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No.821 医療の質・患者アクセス・低い医療費負担の同時達成は不可能 財務省が「医療政策のトリレンマ」を強調
2026年06月15日
◇「医療の質・患者アクセス・低い医療費負担の同時達成は不可能 財務省が「医療政策のトリレンマ」を強調」から読みとれるもの
・社会保障関係費の増大と現役世代の保険料負担の増加を最大の問題
・「質・アクセス・コストの三立は困難」という“トリレンマ”を政策議論の中心に
■財務省が示した「医療政策のトリレンマ」
財務省は「春の建議」に向けて、社会保障について議論した財政制度等審議会財政制度分科会で4月28日、様々な医療制度改革を打ち出した。
同省は、財政審に示した資料で「医療政策のトリレンマ※(医療制度改革の視点)」として、医療資源が限られる中では、①医療の質を確保する(Quality、常に良質な医療を受けられるようにする)②患者アクセスを保障する(Access、日本全国にあまねく医療機関を整備する)③医療提供のための負担を低く抑える(Cost、保険料や自己負担を低く抑える)-ことを「すべて同時に達成する」ことは極めて困難であると指摘した。
※トリレンマ(Trilemma)とは、「3つの目標や選択肢があり、そのうち2つは両立できるが、3つすべてを同時に達成することは不可能」というジレンマの強化版(三つ組の不可能性)を指す言葉
(図1 医療政策のトリレンマ(医療制度改革の視点))
財務省が「医療政策のトリレンマ」を強調した背景は、 “医療費の自然増が現役世代の負担能力を超えつつある一方、医療の質・アクセス維持のための構造改革が遅れてきた”という危機認識がある。社会保障関係費の増大と現役世代の保険料負担の増加を最大の問題として位置づけた。 少子高齢化と医療の高度化により、医療費は自然増を続け、負担率の抑制が急務とされている。
同省は、社会保障関係費の増大と現役世代の保険料負担の増加を最大の問題として位置づけ、少子高齢化と医療の高度化により、医療費は自然増を続け、負担率の抑制が急務とされている。具体的には、①社会保障費の膨張と現役世代の負担限界、②医療の質・アクセスを維持するための“人手依存モデル”の限界、③医療提供体制の非効率性(病院再編・DX遅れ)、④診療報酬構造の歪み(病院と診療所の利益率格差)、⑤医療費の自然増(特に“価格要因”の増加)を指摘。これらの複合要因により、財務省は「質・アクセス・コストの三立は困難」という“トリレンマ”を政策議論の中心に据えた。
その上で、今後も「一定の質が確保された医療提供」を可能とするために、①効率的な医療提供体制の構築、②保険給付範囲の在り方の見直し、③負担の公平化—といった医療制度改革に不断に取り組んでいく必要があると強調。具体的には、70歳以上の窓口負担の原則3割化など従来路線の施策のほか、新たに「医療機関における窓口業務費用の保険給付外サービス化」として、「窓口業務は診療行為ではなく、診療報酬で評価される必然性はない」と提起した。
■医療機関の窓口業務は保険外サービス「診療報酬で評価される必然性はない」
財務省は提出した資料「持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ)」で、70歳以上の窓口負担の原則3割化など従来路線の施策のほか、新たに「医療機関における窓口業務費用の保険給付外サービス化」として、「窓口業務は診療行為ではなく、診療報酬で評価される必然性はない」と提起した。(図2 医療機関における窓口業務費用の保険給付外サービス化)
2026年度診療報酬改定で70歳以上の窓口負担の原則3割化など従来路線の施策のほか、新たに「医療機関における窓口業務費用の保険給付外サービス化」として、財務省は、「窓口業務は診療行為ではなく、診療報酬で評価される必然性はない」と提起した。これは、2026年度診療報酬改定で、オンライン診療の受診に係るシステム利用料について患者から費用を徴収できることが明確化。さらに2026年度改定に係る通知において、「情報通信機器を用いた診療を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる」と明記された。これにより、オンライン診療の受診に伴うシステム利用料について、患者から費用を徴収できることが明確化された。
財務省資料ではこれを踏まえ、「予約やオンライン診療の受診に係るシステム利用料」「予約に基づく診療の患者都合によるキャンセル料」「Wi-Fi利用料」「在留外国人の診療に当たり必要となる多言語対応に要する費用(通訳の手配料や翻訳機の使用料など)」の4類型が追加・明確化されると整理した。一方、オンラインではない通常の診療の窓口負担のコストは引き続き初再診料で評価され、デジタル化・省力化等による窓口業務効率化のインセンティブが働かないと問題視し、「本来、窓口業務は診療行為そのものではなく、そもそも診療報酬で評価される必然性はない」と指摘している。
これらの議論は、2026年5月に取りまとめられる財政制度等審議会(財政審)の「春の建議」に反映され、その後、6月に閣議決定される「骨太の方針2026」(2027年度予算編成の基本方針)にどのような影響を及ぼすのかが注目される。

まともな思考で考えると、「ドラえもん」に出てくるひみつ道具「バイバイン」の話はとても恐ろしい。
「食べるとうまいけどなくなる」
「食べないとなくならないけどうまくない」
「食べてもなくならないようにできないか?」
のび太のこんな悩みに、ドラえもんが出した答えは「バイバイン」を栗まんじゅうに一滴垂らす、というものだ。バイバインを垂らされた物体は5分で二倍に増える。
「食べてもなくならない」を実現できる、夢のような道具(?)だ(※1)。
のび太の悩みは、いわば「ジレンマ」というものだろう。
ジレンマとは、2つの相反する選択肢のどちらかを選ばなければならない状況において、「どちらを選んでも何らかの不利益や望ましくない結果が生じ、態度を決めかねる状態」を指す言葉なのだそうだ。文脈に合わせて「葛藤」「板挟み」「二者択一」などの言葉に言い換えることができる。なるほど。
「ジレンマ(dilemma)」。
英語だが、語源をたどると「二つの前提」という意味を持つ古代ギリシャ語(di-「2つの」+ lemma「前提」)に由来しているという。
筆者が初めてこの「ジレンマ」という言葉を耳にしたのは、当時「スケバン刑事Ⅲ(主演:浅香 唯)」に登場した風間三姉妹の二女、「リリアンの由真」こと、風間由真を演じていた女優、中村由真の歌のタイトルだった(1987年リリース)。
当時高校2年生だった筆者にとっては、ふーん、そんな言葉もあるのか、程度のことだったが、以降、年を重ねれば重ねるほど、この「ジレンマ」に現実に遭遇することになる。
調べてみると、
社会的なジレンマの例
自分個人の利益を追求すると社会全体が損をし、全体の利益を優先すると自分が損をするような状況。
ビジネスのジレンマの例
長期的な人材育成をしたいが、現場は即戦力を求めており研修に時間を割けない、など。
因みに、ジレンマに陥った時は、自分の感情や状況を一度書き出して整理したり、客観的な第三者の意見を聞いたりすることで、どちらか一方を選ぶか、あるいは全く別の第三の選択肢を見つけることで解決に近づくという。
二律背反、相矛盾する問題など、ビジネスの世界では日々直面する。それを解決していくのがビジネスであるとも言える。となればジレンマはビジネスチャンス、と言い換えることが出来るのかもしれない。
まっこと世の中はジレンマだらけぜよ(スケバン刑事Ⅲ風に)。
今回は、ジレンマの上位に位置する考え方なのか、「医療の質・患者アクセス・低い医療費負担の同時達成は不可能」であるとして、「医療政策のトリレンマ」を財務省が強調した、というのがテーマである。
本文中【図-1】医療政策のトリレンマ(医療制度改革の視点)にも書いてあるが、
「医療の質」と「患者アクセス(向上)」
→財政審としてはその「リソース」がかかりすぎることで医療財政の健全性が不安定になる、としている。
「医療の質」と「低い医療費負担」
→「患者アクセス(向上)」を諦めれば全体額を低減することは可能かも
「患者アクセス(向上)」と「低い医療費負担」
→「医療の質」を諦めれば、全体額を低減することは可能かも
そうは言っても、敢えて言うなら、「医療の質」と「患者アクセス向上」は国民としての要望としてある意味当然なのだろうから、これらをワンセットにして考え、「低い医療費負担」との両立は難しい、と表現した方が正しいのではないかと感じる。
わざわざ「トリレンマ」などという、センセーショナルな表現を使用して注目を集め、皆にそれが如何に達成困難かをということを痛感させ、「では仕方ないからこれは我慢せざるを得ない」と、皆が勝手に自己納得させることを狙う、いわば「ショック療法」的な「二者択一論」ではないのか。そう勘ぐってしまった。
コメントを紹介したい
○厚生労働大臣
上野厚生労働大臣は、一律の3割化は受診控えを招く懸念があるとし、2026年3月9日の国会答弁においても「対象者の拡大には慎重な姿勢」を示した。一方で、「能力に応じた負担をどう求めるか」については今後もしっかり議論する必要があると答弁した。
トリレンマだからこそ、低い医療費負担(保険財源・公費負担低減)を目指すなら、一部自己負担の1割や2割の割合はやめざるを得ない(ですよね?)という流れからの、これは答弁なのだろう。因みに一律3割論者は、乳幼児の負担割合(現在2割)も3割負担にすべきだと主張しているのだろうか。
これだけ子育て世代を応援する政策が叫ばれる中、おそらく、そうではないのだろう。高齢世代に応分の負担を求めたい、ただそれだけが本旨なのだろう(これは筆者が不勉強なので知らないだけなのかもしれないが)。
続いて。
○厚労省官僚
伊原保険局長は、健保法等改正案を審議した3月15日の衆院厚生労働委員会で、高齢者の窓口負担(3割対象拡大)について、高齢者の3割負担対象拡大は世代間の公平性と制度の持続性確保のため必要と説明。激変緩和措置や高額療養費制度で過度な負担増は避けられると答弁した。
やはり高齢者に的を絞った負担対象の拡大だ。まだ10年以上先だがこれから高齢者になる筆者としては、気になる議論である。
「なぜあの時、無料化にした(してしまった)のか?」
厚労省は悔やんでも悔やみきれないはずだ(1973年:「老人医療費支給制度」の創設→70歳以上窓口負担無料化、1982年「老人保健法」の成立→窓口負担定額化、1984年医療保険制度改正、窓口負担1割負担に、2008年「後期高齢者医療制度」導入、75歳以上医療費負担の原則1割負担)。厚労省、というより、時の政権が決めたことなのだろうが。
次のコメントを。
○財務省官僚:主計局主査:財政当局としては、投入できる資源は決して無限ではない
財務省主計局厚生労働第三係の永安俊介主査は5月20日、日本保険薬局協会の定時総会で講演。財政審で示した“医療政策のトリレンマ”について、「医療は社会共通基盤であることは間違いないが、財政当局としては、投入できる資源は決して無限ではない。人材面でも資金面でも一定の制約があるという事実を強く認識をする必要がある」と指摘。「3つ全てを完全に達成することは難しいということについては、現実的な医療政策を議論する上での前提条件として、全ての人が認識しておくべき」と説明した。
「人材面でも資金面でも一定の制約がある」、「3つ全てを完全に達成することは難しい」、「現実的な医療政策の議論の前提条件として『全ての人が』認識しておくべき」か。
財政審としては、今後の議論に向けて「トリレンマ」、「ジレンマ」より、より一層困難であることだということを、印象付けたいのだろう。
○医療団体:日医会長「一律 3 割負担にしてしまうような乱暴な議論は避ければならない」
松本日医会長は5月20日の定例記者会見で、「財政審資料では、高齢者医療における患者自己負担のあり方について触れているが、高齢者は複数の疾患を抱え、低所得者の方も多い。自助については、応能負担の観点からは、負担できる方には負担能力に応じて負担することには賛成するが、いきなり一律 3 割負担にしてしまうような乱暴な議論は避ければならない。あくまでそのバランスを取りながら、少しずつ段階を経て、配慮すべき部分にはしっかりと配慮しながら、応能負担の議論は進める必要がある」と述べた。
松本会長のご意見はもっともだ。財政審との議論とは全く嚙み合っていないが。
その財政審側。
○財政審メンバー
4月28日の財政審分科会会議後に記者会見した分科会長代理の増田寛也氏は自己負担原則3割化について「ゼロベースで見直しをして、若い人、現役世代の負担を軽減して、医療保険制度を持続可能としていく文脈の中では、応能負担をお願いしていくことが必要になる」と説明。
発言者の氏名を伏せて紹介した会議での医療に関する発言として、
「各種社会保障改革の効果や賃上げの伸展で、2026年度の社会保障負担率は低下すると見込まれる。社会保障改革を断行することでこの傾向を定着させ、保険料率を確実に引き下げていくべきだ。そのためには具体的な数値目標、年限を掲げるべき」
「社会保障給付は今後も増加が見込まれる。社会保険料負担を構造的に引き下げていくという明確な方向性が不可欠である。医療介護を中心とした具体的な改革項目と、工程を整理し、社会保障改革の工程表をアップデートすべきである」
「社会保険料負担を構造的に引き下げていくという明確な方向性が不可欠である。医療介護を中心とした具体的な改革項目と、工程を整理し、社会保障改革の工程表をアップデートすべきである」
ことなどを紹介した。
たしか最近見た週刊雑誌の広告にセンセーショナルな見出しがあった。
「国は医師会を政策に関与させるな」
発言者の氏名を伏せての会議で医療に関する発言(直前のコメント)をされた方々に、医師会関係者は当然のことながら不在だろう。
医師会を政策に関与させなければ、議論は確かに進んでいくのかもしれない。しかし本当にそれで良いのだろうか。そこには疑問を感じざるを得ない。
医療側。
○医療機関経営層
財政審で財務省が「医療機関の経営状況の見える化を一層進めるべき」「職種別給与の提出義務化等によるMCDB(医療法人の経営情報のデータベース)の精緻化に加え、今後は全ての保険医療機関の悉皆的なデータ把握を実現すべき」と指摘したことに対して、
・ 急性期大規模病院の院長は「医療機関の経営状況の見える化を一層進めるべき。職種別給与の提出義務化等による、MCDBの精緻化に加え、今後は全ての保険医療機関の悉皆的なデータ把握を実現すべき」とコメント。
・ 「中小民間病院にとって、経営データの提出義務化は事務負担の増加につながる懸念がある」とコメント。
・ 「地域医療を支える公立・公的病院では、慢性的な人材不足と厳しい財政状況が続いている。経営データの標準化と提出義務化は負担もあるが、地域医療の実態を正確に把握し、必要な支援策につなげるためには避けて通れない」とコメント。
筆者がこれまでに認識していたより、事務的なリソース不足による懸念は示されつつも、データ把握についての協力は少なくとも必要だ、という考え方に傾いてきたような気がする。
続いて看護師のコメントを。
○看護師のコメント
「急性期では人員配置や業務量が年々増え、現場の負担は大きくなっている。職種別給与や人員配置のデータが正確に把握されれば、処遇改善や業務見直しにつながる根拠が示せる」
「回復期では患者さんの生活再建を支えるため、多職種連携が欠かせない。職種別の配置や給与のデータが整備されれば、チーム医療の実態がより正確に示される」
こちらもデータ整備には肯定的だ。
しかし論調から察するに、データを示し、現状を「見える化」すれば根拠を示すことができる。そこから続く気持ちとしては「処遇改善につながる」という期待すら感じられる。
正確なデータが把握されれば、そういう可能性も無くはないのだろうが。財政審の考え方に、果たしてそんな意味合いは含まれているのだろうか。
保険財源が少なくなるなら、その給付範囲を狭めることで持続的な保険制度の実現を図る。そのような観点から、財政審は今回、新たに「医療機関における窓口業務費用の保険給付外サービス化」として、「窓口業務は診療行為ではなく、診療報酬で評価される必然性はない」と提起しのだという。
いやあ、思い切った提言だ。
○窓口業務に関わる職員
「受付は“名前を確認して保険証を預かるだけ”と思われがちだが、実際には患者さんの様子を見て、急変リスクがある方を優先したり、診療科の判断を仰いだりと、医療安全の入口の役割がある。これを保険外の単純サービスとみなされるのは、現場としては違和感がある」
「受付料のような形で保険外化されると、窓口で『なぜ払うのか』という説明やトラブル対応が増えるのは確実。今でも負担割合の説明で精一杯なのに、さらに“料金交渉”が増えると、本来の業務に集中できなくなる」
「規模の小さな診療所では、受付が会計・電話・レセプト・介護保険の相談まで全部やっている。これを“診療と無関係”と言われると、現場の実態を見ていないと感じる」
考えようによっては、診療報酬でないと定義づけられるということは、混合診療の問題をクリアするためにも、「保険外併用療養費」扱いと見做すのだろうか。
そうなると控除対象消費税扱いとなるわけだ。「診療報酬の課税化、でもゼロ税率で。」というのが最近の医療界側の要望だが、例えば紹介状なしの大規模病院受診時の患者自己負担額や、海外旅行者が急遽日本の医療機関を受診する際の医療費など、一応診療する医療機関が自由に設定可能とされているが、一定のキャップがかけられているのと同様、何らかの制約が課され、青天井ということにはならないのだろう。
病院建て替え費用も、近年の建築価格高騰に頭を悩ませる医療機関の声を、ある意味「望まない形で」聞き入れたと捉えることもできる。
財政審は診療報酬の課税化と、診療行為以外にも医療機関でかかる費用の保険給付は「絶対に」したくないというスタンスなのだろうな。
続いてはこんなコメントを。
○保険者
「窓口業務は診療行為そのものではなく、保険給付の対象範囲を整理するという財務省の問題提起は理解できる。医療保険財政が厳しい中、給付と負担の線引きを見直すことは避けて通れない」
「オンライン診療のシステム利用料は“患者の利便性向上のための選択的サービス”という性格が強い一方、対面の窓口業務は医療安全や診療の前提となる情報確認を含む。保険外化の議論には、業務の性質の違いを踏まえる必要がある。」
保険者は支払うための財源について最も敏感であるが故に、財政審よりの考え方に近いが、それでも線引きの重要性と、仮に窓口業務を保険給付の範囲外とするにしても、線引きの仕方には慎重な姿勢を取っている。
続いて。
○窓口業務を請け負っている企業
「保険外化そのものは制度設計次第で対応可能だが、どこまでが診療に付随する業務で、どこからがサービスなのか、線引きが曖昧なままでは現場が混乱する。業務範囲の標準化が前提条件」
「窓口スタッフは保険制度、医療費助成、レセプト、医療安全など幅広い知識を必要とする。財務省の議論は、こうした専門性を“受付の事務”として過小評価している印象がある」
「線引き」の重要性については、保険者同様の立ち位置か。
「専門性の過小評価」について、もの申したい気持ちは理解できる。だが、時代の趨勢は、事務業務はAIに任せようというのが論調だ。病院の窓口業務にまでその論調が向けられているわけではないかもしれないが、乱暴な言い方をすれば、AI化することで仮に業務の質が一旦は低下したとしても(クレーム・炎上のオンパレード)、しかしそれは恐らく一過性のことで、優秀なAIは、そこからの改善は、何度言っても間違ってしまうような人間より、はるかに正確かつ確実な成長を遂げることだろう。国民としては、医療費の負担増を強いられるより、一時の不快を我慢する方が、経済的にはメリットが大きいような気もするが…。
完全に達成することは難しいことを全国民が認識すべき、と言っておきながら、そういった選択肢を示すことを(一時的な混乱を是認すればどうかというような提言)、財政審はなぜしないのか。いや、できないのか。
一時、非常に話題となった、病院WiFi協議会のコメントだ。
○病室WiFi協議会
「病室Wi-Fiの整備でも、医療機関ごとに対応が異なることが課題だった。窓口業務も同様で、業務内容が医療機関によって大きく異なる。保険外化を進めるのであれば、まず業務の標準化が不可欠」
「標準化」。
これでもか、と日々業務改善を繰り返すビジネスの現場では、当たり前のように耳にする言葉だ。しかし、これがなかなか実現できないのは一般企業においても同様だ。
こういう場合、全く次元の異なる別枠において、フォーマットし、そこからリスタートと継続的な改善をする方がはるかに手っ取り早いはずだ。さっき書いたことと殆ど同義なのかもしれない(AI化することで仮に業務の質が一旦は低下したとしても…のくだり)。
コンサルタントから。
○医業系コンサルタント
「今回の財務省の提起は、診療報酬の“包括範囲”を見直す議論の一環と捉えるべき。窓口業務は長年、初・再診料に埋め込まれた“見えないコスト”。保険外化の是非は別として、医療保険がどこまで負担すべきかという境界線を再整理する動きが本格化したと言える」
…そうなのか。
医業系コンサルタントは厚労省とも意見交換を行っている筈である。財政審が突拍子もないことを言ってきた、となっていないことが、医療保険給付の境界線の、再整理の動きの本格化を予見させる。
のか?
最後にこんなコメントを。
○利用者(または家族)
「病院の受付の方が、保険証の更新や書類の書き方をいつも丁寧に教えてくれる。あれが“サービスだから自費”と言われると、正直つらいです。高齢者は窓口の支援がないと通院が難しくなる」
日本では「サービス」とは有料か否かを問わないが「行為」のことを指すのではなく、「無料」を意味するイメージが強い。それはとてつもなく増えたインバウンドが、日本のファンになる要因の一つ、「日本の良さ」でもあるのだろう。チップすら要求されるわけでもない。
ある意味「当然」「美徳」とも捉えられていた行為の「有料化」。
これがグローバル化ということなのか?日本が目指すべき方向なのか?
日本が、日本としてのアイデンティティを失うことなく、これからも(先人の築き上げた)日本であり続けることを可能とするには、「トリレンマ」などという言葉遊び(ごめんなさい)より、より深い課題なのかもしれない。
<ワタキューメディカルニュース事務局>
| (※1)… | この話の結末は、「2の二乗」がもたらすとんでもない結末で、地球全体が栗まんじゅうで溢れかねない危機を、宇宙の彼方に飛ばしてしまうというオチなのだが、その先のことをまともに考えるだけでも恐ろしい話である。 一方、作家 田中芳樹のSF短編小説「品種改良」に登場する架空の食用生物「スウェル」は、ユニヴァーサル化学食糧会社(U.C.F)が食糧難を解決するために、幾度もの品種改良の末に生み出した食用生物だ。この話では試験的にスウェルをステーキにして食べ、味としては良好な結果を生むのだが、この話の結末は田中芳樹作品だけに、非常にブラックな結末を迎えてしまうことになる。それを踏まえてドラえもんに置き換えて考えると、バイバインを垂らした栗まんじゅうを食べたのび太は、果たしてどうなってしまうのか。 胃の中に入った栗まんじゅうも、形は変わっても5分ごとに倍になってしまうのではないか?いや、消化すれば大丈夫なのか?バイバインの機能の定義は? いろいろ考えてしまう。 …これもジレンマか? いや違うか。 |
<筆者>
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