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No.761 26年ぶりに入院時食事療養費自己負担「30円引き上げ」へ 食材費急騰を踏まえ「提供するほど赤字」解消か

2023年12月15日

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◇「26年ぶりに入院時食事療養費自己負担「30円引き上げ」へ 食材費急騰を踏まえ「提供するほど赤字」解消かから読みとれるもの

1997年改定で1日当たり1920円になって以降、26年間据え置き

・入院時食事療養費の1920円との差額は77円

・食材料費等の高騰で冷凍食品使用頻度が上昇、病院食の質が低下するリスク

 

食材費急騰背景に入院時食事療養費26年ぶりに引き上げへ

 最近の食材費急騰により医療機関での食事提供が困難となっている状況を踏まえ、2024年度診療報酬改定で食事療養基準額(総額)が引き上げられることになった。

 2024年度診療報酬改定に向け、厚生労働省は12月8日の中医協総会で、入院時の食費を見直し、自己負担30円の引き上げを提案、了承を得た。1食当たり490円で、食事療養基準額(総額)は1日1950円になる。施行日は、2024年度予算編成過程を経て決定、別途、入院時の栄養管理体制の充実も含めた評価の在り方についても検討する。厚労省は、食材費等が高騰している中、入院時食事療養費は公定価格のため価格転嫁できず、病院食の質が下がりかねない状況にあるとし、入院時の食費の見直しについて検討するよう求めた。並行して検討が進んでいる社保審医療保険部会でも了承が得られており、引き上げは決定したと言える

 入院時食事療養費制度は、食材費と調理費は患者の自己負担となっており、食事療養基準額(総額)から自己負担額を差し引いた額が保険給付される。1997年度(平成9年度)改定で1食当たり640円(1日当たり1920円)になって以降、26年間据え置かれている図1 「入院時食事療養費制度」発足以来の食事療養費等の変遷)。

 入院時食事療養費は、現在「1食あたり640円」に設定され、これを「患者が食材費、調理費を負担する」、「医療保険(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)が栄養管理費を負担する」という形で負担している。例えば一般所得者であれば、「患者が食材費、調理費分として460円」を、「医療保険が栄養管理費分として180円」を負担している(図2 入院時食事療養費の概要)。

 また、介護保険では、施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護医療院など)入所者の食費は入所者自身が負担することとなっており(基準費用額)、2021年度の介護報酬改定で1日1392円から1445円に引き上げられ、利用者は「1食当たり約482円」(1日1445円÷3)を負担することになった(低所得者には「付加給付」という公費支援が行われている)。このため、入院・入所における食事の患者・利用者負担は、医療(病院等への入院)では460円、介護(施設への入所)では482円という具合に22円の「格差」が生じている(図3 令和3年度介護報酬改定における改定事項について)。

 

■病院給食「食事を提供するほど赤字」が増す状況

 厚労省は社保審医療保険部会と中医協に、病院給食の委託単価の推移や消費者物価指数・食費支出の動向などを提示。一方、病院給食の委託単価は、2018年は1796円だったが、昨今の食材料費等の高騰により、2022年には1997円に上昇、入院時食事療養費の1920円との差額は77円で、「食事を提供するほど赤字」が増す状況が明らかになった(図4 入院時の食費をめぐる状況)。

 

 同じく同省が示した給食のコスト管理業務を行っている全国の管理栄養士・栄養士580人を対象に行った調査では、卵や魚類、油脂類をはじめとした多くの食材について8割以上の管理栄養士等が「値上がりした」と回答されている。

 

 

 


 〇〇しか勝たん。

 

 最近の若者言葉で、「〇〇こそが最高」といった意味合いらしい。方言的には九州方面の面影があるが、中1の長女は、推しキャラの話題になると目の色が変わる。

 

 11月16日(木)。20:40。

 少し体調が悪かったので早めに家に帰り、入浴し、暖かくしてTVニュースを見ていると、あの曲が流れてきた。

 

 【ピアノの音色で】

 チャン チャカチャンチャン チャンチャン(ターラララー) チャン チャカチャンチャン チャンチャンチャン(ターラララー) チャン チャカチャンチャンチャンチャンチャンチャン チャンチャンチャーン チャンチャンチャンチャン(ジャカジャカ)

 

 しーんぱーいないからねー

 

 で始まる、あの歌だ。

 あの歌手が亡くなったというのだ。驚いた。

 さらに驚いたのは、彼が学生時代に憧れていた(とニュースで知ったが)、ビリー・ジョエルの、とある歌を目指して作られたのが、彼の出世作、この曲だったというので二度びっくり。

 

 とっつぁんボーイ…

 

 と、筆者が勝手に口ずさんでいたあの歌。

 そうか。

 あれはビリー・ジョエルの「アップタウンガール」という歌だったのか。このニュースでいろいろ初めて知った(※1)。

 

 今風に言うと「愛しか勝たん」。

 あの歌には元気づけられたなぁ。

 そう思われた読者の決して少なくないことだろう。

 

 先月号の ひとりごと で少し触れたが、

 11月16日~17日の二日間、ウェスティン都ホテルにおいて、学会テーマ

 「医療・介護の未来を、明日を、今日(京)の都で考えよう」と題し

 「第27回日本医業経営コンサルタント学会」が開催された。

 二日間で延べ約1,400人の来場があった。

 

 そのニュースを見たのは、その一日目の夜の出来事だった。

 暫く頭の中からあの歌メロディとビリー・ジョエルの歌のメロディがいろいろ混ざって離れない。

 

 大会二日目。今学会初の取り組みとして、協会員による研鑽の場としての「研究会議」が、開催された。

 昨今の医療・介護においての大きな課題のテーマ別分科会だ。

 

地域包括ケア

医師の働き方改革

病院経営・運営

オンライン診療

歯科経営

医療DX

感染症対策

 

 筆者が参加したのは、大項目 病院経営・運営 の、

 

公立病院改革の一手法としての 病院PFI事業の考察とこれからの展開

 

であった。

 研究会議の中で得られた知見は大変参考になった。

座長曰く

 

 PFI導入病院の経営状況も良化の傾向にある

 事業評価を行う仕組みが含まれ、質の面でも成果が保証されてきた

 

 十数年に渡り導入・運用されてきた中で、時代や情勢に対応した内容に変化させるような改善すべき点はあるかもしれないが、公立病院改革の一手法としての、病院PFIの導入は検討に値する

 

 また、

 

一期目の終了が見えてきた段階では、当然二期目の導入を検討すべき手法であるのは確か

 

と締め括られたのはなかなか力強い締め括りであった。

 

 今回のWMNのテーマは、病院PFI事業においても、業務範囲となりやすい運営業務の一つである「患者給食」に最も関連のある入院時食事療養費自己負担が26年振りの「30円引き上げ」というのがテーマである。

 

コメントを紹介したい。

 

〇入院時食事療養費の地方創生臨時交付金運用など財政支援で質疑応答

 10月27日の衆院予算委員会で元厚生労働大臣の田村憲久議員(自民)は、「入院中の食事療養費は1998年ぐらいからずっと据え置かれ、委託単価を下回っている」と指摘。物価高騰に対する地方創生臨時交付金の運用など財政支援の必要性について政府側の見解を求めた。答弁した自見英子地方創生担当大臣は、「入院中の食事療養費は1日につき1920円で、約30年間据え置かれており、もはや経営努力のみでは食事療養提供が極めて困難な状況だという悲痛な声を現場からいただいている」と説明。「こういった物価高によって厳しい状況にある生活者、事業者にしっかりと支援が行き届くよう、重点支援地方交付金を追加するとともに、執行にあたっては医療・介護など各行政分野を所管する各省庁から地方公共団体に対し、優良な活用事例等の情報を積極的に提供するほか、活用状況を丁寧にフォローアップするなど、きめ細やかな対応が非常に重要だと考えている」と答弁した。


 12月7日付の報道で、どうやらこの1920、1食分にすると640円だが、それが1食あたり30円!!(3食だと2,010円に:計90円)値上がりするのだそうだ。しかも財源は受益者(?)、というより食事を直接口に入れる患者自己負担分が、引き上げ増分まるまる1食あたり30円増となる。本文中の【図-1】「入院時食事療養費制度」発足以来の食事療養費等の変遷 の表内、1食あたり640円中、患者自己負担が460円、これが490円に増額され、保険給付は1食あたり180円が180円のままだという。

 

  30年間で30円。

 

 30(円)÷640(円)→4.6%の伸びだ。1年あたりに割り返すと、単純計算だと0.15625%だ(それを30で割っただけ)。この30年間でいろいろな食材が値上がりした。物代、光熱費、物流費、人件費…数え上げればキリがない。

 経営努力だけでは食事療養提供が極めて困難な状況であるという、現場からの悲痛な声に対応すべく、

 

 上がるには上がった

 

 但し、財源は個人の支払い増で。そういうことだ(※2)。

 

続いては中医協委員のコメントをご紹介したい。

 

〇診療側:日医副会長

 中医協で猪口雄二日本医師会副会長は、「入院時食事療養費は20年超見直されず、病院給食部門、給食事業者ともに赤字である。2024年度の次期診療報酬改定で入院時食事療養費の引き上げを行うべき」と、引き上げを強調した。

 

〇診療側:日慢協副会長

 中医協で日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は、「病院給食は極めて重要であり、病院団体は長年、入院時食事療養費の引き上げを要請してきた。見直しは必要不可欠であり、また引き上げまでの『つなぎ対応』も検討してほしい」などと要望した。

 

〇支払側:健保連理事

 健康保険組合連合会理事の松本真人氏は、「従来から食材費と調理費は自己負担とされてきた経緯がある。介護保険における食費の取り扱いを踏まえ、自己負担の引き上げが必要なことは理解できる。一方で保険給付には影響がないのかは審議の中で明らかにしてもらいたい」とけん制した。

 

〇支払側:全国健康保険協会理事長

 全国健康保険協会理事長の北川博康理事長は、「物価、人件費が上昇する中で、入院時食事療養費の引き上げは不可避である。家計の支出を踏まえた適切な水準となるように検討すべき」と述べた。


 診療側は自己負担を上げてくれとは言っていないが、支払側は保険給付への影響を考慮しつつ、財源論を除けば、上げることに関してはおおむねオーソライズが取れたのだろう。

 

 病院団体のコメントだ。

 

〇日病会長:コスト増に見合う引き上げの要望を幾度となく行ってきたが、これまでと同じ行動では、らちが明かない

 8月23日の四病院団体協議会・総合部会後の記者会見で相澤孝夫日本病院会長は、「都度、都度に入院時食事療養費のコスト増に見合った引き上げに関する要望を幾度となく行ってきたが、これまでと同じ行動ではらちが明かない。厚労相にとどまらず、例えば与党幹部などにも積極的に働きかけていく必要がある」と強調した。

 

〇日精協会長:物価や光熱費急騰した場合は、柔軟に“期中改定”を

 日本精神科病院協会の山崎學会長は、四病院団体協議会・総合部会後の記者会見で、「入院時食事療養費は30年近く据え置かれたままであり、昨今の物価・光熱水費・人件費急騰の中で給食の継続・維持が極めて困難な状況である。このままでは病院の食事部門は崩壊してしまうため、2024年度の次期診療報酬改定で大幅な引き上げを行う必要がある。また、診療報酬改定は2年に一度行われているが、物価や光熱費などの急騰が生じた場合には柔軟に“期中改定”を行うべきである」と述べた。


 診療側の立場としては、もちろんそうなるだろう。

 

 病院経営層のコメントだ。

 

〇悪化の一途をたどる病院給食管理の問題点

 「病院給食」という大枠でくくるのではなく、いわゆる厨房業務に当たる「病院給食管理」の問題と、入院栄養管理やNSTといった「臨床栄養管理」の問題に分けて議論する必要がある。赤字に陥っている原因の多くは前者であり、対策は急務である。赤字の原因の中でも特に問題視されているのは人材不足と人件費の上昇。厨房業務を担当する場合、数多くの食種を同じように毎日作らなければならず、人材不足のあおりを受け、勤務体系も過酷になっている。調理師の人数も年々減少しており、人材確保に難航するのは明らかである。さらに、契約条件の悪化に伴った給食委託業者の撤退も相次いでいる。ある地方の病院の事務部長から「『人材が確保できないから撤退したい』と給食委託業者から連絡がありました。どうすればいいのでしょう」という悲痛な相談を受けた。こうした相談はここ数年増加しており、企業であっても人材確保が厳しくなっている。しかも地方と都市圏では異なった背景で人材難が発生している。


 人材確保については、給食委託業者のみではなく、他の職種も同様に人材難である。1993年~2005年位の間、当時は就職することさえ困難な学生がいたという「就職氷河期」。筆者はバブル崩壊直後、就職活動を行っていた。2004年に社会人になった頃、仕事は選ぶかもしれないが、それでも、内定を勝ち取るためには、やはり競争があった。さほど優秀でなかったことがあるかもしれないが、一つ上の「バブル世代」と言われていた先輩が自慢していた内定数には到底及ぶべくもなく、それ故に企業側は、働く人を「選べる」時代だったのだろう。「選抜」が可能だった、と言って良いのかもしれない。

 もうそんな時代が日本に戻ってくることは、当面ない。

 

 今度はこんなコメントを。

 

〇トリプル改定でリハ・栄養・口腔ケアに取り組む慢性期の評価を

 慢性期医療に携わる中小民間病院長。急性期病院でも6割以上が高齢者。単に治療だけではなく、リハ・栄養・口腔を一体的に提供する体制は絶対にこれから必要ではないか。療養などに急性期から送られてくる患者さんの栄養状態がかなり落ちてしまっている。ADLとともに栄養状態が落ちていて評価もあまりできていない。急性期の疾患が治ったので慢性期に送られてくることが多いのだが、その評価すらできていないところも一部に見られる。トリプル改定を機会に、栄養士やリハ・スタッフを抱えてリハ・栄養・口腔ケアに熱心に取り組んでいる慢性期医療機関をもっと評価して欲しい。


 やや旧聞に属するが、令和5年2月18日(土)に京都市内において開催された「令和5年診療報酬・改定等病院診療所経営セミナー」(於:池坊短期大学)で、日本慢性期医療学会名誉会長武久洋三氏

 

慢性期医療は急性期医療の後始末から始まる」とし、

 

(急性期医療は、あるいは厚労省は)「低栄養・脱水を軽く見ている

と、基準給食制度に対して「明らかに何かを見直さなければならない」と警鐘を鳴らした。入院患者(特に高齢者)の低栄養・脱水を、(お金なんかとらなくても良いので)、なんとかしなければならない。

 コスト面の問題もさることながら、患者をとにかく食べさせる」、低栄養・脱水にさせないことの重要性を発信されたのだと感じた。

 このコメントを読んでこのエピソードを思い出した。

 

 看護師と管理栄養士のコメントだ。

 

【看護師】

〇患者の食生活支える病棟看護師と管理栄養士との連携

 循環器疾患専門の当院では、病棟看護師は、患者さんの食事摂取量を把握するために摂取量をチェックする。心不全や心臓手術後の患者さんで、中々食事が食べられない方に対して嗜好を伺いそれに応じて食事が提供できるように管理栄養士へ連絡相談をする。また管理栄養士も昼食時間になると、気になる患者さんのお部屋へ訪室し話を伺って、そこで食事内容や形態の調整をする。また、多職種カンファレンスでは管理栄養士からも栄養面でのアドバイスを受け、意見交換を行い多方面で患者さんを支えている。例えば皮膚状態が悪い患者さんに対して栄養面でどういった栄養補助が必要かなどのアドバイスをいただいている。

 

【管理栄養士】

〇次期診療報酬改定では、「入院栄養管理体制加算」の拡大

 管理栄養士の病棟への充実度が高まることは、患者の状態に応じたきめ細やかな栄養管理を通して、患者満足度や医療の質向上に寄与する。現行では特定機能病院のみを対象に「入院栄養管理体制加算」として1病棟に1名の専従管理栄養士の配置が評価されている。しかしながら、栄養不良や病態栄養管理を要する患者へのきめ細やかな栄養管理の必要性は、高度な医療の提供を行う施設のみならず、他の医療機能種においても同様。「入院栄養管理体制加算」について急性期一般入院料1~3においても、1病棟に1名以上の管理栄養士の専従配置の拡充を要望したい。


 看護師も四六時中患者と向き合えているわけではないし、万能でもない。となれば専門的な知識を持つ方からのアドバイスの必要性も感じておられる筈だ。

 看護師と管理栄養士、お互いが補いあって患者に接していく。そのために必要な加算とは何なのか?

 

 看護補助者のコメントも紹介したい。

 

〇食事を楽しみにしている患者さんから常に「まずい」と文句を言われる

 1食当たり460円の入院食では患者さんの食欲は湧かず、食事を楽しみにしている患者さんから常に「まずい」と文句を言われる。私が勤務するような経営が厳しい中小民間病院の場合、入院食にコストをかけていないような気がする。

 


 常に「まずい」か…。これは手厳しい。

 

 コンサルタントのコメントだ。

 

〇2023年度補正予算が成立、食材費急騰で1床当たり6,400円を交付

 政府が11月10日に成立させた2023年度補正予算で、「医療・介護・障害福祉等分野における物価高騰等への対応」として1,016億円が計上された。その内訳は、①食材料費・光熱費高騰への支援(重点支援地方交付金)、②職員の処遇改善に向けた支援(539億円)、③ICT・ロボットの導入等による職場環境の改善(374億円)など。このうち、①の「食材料費・光熱費高騰への支援」は、11月2日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」において重点支援地方交付金で対応することが明記。入院時食事療養費が長年据え置かれ、介護保険との差も生じていることから、2024年度改定までの間、この交付金で医療機関を支援するとしている。これにより、病院と有床診療所に対し、許可病床数に6,400円をかけた金額が都道府県を通じて交付される見込みである。具体的には、病院と有床診療所に対し、許可病床数に6,400円をかけた金額(23年度下半期の半年間分)は都道府県を通じて交付する。例えば許可病床が100床の病院では64万円を交付する計算だ。


 半年間で64万円。6で割ったら8万円/月だ。仮に10%の経費増だったとすれば、約80万円/月で済んでいたものが約90万円/月に上がってしまった、ということになる。当然、

 

 「そんな金額ではまだ足りない」

 

のかもしれないが、いただくべきはいただくべきだろう。

 

 入院時食事療養費は医療の分野だが、介護分野からのコメントだ。

 

〇「美味しい介護食」が提供できる食事療養費引き上げを

 介護施設で提供される食事には、高齢者が食べやすいように配慮した「高齢者食」や、噛む力と飲み込む力の状態にあわせて提供できる「介護食」があげられる。介護食では食べやすさと栄養バランスのよさが重視されやすいため、おいしさが二の次になってしまうこともあり「まずい」というネガティブなイメージを持つ方も少なくない。介護施設で手間をかけてつくった介護食を高齢者に満足してもらえないと、ストレスに感じる経営者や職員の方も多い。是非、今回の基準費用額(食費)の見直しでは、「美味しい介護食」が提供できるよう配慮して欲しい。


 さて、2024年トリプル改定では、介護分野における食費の見直し(増)はあるのだろうか。少なくとも、これまでの議論で俎上には上がっていない…。

 

 患者給食提供事業者側のコメントだ。

 

【日本メディカル給食協会】

〇日本メディカル給食協会が厚労省に要望書

 全国の病院・介護施設などの食事提供に取り組む企業が加盟する日本メディカル給食協会の平井英司会長(日総代表取締役)と菅井正一理事(日清医療食品副会長)は6月27日、厚生労働省を訪問し、伊原和人保険局長に診療報酬改定に係る入院時食事療養費の見直しを、大西証史老健局長には介護報酬改定に係る基準費用額(食費)の見直しを要望した。

要望書では、2017年10月に中医協で報告された「入院時食事療養の収支等に関する実態調査」において、医療機関は運営形態を問わず赤字となっている。また、2015年からは、医療機関が給食企業に支払う委託契約金額が入院時食事療養費を上回っており、同様に赤字であることが明らかになっていると説明。赤字の要因については、「食材料費・人件費・光熱水費が上昇し続けるなか、入院時食事療養費は1998年以降、消費税増税に伴う増額もなく、反対に1日単位から1食単位への算定見直しなど減額となっていることによる」と指摘した。

 

【患者給食提供事業者】

〇アップ自体はありがたいが実際のコスト増を反映したものになっていない

 病院給食の受託事業者大手の本社上層部。

「アップ自体はありがたいが、制度上の不整合を正すに留まり、実態のコスト増を反映したものになっていない。食材費だけでなく、人件費も最低賃金引上げを背景に毎年アップしており、全額を受託単価値上に回していただいたとしても賄える水準には無い。お客様である病院に値上はお願いしていくしかないが、お客様の収入が増えない以上、値上にも限界がある。今のサービスを前提とした企業努力、生産性向上等の取組は限界に近く、お客様のご理解を得つつ根本的なサービスのあり様を見直していくしかないが、容易な話でもない。業界の現状として、従業員の大半が最低賃金もしくは近しい水準にあり、このままのペースで上昇すれば早晩、ほぼ全員が最低賃金並となる。こうした現状を国は理解されているのだろうか。学校給食で起きた事案が病院で起きないとは言えない。万一そうなった時、大手として支援が要請されても人手不足の現状では対応できない地域、案件が多いだろう。それは当社だけではないはずだ。」


 そう言えば、学校給食事業者が事業から撤退するという報道がなされたのは記憶に新しい。「撤退」に対する厳しい反応もあれば、もらえる金額とのバランスについて同情するような、一昔前では考えられないような反応もあったと記憶している。インフレに対する受け止め方の変化だろうか。

 

 一般の方からのコメントだ。

 

1食当たり460円では美味しい病院食は無理なのか?

 先日、ある療養型病院に入院した。その病院が提供した入院食は1食当たり460円以内で抑えるため、1日3食とも「工夫して」同じ食材を使い調理したメニューだった(栄養面の配慮はあったが)。“お陰様で”食欲も湧かずに 3キロ痩せてダイエットでき、退院できた。1食当たり460円では美味しい入院食は無理なのか?

 

〇都内の眼科専門病院の病院食は有名レストランのシェフ監修のメニューだった

 ところが、家内が入院した都内の眼科専門病院の入院食は、都内の有名レストランのシェフ監修のメニューで、デザートも美味しかったそうだ。差額も数百円程度なら有名レストランシェフ監修の病院食が食べてみたい。


 筆者も、先述の11月16日より少し前に、大幅に体調を崩したのだが、その時の小欲不振で「お陰様で」翌週の健康診断時、当初の目標通り、2㎏ほど少ない目方での検量を終えることができた。超短期間であるが、まさに低栄養・脱水状態であった。

 

 最後にこんなコメントを紹介して締め括りとしたい。

 

〇30年近くも同じ値段で食事を提供しているレストランなどが巷にあるのか?

 30年近くも同じ値段で食事を提供しているレストランなどが巷にあるのだろうか?診療報酬という公定価格と言っても、最近の食材・人件費の高騰を考慮すると、入院時食事療養費の引き上げは致し方ないと思う。


 巷のB級グルメ番組では、とびきり大盛りのメニューで学生さんにサービス、というようなお店の、優しそうな老夫婦オーナーのコメントなども目にすることもままある。

 一般的に原価率を3割に抑えないと合わない、と言われる外食産業。

研究に研究を重ねたメニューで、安くて美味しいメニューが実現できた有名シェフ監修メニュー。

 一方、患者給食関係法令通知集(8訂版)の条件を満たした上で、原価率3割以内に抑え、毎日異なるメニュー、食材で3食欠かさず、必ずしも均一でないメニューで(糖尿食、きざみ食など)美味しさも提供する。摂取カロリーも規定以上(というべきか)、主食以外で実現…どんどん条件が厳しくなってくる。

 

 約30年の時を経て、患者自己負担増によって引き上げが決まった患者給食。

そういえば件の曲も発表されてから30年以上は経つ。

 

…遠ければ遠いほど、勝ち取る喜びはきっと大きいだろう

 

 あの歌で筆者が最も好きなのが2番のサビの手前のこの歌詞だ。

 報酬の引き上げは勝ち取った(保険・税財源ではないものの)。

 さらに診療報酬本体もプラス改定となるのか?

 改定率の議論からも目が離せない。

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※1)…確かにそう聞いてしまうと、コード進行など、「アップタウンガール」へのオマージュがふんだんに採り入れられていると感じる。さらにこのニュースをきっかけに初めて知った、「アップタウンガール」の歌詞の内容(日本語訳)も、おそらくはこれも「オマージュ」なのだろう。二つの歌が頭にこだまする。

 

 何十年間にも亘る、何となくの疑問が解決する、というのは結構、衝撃的だ。

「あ、懐かしい」

 レンタルビデオ店で何気なく手に取ったのは松本零士のアニメ映画だった。

 裏面に書かれたあらすじに目を通す。

「えっ?そうだったの?」

 謎の女性メーテルと、1000年女王と、クイーン・エメラルダス、そしてドクター・バンの関係がさらっと、非常にさらっと書いてあった。ファンにとっては当然の事実だったのかもしれないが、筆者にとっては、それこそ30~40年目にして初めて知った真実だった。

 突然体に電撃が走ったのは言うまでもないが、このKAN氏の訃報のニュースも、同様に体に電撃が走った。絶不調だった筆者の体調が、その後飛躍的に復調したのには、この「電撃」による ビリビリライジング効果 があったに違いない。

<筆者>

 

 (※2)…朝のニュースを見ていたら、某L社の「雪〇だいふく」(アイス)のいちごフレーバーの新商品が紹介されていた。現在の希望小売価格は税込173円(!)とのこと。

 この商品が世に初めて登場したのは1981年。定価は100円。2000年頃まではずっと100円のままだったが、その間にも消費税が導入され、実質消費者負担は上がり続け、2000年以降の20年間で173円まで値上がりした。伸び率は税込みで173%。

 30年間で4.6%の伸びとはえらい違いだ。

 税込み価格と一緒にするな!という声が聞こえてきそうだが、非課税とされる診療報酬体系には、消費税の伸びも勘案して改定されているということなので、この計算と比較で正しい…はずだ。

<WMN事務局>

 

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