全体に「押印に対する疑問符」を生み、結果として「押印=印鑑」の必要性を否定する世論の声が高まり、一気に“印鑑不要論”が形成された。

 それでも、印章業界の必死の抵抗は続き、「日本の印章制度・文化を守る議員連盟」(ハンコ議連会長は、何とIT担当大臣の竹中直一IT・科学技術担当大臣という“ブラックジョーク”)は今年6月19日、岸田文雄自民党政調会長に対し、「リモートワークの阻害要因を印章と決めつけずに有益な印章制度を継続し、印鑑届出をオンライン化すること」を要望している。

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 その後6月26日、竹中大臣は、ハンコ議連会長退任を表明されたのだという。

 

 厚労省のコメントである。

〇厚生労働大臣:電子処方箋の導入を1年前倒し

 「骨太の方針2020」策定に向けた6月22日の経済財政諮問会議で、加藤勝信厚生労働大臣は、オンライン診療や電子処方箋などの医療・介護におけるデジタル化を進める「デジタル・ガバメント実行計画」において令和5年度(2023年度)から実施を目指すとなっている電子処方箋の導入について前倒し、令和4年の夏を目指すことを表明した。

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 国の流れに岩盤規制の厚労省も乗った。厚労省では8月7日付で医政局長迫井正深氏を充てる人事を発表した。医政とデジタル化は若干土俵が異なりそうだが保険局医療課長、大臣官房審議官を経ての迫井氏の医政局長就任で、厚労行政に今後どのような変化・進化が見られるのだろうか

 

 骨太の方針に話を戻す。

 

〇日本病院会会長:病院経営はボクシングに例えるとグロッキーな状態

 「骨太の方針2020」では、当面の課題として「新型コロナウイルス禍における医療提供体制等の強化」をあげた。日本病院団体協議会・代表者会議の相澤孝夫議長(日本病院会会長)は6月26日の記者会見で、日本の病院経営を巡るこれまでの問題点として、「公定価格である診療報酬によって収入が抑えられている」「診療報酬のさまざまな仕組みの中で医療提供の量が抑えられている」「コストが年々増加している」ことをあげ、「ボクシングに例えると、崩壊までカウント8、9ぐらい。病院経営はボクシングに例えるとグロッキーな状態」だと指摘した。その上で、新型コロナへの対応だけでなく、診療報酬の仕組みを抜本的にどのようにするかを真剣に考える時期に来ていると強調した。

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 診療報酬は結果として 単価×回数 である。このコロナ禍で人々の行動は明らかに変容した。一日約120万人の入院患者、約130万人の外来患者(病院の外来数)がいるという前提で、診療報酬財源を点数と想定回数で割ることで点数が設定されるのだから、回数が減ればおのずと医業収入は減額になる。このあたりはコロナ禍で大打撃を被った飲食業と全く変わらない構造だ。ただ、不要不急以外の医療を必要としている患者が一定数おられるので、収入ゼロ とはならないのだが。「新たな日常」とは、一日約120万人の入院患者、約130万人の外来患者 という前提すら覆ってしまうのだろうか

 

 今度は医師からのコメントだ。

〇本来、被保険者の資格確認の責任の所在は医療機関でなく保険者にある

 本来、被保険者の資格確認の責任の所在は医療機関でなく保険者にある。オンライン資格確認の導入のメリットとして資格確認による返戻レセプトの削減が打ち出されているが、無資格による返戻件数は厚労省の研究報告書でもわずか0.27%で、保険者の責任を医療現場に押し付けているだけに過ぎない。また万一、医療機関の窓口で無資格者であることが判明した場合、患者対応でトラブルが発生することも予想される(大阪保険医協会のホームページより)。

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 確かにカードは紛失する可能性がある。本当になくさないで良いようにするためには、体にチップでも埋め込まなければならない。そんな時代もやってくるのだろうか。

 

 医業系コンサルタントからのコメントを紹介したい。

〇オンライン資格確認には、個人情報保護の厳格化が必要

 オンライン資格確認の主たる狙いは、マイナンバーカードの活用促進と、医療機関の「資格確認」作業の効率化とみられる。特に、個人情報の保護を厳格化する必要がある。健康保険証のコピーをカルテに貼付している医院が多いが、本人確認のためにマイナンバーカードの個人番号を確認する場合、カードの裏面がコピーされないよう注意すべきである(個人番号カードの裏面をコピーできるのは、行政機関や雇用主など「法令で規定されたものに限定」される)。また、マイナンバーと氏名などの個人情報を適切に管理するために、カルテ庫を常時施錠できるようにするなどの改築が必要になるケースも考えられる。患者の個人情報が入ったパソコンやUSBメモリーなどの取扱いも要注意だ。

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 ひえーっ。期せずしてナンバーを取り扱う人に責任が重くのしかかるようなコメントである。歓迎するむきのコメントはないに等しい

 

 骨太の方針2020では「地方創生」もキーワードだ。地方創生が叫ばれる背景には「東京一極集中」がある。都市とは人を集めるための機能であるので、その機能が最大限発揮された故の現在の東京の姿なのだ。せっかく集まった人々を地方に散らばらせるには、相当の工夫が必要だ

 最後に東京一極集中についてのコメントを紹介して締めくくりとしたい。

 

〇中央省庁官僚:省庁移転で58万人の国家公務員が地方に移転しても東京一極集中は改善されない

 仮に、省庁が移転して、国家公務員が東京からいなくなったところで、この一極集中が改善されるとはとても思えない。国家公務員なんて所詮日本に58万人しかいない。東京だけでも約790万人の就業者がいる。たかが58万人ごときが移動したところで、1割にも満たない。一都三県を合計すれば、2000万人の就業者がいる。全国のほぼ3分の1の就業者がこの首都圏に集中しているから、省庁の移動でなんとかなるという話ではない。

 

〇北海道のある町の職員:地方の既存資源の活用に期待

 地方移住者が増えれば、地方で今まで十分に活用されていなかった道路(北海道では使用促進のための「無料の有料道路」が各地にある)、公共施設などの公共インフラ、土地、人材などの有効利用が進められる。地方での経済効率の向上を期待したい。

 

〇都内のIT企業社員:地方移住を阻むインターネット環境

 地方移住を阻む問題の1つに、インターネット環境の整備がある。地方と言っても、大阪や名古屋、福岡といった主要都市部であれば企業の数も多く、ビジネスの地盤があるため、インターネット環境は十分に整っていると言える。しかし、特にワーケーションなどで例があがるような地方の山間部や農村地帯などでは、まだまだ安定した高速通信の普及率が低いのが現状。NTTのフレッツ光は人口カバー率およそ96%で、日本で一番メジャーな光回線で、東西NTT合わせると光回線市場のシェアは約68%、実に3人に2人が利用している計算になる。ただし、カバー率の計算における対象の市町村は、役所で光回線が使えればOKとみなす数値なので、役所から離れた地域では使えないケースも多い。さらに、インターネット環境の整備にかける地方自治体の財政基盤も脆弱である。個人としてもインターネット回線にかける費用も月3000円以下が望ましい。

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 地方創生にも課題は多くある。コロナ対策で少し傾きかけたように見えるが、骨太の方針2020が掛け声だけに終わらないためには、政府の強権な指導力の発揮と国民の納得と協力が必要だ。

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※1)…かの有名な“アベノマスク”第二弾(ホカノマスク)は、第一弾が「全世帯に等しく2枚ずつ配布」の形と比較して、今度は「リスクの高い、保育や福祉の現場に重点的に絞って配付」で8,000枚という違いがあり、実行寸前まで行っていた。第一弾で在庫が余ったのだろうか?(と言ったら失礼か?)、と、当初ニュースを聞いて耳を疑ってしまった。ちなみに、マスクを着用していない人を探すのが困難な今日、それでも筆者はアベノマスクを着用した成人を肉眼で見たことがない(TVを通じて高名な政治家が着用していたのはよく見た。結構小さめなので、小学生である筆者の子どもはたまに着用していたが)。賢明にも追加配布の見直し検討がなされ、見送られたようだが、しかし現政権はこれだけ世論や野党の攻勢でいろいろ見直すことになる柔軟な政権だったか?数年前の改正安保法がよく通過したものだ。その当時と比較すると隔世の感がある。

 もう一つの疑問は、配らないにしても、(おそらく)発注してしまったホカノマスクの在庫とその財源だ。あまり報道が見られないが、業者はすでに調達の手配済ではなかったのだろうか。要らぬ心配かもしれないが…。

<WMN事務局>

 

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