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No.822 医療人材の偏在是正へ、12職種横断で議論開始 厚労省「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」が初会合

2026年06月15日

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◇「医療人材の偏在是正へ、12職種横断で議論開始 厚労省「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」が初会合」から読みとれるもの

・医療・介護需要が増大する一方、18歳人口急減により医療系養成校の定員充足率が低下

・医療職種の偏在対策は、医師偏在対策に比べ制度的な手当てが遅れてきた領域

・従来の職種別議論では対応しきれない横断的課題が増えている

 

■2040年の医療・介護需要増と18歳人口の急減

 2040年に向けて医療・介護需要が増大する一方、18歳人口の急減により医療系養成校の定員充足率が低下している。こうした構造的課題に対応するため、厚労省は5月7日、「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」の初会合を開催した。看護師、理学療法士、作業療法士など計12職種を対象に、養成数の在り方や地域・診療科間の偏在対策を横断的に検討する初の枠組みとなる。

 

 検討会の設置は、2040年に向けた医療提供体制の持続可能性を確保する狙いがある。高齢化の進展により医療・介護ニーズは確実に増加する一方、18歳人口は今後10年で大幅に減少。特に、人口の大きなボリュームゾーンを占める団塊世代がすべて、2025年度までに後期高齢者となり、今後、2040年にかけて、高齢者人口そのものは高止まりしたまま、「医療・介護双方の複雑なニーズを抱える85歳以上高齢者の比率が高まる。一方で、医療・介護の支え手となる生産年齢人口が急激に減少していくため、医療従事者・介護従事者の確保が非常に難しくなっていく。(3 2021年と比較した2040年の18歳人口の割合

2021年と比較した2040年の18歳人口の割合

 

 さらに、医療系養成校では志願者数の減や定員割れが顕在化している。たとえば、看護師養成所(3年課程)の定員充足率は、2025年には79.5%と8割を切る状況で、他の医療職種でも同様で、例えば臨床工学技士では57.0%、歯科技工士では53.5%と非常に低く、これは「地域及び日本全国でメディカルスタッフの確保が難しくなる」ことと同時に、「メディカルスタッフ養成校の維持が困難になる」ことを意味する。養成校の維持が困難になれば、当該地域でのメディカルスタッフ確保がさらに困難となり、そのデメリットは地域住民が被らざるを得なくなる。(4 医療関係職種の養成課程の現状

医療関係職種の養成課程の現状

 

 厚労省は、①地域によっては医療人材の確保が困難になる可能性、②医師・看護師をはじめとする地域偏在・診療科偏在の深刻化、③実習施設の確保難や教員不足など、養成段階の課題を提示。医療DXやタスクシフト、多職種連携の進展も踏まえ、従来の職種別議論では対応しきれない横断的課題が増えていると指摘した。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      

医療職偏在対策に比べ、制度的遅れをどう埋めるかが焦点

 検討会の初会合では、若年人口の減少を前提に、医療職を志望しやすい環境づくりの必要性が指摘された。具体的には、養成校の魅力向上や進学支援、実習環境の整備(受け入れ施設の確保、指導者負担の軽減)、地域偏在是正に向けた奨学金制度や地域枠の活用、さらにライフコースに応じて働き続けられる職場環境整備などが主要な論点として挙げられた。

 特に看護師やリハビリ専門職では、地域によって需給ギャップが大きく、2040年を見据えた長期的な需給推計の精緻化が求められている。

 

 検討会では今後、関係団体、養成校、医療機関、自治体などへのヒアリングを順次実施し、現場の課題や提案を集約する予定である。議論の取りまとめは2026年冬頃を見込む。医療職種の偏在対策は、医師偏在対策に比べ制度的な手当てが遅れてきた領域でもあり、今回の検討会がどこまで踏み込んだ制度設計につながるかが注目される。

 

 


 

 先月号で、コンビニ店員の「気の利いた」対応について少し触れたが、今回は不満を少し。

 先月号で紹介した店員、店への不満ではないことを、まずお断りしておく。

 

 最近のコンビニは、支払う機能(入金口やクレジットカード・QRコード読取機)が店員側でなく客側にあることで、店員側が直接お金に触れる機会がめっきり減ったことだろう。さらには以前からのレジ袋有料化により、客が準備してきた袋に、買い物をした客が自分で商品を詰めることも当然のように行われている。ほぼセルフである。

 筆者は殆どクレジットカード払いを選択しているが、最大手のチェーンのレジのクレジットカードのICチップ読取り時間が比較的遅いため、支払方法確定(クレジット払いの画面をタッチ)後、読取機の上にクレジットカードを手に持ちながらかざしている間、身動きが取れない。読取終了の音が鳴るまでの間、クレジットカードをリーダーの上に置きっぱなしにしておくことも可能なのだが、袋に商品を詰めたり、レシートを財布に入れたりしなければならないタスクが数秒の間に全て自分に押し寄せてくるため、あまり気もそぞろで買い物をすると、場合によってはクレジットカードをリーダーの上に置きっぱなしで店を出てしまう危険性がある。実際、朝買い物をしたその夜にクレジットカードをその店に忘れたことに気づき、何とかして連絡先を検索し、翌日返却してもらうことが出来たのだが、焦ったことこの上ない。

 さらにクレジットカードを取りに行った際、「今後は気を付けてくださいね」と言われると、もちろんそうなのだが、なぜそうなったかの背景を考えた時に少しムカっとするわけだ。商品を店側で詰めてくれるなどしていれば、こちらは支払いに集中できるので、そもそも大事なクレジットカードを忘れるなどというシチュエーションすら起こりえないのだ。もっと言えば読み取り機の読み取り時間をあと数秒早めてくれるだけで良いのだ。他のチェーン店など1秒もかからない。

 全ては、客側が全部やらなければならないから。店員は手持無沙汰に「突っ立って」いるだけ。特にそんな光景は海外から来られた店員の場合によく見かける。

 ここまではある意味、今や日本全国的な現象なのではないか。

 

 今回の不満はこの先だ。

 コンビニでは、よほど大規模な店除いて、レジが2~3台ある。昼どきなどはフル稼働かもしれないが、通常は1台~2台を使用し、混んできた時だけ「プラス1の法則」よろしく、臨時的に対応することで客の行列緩和につとめているように見える。

 準夜帯ともなるとあまり客も多くなく、店員配置もおそらく2名程度で、一人はバックヤードに隠れている(別の作業・休憩?)ことも多く、時にはつるんだ仲間同士がお酒やつまみを手にもち、各自でレジに並ぼうとするので、突発的に客が同時に5~6人並びだすこともざらだ。運悪くそんなタイミングにあたってしまう。

 そんな時、海外出身の店員の方でも、なぜか女性の店員は一つのレジで会計が終わったとたん、空いているレジに素早く移動し「どうぞ~」と次の客対応に移ってくれる。一見、当たり前のように見えるしぐさだがで、ところがどっこい、誰でもそんな対応をしてくれると思ったら大間違い。それは実は「気遣い」なのだ。

 同じ店の、海外出身の男性店員は、床に客が並ぶマークがあって、筆者が仮にルール通りに並んでいても、それを知らずに横からレジに来た酔っ払い客の支払いに対応するわ、筆者の番になったら、「すみませんね」のひとことくらいあったってよさそうなものなのにそれも無し。レジ袋必要の有無だけ聞いて、いつもならつける割りばしも(忘れて)つけず、「お詰めしてもよろしいですか~?」の声掛けすらなく、袋詰めも筆者。

 先述の通り、このコンビニチェーンのレジのクレジットカード読み取りの時間は長いので、支払いが完了し、レシートをしまう(あるいは不要ボックスに入れる)行為の後に「自ら袋詰め」だ。後ろで待っている人もきっと「イライラ」することだろう。

 筆者の後ろにまだ結構客が並んでいても、筆者への対応が終わっても隣のレジに移動して「どうぞ~」のひとこともなく、筆者が袋に詰めるのを突っ立って待っているだけ。あまつさえ、レジ代の机に置いてあるスポーツ新聞の見出しを何となく読んでいる雰囲気すらある始末(※2)。

 実に「気の利かん」お兄ちゃんだ。

 ただ、今の時代、そういう人でも、働いてくれているだけ「ありがたい」と思った方が良さそうなのである…。

 

 今や、日本の地域社会におけるインフラの一つ、コンビニエンスストア。店舗オペレーションは殆ど海外出身の方。外食産業も軒並み同じような状況。働き手不足、というより、誰でもできる(と思われている)仕事、個人差が発揮しづらい(誰がやっても同じと思われる:そんなことは決してないのだが)ような仕事、おのずと時給に換算されてしまう(ことになるしかないくらい「見える化」できてしまっている:そこまで業務をフォーマット化した企業はある意味素晴らしいが、それ故のジレンマか)仕事、就こうとする人が不足しているという方が、表現としては正しいのかもしれない。日本人の働き手は少なくともこういった仕事に魅力を感じていないのだろう。だからすでに働き手不足気味なのだ。この上「気の利いた」スタッフまで求めるのは、それは贅沢というものだ。前述の、過去の(今もだが)筆者にそう諭す。

 

 近未来、プロフェッショナルによって成り立っているとされる医療業界、そこでプロフェッショナルな業務を提供して下さる医療従事者も、働き手不足が進展していくとこれに近い状況が生まれてしまいやしないか。

 

 今回は、先月と似たようなテーマであるが、厚労省による「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」の初会合が開かれた というのがテーマだ。

 

 従って書き出しも前回と同じようなことになる。但し端折る。

 

 現在、

 「人が有り余って全く困っていない」「働き手はいくらでも見つかる」

 などという業界は、果たしてあるのだろうか?

 エッセンシャルワーカー系では少なくとも殆どの業界が働き手・担い手不足なのではないか。

 

 「2040年には団塊ジュニア世代が後期高齢者となり、75才以上人口が約2,200万人に達する」

 

 筆者は1970年代前半の生まれなので2040年にはまだ後期高齢者にはなっていないが、前期高齢者(70才)の仲間入りは目の前だ。この原稿を書いていながらも、自分の70代は果たして如何なるものとなるのか。

 東京に住んでいると何をするにも人がたくさん、食事をするにも並ぶのが当たり前、なんてことが繰り返される日々から想像するに、いざ自分が看護なり介護なりを必要とする年代になっても、○○分待ち、あるいは××日待ち、いや、スタッフがいないので我慢してください、なんて世の中になっていやしないか。仮に公的サービスに頼れないとするならば、日本にはなかなか馴染んでいないサービスだが、メイドさんを雇い、身の回りをお世話して頂くという選択肢も考えておく必要があるかもしれない。しかしそれではお金がいくらあっても足らないだろう。

 そんな未来はご免被りたいものだ。

 などと色々想像しつつも、確実に来るであろう未来を、しかし一方でもろもろ不足している世界などになって欲しくないという願いもあって、具体的にはなかなか想像できずにいる。想像したくないだけなのかもしれない。

 

 コメントを紹介したい。

○厚労省官僚:森光医政局長

 検討会の複数の構成員から「処遇改善に関する議論を行うべき」との指摘が出たことに対して、森光医政局長は「診療報酬による対応は中医協で、介護報酬による対応は社会保障審議会・介護給付費分科会で議論することになる」と述べ、検討会の中心論点とはしない旨を説明した。


 検討会はあくまで「安定的な養成・確保」が中心論点か。処遇(収入)はここでの議論とはならない、ということか。

 

 医療機関経営層のコメントだ。

 

○医療機関経営層

 「12職種横断で議論する枠組みは非常に重要。現場では看護師だけでなく、リハ職、検査技師、放射線技師など、あらゆる職種で人材確保が難しくなっている。特定職種だけを議論しても偏在は解消しない」

 

 「地方では、看護師だけでなく、臨床検査技師や放射線技師の確保も極めて困難。18歳人口の減少は都市部以上に深刻で、養成校の定員割れも進んでいる」

 

 「人材不足は“採用の問題”ではなく“構造的な供給不足”に変わりつつある。12職種横断で養成から定着までを見直すという方向性は妥当。特に、実習先の確保や新人研修の標準化は、中小病院にとって大きな支援になる」


 先月紹介した「看護師の養成・確保」だけの議論を行って方向性を示すだけでは足らず、職種を横断した議論が必要、か。

 

 その、看護師のコメントだ。

○看護師

 「看護師だけでなく、検査技師や放射線技師が不足すると、検査が遅れ、結果的に看護の負担も増える。12職種を横断して議論する枠組みは、現場の実態に合っていると感じる」

 

 「回復期ではPT・OT・STがいなければチーム医療が成り立たない。看護師だけを増やしても偏在は解消しない。今回の検討会が、リハ職の養成・確保にも光を当ててくれることを期待している」

 

 「訪問看護では、リハ職や歯科衛生士との連携が欠かせない。偏在是正は訪問看護にも直結する課題だ」


 おそらく。だが、

 一昔前、医療機関には医師と看護師以外の専門職は、殆どいなかったのではないか、そう表現するとお叱りを受けるかもしれないが、つまり患者のケアの他、医師のサポートは看護師が全て面倒を見てきたのではないか。

 そこから時代の変化とともに、薬剤師、例えば技師、リハビリなど、専門性の高いスタッフの養成と現場への投入により、専門職がチームとなって患者に医療提供するという形に形成されてきたのだろう。専門性の高さと人口増、それも大いに影響していたのだろう。専門分野が拡大してきた故に、それぞれの分野のエビデンスも確立され、医療レベルは格段に上がり、その結果、ありがたいことに長寿社会の実現に至ることが出来た。間違いなく医療他技術の進歩は長寿社会の実現に貢献してきた、と言って良いはずである。

 

 誰が言ったのか知らないが、現在に至る焼肉店の進化は「肉の部位の切り分けによるブランド化」だという。そういえば、昔は一般的な焼肉屋のメニューと言えば、タン、ロース、バラ、ホルモン、(関西ならハラミはホルモンだが別扱いだった?(※3))程度で、それに比べれば、店によっては、ハチノス、センマイ、ギアラ、芯タン、カルピ、骨付きカルピ、アバラ、ミスジ、クラシタ、イチボ、カイノミ、ツラミ、シャトーブリアン などなど、様々な部位を「切り分け」て「差別化」することによって新たな価値を創造・提供(価格が高くても注文に結び付ける)する流れが出来上がってきた、のだという。なるほど。

 

 医療の話題をこういう話に例えるのは如何かと思うが、医療においては専門領域の拡大の変遷を遂げてきたのだろう。

 

 時代が逆行したかのようになってしまうが、看護師以外の専門職が不足すれば、全て看護師が、いや、看護師すら不足するのであれば、医師が全て対応しなければならないのかもしれない。極端な話かもしれないが、地域によっては「Dr.コトー診療所」や、「コード・ブルー」、「TOKYO MER」のように一人が何役もこなすようなスーパー人財が活躍するような社会になるのだろうか。もはや空想の話として片付けるには、この働き手不足の問題は、あと、14年も先の話というよりは、すでに「風雲急を告げている」のかもしれない。

 

 多くの職種からのコメントを紹介したい。

○療法士(PT・OT・ST

 「急性期では、検査技師や放射線技師が不足すると検査が遅れ、リハ開始も遅れる。人材偏在は“PTだけの問題”ではなく、チーム医療全体の問題である」

 

 「急性期では、認知面の評価や退院支援でOTの役割が大きくなっている。人員が不足すると退院調整が遅れ、病床回転にも影響する」

 

 「急性期では嚥下評価のニーズが非常に高く、STが不足すると退院支援が遅れる。STは全国的に数が少なく、地域によっては1人も確保できない病院もある」

 

 「小児のSTは人気が高い一方で、求人が少なく、希望しても入れない人が多い。地域によってはSTが不足し、発達支援が遅れるケースもあり、偏在是正は子どもの発達支援にも直結する課題である」


 ご案内のことかと思うが一応。

 PT(Physical Therapist):理学療法士

 OT(Occupational Therapist):作業療法士

 ST(Speech-Language-Hearing Therapist):言語聴覚士

 リハビリ系専門スタッフとして活躍著しい職種の方々だ。その一方で、病院内ヒエラルキーの中で待遇面はそこまで報われているわけではないと思われる。

 【図-4】によればPTの入学定員総数は14,668人と、勢力(?)的には圧倒的No.1の看護師54,064人(入学定員総数)に次ぐ、堂々2位だ。

 

○技師(診療放射線・臨床検査)

 「急性期ではCT・MRIの件数が多く、技師が不足すると検査待ちが長くなり、診断や治療の遅れにつながる」

 

 「検査技師が不足すると救急の血液ガスや緊急検査が遅れ、医療全体に影響する。12職種横断で偏在を議論するのは現場として歓迎」


 【図-4】によれば診療放射線技師の入学定員総数は3,680人、臨床検査技師は2,230人だ。需給バランスからもたらされた定員数なのだろうが。

 患者の立場としては診療放射線技師には、胸部X線やCT・MRIなどの画像検査のシーンで結構お世話になっている。

 一方、臨床検査技師に患者の立場でお会いすることは、あまりないなぁ。

 

○臨床工学技士

 「急性期では人工呼吸器、ECMO、手術室、カテ室など、CEが関わる領域が年々広がっている。人材が不足すると、救急や集中治療の対応に直結して影響が出る」


 CE:Clinical Engineer

 【図-4】によれば臨床工学技士の入学定員総数は2,189人だ。

 院内で心電図計などの医療機器を病棟に搬送している姿をよくお見掛けする。職業柄、患者と向き合うというより、医療機器と向き合っている時間の方が長いのだろう。ちょっとした機器の修理など日常茶飯事なのだろう。

 

○視能訓練士

 「眼科検査は専門性が高く、視能訓練士が不足すると診療の待ち時間が大幅に伸びる。地域によってはORTが1人も確保できない病院もあり、偏在の影響は非常に大きい」


 ORT:Orthopotist

 【図-4】によれば視能訓練士の入学定員総数は1,152人だ。

 

○技師装具士

 「義肢装具士は全国的に数が少なく、地域によっては1人も確保できない病院もある。装具の作成が遅れると、リハビリの開始が遅れ、患者さんの回復にも影響する」


 【図-4】によれば技師装具士の入学定員総数は253人だ。

 全体数としては少ないのだろうが、義手や義足のおかげで日常生活を取り戻せる患者が確実にいらっしゃるのは、こういう方のお陰なのだろう。

 こういった職業を目指された(職業のこと自体を知った)きっかけに、それぞれのドラマがありそうだ。

 

○歯科衛生士

 「高齢者の口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防に直結する。訪問に対応できる歯科衛生士が不足している。地域によっては、必要なケアが提供できないケースもあり、偏在の是正は在宅医療の質を左右する重要な課題」


 次は歯科領域。歯科衛生士。

 【図-4】によれば歯科衛生士の入学定員総数は10,261人、人数としては看護師、理学療法士、に次ぐ第3勢力だ。

 口腔ケア、特に高齢者の口腔ケアの重要性は非常に注目されているが、確かに「訪問に対応」となると、そんな歯科衛生士を目指そうとする側のハードルは上がるかもしれない。

 

○歯科技工士

 「歯科技工士は全国的に人材不足で、特に若手が入ってこない。技工物の納期が遅れれば、歯科診療全体に影響する」


 【図-4】によれば歯科技工士の入学定員総数は1,489人。

 筆者もマウスピースを作ってもらうなど、直にお会いしたことはないが、間接的に歯科技工士にお世話になっているのだろう(※4)。

 

 救命救急の分野も。

○救急救命士

 「救急搬送が増え続ける中で、救急救命士の確保はどの地域でも課題になっている。特に地方では人員が不足し、1人あたりの負担が大きくなっている。12職種横断で偏在を議論する枠組みは、病院前救護の現場にも必要だと感じる」

   _____________________________________

 【図-4】によれば救急救命士の入学定員総数は1,583人。

 素人目にみても、大変そうであり責任も重大だと思われる救急救命士。

 

 国家資格は、資格を目指そうという段階で将来の方向性がある程度決まってしまう。その分、目指すべき道が分かり易く迷いもないかもしれないし、ライセンスをバックボーンとして、食いっぱぐれにもなりにくそうだ。当然国家試験をクリアしなければならず、必ず合格できるというわけでもない(職種により国家試験の合格率は異なる)。医師や看護師は約90%台の合格率だが、少なくとも目指せば全員がなれる、と確約されているものではない。

 仮に国家資格を取得できたとして、万が一にも入職時に「ミスマッチだった」、と後悔してしまうような時、そんなリスクを許容できるかどうかが、学生時に問われるわけだ。そんなリスク管理を、高校生くらいの年齢の子どもは果たしてできるのだろうか。

 いや、高校生の年代よりも若い時分から、宿命的に医師を目指そうとする子たちは、すでに小中学生の頃から目指しているのだ(目指させられている?)。筆者は子どもの保護者会にたまに行くことがあるのだが、そういった子たちは確実に一定数存在しており、凄い覚悟であるなと感じる。

 幼い頃から親(おそらく看護師)をみて育ち、看護師を目指す学生も、やはり一定数は存在するのだろう。

 

 今回の12職種には入っていなかったが、現在、栄養士を目指す学生も減少している。

 

○栄養士

 「栄養管理は治療の一部である。管理栄養士が不足すると栄養評価や食事調整が遅れ、患者さんの回復にも影響する。特に高齢者や嚥下障害のある方では、STや看護師との連携が不可欠」


 つまりは栄養士育成の手立ても厚労省としては考えなければならないのだろう。

 

 今度はこんなコメントだ。

 

○専門職人材紹介事業者

 「12職種すべてで採用難が進んでおり、特に地方では“応募ゼロ”が珍しくない。偏在は看護師だけの問題ではなく、リハ職、技師、歯科衛生士など幅広い職種で深刻化している」

 

 「地方では、臨床検査技師や視能訓練士、歯科技工士など、そもそも応募が来ない職種が増えている。医療機関の努力だけでは解決できない“供給不足”の段階に入っている」


 「応募ゼロ」、「応募が来ない」か。

 

 人口減少傾向とはいえ、それでも数十万人の新戦力を、いったい、どの業界が集めているのか。充足率が潤沢な業界は果たしてあるのか。訝しくなる。

 

 先月号のひとりごとの一部を要約して再掲する。

 

・    ・    ・    ・    ・    ・    ・    ・

・AI検索によれば、「日本の看護師(正看護師)の就業人数は増加傾向、2024年末時点で約136万3142人。30年間で3倍以上増加、看護職員(看護師・准看護師)全体では約173万人を超えているが、高齢化に伴う需要増で人手不足傾向、2025年には約6万人〜最大27万人の不足が見込まれている

 

・つまり、現在もすでに看護職員不足。この状態がたらたら続いていくと仮定しているのが20~30万人不足と考えられる。看護職員全体数、約173万人(潜在看護師含)を、仮に全員が生産年齢世代だと仮定すると、約173万人÷50(年代) → 34,600人、均すと同年代あたりは約3.5万人の看護師が存在

 

・看護師学校養成所(3年課程)における1学年定員数、入学者及び定員充足率 によれば令和7年の3年課程で定員26,244人の定員に対し、入学20,868人(充足率79.5%)、3年課程大学が26,953人の定員に対し26,871人(充足率99.7%)。

 

・2026年2月実施の第115回看護師国家試験の合格率は88.3%(合格者52,666人)、全体合格率は90%前後、毎年5万人以上の看護師が誕生していることになり、その現状の中で、14年後の看護職員不足が20~30万人

 

・仮に30万人を14年間で増やそうとするなら、

300,000人÷14年 → 21,428人

つまり、52,000人に21,000人上積み、これから毎年約73,000人以上の看護師を養成することで不足数を埋めることが可能という計算になる

 

・現在、1年間に生まれる新生児の数は70万人を切っている。7万人はその10%。日本の男性看護師の割合は、2022年末時点で全体の約8.6%(約11万人)だという。男性看護師比率が増加傾向にあるとは言え、看護師は女性が圧倒的に多い職業

(最新の数字では新たに国民の仲間に加わってくれた希望の新生児は67万人だっだという)。

 

・日本の出生数の男女比はわずかに男性が勝っているが、ほぼ同数。35万人から7万人、その9掛程度、

7万人÷35万人 →20% 看護師必要数

20%×0.9 →18% の女性看護師必要数(男性看護師必要数は計算上2%:男性割合は増えてくれて構わない)

70万人×18% → 126,000人 の女性

70万人×2% → 14,000人 の男性

に、毎年看護師を目指していただく必要がある

          ↓

この部分は筆者の勘違いで、正しくは

「35万人」×18%÷0.9(合格率) → 70,000人 の女性

「35万人」×2%÷0.9(合格率) → 約7,800人 の男性

に、合格率を考慮して毎年看護師を目指していただく必要がある となる。

 

・厚生労働省編職業分類の第5回改定において統合・整理された具体的な職業名(18,725職業:厚生労働省編職業分類、2022年改訂)に基づく数字によれば、日本で認識されている職業総数は18,000以上ある

 

・70万人の人材を、18,000職で、企業が、組織が争奪する。単純に平均すると1職種あたり約38人。看護師は現在の看護師総数から見て、もともとは人気の職種だったと言って良いのだろうが、多くの業界で人手不足の中、看護師を志望する若者が、果たして増えてくれるのか、また、同時に看護師養成校の定員数増も必要

・    ・    ・    ・    ・    ・    ・    ・

 

 看護師だけでこの人数が必要なのだが、【図-4】の、12職種の入学定員総数を合計したところ、合計で102,187人であった。

 本文中にもある通り、職種ごとにその数字は変わるとしても、「定員割れ」が顕在化しているので、先の看護師の傾向同様に、毎年約10.2万人全員確保できたとしてもまだ不足傾向だということだろうから、看護師は

 約7万人(今後を見据えた上積合計) ÷ 5.2万(現在の看護師国家試験合格者数)

 → 134.6% 増 

 なので、

 

 看護師も包含している約10.2万人にこの係数を掛けてみる

 

 約10.2万人 × 134.6% → 約13.7万人

 

 となった。これは70万人の約2割に相当する(19.5%)。母数が67万人なら2割を超える(20.4%)。

 

 毎年生まれる出生者のうち、2割に医療関係職に就いて頂き、おそらく介護人材の不足も相当な数だろうから、なんだかんだで、医療介護業界は巨大産業である、ということもできるだろう。若しくは「人を沢山要する」業界、生産性の低い業界とみられてしまうのか。

 財政審などは、おそらく後者としての見方であろうから、「医療や介護の生産性向上は不可欠」という論調になるのだろう。

 

 それにしても5人にひとりは医療介護従事者という計算…。その他にも鉄道関係、通信関係、警察関係、お役人…などなくてはならない職種もあり、もはや、「会う人会う人の殆どがエッセンシャルワーカー」という状況すら理論上想定される。しかしそれも、少し異様な気もする。つまり不可能な気もする。

 

 コンサルタントのコメントだ。

○医業系コンサルタント

 「12職種横断で養成・確保を議論する枠組みは、これまで縦割りで進んできた人材政策を再設計する大きな転換点。18歳人口の急減と定員割れが進む中、個別職種の対策では限界があり、医療提供体制全体を俯瞰したアプローチが不可欠である」


 縦割りの人材政策の再設計か。複数の専門性ある職を少ない職種で担う。「マルチタスクスキル」、いや、「なんでも屋」とでもいうべきか。

 

 最後にこんなコメントを。

○利用者(または家族)

 「地方では専門職が少なく、受けたい検査やリハビリが受けられないことがあり、都市部との格差を感じます。どこに住んでいても必要な医療が受けられるようにしてほしい」


 「どこに住んでいても」か。

 今月号のもう一つのテーマ「医療政策のトリレンマ」では、「医療アクセスの向上」を目指すことに伴い、医療の質を我慢するか、患者負担増を容認するか。そういう二者択一論なら答えを出すことに近づけるのではないか、3つの政策全てをベターにもっていくことは、困難だ、と主張している(あくまで財政審が だが)。

 

 ゆでガエル。

 こうなる将来がある程度見えていながら対応策がなかなか見つからない状態でここまで来た日本。

 ゆでガエルにならないために今我々にできることは何か

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

 

(※2)… レジが数台あるのでそれを活用すれば良いのだが、それは店員にとっての店側からの「マスト」教育項目ではないのだろう。「できる」、「気の利いた」、「利用者視点に立った」店員がしてくれるということなのだろう。今や現金のやり取りがあまり発生しないのと、現金すら自動収受機なのでレジ締め集計の際の金額差異の発生が驚くほど激減し、レジを複数の人が入れ替わり使うことが可能になるほど、金銭リスクも相当減ったに違いない。そういう背景もあって、一人スタッフの複数レジ使いも可能になった(のだろう)とみるべきなのかもしれない。

<筆者>

 

 

(※3)… 筆者は東北生まれなので、小中学校時代に焼肉に連れて行ってもらった時には(1980年代)、「ハラミ」などという部位の存在すら知らなかった。大学進学時に関西に引っ越し、初めて「ハラミ」なるメニューに遭遇し、バラ肉系に比較してあっさりで、柔らかく(これは店の肉の切り方次第)、その上安い、美味しい、いったいなんで?驚いたものだ。
それがホルモン(牛の横隔膜)だと聞いてさらにビックリ。おそらくそれゆえの安価なのだろう。で、納得した。

<筆者>

 

 

(※4)… 近年、歯科矯正分野では、低学年の頃からの受診が多い。
筆者が小中学生の頃は、将来(大人になった時のため)のためとはいえ、外見的に、矯正ブリッジや時にはフェイスボウ(ヘッドギアのような形)を使用していると、多感な時期だけに、周りからどんな扱いを受けるか分からないという、同調圧力のようなものがあった。ありていに言うなら例えば矯正の見た目に伴ったあだ名がつけられたり、時としていじめの標的にすらなりかねない要因の一つだったろう。しかし現在は、技術力も向上し、外見的に目立ちにくい色のワイヤーや、マウスピースの使用等により、周囲をあまり気にすることなく歯科矯正を行う環境が醸成されていると感じる。筆者の子どもも例外ではなく、矯正ブリッジやマウスピースにお世話になっており、矯正歯科を定期的に受診していたのだが、マウスピースを使用するのも結構痛いらしく、せっかく数万円も前払いして作ったにも関わらず、一人は途中で断念してしまった。因みにその矯正歯科は先生も非常に熱心・丁寧で、きちんと説明にも時間を割いてくれて親の受けが良い。という背景もあり、3か月くらい先まで予約がいっぱいの状態である。その上自由診療扱いなので、親の懐事情はそれなりに厳しくなる。子どもの将来への投資としての必要経費であるのだが…。

<筆者>

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