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短信:災害大国・日本だからこそ知っておきたい「災害時にトイレが使えない!」時に起こる、健康上の“二次被害”

2023年12月15日

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<災害大国・日本だからこそ知っておきたい「災害時にトイレが使えない!」時に起こる、健康上の“二次被害”>

1119日は国連の定めた「世界トイレデー」

[ドリームホールデイングス]

 

 11月19日は国際連合が定めた「世界トイレデー」です。

 世界トイレデーは2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、危険で不衛生な野外での排泄を無くすこと、女生及び女児、並びに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払ったトイレの設置が果たされることを目指して制定された記念日です。

 日本において、平常時は多くの方が、衛生的で安全なトイレを確保できているかもしれませんが、災害時はどうでしょうか?震災や水害の際、水道管・配水管が損傷すると、水洗トイレが使用できないという状況が起こることがあります。その時、どう対処するかのシミュレーションはできているでしょうか?

 

 23年11月、ドリームホールデイングス(福岡市/東京・港区)は、全国の20代~60代の男女1000人を対象に「災害時に備えて簡易トイレを用意しているか?」についての調査を実施。

 その結果、およそ8割弱(77.1%)の人が、災害時に備えた簡易トイレを用意していないことがわかりました。多くの方が、災害時にトイレが使えなくなることへのリスクに備えていないことがわかります。

 ちなみに簡易トイレとは、水洗トイレが流せなくなった際に便器にビニール袋を取り付けて排泄物を入れ、その排泄物に凝固剤を振りかけることで衛生的に排泄物を捨てるための防災グッズです。

 

 災害時には、通常の生活習慣が物理的にも制限され、また、心理的なストレスもかかることから、さまざまな健康上の二次被害が懸念されます。防災対策と考えると食糧や水分の備蓄などにとかく目が行きがちですが、実は排泄という生理現象を健全に行える環境の不整備も、思わぬ健康被害を招くといいます。

 

 医師の谷口英喜先生に、災害時にトイレが使えない際に意識すべき健康上の二次災害について伺います。

[監修]済生会横浜市東部病院 患者支援センター長⋰/ 医師事務支援室室長/ 栄養部部長 医師 谷口英喜先生

専門は麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液・栄養管理など。

日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医、

日本外科代謝栄養学会指導医、TNT-Dメデイカルアドバイザー。

福島県立医科大学医学部卒業。

学位論文は「経口補水療法を応用した術前体液管理に関する研究」

著書『いのちを守る水分補給~熱中症脱水症はこうして防ぐ』(評言社)

ほか。

 

 

“トイレが使えない!“ そんな災害時に意識すべき、健康上の二次被害

1)脱水症や、熱中症

 災害時は、水分そのものが確保しづらいこともありますし、トイレが使えないと、トイレに行く回数を減らすために水分摂取を控えてしまい、脱水を起こすリスクが高まります。また、1日に必要な水分の3分の1は食事から摂取していることから、食事が不十分なことも脱水の原因になります。夏場であればエアコンが使えないために体温コントロールができず、脱水が引き金となり熱中症を招きやすくなります。

 3食をしっかりとるほか、経口補水液などで水以外のミネラルを取ることも大切です。熱中症対策には、水で湿らせたタオルなどを首の横の血管に充てて冷やす、電池式で使えるハンデイファンなどもあるとよいでしょう。

 

2)栄養不足

 災害時の食糧不足は通常2,3日で解消されることが多いようですが、精神的ストレスが食欲減退につながり、栄養不足に陥るリスクも。トイレを使えないストレスから便秘になったり、食べるものを控えてしまったりすることも、トイレがないことに起因する健康リスクといえそうです。

 喉越しの良いゼリー飲料は、自律神経を活発にして、胃腸を動かしてくれるきっかけになります。避難時はパンや米、麺などの炭水化物に偏りがちなので、タンパク質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素をとれる缶詰なども備えておくのがお勧めです。

 

3)口腔環境の不衛生や肺炎のリスク

 歯磨きが普段のようにできないことだけでなく、水分摂取がることで唾液をきちんと出せなくなることも、口腔環境を不衛生にするリスクにつながります。口臭や口内炎、虫歯のリスクが上がりますし、何よりも注意したいのが、体力が落ちた状態で、口腔内の雑菌が肺に入ることで肺炎を起こすこと。水分をきちんととって唾液を増やすことは非常に重要です。

 

4)免疫力の低下による感染症リスクの上昇

 避難所生活は密な空間での集団生活になり、呼吸器感染症にかかりやすくなります。また、水不足で手洗いが不十分になることも感染症リスクに。

 手洗いができる水の確保や消毒薬の確保も重要ですが、感染症は排泄物を適切に処理しないことでも拡大してしまいます。排泄物をトイレに流せず、ビニール袋などで一時的に溜めておかなくてはならない場合などは、凝固剤などできちんと処理してビニールを密封し、蚊やねずみなど、ウィルスを媒介するものが蔓延しないような工夫を各人が心がけることも非常に重要です。

 

5)血栓症

 避難所生活で身体を普段のように動かせなかったり、車中泊などで縮こまった姿勢で長時間過ごさなければならなかったりすることに加え、先述の脱水状態が相まって血栓症を引き起こすリスクが。

 血栓はふくらはぎあたりの脚の静脈にできやすく、その血栓が肺に血管を通して飛んでしまって肺塞栓を起こすと、心肺停止になるおそれもあります。

  同じ姿勢で長時間過ごさないこと、こまめな水分補給。そのために、実は安心してトイレができること、が重要なのです。

 

(当リリースに関するお問い合わせ 080-4157-0514)

 

 

                              以上

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